2000年 7月24日 (2002年7月2日追加)

個別指導の場での特別なニーズ教育
LD


言語性能力の弱さは、
ことばを聞き取り理解したり、表現したりする事の困難を、
更には、文章を読みとったり書き表したりする事にも困難をもたらす。


聞き取る力   教材紹介
学習レディネス
・聴覚的な注意力(相手のことばに注意を向ける力)
  注意の集中の力の弱さがあり、人の話を聞き続ける事が困難な場合は、
  視覚、触覚的な手がかり(顔を見たり、肩に手を置いたり)などで
  注意を向けさせる。
  話す方がポイントをしぼって短く言う、見ぶりサインで補う。
  指示にしたがって行動するゲーム等でその力を育てる。


・聴覚的な弁別力(音や声の聞き分けの力)
  楽器、生活の道具などで音の聞き分け遊びをする。
  語音の聞き分けゲームをする。
  (単音、単語、類似語、無意味語)



聴覚的認知力(ことばの意味を理解する力)
・まずは、音に意味を付与する表象能力を育てていく。
  表象能力とは、物や事象や行為を、動作やイメージやことばに置き換
  える力のこと。例えば、
  「出かける」という行為の意味を
  「帽子を見せる」という動作に置き換える事も
  「でかける」という意味ある音声(ことば)に置き換える事も
  どちらも表象能力の育ちが前提であるわけである。


・語彙、意味的認識、概念を育てていく。
  遊びや手伝いなどの実体験を通して。
  体験からだけでは、自然に獲得出来ない認知スタイルの子には、
  整理した形の視聴覚情報(実物、写真、絵、ビデオ)の活用する。
  つまり、具体物や絵カードを使って、仲間分けや比較の活動をさせる
  中で、その意味、類似や相違点にも気づかせるのである。
  指示の聞き取りゲーム
   指示→行う、絵を描く、聴写する。


・推し量る力を育てる。
  字義的な意味理解だけではなく、関連性や背後にある意味を理解する力
  の育ちも重要。この力を育てる為には、分類、類推、推理、判断といった
  活動が有効である。
  三つのヒントをもとにそれが何かを考えるスリーヒントゲーム。
  なぞなぞゲーム。
  「なに」「だれ」「どこ」「どうして」「なぜ」「いつ」等の質問ゲーム。
  これらは、眼前にないものを想定して考える事には弱さを残している子に
  は有効である。答えの確認用に絵カードを使うと良い。
 


聴覚的短期記銘力(話の内容を短期的に記憶にとどめる力)

一応理解はできているが、聞いた内容をとどめておくことが難しい場合が
ある。記銘力を直接伸ばすことは困難だと言われるが、以下の配慮・工夫
が考えられる。


・注意の集中力を育てる。(上述の注意力を参照)
・記憶の弱さをカバーする方法を考える。
  メモの活用をすすめる。伝言ゲーム等を利用して楽しくメモをとることを教
  え、おつかいや電話などでも習慣をつけていく。
  聴覚記憶の負担を軽減するため視聴覚教材の活用。
  簡潔な指示、関連づけた指示など、周囲の者が工夫をする。
  ポイントを強調して聞かせたり、声を出して復唱させる等も弱さを補う方法
  になる。

話す力   教材紹介
学習レディネス
・音声模倣の力      
  手遊び、動作遊び等のまね遊びの中から次第に口形模倣や音声模倣を促
  し、ことばを伴う歌遊びなどへとつなげていく。          
  子どもの発声のまねをすると、循環反応を引き出す事にもなる。 
  動作を伴わせる事は意味理解の視覚的手がかりにもなる。
  構音発達にも配慮し発音しやすい音から導く。



ことばを想起する力
・意味は理解しているが言い表す事ができないような時は、 
  「〜なのね」と代弁したり「選択肢」を用意したり、
  「初めの音」や「絵カードなどの視覚的な手がかり」や「関連する物の手が
  かり」等のヒント等が想起の力の弱さを助ける。

・語彙ゲーム
  絵カード名前当て、仲間集め(カテゴリー)、反対語、


・聴覚記憶の力が良ければ絵カード等を使って命名の練習も有効。

・聴覚記憶の力が良くなければ絵カードや他のサインを活用してまずはコミュ
 ニケーションを取る事に主眼をおいてみる。



語連鎖の力      
・名詞だけではなく、動作(動作化、人形を使用しての動作化)形容詞(物を使
 っての様子の比較)等、語彙を増やす為、日常場面でのモデル場面を意図
 的に作る。
 たとえば
 動作をしながら…お母さん(が)食べる。リンゴ(を)食べる。
   比べながら………大きい車 小さい車


・上述の代弁や絵カード等の活用も有効。

・助詞の使用については、別途、それに着目した形で動作化や絵の使用等で
 意識づける方が効果的。



文章を組み立てる力  
・時間、因果的順序を意識させ言語化させ、絵に表し、それを並べて、手がか
 りに話すと効果的。


・5W1Hなどのヒントカードを手がかりに伝えたい内容を意識化させるなどの
 手立ても必要。



表現の意欲
・得意なもの、好きなものの事等を人に伝える事ができたという経験は、次へ
 の表現の意欲を育てる。その意味で音声言語にだけ固執せず様々な形の
 コミュニケーション手段にトライしてみることは大切である。 

読む力   教材紹介
文字を読むということは…、
文字の視覚的分析を経て同定された文字情報は、音韻ルートにそって
文字→音韻変換がなされる。そして、たくわえられている文字・音韻変換
を参照して文字を音にかえるということである。


(読字)
学習レディネス
・色々な形を別の物として認識する力を育てる。

・型はめパズルやペグさしなどの遊びで、形や位置の弁別の力を育てる。

・音への敏感さや弁別力を育てる。


文字の視覚的弁別力
・曲がる、はらう、はねる、とめる等言語化することで弁別力の弱さを補う。

・なぞりを中心として、運動覚を活用する。


文字と音との対応
・音節分解、音の抽出の練習。

・長音、拗音、拗長音、促音等を図にしたり動作化したりして意識づける。

・写字はできても、文字→音韻変換が困難な場合は、意味情報を介在さ
 せて補う。


・1音1文字対応の原則からはずれる拗音や、清音とは異なる音でありな
 がら同一文字で濁点、半濁点の有無で区別する濁音、半濁音などは対
 応が特に困難である。


・ゲーム
 最初に〇のつくことば集め、しりとり、一文字変える、文字のシャッフル 
 正しい字探し、逆さに読んだら


意味ルートでの文字同定
・漢字等は文字を音韻変換することなく読むわけであるが、かなでも文字
 列の視覚的形態から意味を抽出して音に変換することはありうる。自分
 の名前の文字列を読むのはこれに該当する。



文字系列の走査、音読
・文字の拡大。

・指で文字を挟んだりガイドしたりする。

・1行だけ見えて他を覆い隠すページカバーを利用する。    

・聴覚記銘が良い子は、内容を先に覚えて、文字と照合すると言う方法も
 とれる。


・ゲーム かるた遊び

(読解) 
意味理解
・直前に読んだ内容をある程度記憶し、保持していくことが必要であるから、
 聴覚的短期記憶の力が弱いと文のまとまり、つながりを考えながらの意
 味理解ができない。図や絵でその弱さを補う。
 
・読むことへの動機付けのため、指示にしたがって宝物をさがしたり、読ん
 だことを絵にしたり、料理をしたりの楽しい活動を取り入れる。


・その子の興味のある物について書いてある教材を使う。
 漢字等の文字も好きな電車の駅の名、人の名などから学習するなど工
 夫する。


・物事の因果関係の理解を図る為には、4コママンガが有効である。

・読んだ事を絵にする課題で、意味理解の確認ができる。

書く力   教材紹介
文字を書くということは…、
ことばが音節の単位に分解され、音韻変換された文字と照らし合わされ、
合致したその文字の形態等の情報とともに、書字運動に移されるということで
ある。


(書字 表記 作文)
学習レディネス 
・単語音韻表示を同定し、音節に分解する力

・一般的に、2歳でなぐり書き、3歳でまる、4歳で四角、5才で三角、6歳で菱形
 が書ける力が育つと言われる。ひらがなの種々の角度が思うように書ける
 段階にあるかどうか見極め、まだならそのためのレディネスの学習を組み込
 んでいく事が必要。



視覚認知 視覚記銘力
・読みと対応する文字を、記憶している文字群の中から検索し、再生する過
 程。


・視覚記銘が弱い場合は、視覚再認ですむようにワープロなどを使ったり、文
 字カードを使って単語や短文を構成する練習も有効である。


視覚認知したものの音韻変換
・視覚認知はできても音韻変換をせずに処理、すなわち形の視写なら可能と
 いう子もいる。この場合は音韻の変換の為のスモールステップの指導が必
 要となる。


視覚認知、手との運動協応
・目で見た物の情報を正確に手に伝えそれを文字という形で表現。

・認知や運動協応に問題がある場合は大きな文字をなぞるなどのてだても、
 有効である。


・かななら、聴覚的手がかり(曲がる、折れる、はねる、はらう、とめる等)漢字
 なら、ヘンやつくりなどの分析的手がかりも用いる。


・文字書き歌の活用も考えられる。


作文
・文章展開のまとまりのなさ、貧困さ等がネックである。これは話し言葉のつま
 ずきとも一致する。


・文が短かったり文と文の内容のつながりが乏しい場合は、まずは、主語や
 目的語、動詞、修飾語、接続助詞も含む助詞等を意識させる短文作りの学
 習に取り組む事が効果的である。


・口頭作文や、 読み手(聞き手)を意識し、書く(話す)べき一まとまりの内容を
 適切に表現する力も、話す力との関連で育てていく事が必要である。


・配列絵カードを並べて話しを作り、その後その絵を見ながら、その説明を書
 く。


・絵を見て文を書く課題で、表現の確認ができる。

・縦長の紙片を用意し、思いついたことを 書いていき、書き終わった時点でそ
 れを並び替え、補足もしていくという書き方だとて作文用紙を使うより作文に
 対しての抵抗感が少なくてすむ。


・尚、文字の表記の間違いや漢字の使用についての指導は、作文指導とは切
 り離した方が良い。
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構文指導のプログラム例 (作成責任者M)
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●基本の3文型
何(だれ)はどうする。    何(だれ)はどんなだ。   何(だれ)は何だ。
・犬は(が)ほえる。         ・犬はかわいい。      ・犬は動物だ。


●基本の文型からの発展型へ  何(だれ)がどうする文
何(だれ)がどうする。
・犬が食べる。

何をどうする。          
・にくを食べる。

何(だれ)が何をどうする。
・犬がにくを食べる。      
              何(だれ)が食べるのですか。 
              何を食べるのですか。


何(だれ)が何をどこにどうする。
・犬がにくを地面に置く。 
              どこに置くのですか。


何(だれ)が何でどうする。
・犬が前足で押さえる。   
              何で押さえるのですか。


何(だれ)が何(だれ)に何をどうする。
・犬がぼくにボールをくれる。
              だれにくれるのですか。
              (ボールを)どうするのですか。


何(だれ)が何(だれ)をどうする。
・犬がぼくをおいかける。
              だれをおいかけるのですか。
              (ぼくを)どうするのですか。


●基本の文型を飾る文 
 何(だれ)がどうする文  何(だれ)はどんなだ文 

主語をかざる(どんな・何の・どこのetc)
・大きい犬がほえる。     ・小さい犬はかわいい。
・おもちゃの犬がほえる。   ・ペットの犬はおとなしい。
・となりの犬がほえる。    ・まえの家の犬はこわい。


述語をかざる(どのように・いつ・どこで・どこに・だれと
         だれを・だれに・なにを・なにで・なにに etc)
・犬が大声でほえる。     ・犬はとてもかわいい。
・犬が よる ほえる。
・犬がげんかんでほえる。


空間認知の困難、
すなわち形や位置関係、状況など視覚的に理解することが苦手だと、物の
上下、左右、前後、遠近、縦横や東西南北等の方向の把握が困難である。
学校生活の中ではロッカーやくつばこの位置、自分の机、教室の場所など
がなかなか覚えられなかったりする。また、自分の体の身体部位の感覚の
鈍さがみられたり、物を高さや方向の違う場所から視点を変えてみると混乱
するなどの困難がみられる。
この弱さは算数では、量の認識、筆算のけた、図形の概念の習得に困難を
もたらす事になるようである。



算数の力   教材紹介
学習レディネス
操作活動(遊び)等を通してや基礎の部分の力を育てる事が重要である。

・弁別
  物を未分化なまま漠然と捉えるのではなく、比較して「違う」「同じ」という
  捉え方をする。多くのものの中から色、形、用途等に注目させ同じ物や
  違う物を選び出す遊び。
  同じ形で色に注目。同じ色で形に注目。色と形が入り混じったものの中
  から同じ物を選び出すなど、スモールステップで。


・類別
  色、形、性質、機能などの仲間わけ集合作りの遊び。


・同等(1対1対応)
  生活の中で必然性のある組み合わせの対応付けにより、同等や多少を
  理解させる。まずは「同じ」を、次に「多い,少ない」の理解につなぐ。
  ものを配る活動も有効。
  「ひとりに一個。はじめは○○君、つぎは●○さん」などと言語化し、確か
  めさせる。
  
・比較
  必ずしも組み合わせの必然性のないもので大小や多少の感覚をつかま
  せる。極端に差のある二つのかたまりを見せ、どちらが多いか当てるゲ
  ームをする。量で勝負が決まるゲームや、興味のある物を使う事が効果
  的。


・系列化
  2つのものの比較ができたら、3つ、4つと増やしていき、大きい順、小さい
  順にならべっこ遊びをする。困難な場合は1番大きいのは象さん、次が
  くまさん・・など言語的な意味付けをしてみる。
  量と数字を対応させたカードで「7並べ」のような遊びもできる。


・数の保存
  1度確認した物の位置、形状等の条件を変えてもその数は不変であると
  いう数の保存性を理解させる。間隔を変えたり、重ねて置いたりして遊ぶ。
  ここがあいまいだと数の合成、分解の理解が難しい。


・形や位置
  各種パズル、色板などの仲間分け、形作り、影当て遊び、写し絵等。
  


数量概念
「量の比較」「1対1対応」「系列化」「量と数詞と数字との対応」から形成される、ものとものとの関係から抽出される概念。
具体的な数量関係を抽象的な数に置き換える事が困難な為、数量概念の理解が難しい場合がある。数は抽象化したシンボルだから抽象化能力が落ちていると数概念が定着しないわけである。視覚的に捉えられる具体物を活用する。並べたり、対応させたり、数えたりする


・視覚運動協応の能力に問題があると目で追えず、2度数えをする。
 手で押さえながら数えさせるようにする。


・数を数える時は、かたまりを作らせ、単に順序数だけではなく、数と量の結び
 つきを感じ取らせる。


・大小、長短など空間的な広がりでの差を調べる。

・重さの比較は目盛りなどで視覚化してとらえさせる。

・言葉を使って意味づけたり、線や枠を利用してかたまりを意識化しやすいよ
 うにしたり、動かしてみたりの工夫をする。


・分数小数も具体物の端数処理の作業の中で認識させる。
 
計算
・ペーパー上の見かけの計算力ではなく、実生活で応用できる計算力をつけ
 たい。その為にはその計算の意味を、具体的な場面を設定し理解さ、具体
 物や半具体物(タイル・おはじき)を操作する活動の時間を十分にとる。


・抽象的な数を使う前に具体物の操作を十分経験させておく事が大切。その
 時直感的に把握しやすい5以下の小さい数から入り、次第に大きな数、さ
 らには小数や分数にまで導いていくと抵抗感が少ない。


・ 5や10のかたまりの合成分解の練習を十分にする。
 10のかたまりができると繰りあがる。又、10のかたまりを二つに分解 した時
 の他方の数が繰り下がりの計算時に活用する数でもある。 


・聴覚的記銘力が弱いと繰りあがりや繰り下がりの数を覚えたり、
 九九を暗誦したりが困難。繰りあがって繰り下がってなどの言語化をしたり、
 赤で書き入れるなど意識化させる。九九は意味を絵で説明したものを使い
 意味理解で記憶の弱さを補う。市販の九九の歌も活用できる。


・視覚系の認知能力が弱いと筆算の桁を見誤ったりする。視覚的にわかりや
 すい枠等を工夫する。


・1度に表示する問題を少なくするのも視覚認知や注意集中に問題がある子
 には有効である。


・論理概念的な弱さ。
 継次処理に問題があると、順序だてた思考がうまく行かず計算などでつま
 ずきやすい。10進法と計算の手続きとの関係については、タイルなどの
 操作を通して視覚的、具体的、体験的に理解できるようにする事が必要。 
 又、計算の手順を言語化する等の手立ても有効である。


・言語的な問題。
 「たす」という意味がわからず、「一緒にする」と言えばわかるというような意
 味理解上の問題 がある場合もある。


・心理的拒否感をなくすため、計算を必要とするゲームなどの活用も有効であ
 る。
 (2つのさいころの目の計算、輪投げ、ルーレット、計算しながら進む双六等)
 


文章題 
・文字の読みが困難な子、論理的思考が困難な子は躓く。
 数に関する特殊な文章の読解過程である。又、文章を論理的に理解する過
 程でもある。これらの困難を持つ子にも、具体的な操作や絵や図に置きかえ
 るなどの作業を通して意味理解は有効である。
 因みに、加減算は、部分と全体についての問題解決学習である。
 加算(合併、増加)減算(求残、求差、求補)タイプの見分けの先行的な学習
 も意味を持つ。


・経験場面、関心を引く場面を工夫し体験を通す事が、イメージ化を助け、
 結果的に理解を促す場合もある。子どもにとって意味のある具体的な活動、
 (あげもらい、配る、測る、買い物をする、食べる等)


・情報処理スタイルに合わせる。文字での視覚的情報が入らなくても、読み
 上げて聴覚的な情報をあたえれば理解できる子もいる。



図形・グラフ・測定
・空間認知能力に問題があると、図形の特徴を捉えるのが困難。具体物を
 操作する活動を取り入れる。


・空間関係の把握や視覚運動的能力に問題があると、線や点を目で追って
 形や位置関係を理解するグラフの理解も困難。
 形や位置を言葉で説明したり、グラフの読み方を言語化し意味理解で補う。


上述の問題の為に測定が難しい場合は、読み取りやすい目盛り、使いや
 すい定規やコンパスなどの選択への配慮と、使い方自体の練習も必要。
 その場合道具の使用についても、左手で押さえて、右手で…等、道具の
 使い方も言語化しないと見ただけでは使いこなせない場合も多い。

LD、ADHD、
高機能自閉症やアスペルガー症候群の
子ども達の理解と指導の為に