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心象スケッチ31
プールでリハビリ
     奈良市 杉本孝子さん
次々と問題がよく出てくるものだ

私の闘病生活は長期になっていますが、こんなに次々と問題がよく出てくるものだと感心?します。さまざまな問題を抱えながらの在宅療養です。

 ずいぶん前にプールの体験談を書きましてから、時は流れ、今やプールは私の気持ちをリフレッシュさせてくれています。ストレス社会の昨今! 気分転換もしてくれるプールは基本的にはリハビリ目的です。全介助の私がプールに出かけるには介助者の負担が重くて複数の介助者が必要となります。同行してくれるメンバーが揃わない理由から、思うようなプール通いはできなくなり、しばらく遠ざかっていましたが、昨年から再び泳げる機会に恵まれています。
アゴは引き気味おヘソは上に

相変わらず、はじめからひとりで浮いていることは容易ではないのですが、水慣れして来るとひとりでも浮いていられます。以前と同じく特殊なビート板をかかえて、ラッコ泳ぎです。この状態を「泳ぐ」と言えるのかしら?と思わぬでもないですが、「立派な泳ぎ」と自負して、前進は浮力が助ける自転車こぎです。左右の脚力が異なるためか、ジグザグ泳法?です。アゴは引き気味おヘソは上にと教えてもらい、日頃からこの日のために腹式呼吸で鍛練です。クネ!クネ!スネークダンスのような感じで、どこに辿り着くのか定かではありません。前方不注意なので時々、方向を調整してもらって前進です。他の人が泳ぎ去った余波でさえ微妙に影響されてしまうデリケートなスイミングです。プールは人の混雑も少ない夕方に入って、閉館ギリギリで終了できるように時間帯を調整してくれています。日陰モヤシだってたくましいのだからと自分を励ましつつ、体は別ものらしく日差しも避けられて好都合! 支障なくリハビリに取り組む、泳げる、体力も損なわない介護者の配慮です。

普段は元気ですが、生活環境に過敏なぐらい影響されてしまう体力です。体力だけでなく、療養する環境はいろいろな面に影響を及ぼします。考え方の相違、進行状態など個人差はあり、治療的なものでもないですけれど、QOLが高ければ実現する要素が整えば可能性も膨らむような気がします。私にとって、自分の生きる意欲に繋がればベストです。

また、私のプールはリハビリを兼ねた外出支援でもありますが、介護保険枠の介護タクシーは通院目的のみです。それ以外の目的では利用できませんし、障害福祉サービスの利用の仕方も年々複雑になるようです。負担も軽減されて、利用しやすい仕組みであればいいですね。

社会のシステムは私には負担です
 私の場合、普段の外出はほとんど家族(夫)に頼みますが、家族は常に健康であるとは限らず、当然のようにものわかりよくこちらの都合には合わしてくれません。誰もいなければ家族に頼る結果になり、トラブルの原因になってしまいます。どちらもしんぼうです。家族に依存しなければならない社会のシステムは私には己への重荷です。私自身の判断を鈍らせます。他律でよい方はそれでよいと考えます。しかし、逆もあり、周りと相談しながらでも、自分のことですから自身で考えてやっていこうと思う者にはそのような社会の有り様があり方が弊害となり、自律した生活を損ねてしまいます。現在の状況下で自由に選択できますよと言うのも、崖っぷちにあって飛び込みますか止めますかと聞かれるのと同じような気がします。再三、言っていることですが。地域差は感じていますが、療養患者が求める条件で、療養環境が整ってこそ問えるものです。家族には日々、介護が待っています。家族ってなんだろうと時々思います。私の問いに答えてくれる辞書はありません。
超自由形? 記録更新

私の療養生活での問いは残されたままお話は戻りますが、やっぱり、プールはリフレッシュタイムです。これまた遠い昔、小中学生頃の話ですが、マラソンをやってみたいと思いつき一人で走った! その時に流した汗はとても爽やかでした。今も鮮明な記憶です。長くスポーツらしきことはできないでいますが、プールはスポーツの後の爽快感とよく似ています。介護者と共に大変ではありますが・・・。

最近はプールでただ浮くただ泳ぐだけでは物足りなくなってきたのでしょうか?……25mのプールをどのくらい時間を要して泳いでいるのかしら? と思いはじめたのです。プールで泳いでいるときに、スポーツセンターの天井にあるマス目の見え方が違うのです。目に見えてスピードがあるわけではないのですが、移動速度が早いと次のマス目が早く見えたりします。天井のマス目はシンプルなタイムウオッチです。人間は欲なものです。まあ〜なんと!記録に挑戦したくなり、25mのタイムを計ってもらうことに……・タイムは約340秒。1ヶ月後には約325秒。それが次の月には約2分20秒。ついに!記録は塗りかえられました☆(^_^)v

これが早いか遅いか一般的観点とは多少ずれています。以前は3人係りでようやく浮いていたものですから、結果には自分でもびっくりです。超自由形ですが、こんなこともあるのですね。と、喜んでいますが、記録も浮き沈みはありますね。

一週間に1度、入浴の時に足の屈伸運動をしてもらっています。無理なリハビリは逆効果ですが、関節も柔らかくなっていると思います。

以前には気づかなかったことも多々あります。今回の記録のような驚きもあり、僅かなことも喜びに変えられる幸せは与えられた特権です。トンネルの先に見える一筋の輝く光にも似ています。人間はいつも生きる某のひかりを求めているのかもしれません。

窓辺の花々もいつの間にか明るい方向を向いています。自然の花は陽を好み不足すると色あせ、しおれてしまいます。定めをみるように、微かに日の差すそこにしかいる術のない窓辺の花々をイトオシク眺めながら、気持ちは「私と同じだわ!」とエールをおくりたくなります。

 この地にもまた花の季節が巡ります。玄関に生けてもらった菜の花! 窓からの日差しの明るさにも春を感じます。春はもうそこに来ているようです。 (また次回)
表紙絵のことば
杉本孝子さん作・ 『花 プリムラと 地球』
宇宙の中の小さな星・地球。人種差別、障害者差別、争いも耐えない。
小さな花も咲いていられる☆であればいいなあっ!
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