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試作品が続々
これ(スライド11)は我々の仲間のエンジニアが作った唾液吸引器の試作器なんですが、これ、ローラーポンプを使ってます。

チューブをしごいていって、徐々に徐々に引いていくやり方です。この当時、この能力は1分間にたった15ccしか引かないという吸引器です。普通の吸引器は1分間に10リッターとか15リッターとか引いてます。それに比べて15ccというのはものすごく少ない。ではそれで痰が引けるのかということになりますけれども、それがこのビデオです。(ビデオ)

これが2004年2月ですね。これが今の自動吸引装置の原型になった、しかもそれを初めて患者さんに着けたときの最初のビデオということになります。たった1分間15ccでも痰があればあのように実は引けるんです。ただその場合に、すべての痰が引ききれるのかどうか、そういったことが効率の中で問題になってきます。このローラーポンプを使えば、一つはたった15ccしか引きませんから、人工呼吸に全く影響はありません。600ccに比べて15ccというのは取るに足りない量だというのはおわかりになるだろうと思います。つまり間欠的な使用じゃなくて常に回っておれるわけです。常に回っておれるということは、痰があったら引こうとか、時間がきたら引こうとかいう考えを捨てていい。常に回せる。痰が上がってきたときに随時引けるということで、制御が必要ないということになります。

それから誤作動がない。ずっと動かしておけばいいのですから。万一誤作動があったら止まるだけです。止まったからといってもエアリーク(空気漏れ)が起こるわけではありません。ふつうのカニューレに戻るだけです。ローコストかどうかということはちょっと問題があるのですが、ポンプ自体での事故の危険は少ないということです。
ローラポンプ、カニューレの工夫

ローラーポンプがチューブを押さえていますから、空気を吹き込んでも絶対に吹きこぼれません。空気が逃げないのです。2004年の臨床試験では、約半数が有効だったという状況でした。もちろん有効とはいっても、精々半減、回数がたとえば1日平均10回ある方が5回には落ちる、あるいは15回の方が7回ぐらいに落ちるかなという程度でした。もちろん半減程度では皆さまは納得していただけないだろうと考えまして、それから1年間、どうやれば効率がよくなるのかということを考えて、先ほどの吸引器の位置を決めていったわけですね。

実はですね、先ほどの下に開けた穴が、気管壁を吸い上げてしまうことがあるのです。つまり、吸引カテーテルを留置しておくということが問題だということと同じ現象で、カニューレ自体が吸引カテーテルになってしまって吸い上げてしまうという問題が起こってしまいます。それは放置できない状況です。そこで一つ考えたのは、ここ(カニューレのオーバーハング部)の下側に吸引孔がありますけれども、内側にも穴を開けるという方法でした。(スライド12)

これはたとえば、呼吸器を使わない静かな状態では全然引いてくれない。痰がたまっていっても吸引してくれません。ところが人工呼吸器を動かすと、これが劇的に引くようになるんですね。こういったところをお見せしたいと思います。(ビデオ)

引ききれなくてカニューレの内側に入った痰も吸気のときにまた吐き出されてそれを吸引してくれるというのが実現するようになったという状況があります。最終的に決めた設定は、このカニューレ壁の中に吸引孔があって、かつ下側と内側と、それとちょうど真上にあります。呼吸してない状態では痰は引けませんけれども、皆さん呼吸してくれてるので、空気の動きがあれば今のように引いてくれます。どのくらいの臨床試験結果があるかといいますと、これが一番最初の初期の状態で、先端に孔があって、たった15ccだけで引いていたというときも、引いた痰の量がこれですね。それで回数は9回が5回に、15回が9回に、有効といっても半減です。で、半分無効で半分有効というのが一番初期の段階でのデータです。

必ずとってくれるという患者本人の安心感

次にカニューレの下側から引こうということでやってみたんですけれども、吸引量は結構増えてますが、やっぱり半減なんですね。無効がしかも半分ある。有効があっても、10回が6回とか、16回が7回とか。夜間は結構減って0とか1になるのですけれども、昼間の回数があまり減らないということがある上に、先ほど言った気管壁を吸引して、そこに吸いついてしまうというトラブルが2件も起こっております。これは非常に危ないということで、最終的に私たちがつくった方法でのデータがこれです。

これは、吸引痰量はもちろんかなり引いてますが、何よりもそれまでと違うのは、たとえば16.9回の方は2回まで下がる。1日平均17回吸引していた方は2回だけで済む。それから10回の方も1.8回、5回の方は0.4回。これは2日に1回ということですね。ということで今までと比べたら圧倒的に能力が高くなりました。

さらにたとえばこの16.9回が2回になった方は、これは一番最初の臨床試験結果ですけれども、夜間も少しは減ってる、昼間も減ってるけれども、この結果が下方の場合ですね、下からだけ引くという場合に、夜間はほとんど0でいきますが、昼間はやっぱりいかない。それはカニューレの筒の中に排気のときに飛び込んでしまった痰の問題が出てくるからなんです。どうしてもそれでゴロゴロいってしまう。ところが、下方内方ということになりますと、ごらんのように0ですね。最初の頃こそちょっと多いですけれども、どんどん本人が慣れてくるとずっと0です。この方はさらにそのあと2週間連続でやってみたのですが、1週間で吸引がこことここしかない。これは何かというと、お風呂に入って外したとか、ここは実は看護師が上部と下部を逆につないでしまったとかいうこと以外では、ほとんど痰が取れてしまう。もちろん本人の、少々残ってても必ず取ってくれるんだという安心感、そういうものも必要だと思います。一度に根こそぎ取ってくれるわけじゃない。カニューレの方まで上がってきたときに異音がゴロゴロして気道内圧が上がるのですが、そうなったら確実に引けると本人が了解してくれると、いけるようになります。

実際に1か月やったあとにCT等を撮りましたけれども、まったく何の問題もありませんでした。そういう状況にいくことができました。動くデータがおわかりになりやすいと思いますので、最後に地元の放送局のほうで、つい最近ですけれども放送してくれた内容を少しお見せしたいと思います。(ビデオ)

いま15cc/分で引いているわけではなくて、現在は大体200ccぐらいがいいのかなと思っています。
これ(スライド13)が臨床試験で最終的に使ったローラーポンプです。200ccというのはかなり大きい数字に聞こえますけれども、人工呼吸の量の大体2%以下なんですね。そういうことであれば、気道内圧の変動もほとんどない。かつ、ごらんになったように1週間で2回とかいうところまで、患者さんが慣れていただいたらいけるということです。
ぜひ期待していただきたい

確かにカニューレを新たに製造していかなくてはいけないということで、時間がまだかかるということがあります。だけれども、こういう自動吸引装置というのは、自動吸引装置を使うことによってのトラブルとか事故が絶対に起こってはいけないと思っていますので、そこまできちんとやらないといけないというふうに思ってます。そういう中で、皆さま方に使っていただけるように、あと半年とか、あと一年で何とかしていきたいと思ってますので、ぜひ期待していただければと思います。長い間どうもご静聴ありがとうございました。(拍手)