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 ここで、少しだけ私のことについても触れておきますと…。私は神経内科の病棟で9年勤務していましたが、その間「家に帰りたい」と願いつつかなわずに転院する患者さんを何人も見てきました。転院を繰り返すたびにケアの質が落ちていくのを目の当たりにして、自分たちが「その人らしく」を目指してケアしていることが自己満足でしかないように思えてきました。学生の頃に読んだダニエルキースの「アルジャーノンに花束を」という小説の主人公と患者さんたちがダブって見えて、却って自分たちのケアが患者さんに辛い思いをもたらしているような罪悪感も感じ、半分は現状を打開する方法を模索するため、半分は罪悪感から逃げるために病院をやめて進学しました。
病院勤めの時に、特殊なナースコールやパソコンに関して相談に乗っていただいていた関係で少しだけ面識のあった現在の所長に在宅の勉強をしたいと、連絡をとったのが大学院1年の時で、アルバイトと勉強をかねて患者さんのケアに入らせてもらいました。卒後は「とりあえず2年勉強させてください」とお願いして雇ってもらい、今年で3年目になります。病院の面接の時も1年で辞めると言ってこっぴどく非難されて履歴書をつき返されたのに、結局9年も勤めていた人間なので、「とりあえず2年」が何年になるのか、私にも分かりません。
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