| ヘルパー吸引について | |
| ALS患者は希望すれば医師の指導を受けたヘルパーさんに吸引してもらうことが、法的に可能になっています。ちょうど1年ぐらい前、主人もヘルパーさんに吸引してもらうと言い出しました。これまで、訪問看護の看護師さん、入浴サービスの看護師さんに、吸引の手順や、やり方について厳しい注文を付けていたことを考えれば、私には画期的なことに思えました。願ったりかなったりとはこのことです。
ヘルパー吸引は、患者のニーズがなければ「絵に描いた餅」です。1日のスケジュール上のどこでかかわってもらうかですが、毎朝、私が行っている口腔ケアで、身体介護1時間の枠で入っていただこうとケアマネと相談しました。開始当初、事業所の変更が1度ありましたが、ヘルパーステーション大樹さんのところで、念願の「ヘルパー吸引」が始まりました。早速、主治医による指導が入りました。人工呼吸器、アラームの意味、特にカニューレのコネクターの抜き差しの工程に、生命にかかわる危険があることなど、24時間介護の私にとっても、改めて勉強する機会になりました。 週1回から始めて、5か月ほどたってから、週2回の訪問に増やしてもらいました。ヘルパーさんによる吸引を含めた口腔ケアは、先に言いましたマニュアル通りの吸引(全部)から、右の表の通りの順で行います。主人もとてもうまくやってくれると喜んでおります。これも大橋ヘルパーの努力の賜物です。私が不在になるとき、吸引のできる大橋ヘルパーに主人をお任せする状況が近々訪れそうです。私も66歳になりました。健康だけが取り柄でしたが、何が起こるかわかりません。本当にうれしい限りです。 |
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| 日々の介護 | |
| ALS患者の介護は24時間対応・年中無休です。 少しずつ進行しているように思いますが、曲がりなりにも何とかやってきました。 合併症も起こさず、責任は果たしてきたように思います。 これも主治医、看護師さんや入浴介助の皆さん、リハの先生、家事援助のヘルパーさんのご指導とご協力の賜物と感謝しています。 |
口腔ケアの手順 1.吸引(全部) 2.歯磨き 3.口腔の吸引 4.スポンジで歯肉のマッサージ 5.お湯で絞ったガーゼで口腔内清拭 6.お湯で絞ったガーゼで顔の清拭 7.吸引(全部) |
| 主人もより良い介護と看護を提供してもらいたいがために、厳し過ぎる要求の連続で、申し訳ないと思っています。病気と闘い、又、自分以外の人間とも闘う姿勢を崩さないパワーと根性は、何から生まれてくるものなのかわかりません。
顔の表情筋も動かなくなったいま、主人は笑うことも滅多になく、かかわってくれている皆さんに感謝の意思表示もありません。口文字盤ででも「ありがとう」の一言を言ってもらえれば、皆うれし泣きしながら看護や介護を続けてくれると思います。孫の成長を見るために気管切開をして、長生きする決心をしたのであれば、かかわっていただく方々や私と共に、協力して生きていこうと思ってほしいのです。 |
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みなさんに感謝の言葉を |
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| 毎日やっていることが本当に患者にとって必要とされていて、また、喜ばれているという実感を持ててこそ、やりがいのようなものを持てると思うのです。私の介護に不満を持っている主人が聞けば、「ろくな介護もせずに何を言っている」と思っているでしょう。本人としては、おそらく、ALSという難病にかかってしまったこと、気管切開して在宅で生を全うすることの意義は、「今後も何らかの障害を背負って在宅で療養される方々に、自分自身がより良い何かを残してあげたい、自分がその一助にならなければならない」という強烈な使命感があるのだと思います。ただ、私以外の皆さんには是非とも、感謝の言葉を伝えることを実行してほしいのです。
結婚してから44年、老後の生活設計は大きく予想とかけ離れたものになりました。地方への転勤、単身赴任、ゴルフを共にしたことの他に、私のアキレス腱断裂、主人の胃潰瘍、肛門の外科手術、足の指の骨折など、楽しいことばかりではなかったとしても、トータルすれば結構面白い結婚生活であったと思います。この思い出を糧にし、また、孫たちの成長を楽しみにして、これからも頑張っていこうと思います。 主人は最近、お見舞いに来てくれた会社の先輩に「血液検査の数値も正常で、このままいけば天寿を全うできそう」とパソコンで作成した文章を渡していました。真剣に取り組んでいただいている医療スタッフ、主たる介護者も頑張るわけですが、悲しいかな年齢は待ってはくれません。介護スタッフの充実を図るのは急務なのです。吸引のできるヘルパーさんの増えることを、心から願っております。介護事業所の利用者すべてではなく、ほんの一握りのALS患者、また、その一部の呼吸器装着者の家族にとって、要請があれば理解を示してくれる事業所が、一か所でも増えることを切望しております。 ご清聴ありがとうございました。 |
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参考文献 ALS(筋萎縮性側索硬化症)ケアブック 改訂新版 2000年10月 日本ALS協会 編 |
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