バイタルよりコミュニケーション
(4)ALS患者のケアについて。
 ALS患者が一番望んでいることはコミュニケーションを取ることです。
ALSで呼吸器をつけても自力で呼吸ができなく機械の力を借りているだけで、その他の機能は健常者と変わりません。ちょっと神経質な人だと思って接してください。
ALS患者には精神的ケアが必要ですから、バイタルを取るよりもコミュニケーションを取る方が本当のケアになると思います。
(精神的ケアが必要)
* コミュニケーションはいろいろな方法があります。
・意思伝達装置(パソコン、漢字P ワード)
・携帯会話補助装置(レッツチャット)
・透明文字盤(透明のプラスチックの板に、あいうえお……を書く)
・[YES][NO]の合図を決めて質問に答えてもらう。
     透明文字盤〜表情で合図
 意思伝達装置のスイッチを外した時に一般によく使うのは透明文字盤です。
透明文字盤を使えるようになるまでは根気と長時間が必要ですから、ほとんどの看護師さんは忙しいからする時間がないとよく言われます。
 私はスイッチを外したときに顔の表情で合図を決めています。
これなら簡単で誰でもできます。(合図はプリントして表示しています)
 ALS患者はコミュニケーションの問題があるので、入院するのを嫌がる人が多いです。
「コミュニケーションは私の命です。」
    なぜ在宅医療なのか
 ALS患者の在宅療養をする人が年々増えている中で、人工呼吸器をつけて在宅療養する人も増えています。何故、在宅療養するのかと言うと、在宅用人工呼吸器がコンパクトになったのと意思伝達装置が進化したのが大きな理由です。
それと長期入院ができる病院が少ないからです。
 和歌山県は昔からALS患者が多いと有名なのに、もっとALSに関心を持って欲しいと思います。
 現在、和歌山県には95名のALS患者がいます。その中で71名は重症患者ですが、私が連絡できるのは5名で、患者同士の情報交換の場が少ないことが介護福祉を遅らせている原因だと思います。 (患者として反省するところです)
    吸引問題で介護者不足に困っている
 保健師は患者に福祉の情報を積極的に提供し、地域ケアを充実させる為に、月1回の訪問と言わずに訪問が必要な患者には回数を増やして、地域ケアを充実させるよう努めて欲しいと思います。そして地域のALS患者の家庭を訪問し、どのような在宅療養生活をしているか肌で感じ体験して頂きたいです。
 ALS患者は在宅で暮すのに吸引行為が大きな問題で介護者不足で困っています。
介護事業所も吸引行為には非協力的で、ホームヘルパーを探すのに苦労します。
ALS患者にホームヘルパーが吸引していいと許可がおりても何の役にも立っていません。
保健所が先頭に立ってホームヘルパーの吸引講習会を開けないでしょうか?
     ALS患者のケアは十人十色
 ALS患者は吸引できれば誰でもケアができると思われがちです。
コミュニケーションの問題があることと、体位も細かくミリ単位で指示します。
かなり慣れないと難しいです。患者は 非常に繊細な神経の持ち主なのです。
 気管の吸引は十人十色で個人個人、吸引の仕方が違うという事を知って頂きたい。
健康な肺ですから、痰がカニューレ内に溜まる人と、カニューレの奥に溜まる人と二通りあるし、刺激が強く吸引中に痙攣する人も多いから初めての人は怖がります。
 私の場合は、カニューレ内に痰が溜まるから、吸引しながらカテーテルを挿入してもらいます。医学書に載っていることと反対ですが、私には一番楽な方法です。
本人が一番楽な方法で吸引してあげてください。
(いつも家族がしている吸引方法が楽です)
 定時的吸引では危険ですし肺炎になる確率が高くなります。
長期入院の患者の悩みになっています。
 私は1時間に5回吸引する時もあれば、1時間もつ時もある。
他の患者に比べ多い方だと思う。こまめに吸引を要求するお陰で肺炎とは無縁です。
自分も楽に生きたいから遠慮しないで吸引してもらいます。
(痰がある程度溜まるまで我慢をする人もいますが良くないです)
    素人の私から一言、看護師さんへ
 医療に素人の私が言いにくいのですが、人工呼吸器の医療事故が後をたたないから一言言わせて頂きます。どういう医療的なミスといっても、信じられないほど初歩的なミスで命を落としています。医療事故にならなくても呼吸器のホースが欠落して「もがき苦しんで危なかった」とよく聞きます。
 看護師は在宅用人工呼吸器の取扱について勉強していると思いますが、研修を積み重ね在宅用人工呼吸器をより安全に取扱えるようお願いします。
 ALS患者は呼吸器に異常があればどうすれば直るか解る人が多いです。
故障が解りながら死ぬのは嫌だから意思伝達装置は手放せません。
(5)私の県外の友人が入院した時の体験記です。
 ALS患者が入院中に一番恐れていることです。(よくある事です)
◆ 私はメーカーの呼吸器交換するため入院,ALS患者で文字盤やパソコンを持ち込んだのは私がはじめてらしく、最初の頃は看護師さん達は私の顔を見て話し掛けてきてくれるのに、パソコンの文字を読んでもらえず情けなかったです。センサースイッチも簡単に考えていたらしく、使いづらい思いもしました。
 入院3日目、朝7時半頃ちょっとしたハプニングが起きました。
注意事項はパソコンに書いておいたのですが、読んでもらえず夜中に体位交換の枕をはずされてパソコンを使えず,ナースコールはあわせられず、他の人の食事があると放置され,私はカフのエアーが多少だが少なくなり息苦しく、主任さんが見えても吸引だけ、医師2人駆けつけ、血液検査心電図レントゲンの指示を出した。
家内には病院へ来るように連絡とったとのこと。
近い距離にありながら電車は3回乗り換えて来るので1時間以上は待たされるのは覚悟しました。血液採取,心電図と終わりレントゲンもあわただしく終わりフイルム版をはずしたとき体がパソコンの方に傾いてくれたので、パソコンにカフエアーと書きました。
カフにエアーを計2cc入れてもらい落ち着きを取り戻した。
 ALS患者に対してのマニュアルがなく看護師も経験なし、アンビュウの使い方、タッピング、文字盤の使い方など一部の看護師には自分が実験台になり教えてきました。
後から入院してくるALS患者に役立てれば幸いかと考えました。
 
   自分の命は自分で守ろう
  看護と介護がやりやすいように
最後に私は自分の事はすべて自分で決めるように心掛けています。
自分の命は自分で守ろうという主義者です。
呼吸器の管理から医療機関への連絡は私の仕事として生甲斐にしています。
朝一番に体調とその日にして欲しい事を書くことから一日が始まります。
 看護と介護がやりやすいようにという考えで8年間続けているのは、自分も楽ですし、ケアする看護師に体調をよく解ってもらえるからです。
 今日はALS患者の為にシンポジュームを開いて下さり、感謝しています。
 今後とも宜しくお願い致します。 (以上) 

和中勝三さんと
和美さん(奥様)は、
和中家のマドンナ

当日はヘルパーの井本さんに同行してもらった
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