みんなのリレーで、
やっと「耳まくら」が完成。

耳の下に敷いているものと、
予備用の耳まくら。
最初のページです
心象スケッチ
まくら 物 語
奈良市 杉本孝子さん

褥瘡防止 耳体操

今春、私は自分の車椅子の枕と耳の枕に苦心しました。耳枕のミニ変遷です。

 私は就寝時、必ず体位を左下にして「く」の字型スタイルでベッドに横になります。頭の枕は柔らかく、左肩関節が枕に少し乗るぐらいで、アゴはややひき気味にして頭の枕の位置を決めてもらいます。耳は頭の両サイドにあり、横向きの姿勢は耳が押さえられたままです。

 最近、痛みをおぼえ始め、朝の起床時にはヘルパーさんに耳を引っ張って伸ばしてもらうなど。「新しいケア?ですね」と大まじめの早朝、耳体操です。毎夜、左側臥位にして、受難の左耳です。

 仰臥位は苦痛ですし、長時間の右側臥位は体位を保つのが難しく、家族介護では忠実な体位変換は望めません。長年、同じ左側で保持できていましたが、いまだ見たこともない宇宙人のように頭が大きくずっしりと重くなってきたのでしょうか? それとも首周りの筋力のせいでしょうか? 耳かい(耳の外回り)は痛いと主張し、このまま放置すると褥創(ジョクソウ)になってしまうと単純にドーナツ型耳枕を想像しましたが、適した物は思いつかず思案に暮れる日々。

耳も口ほどにものを言う

ようよう考えますと、枕は睡眠中だけでなく、トイレに通う以外はすべてお世話になっています。枕と言ってもいろいろありますが、耳枕は普通の店で売っていません。介護グッズにはビーズパットのような物もありますが、使ってみないとわからない。耳元でガシャガシャと音がしては眠れない。などなどと、耳も?口ほどにものを言います。時々やってくる耳の中の痛みはたぶん肩こりで、耳かいの痛みは頭の重みのせい。とにかく、痛みはサイン! 訴えているのですから何かよい方法を考えねばと悩んでおりました。

 ある日、CM(ケア・マネジャー)さんに耳枕のことを相談しますと。小さめのタオルなどで輪にして包帯で巻いてみたらと教えてもらって、なるほど妙案! それなら自分に合ったサイズができます。ですが、誰に頼めばよいのかしら?と思っていた矢先、早速、CMさんより耳枕が届きます。助かった!とばかり3日間使いました。長い時間、同じ姿勢でずーっと頬骨の横に当たっていて、今度はタオルの折り目部分がしっくり行きません。次を考えることになり、材質をスポンジに交換。輪にしてもらったスポンジは筋のような固まりとなり一晩でアウトです。せっかく作ってもらったのに残念でなりません。昼も夜も枕。枕、枕と・・・。これをまことに寝ても覚めてもと言うのかしらね?
ヘルパーさん 耳枕の製作リレー

私は失敗に懲りず、取り返しのつかないのは困りますけれど、協力者に感謝して、失敗は次のチャンスと・・・。それでは頭の重みに添う低反発はどうかしら? 同時に車椅子の枕も考えました。車椅子の枕はずいぶんくたびれているので、合う物があれば交換したいと思っていたものです。

 昼間は体調を崩さない限りほとんどベットで横になることはなく、毎日は車椅子の生活です。車椅子の枕の具合も微妙です。数年前、車椅子を購入の際も詳しく説明して業者に頼みましたが、楽な姿勢を保てる枕とは出合わずです。低反発枕は重さに合わせてゆっくり沈み圧も分散されて首の負担も軽くなると思い、試しに市販の安価な50p×30p×10pの低反発枕を買い求めました。使用中の車椅子の枕サイズを測り、残りを耳枕に利用する計画です。

 善は急げと、製作作業に取り組みます。ヘルパーさんに頼める時間的余裕はないのですが、僅かな時間で耳枕の製作リレーです。先ずはAヘルパーさんに頼み、低反発枕を布袋から出し先に横巾50p×縦8pを切り離し、車椅子用に横巾40p×縦22pと耳枕分として横巾10p×22pに切り分けてもらいました。耳枕分は包帯で巻き作りましたが、厚みでコロコロになり全く役に立たずです。次はBヘルパーさんに料理のかわり?にまな板と包丁で横巾50p×縦8p分を約5pと3pに横に切ってもらい、次のCヘルパーさんに順次、分割料理?をしてもらって、Dヘルパーさんに長さ50p、巾と厚みが約3pの低反発をリングにして大判両面テープで接着です。CMさんよりの耳枕をヒントに、それを包帯で巻いて耳枕です。

  2つの枕は並行して作業です。低反発枕は材質の重みで、車椅子枕の定位置から少しずつ下がってきます。車椅子にはヒモやマジックテープ付きベルトで枕を固定してもらいました。枕が肩にかかると肩こりの原因にもなります。

 低反発はウレタン?のようですが、思いがけず素材がしっかりしています。簡単にハサミでチョキチョキとは行かなくて、料理をするがごとく4、5人のヘルパーさんの流れ作業でようやく完成です。

 最終段階のDヘルパーさんより、以前に、Dヘルパーさんのお母さんがムートンで介護用品などを作られていた話を聞きました。耳枕はどうか尋ねてくれるとのこと。今はご高齢のために辞められていますが、偶然にもそのような仕事に携わっておられたことに驚きました。身近にいてラッキーです。よいお返事を待つことにしました……。

 その間、低反発をリングに仕上げた耳枕をしばらく使いましたが、またまた頬骨が痛み、大判両面テープもはずれてしまい、「あ〜」と体からいずる深いため息ひとつ。低反発は名案だと思った素人の工夫は実らずです。やはりうまく行きません。耳枕は「すごろく」のように振り出しに戻り数日間、「      」。空白のまま事態は進展せずです。
ムートンはあたたかい 人の心のぬくもりも

そして、1週間後、ホワイトクリームのようなムートンの耳枕が届きました。表裏をムートンのみで貼り合わせて、中綿がなくても十分な厚みです。耳に使うには大きいと思うので使った具合で、ちょうどに切り、また縫い合わせてくれると言います。オーダーメードの耳枕です。困っている時にアイデアを下さったり、助けてくれる人がいて、有り難いことです。ムートンはあたたかいものですが、あたたかな人の心のぬくもりも頂いたようです。

 ムートンは医療用に使われているそうで褥創予防にもなるようです。使用中の頭の枕はソフトですから、ただ今、ムートンの耳枕と重ねて違和感なく使っています。

 私はジャンボ耳ではないかわいい(*^_^*)耳なので、はじめは、耳枕はコンパクトな物でよいと思っていましたが、耳枕と言えどもある程度の大きさは必要だったと後でわかり、学習です。

 ♪耳は喜び庭かけ回り♪などと言うことはありませんが、今は痛みも治まり、耳は何もいいませんから落ち着いているようです。

 枕の製作過程は苦心惨憺(サンタン)しましたけれど、結果がよければすべて良好でもなく、自分で考え納得に到るまでの貴重なプロセスがあり、経過の段階があればこその結果で、大切なその意味を感じています。

ページトップ