このQ&Aは「堺市の養護教育」に掲載されたものを、LD学会員の森山さんが公開の
決済を受け、html化したものです。森山さんのご厚意により使用させて頂いています。

学習障害児等の理解と指導Q&A
 学校には、さまざまな理由で学習面や行動面で十分に力を発揮できずにいる子どもたちがいます。その一つにLD(学習障害)児がいます。
ここでは、学習障害児等の指導に際して、必要となる基本的な配慮や支援の在り方を中心にQ&A方式でまとめてあります。学習障害及び学習上に困難を有する子どもの理解と指導に是非、役立ててほしいと思います。
文部省が設置した「学習障害及びこれに類似する学習上の困難を有する児童生徒の指導方法に関する調査研究協力者会議」の報告(平成11年7月2日)と合わせて有効に活用されることを願っています。

目次
Q1 LDとは何の略で、どのような状態をいうのですか。
Q2 学習障害児に見られる学習上のつまずきや困難とは、具体的にどのようなものですか。
Q3 学習障害は認知機能障害と聞いたことがありますが、直接の原因は何なのですか。
Q4 保護者からLDではないかと相談をもちかけられています。学習障害の判断は教師にできるのですか。
Q5 学習障害等が疑われる子どもの保護者との連携をどのように図ればよいのでしょうか。
Q6 学習障害児の指導に当たって、まず心掛けなければならないことは何ですか。
Q7 担任として、学習障害児の特性を踏まえた心の支援をどう行えばよいのでしょうか。
Q8 クラスの子どもたちに、学習障害児のことをどう理解させればよいのでしょうか。
Q9 学習のつまずきや困難が意欲や自信の喪失、引っ込み思案などの二次的なつまずきや困難へと発展してしまわないようにするには、どんな配慮が必要でしょうか。
Q10 具体的な指導場面において、大切にしたい配慮事項には、どんなことがありますか。
Q11 学習障害児に対する指導計画を立てる上で、特別な手順があるのでしょうか。
Q12 音声を聞き分けることが難しかったり、音声として聞こえていても、意味のある言葉として受けとられないといった子どもへの対応はどうあればよいのでしょうか。
Q13 語彙が豊かであるのに、自分の思いや考えをまとめて伝えることができない、質問されたことに適切に答えることができない、脈絡のない会話になってしまうなどの状態の子どもへの対応はどうあればよいのでしょうか。
Q14 形の似ている文字を読み間違えたり、行をとばして読んだりするため、文章の内容を理解することに困難を示す等の子どもへの対応はどうあればよいのでしょうか。
Q15 鏡文字を書いたり、マス目の大きさに合わせたり行を揃えて文字が書けない、作文のように抽象的な思考力を必要とするものに抵抗を示す等、書くことが困難な子どもへの対応はどうあればよいのでしょうか。
Q16 指を使わないと計算できない、繰り上がり繰り下がりの計算や文章題ができない、図形が理解できないといった子どもへの対応はどうあればよいのでしょうか。
Q17 相手の気持ちを汲んだ会話ができず、自分中心に話を進めたり、遊びのルールが分からず集団活動に入りにくく孤立しやすい子どもへの対応はどうあればよいのでしょうか。
Q18 落ち着きがなく、指示が聞けなかったり突発的で衝動的な行動が見られるなど、自分の行動をコントールすることが難しい子どもへの対応はどうあればよいのでしょうか。
Q19 周囲の状況が理解できない、付き合い方のルールが分からない、けんかや言い争いをする 等、友達とのトラブルが多い子どもへの対応はどうあればよいのでしょうか。
Q20 ルールやマナーを理解していない、あるいはルールやマナーを知っているが守ろうとしない子どもへの対応の在り方。
参考図書・資料

Q1 LDとは何の略で、どのような状態をいうのですか。

 LDは英語のLearning Disabilitiesの頭文字を取ったものです。LDという用語は1960年代初頭に米国で使われ始め、わが国では1970年代に研究が始められ「学習能力の障害」と訳され、今日では「学習障害」という用語で一般的に呼ばれるようになりました。 国の報告(前掲)では「学習障害とは基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する能力のうち、特定の能力の習得や使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである」と定義づけがなされています。 目次


Q2 学習障害児に見られる学習上のつまずきや困難とは、具体的にどのようなものですか。

学習障害児に見られるつまずきや困難は一人一人異なっており、一人の子どもに1つないし複数のつまずきや困難を抱えていることが見られます。

困難の領域 よく見られるつまずきや困難の一例
聞 く


話 す


読 み


書 き


計 算


推 論


 ・話や指示は聞こえているが、正確に聞き取ることが困難である。
 ・話や指示したことの意味を取り違えてしまう。
 ・今聞いたばかりのことをすぐに聞き返す。
 ・話が一方的になったり、話し出すと止まらない。
 ・状況の説明ができなかったり、質問に対して的外れの答え方をする。
 ・自分の思いや考えをまとめて話すことができない。
 ・文字の読みが定着しにくい。似た形の文字の区別が難しい。
 ・本を読む時にたどたどしい読み方をしたり文字や行を飛ばして読む。
 ・文章が読めても登場人物の心情が読み取れない。
 ・文字が読めるのに正しく書けない。鏡文字が目立つ。
 ・マス目の大きさに合わせて書くことが苦手。行を揃えて書けない。
 ・平仮名や漢字の細かい部分を間違って書く。作文や日記が書けない。
 ・計算の手順が分からない。数字や位取りを揃えて計算できない。
 ・指を使っての計算から抜け出せない。
 ・九九がなかかな覚えられなかったり、唱えられない。
 ・過去の経験を生かして考えたり筋道立てた話をするのが困難である。
 ・論理的な思考が苦手で図形や数量、文章題の意味を取り違える。
 ・一度に複数の課題を与えられると混乱して課題解決ができない。

上に取り上げたつまずきや困難は、程度は別として、発達のある時期にどの子どもにも見受けられるものであり、障害のない子どもの場合、それを問題とするまでもなく通り過ぎてしまいます。しかし、LD(学習障害)児の場合には、こうしたつまずきや困難な状態を改善・克服するには、一人一人に応じた適切な配慮ある指導が必要です。 目次


Q3 学習障害は認知機能障害と聞いたことがありますが、直接の原因は何なのですか。

学習障害の直接の原因は、中枢神経系の何らかの機能障害によるものと推定されています。視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害など、他の障害から二次的に生じる学習上の困難ではなく、家庭環境や養育上の問題など環境的な要因によるものでもないということです。
 「中枢神経系の何らかの機能障害」について分かりやすく説明しますと、中枢神経系それ自体に器質的な障害はないと考えられています。見たり、聞いたりした情報は感覚器官を通して中枢神経系に届けられます。そこでは情報を受け止め、整理し、関係づけ、言葉や文字や動作として表出するよう指示を出すといった機構が備わっているのですが、その一連の過程のどこかに十分機能しないところがあるものと考えられています。
 しかし、中枢神経系のどの部分にどのような機能障害があるかについては、まだ医学的に十分には明らかにされていない状況にあります。目次


Q4 保護者からLDではないかと相談をもちかけられています。学習障害の判断は教師にできるのですか。

 学級の中に学習障害ではないかと思われる子どもが見受けられた場合、軽々しく「学習障害」と口にするべきではないことは当然のことです。学習障害の判断は、教育的、心理的、医学的な立場から総合的に行う必要があります。「判断」や「診断」という行為は教師にはできません。
 

学習障害の判断や実態把握の目的は、子どもの実態を把握することだけでなく、それに続く具体的な教育的対応、つまり、指導計画の作成についての手掛かりを得ることにあります。
 そのためには、生育歴の把握、学校や家庭における生活の様子の把握、各教科の学習や学習活動全般の評価、個別式知能検査、標準的な学力検査及び医学的な諸検査を含む各種の検査の実施等、十分な情報収集を行うことが必要です。

 
 参考までに、国の報告(前掲)の別紙として「学習障害の判断・実態把握基準」の試案が示されています。それによれば、学習障害の判断は、専門的知識を有する者で構成される専門家チームに委ね、学校では行わないものされています。 目次


Q5 学習障害等が疑われる子どもの保護者との連携をどのように図ればよいのでしょうか。

 学校と家庭との連携の大切さについては、改めて言うまでもありませんが、学習障害児を指導するに当たって、それは絶対不可欠な要素の一つです。保護者は子どもの様子を一番よく知っている人であり、親としての解決策をもっている場合も少なくありません。
 しかし、保護者が発達の偏りや学習のつまずき等を認識していない場合、保護者にどう伝えればよいか難しいところがあります。保護者との相談を進める上で大切にしたいことは、子どもを伸ばしたいという教師の真意を保護者に伝えつつ、保護者との信頼関係に基づく協力関係を築くことが必要です。

 (1) 保護者の心配や不安など、心情に配慮しながら十分聞き取るようにする。
 (2) 保護者が育て方を非難されていると受け止めないように配慮しつつ相談する。
 (3) 改善が必要であると考えている課題は、必ず伝えるのが見識ある態度です。
 (4) 現在の取り組みを伝え、今後の現実的な対応策を伝えるよう努める。
 (5) 互いの考え方の違いをやりとりを重ねる中で明らかにし、かみ合う部分を探す。

 
なお、専門機関での診断を勧めることについては慎重にしたいものです。保護者から信頼される関係ができ、保護者が心を開いた時に初めて、専門機関への相談を勧めたり情報提供をしたりすることが可能となります。 目次


Q6 学習障害児の指導に当たって、まず心掛けなければならないことは何ですか。

 学習障害児だけに関わらず、学習上に困難を有する子どもへの対応の方法については、ある決まった一つの指導法があるというわけではありません。また学習障害は、障害と呼ぶにはその状態は比較的軽く、個性というには被る不利は実に大きいのです。
 そうした子どもの指導に当たっては、それぞれが自分にあった学び方を持っているという基本的な理解のもと、個々の認知特性を踏まえた指導が行えているかどうかを評価するとともに、自分の能力を本当に発揮できているかどうか、不利を被っていないかにも目を行き届かせるよう努めることが大切です。
 特に、学習上のつまづきや困難は、本人だけの問題で生じているだけではなく、実は環境との関係で問題が大きくなったり小さくなったりするのであるという認識のもと、学級集団づくりはもちろんですが、家庭、地域社会にも理解の輪を広げ、本人の心の支えができる環境づくりにも努める必要があります。理解の要は、ほかでもなく教師なのです。 目次

Q7 担任として、学習障害児の特性を踏まえた心の支援をどう行えばよいのでしょうか。

 学習障害児は時として「怠けていては駄目」「気を散らさないでしなさい」「やる気を出して頑張りなさい」といった叱咤激励を受けることが多くあるようです。学習障害児のつまずきや困難性は、本人がすぐに直そうとしても改善できないことが多くあり、そうしたかかわり方では本人が抱えている問題の本質的な解決にはつながりません。
 学習障害児は自己に対する認知に鋭い面があることから、本人を思っての叱咤激励が、逆に心理的な不安や緊張を高めたり、無気力にさせたり、強いコンプレックスを抱かせてしまうことも少なくありません。
 本人を温かい心で受け入れるとともに、心の支えとなるよう心掛けることが大切です。

 ○達成感や成就感を持たせる。 ○自尊心を大切にする。 ○自信を持たせる。
 ○成功感や有能感を持たせる。 ○見通しを持たせる。  ○自律性を高める。 目次



Q8 クラスの子どもたちに、学習障害児のことをどう理解させればよいのでしょうか。

 「同じ勉強をしているのに、なぜあの子だけ分からないのだろう。」「あんなに難しいことができるのに、なぜこんな簡単なことができないのだろう。」クラスの子どもたちにとって、能力の偏りは不思議に映ってしまうようです。
 学習障害について説明する場合、子どもの発達段階にもよりますが、子どもに分かる言葉で説明することが大切です。個性や個人差という面から、説明の一例を紹介します。

 人は誰しも決して同じでなく、一人一人がかけがえのない個性をもち、自分らしさを発揮しながら生きています。相手のよさや短所を認め合い、その人らしさを尊重し合って暮らしているのがこの社会です。自分らしさ、その人らしさというものがあるからこそ、多様な出会いがあり、そこから豊かな人間関係が生まれ、互いに高め合うことができるのです。
 彼の場合、彼らしい個性なんだと思う前に、困ったことや目立つ弱さや短所ばかりに目が向いてしまいます。そればかりか、彼が精一杯努力しているにもかかわらず、そのことが理解されないでいるのです。それが、彼を一層暮らしにくくしているのです。
 彼のことをよく知れば、困っていることだけでなく、一生懸命頑張っていることや彼しかない持ち前のよさにきっと気づくはずです。

 学習障害児が自分の力を十分に発揮できる学級においては、他の子どもたちにとっても一人一人が大事にされているということなのです。個性が認められる学級づくりが学習障害児の理解の基盤です。 目次

Q9 学習のつまずきや困難が意欲や自信の喪失、引っ込み思案などの二次的なつまずきや困難へと発展してしまわないようにするには、どんな配慮が必要でしょうか。

 本人に対して周囲の人たちが心の支えとなりながら、個に応じた配慮をきめ細かく行うとが望まれます。特に子どもたちの人間関係において、一方的な同情やいたわりでなく、子ども同士が対等にふれ合う経験や、生活や勉強で同じ仲間として学び合う経験は本人の自信につながりま す。できないことができるようになるために努力させることも大事ですが、できることや得意なことにしっかり取り組ませることはもっと大切です。
 学習障害児の場合、授業のどこで他の子どもたちとかみ合わせることができるかを見つけることは容易ではないかもしれません。しかし、本人が授業という場で学級の仲間とわずかでもかみ合ったという経験は、自信につながり学習全体への意欲をも高めます。
 学習障害児の指導の鍵は、そうした配慮とともに、学級の他の子どもたちの理解あるかかわりにあります。

指導の基本方針 具体的な手だて
  ○ 気持ちの受容
  ○ 主体性の重視
  ○ プライドへの配慮
  ○ 本人の思いや願い、行動の原因を把握する。
  ○ 学習活動の自己選択・自己決定を重視する。
  ○ 本人の人格を尊重し、正しい理解を促す。 目次


Q10 具体的な指導場面において、大切にしたい配慮事項には、どんなことがありますか。

(1) 余分な刺激や過剰刺激を排除し、集中できる学習環境の整備に努める。
(2) 子どもの座席の位置は、声かけがしやすく、子どもの声が聞き取りやすい席にする。
(3) 理解度・到達度をたえず把握し、分かる目標の設定、明確な課題の提示を行う。
(4) 子どもの興味・関心を把握し、学習の動機づけや学習内容に生かす。
(5) 子どもの学習の状態をきちんと把握し、どこでつまずいているかチェックする。
(6) 指導内容を細分化し、いくつかのステップに分けて順に提示する。
(7) できないのではなく時間がかかることを理解し、根気よく指導する。
(8) 得意な分野を伸ばすとともに、苦手な課題にも挑ませ自信を得させる。
(9) 子どもを肯定的に受け止め、期待していることを伝え、決してあきらめない。 目次


Q11 学習障害児に対する指導計画を立てる上で、特別な手順があるのでしょうか。

 学習障害児の指導上の配慮として、個々の子どもの認知特性に応じた指導をどう展開するかが鍵となります。視覚と聴覚どちらの情報処理能力が優れているのか、逆に苦手や不得手な部分はどんな面かをきちんと把握した指導が望まれます。
 一人一人の子どもを見つめ、そこから指導の在り方を探るという姿勢を基本に指導計画を作成します。つまずきや困難な面の改善だけを目標とするのではなく、人格を尊重し、精神面にも配慮しながら、多面的な角度から指導の可能性を探る必要があります。
 特に指導目標については、指導領域ごとに1年間程度の指導によって達成可能と考えられる具体的な目標を設定します。目標は必要性が高く、基礎的・基本的なこと、達成しやすい事項を優先するよう努めたいものです。
 

 指導計画の立案の手順   1)子どもの実態把握──つまずき・困難、認知特性等の把握
  2)指導目標の決定───具体的な長期目標や短期目標の検討
  3)指導計画の作成───個々の実態に応じた指導内容・方法の工夫
  4)指導の展開─────成就感が得られる課題の設定
  5)評価──指導の最中や終了時等に随時実施し指導計画を修正・改善 目次



Q12 音声を聞き分けることが難しかったり、音声として聞こえていても、意味のある言葉として受けとられないといった子どもへの対応はどうあればよいのでしょうか。

(1) 話す前に注意を促してから話しかけたり、話の要点を板書してから話す。
(2) 音声だけでなく、動作や絵や文字などの視覚情報を同時に提示する。
(3) 同じ発音の単語でも様々な意味があることを知らせる。
(4) 難しい言い回しを使わずに、短い言葉で順序よく、ゆっくりと話すよう促す。
(5) 話を聞き落とさないようメモをとらせたり、聞き返し確認するなど工夫をする。
(6) 個別指導の場面では、短文の聞き書きやゲームを取り入れるなど工夫する。 目次

Q13 語彙が豊かであるのに、自分の思いや考えをまとめて伝えることができない、質問されたことに適切に答えることができない、脈絡のない会話になってしまうなどの状態の子どもへの対応はどうあればよいのでしょうか。

(1) 自由に話せる雰囲気の中で、身近な話題を取り上げ、話す楽しさを体験させる。
(2) 話に詰まった時には、言葉を補足したり代弁するなど、適切な表現を教える。
(3) 「いつ、だれが、どこで、なにを、どうした」のカードを提示し順を追って話させる。
(4) 話そうとすることに題名をつけて話をする。
(5) 感謝、謝罪、許可、依頼など、場面に応じた言葉遣いを練習する。 目次


Q14 形の似ている文字を読み間違えたり、行をとばして読んだりするため、文章の内容を理解することに困難を示す等の子どもへの対応はどうあればよいのでしょうか。

(1) 文字を大きくしたり、間違えやすい文字や行に線を引き、注意を喚起させる。
(2) 1行だけ見えるよう他の行を隠したり、単語を指ではさみながら読ませる。
(3) 教科書の挿し絵を利用して、あらすじを思い出させる練習をさせる。 目次


Q15 鏡文字を書いたり、マス目の大きさに合わせたり行を揃えて文字が書けない、作文のように抽象的な思考力を必要とするものに抵抗を示す等、書くことが困難な子どもへの対応はどうあればよいのでしょうか。

(1) 鏡文字を書く子どもには、いろいろな図形の中から同じ形を選ぶ練習をしたり、鏡文字と正しい文字を並べ正確に書く練習やなぞり書き、視写の練習をする。
(2) 書く分量を減らしたり、マス目の大きさを工夫する。
(3) 辞書やワープロを活用させ、書くことへの抵抗感を少なくする。
(4) 短い文章を一文づつ、きちんと書けるように練習させる。
(5) 文に書きたいことは、話をして内容を整理し、順に短冊に並べてから書く。 目次


Q16 指を使わないと計算できない、繰り上がり繰り下がりの計算や文章題ができない、図形が理解できないといった子どもへの対応はどうあればよいのでしょうか。

(1) 具体物や半具体物を操作し、数についての理解を深めさせる。
(2) 計算の手順を示しておき、計算する時に示す。筆算の場合は、繰り上がった数字等を書きとめておくようにさせる。検算などに計算機を活用するなど工夫をする。
(3) 空間の認知に問題がある場合は、マス目を使って桁をそろえる工夫をする。
(4) 絵や図を書いて、問題を視覚的に捉えさせたり、問題を声に出して読ませるなどイメージ化できるようにする。 目次

Q17 相手の気持ちを汲んだ会話ができず、自分中心に話を進めたり、遊びのルールが分からず集団活動に入りにくく孤立しやすい子どもへの対応はどうあればよいのでしょうか。

(1) 子どもは孤立したいと思っているのではないということをまず理解する。
(2) どのような言い方をすれば、相手に自分の考えを伝えることができるかを、具体的な場面でモデルを示したり、顔の絵や写真を使い人間の表情・感情の意味を知らせる。
(3) 文字や絵に書いてルールや協力することの意味を説明したり、実際にやって見せる。
(4) 順番を守ることや役割をもって責任を果たすこと、友だちの行動をまねること、相手の意見を聞くことなど、その場を捉えて一つ一つ丁寧に繰り返し教える。 目次

Q18 落ち着きがなく、指示が聞けなかったり突発的で衝動的な行動が見られるなど、自分の行動をコントールすることが難しい子どもへの対応はどうあればよいのでしょうか。

(1) 落ち着きのない状態がなぜ起きているのかを把握するように努める。(授業内容の理解、言葉の理解面、集団の一員としての自分意識、注意力そのものの障害)
(2) 予定の変更を予め伝えるなど、次の見通しを与える。
(3) 不適切な行動を起こした理由を十分に聞き取るようにする。
(4) 子どもが伝えたい気持ちを言葉で表現できるよう整理させる。
(5) 叱って謝らせるのではなく、問題となる行動に代わる行動の習得に努める。
(6) 適切な行動が取れている時は、認めたり、励ましたり、褒めたりする。 目次

Q19 周囲の状況が理解できない、付き合い方のルールが分からない、けんかや言い争いをする 等、友達とのトラブルが多い子どもへの対応はどうあればよいのでしょうか。

(1) 一度にたくさんのマナーやルールを教えず、一つずつ指導していく。
(2) 相手の気持ちを言葉にして説明する。相手の表情や状況を絵にかいて示す。
(3) 普段から二人組で物を運ぶなど友だちと一緒に行動する体験を多くもたせる。
(4) 友だちとの付き合い方、誘い方、断られた時の対応、謝る場面、譲る場面など実際的な場面やロールプレイ等で学ばせる。 目次

 

Q20 ルールやマナーを理解していない、あるいはルールやマナーを知っているが守ろうとしない子どもへの対応の在り方。

 
(1) 実際の場面や紙芝居等を活用し、こんな時はこうするということを一つ一つ教える。
(2) 一度に多くのルールを決めず、守らせたいルールを限定し、できたら十分に褒める。
(3) ルールやマナーを学級の子どもたち全員が同じように守って行動する。
(4) 自然な形で援助できる友だちが周囲にいることができるように、子どもの座席の配置や班編制を工夫する。
 

学習障害児へのかかわりの中心的な役割を担うのは学級担任ですが、子ども一人一人をていねいに見つめ、個に応じた指導を一層充実させるためには、学級担任一人で対応することは困難です。学習障害児に対する適切な指導を進めていくためには、学校全体で共通理解を図り教職員が相互に連携し合う必要があります。
 各学校園においては、「学習障害」を理解するための研修をはじめ、学習障害児や学習上に困難を有する子どもに関する事例研修会や授業公開等の研修の一層の充実が求められます。 目次


 参考図書・資料
 
1.「みつめよう一人一人を」
   学習障害児(LD)児等の理解と指導 ──学習上特別な配慮が必要な子どもたち──
   平成9年4月 文部省
 
2.学習困難児の指導方法に関する実証的研究 特別研究報告書
    平成11年3月 国立特殊教育総合研究所
 
3.学習障害(LD)その理解と指導
  一人一人の個性を大切に
   平成11年3月 東京都世田谷区教育委員会
 
4.きみといっしょに
  朝日福祉ガイドブック LD(学習障害)児・者を持つ親のハンドブック
   平成9年3月 朝日新聞厚生文化事業団
 
5.ぼくのことわかって!
  朝日福祉ガイドブック LD(学習障害)児への手引
   平成10年3月 朝日新聞厚生文化事業団
 
6.学級担任のためのLD指導Q&A  上野一彦著
   平成8年9月 教育出版
 
 ──────────────────────────────
  堺の養護教育 平成11年度版 P53〜59に掲載
  堺市教育委員会事務局学校教育部学校指導課(担当:養護教育係)

LD、ADHD、
高機能自閉症やアスペルガー症候群の
子ども達の理解と指導の為に に戻る