心象スケッチ 48

  

 バスに乗りました  

       

 

      奈良市 杉本孝子

 

 いま、私は思うように外出がむずかしい状態です。体の調子や不自由がイコール出不精になってしまうこともあるかもしれませんが、介助が必要になれば、どなたもそうかもしれませんね。

 以前は車を利用してよく外出をしていました。今も車を利用することは多いのですが、事情で、いままでと同じようにはいかなくなっています。

 また家の周りには坂が多くて、電車の利用もままならない環境でもあります。近くも遠くも移動手段や介護者の問題もあって、大きな車椅子での外出は簡単にいきません。私は屋内にいて陽にあたることも少なくモヤシ状態!(最近は紫外線など陽にあたるとよくないそうですが、外気もいりますね)

 ときに、お試し散歩? 近所周りのお散歩! などなど誘ってもらって、可能性に思いを巡らせては、「外に出る時間がないなぁ……無理かなぁ?」と思いながら過ぎていく日々は駆け足。(外出の機会は自分で作らないと、巡ってこないのかもしれませんね!)

 そんな折り、ケアに入ってくれている事業所の方が「お出かけしませんか?」と幾度か声をかけてくださいました。余裕のない限られたケアの時間もあって、このところ世間が狭くなっている私です。引き籠もりがち?だからでしょうか

どうでしょうか?

 そしてある日のこと、試しにバスに乗ってみませんか? 電車に乗って図書館に……と進めていただきました。私の車椅子でバスに乗れるかしら?と以前のバスのイメージです。では車椅子が乗れるかどうか試してみましょうと言うことに ……。ですが、せっかく、チャンスを設けてもらって、お試しではもったいない気がして、乗れればそのまま出かけますと言うことに……。さあ~思い立ったら吉日! こんな調子では事業所の方もドキドキだったと思います。

 当日はやや曇り空も手伝って暑さ和らぐ夏の日。数十年ぶりのバスに乗り、10 分くらい外の景色を眺めながら、ゆらゆら揺り籠のように揺られ、最寄りの駅まで出かけます。駅前付近の数時間、今夜のおかずなどなどショッピング! 久し振りの駅前風景はすっかり変わっていて、私は浦島太郎です。

 路線バスは他の乗客の方も乗降しますから迷惑になっては困るので気になっていましたが、車内はストレッチャーも乗れそうなほど広くて、大きな車椅子も余裕です。ドア to ドアで車を利用すれば楽ですが、いまの路線バスに車椅子用座席、車椅子対応の低床バスがありました。

 駅前まで行くことができれば電車も利用できます。外出に付き添ってくれる方がいて……時間をやり繰りして……。できれば公共の交通機関を利用する需要と供給が、車椅子の外出をよりしやすくするかもしれませんね。

 車椅子対応の奈良交通の路線バスは3日くらい前に行き帰りの時間を予約すれば準備してくれること、事業所の方が調べてくれてわかりました。

 日常の生活に追われてしまう私の忘れかけていた「置いてきぼりの時間!」を感じました。そのとき、そのときは精一杯やってきたのだからと思いつつ、人は機械のようにそれだけで生きていけませんね。時に任せて気がつかずにいた自分です。きっとそれは今生きている私に与えられた大切な時間なのです。  穏やかな秋日和! 外に出かけてみようと思う秋。土手のホウキ草でしょうか。赤いホッペのように紅葉して、ときどき風に揺れ、近くに稲刈りの耕耘機の音が聞こえます。すでにお昼の 12 時を回っています。

時間に追われているのでしょうか

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