| 経管栄養・胃瘻の管理 | |||
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経管栄養の管理の中で、神経内科医の役割としてインフォームド・コンセントをやらないといけない。胃瘻造設の手配や、胃瘻チューブの交換もする神経内科医もいます、ぼくもそうですが。消化器外科医や消化器内科医が担当する可能性もありますし、神経内科医が造設する病院もあります。診療所の医師は、日常的な管理をすることになります。 |
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| PEGキットの種類と選択 | |||
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当院の患者さんの場合には、診療所医師が胃瘻チューブを交換します。ご家族には経管栄養剤の投与や、物品の洗浄をしてもらいます。消毒はいりません。下痢・便秘が起こった場合は、私たちは毎回往診するわけではなくて、それらコントロールに必要な薬剤はご家族に持ってもらっています。「これを使ってください」と電話などで説明をしながら、コントロールしていくことにしています。 |
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| 最初に造設するとき一番多い種類はバンパー型、いまだにこれだと思います。最終的にぼくらは全部バルーン式・ボタン型に変えます。やっぱり便利なのです。水を抜くとストレートに近い形になります。交換時にあまり痛まないので、このタイプに全部変えます。ただこの問題は、チューブの一番長いもので4.5cmです。それ以上お腹の厚みのある方は使えない。お腹の厚みのある方はどうしてもチューブ型になってしまいます。これはストレートなのですけど、服を着るとか、ふとんをかけると、どうしても外に出ている部分が折れます。そうすると折れた方向に圧力がかかるので、そこに肉牙をつくりやすい。だからできるだけボタン式にしたいのです。 | |||
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胃瘻チューブの選択で「ADLが高い」場合や「家族の理解や介護力の不足」の場合などで4種類を使い分けます。 |
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| ボタン・バルーン式の胃瘻チューブ、MICKEYスキンです。よく「胃瘻のまわりは消毒しないといけませんか」という質問をされますが、消毒はいりません。洗浄だけで十分です。ガーゼを置く方がいらっしゃるのですが、ガーゼも置きません。ぼくらのところでよくやっているのはティッシュで紙こよりをつくり、クルクルと巻いています。クッションがわりと、汚れたときにあまり服につかないようにということです。どうしてもくっついてしまったときは水にぬらしてとってください、という説明をします。なぜガーゼを使わないかというと、ガーゼは目が粗いでしょ。ティッシュのほうが細かいのです。ガーゼは擦れて肉牙の原因になります。だからどうしても何か当てたいのなら、ティッシュの方が良いです、とお話をします。別に消毒する必要はありません。 | |||
| 胃瘻チューブのシャフトの長さ | |||
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三、四年前に当院でやった研究です。シャフトの長さはどれぐらいにしたらいいかというものです。いま胃瘻されている方で自分の身体にジャストフィットな方、引っ張ってもあまり動かない方は、実はあまり良くありません。少し長いほうが良い、というのが結論なんです。寝ておられる時と、座って身体を曲げたときは、おなかの厚みが変わります。だから本来、身体が曲がっている状態でジャストフィットでないと、座った時にめり込んでいきます。だから少し長い目ということで、座る方に関しては平均で1.2cm、1.1cm以上余裕があるように器具を選択しています。寝ている方も少し長い目のほうが擦れなくて良いので、全体的に長い目です。 |
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| 経管栄養と野菜ジュース | |||
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経管栄養は、基本的に食事です。チューブが閉塞しない限り、何を入れても良いと説明をします。お酒を入れる方や、青汁を入れる方もいらっしゃいます。最近の経管栄養剤の出来は良いのですが、完全ではありません。例えば経管栄養剤のエレンタールではビタミンKの含有量が少なくギリギリの量になります。普段は良くても、抗生物質を使用し腸内細菌(ビタミンKを産生している)が死んでしまうと、ビタミンKが不足し出血傾向が出ることがあります。ですから、他のものも入れましょうとお勧めしています。経管栄養剤と野菜ジュースの組み合わせがお勧めです。最近「これ一本で一日野菜」みたいなジュースがあるでしょう。ああいうものがお勧めです。 |
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| 経管栄養管理のポイント | |||
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そして排便コントロールが重要です。栄養剤を適切に選べば下痢に関してはコントロールできます。どちらかというと便秘のほうで苦しむことになります。今までご飯を食べていた方が経管栄養剤に変わったとたん、便の量が激減します。ものすごく腸の調子の良い方が経管栄養剤のたとえばツインラインを1日3パック1200キロカロリー使用したとすると、便の量は理論的には50gまで減ります。あまり皆さん意識されたことはないと思いますが、人の標準的な便の量は1日250gです。それがいきなり50gになったら、毎日出るほうが不思議です。そういう方は3日とか4日に1回の排便で十分ですというお話をしておかないと便秘になったのではないかと不安に思われます。便秘とは排便量が減ったことではなく、お腹のなかに便が貯留していることだと説明する必要があります。 |
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| 補助呼吸について | |||
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補助呼吸についてお話します。NPPV(鼻マスク式人工呼吸器)は原則的に導入します。しかし、NPPVに関しては説明や相談しないことも稀にあります。それはある程度付き合ってみて、この家庭では絶対に導入は無理だと思うことがあります。たとえば独居の方、親族もいない、お金もない方に、説明するだけ残酷ではないかと考えることもあるからです。倫理的に問題があるかもしれないですが相談をしないこともあります。 |
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| 呼吸機能評価 | |||
| ALSFRS-Rの呼吸機能評価は、ADL評価といいながら実は自覚症状の評価なのです。自覚症状と肺活量を診ながら呼吸機能評価をしていきます。これも水町さんが「先生は、検査結果は大丈夫だから、呼吸がしんどいわけないでしょ、と自覚症状を問題にされないことがある」とお話をされたのですが、「検査結果が良いから」という検査は、サーチュレーション(SpO2)だけを指している先生が多いのです。サーチュレーションは、呼吸機能がとことん悪くならないと低下して来ません。日本神経学会のガイドラインでも、サーチュレーションは評価基準に入っていません。入ってないけど、それを評価基準にしてる医師が多いのです。 | |||
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もう一つ、こういう基準があります。TV(人工呼吸)とか、NPPV(気管切開しない人工呼吸)の導入基準は、二酸化炭素の蓄積があるか、夜間のサーチュレーションが持続して低下するか、肺活量が50%以下か、最大吸気圧が低いか。これも日中のサーチュレーションは評価に入っていません。サーチュレーションは外来で簡単に測れるから、どうしてもこれを基準にして治療を組んでしまうのですね。 |
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これは自覚症状との関係です。横軸で12ポイントは、呼吸に関して自覚症状なしです。このあたりの方は、肺活量が10%になっても自覚症状はない人たちです。 |
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| これは先ほど言いました二酸化炭素です。からだの中に二酸化炭素が蓄積してきたら、さっき言いました様にNIPPVやTVを考えないといけません。肺活量が20%以下になると、CO2が蓄積し始めます。こういったことを考えると肺活量やサーチュレーションだけで診療を行うことは、危険であるということになります。肺活量が低下し一回ずつの呼吸量が減少するが、それを呼吸回数で代償しています。しかし、呼吸数が多くなると呼吸筋がよけいに疲弊するので、実は早くNPPVを導入しないといけないのです。しかしこういったことを、神経内科の先生はなかなか考えてくれません。 | |||
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| 皆さんはご自身の咳のスピードを、はかったことがありますか?実は咳のスピードは呼吸訓練の開始基準になっているのです。要するに咳のスピードが落ちてきたら、一旦誤嚥してしまったものを咳で外に出すことができなくなります。そのため呼吸訓練を始めた方が良いと考えられています。呼吸訓練開始基準の270リットル/分というのは、ここですね。スライドを見て頂いたらわかりますように非常に高いレベルです。肺活量が8割を超えているような人でしか有効な咳はできてない可能性があります。一見、咳はできているけれども十分に痰を出し切れてない可能性が出てきていますので、呼吸訓練は積極的に導入する必要があるのです。 | |||
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肺活量の検査です。以前は病院の検査室で行っていました。スライドに示すようにこれは10ccのシリンジです。 |
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| よくマウスピースがくわえられなくなったので呼吸機能検査ができなくなったと言われることが多いのです。将来的にマウスピースをくわえられなくなることは分かっていることなので、最初からマスクを使用しています。7%ぐらいまでは測定することができます。1セット40万円程度で購入することが出来ます。それからカプノメーターというEtCO2を測定するための機械です。これはもう少し重くて、全部で約1.5kgです。こういうものを持って患者さんのおうちに行って、日々測定しています。 | |||
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