私の介護(ケア)体制
 
くしゃみ一つで体位が変わり どうにもならなくなって
 
  本当に必要な患者を支える体制 そうであってほしい
 
               杉本孝子
 
 
私は奈良市で在宅療養をしている杉本孝子と申します。はじめに自己紹介をさせていただきます。闘病歴は 30 年を超えました。年齢は不詳、計算しないでください。長期の闘病生活となっています。
23 歳で第一子を出産後、しばらくしてから指に力が入らなくなり、少しずつ体の筋力が衰えていく。80 年、ALS と診断される。病の進行と子育てが重なり、精神的に厳しい日々が続きました。
さて、現在は……近畿ブロックの会報の表紙絵を描き続け、連載エッセー「心象スケッチ」も 55 回続いています。
 
  早朝から日中……夜勤 できる限り入ってもらっています
私の介護体制は、「指定難病医療」の訪問看護と、ヘルパーは「介護保険」の枠をしっかり利用して、「障害福祉サービス」の重度訪問介護 420 時間のケア体制です。その他、定期訪問の歯科医、歯科衛生士、難病指定医(通院、往診)、皮膚科です。
訪問看護は2か所から、それぞれ異なる曜日に予定です(私の入浴介助もしてくれる訪問看護師さんです)。
以前は家族介護の時間帯もありましたが、今はヘルパーさんに早朝から日中、夜間、就寝ケア、夜勤とできる限り入ってもらっています。私は排泄の問題や同じ姿勢による体の負担もあって長時間あけることは避けたいところです。
今回のお題の1つ、私を支えるヘルパー・看護師を集める私のやり方など、問われていたのですが、やり方もそのときどきで違って決まりもなく、「そんなのあるのかなぁ?」と思いながら考えてみました。
いま私を支えてくださっている看護師さんもヘルパーさんも長く関わってくれている方が多く、年齢制限はないですが、平均しますと、年齢層は高いです。新しい事業所や看護師さん、ヘルパーさんもいますが、あっ!という間に時がたって、もう 3 年くらいになるでしょうか。地域性もあると思いますが、この周辺は介護保険サービスを主にされている事業所が多く、私は身体障がい者なので、障がい者に関わってくれている方のほうが入ってもらいやすい気がします。
 
 メンバーさん探し 情報を集め 手助けしてもらって 交渉し
私を支えるメンバーさん探し! あるときは看護師さんやヘルパーさんもできるだけ知っている方から紹介してもらうなどして。紹介してくれる方も「この方だったら私と合うのでは」と考えてくれているようです。
少し前に、新しいヘルパーをさがしていましたときに、電話の対応が乱暴な事業所もあって驚きました。事業所によっては、最初はうまく調子よく言われるところもありましたが、無理は続かなくなってしまいました。こちらは事業所の都合に合わせられませんし、振り回されるのもかないません。コミュニケーションがうまくいってなかったのかも知れませんね(患者の気持ちに沿ってくれている事業所さんにはごめんなさいです)。
私の決まった生活スタイルもありますが、やみくもに自分を通していたわけではないです。事業所がこちらに合わしてくれることもなく、最終的に合わないところは退かれて、いまは自薦のような感じになっています。自分の介護をしてもらうのですから誰でも良いわけではないですね。
ですが、自薦、他薦、自分で選んだとしても、在宅の環境が整えられているわけではないです。私を支えるケア体制はすぐにできたわけでもなくて、体制が必要であっても厳しい状態は続き、周りから情報を集め、手助けしてもらって、市に嫌われるくらい交渉し続けました。いまは相談支援専門員さんの協力を得られて随分と体制も変化しています。夜勤者もいてくれるようになって、体の褥瘡も改善するなどしていますが、介護者は短時間です。介護体制に余裕もなく、すきま風が通り抜けております。行き渡ったところなど少ないかも知れませんね。
 すきまを感じながら 改善を図りつつ 現状維持できれば
人材確保のむずかしさも思います。「重度な方(身障者の私)、怖い」と言われて辞められたこともあります。それだけ必要性を感じて協力してくれるとよいのですが、ままならない失敗談! こちらの思うようには行きません。いまの体制を維持しながらプラスの改善策!を願います。
本当に必要な患者を支える体制、そうあってほしいのですが、ひとりの時間帯もけっこうありますから、ささいなことで困ることもあります。排泄の問題や、クシャミ一つで体位が変わり、どうにもならなくなって、次のヘルパーさんを待つこともあります。
以前に、自分の生活を周りの都合で決めてしまった嫌な経験がありましてから、日々の予定や排泄など必要な時間を、あるところまでは自分で決めていくように考えていますが、公的支援の乏しさを感じます。
また公的支援を受けることで気持ちの自由が縛られることのないようにしなければと思っています。
私を支えるケア体制を維持していく確実なものではないですが、自分の生活をするのみです。いまの体制に確かなことは、周りの方々の支えによって成り立っていることを強く思います。隙間問題を感じながら……足りない部分の改善を図りつつ……現状維持できればと思います。
奈良は災害の少ない地域と思いますが、緊急事の対応などベストな状態というわけでないです。気付かないことも多々あり、介護体制の問題の課題も残されたままですが、在宅の介護サービスをフルに活用して在宅を維持していきたいと思います。
 
    私が在宅療養しか考えていない理由
いま在宅療養しか考えていない理由については、施設は私のような、その都度細かい体位調整などを求める者には合わないと、以前、施設で働いていた方に言われたことがあります。それだけの理由で在宅療養しか考えていないと言うわけではなくて、もともとのところ在宅しか考えていないのだと思います。経済的な余裕があるわけではありませんから、公的な支援を受け、介護者を依頼して在宅を維持しています。
私の在宅は常に人様と関わっていて、いつも自分のニーズに添う形ではないです。十分でなくても私自身の生活スタイルは崩したくないのです。与えられるお任せ生活は楽なようで、私には落ち着かない窮屈さを感じるのだと思います。在宅は周りが決めたわけでもなく自分が決めていったことです。
恐らく辛抱強くなくてガンコらしいので、在宅でしかやっていけない性格なのだと思います。周りの方々には面倒をかけていると思います。
 
  自分を守らなければ外部に振り回されることになります
お話は変わりますが、私は膀胱炎症状に悩まされることが多々あり、排便には細菌などの問題もありますから要注意です。排便効果を助けるような食事やオリゴ糖、オリーブオイルがよいと聞けば試したり、他にもアドバイスをいただいて工夫したりしています。排便のことを言い始めると尽きません。いまは看護師さんにお付き合いを願えていますので、グリセリン液の使用頻度も少なくなって下剤の薬も半分になっています。
以前は限界を超えて薬を利用していたのです。排便もガンコ! 看護師さんの負担もきついと思っています。
時間も手間もかかるマイペース患者! 在宅療養の追い風のようにそう考えるようになった経緯もあります。過去にひどい経験もありました。自分を守らなければ外部に振り回されることになります。かつて入院中に、治療方法もない病気に必要以上の治療をされて、体の状態は落ち着いているのに……。不信に思い、
「点滴や輸血まで必要ありません」と医師に伝え、急ぎ退院したことです。自分は病院に殺されると思いました。
病院は主に治療が目的になると思いますが、こちら側は恐らく為すがままのまな板の鯉?になってしまうのでしょう。
 
   選択? 選べるくらい選択肢があるのでしょうか
必要なときは入院も考えなければなりませんが、いまは治療方法もないのですから、私はその必要を感じていません。個々に考え方や事情もありますから選択できれば良いと思います。
ですが、選択? 選べるくらい選択肢があるのでしょうか。行政は在宅へと移行を促しているようですが、ケアにかかる障害福祉施策の重度訪問介護の時間数の確保もかなり厳しく簡単ではないです。在宅を望む者には環境を整えていけるよう考えてほしいと思うものです。