2.タコシェでのサイン会(2003.7.19)
自分は大変気後れする性質である。7年前に子供を作ってみた時も、全く個人的な、しかも快楽に基づく事柄でありながら、思いかけず沢山の人達から御祝いを頂戴してしまい大いに恐縮したものであった。結局未だ子供が一人なのはその時抱いた恐縮によるといっても全くの冗談で済まぬのがこの自分というものなのである。
先だって『学ぶ』という漫画本をテレグラフより出した。17年前に出したヤツに倍近い頁の単行本未収録を加えて、装いも新たにといったところだが、が、しかし、所詮旧刊の出し直しで新作・新刊とはどうしても胸を張れぬ。
そこへ来てタコシェでのサイン会が決定したというのだ。当然気後れしてしまう俺だがサイン会をはねつける(つまり中止にしてもらう)だけの、それに対抗する気後れパワーもない。そこで考えたのは、自分如きの旧刊出し直しのため、ワザワザ集まってくれる人々のために単なるサイン(サインペンで名を書き、キャラの一点も描く。偉い作家だと単に名前だけで済む)会ではなく、もうチョイ何とかサービスせねばと思案した。気遅れ対策にも。
で、考えたのがアクリル絵の具を使ってのベットリとした質感のある絵と署名。まぁ通常よりは来てくれた方達が得した気分に成れるだろうと。そこへ更にイイ顔、珍道犬、その他、珍・萬・挿・咬各種猥褻方面の写真を添付し、コラージュ的要素も加える、と。
ま、そこ迄やればお客さんも満足してくれるだろうし、個人的にも心の平安を得られようと考え、そう決めて、その様に当日やった。
それにしても沢山の人が来てくれて、本も完売した。有り難い事だ。中には大阪から来たという、社会的地位(部下が何人もいるとか、女性誌にインタビューを受けたりとか)もありそうな熟女(あくまでも「エロ本」的分類上の話で、実際は俺なんかより10歳前後若い)二人組は珍しい存在で未だに首を傾げるところがある。有り難いにもかかわらず。他にも貞淑な人妻風、こちらも熟女だが佐良直美に似ていた。「奥さん、エビスのサイン会にも是非行ってやってくれ」と心の中で呟いた。
ところで、会場に足を踏み込むなり、パッと俺の目に入り、まぁ俺は会社勤めをした経験はないが、上司による女子社員のセクハラ、否、それよりはフラッシャー(全裸の上にコートを着用、気に入った通りすがりの婦女子の前でパッと開いて喜びを見出す。故・セルジュ・ゲンスブール監督・主演の「スタン・ザ・フラッシャー」は必見であろう)に近い感覚をだな、抱かされるというか、くすぐられるというか、そそられる、いかにもBGとかオフィスレディーとおぼしき二人組がいて、「よし、俺はこの二人に絶対、チンポの写真を貼ってやるぞ!」と誓った。そして、それは達成された。
しかし家に帰る迄も、帰って風呂に浸かる迄もなく、サイン会が無事終了後、ホッと一息ついて、よく考えてみりゃ、こんなに日本一汚い絵柄で、しかもチンマン関係のやだら出る漫画を描く者のサイン会にワザワザ足を運ぶ女性だ。見た目のイメージがどうであれ、これしきの事で、セクハラもフラッシュ的行いも成り立つワケなどないのであった。
以上、サイン会(終了後12日も経っている。折角のネットだというのに情報として遅すぎるといえる)の報告でありました。
尚、それから約一週間後のナディッフでのトークショーにも、その二人組は来てくれ、少し話す機会があったのだが、手元では残り少なくなった写真のやりとりをする俺を見て、「自分たちに狙いを定めているな、と気づいていました」との事であった。深く考えると恥ずかしい話であろうと思われるので、ここでこの件は思考停止。

サイン会・ザ・フラッシャー
資料提供:北川有希さま