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NS. がリーダーシップをとっていくためにはベテランのヘルパーにも意見できるだけの知識や技術が必要だと思います。 吸引の方法だけでなく、呼吸器の作動状況について最低限の観察ポイントや異常時の対処方法、アラームでパニックにならないようにとりあえずアンビューの使い方を指導するなど、やるべきことはたくさんあるのではないでしょうか。そうでなければ、医学的な知識や医療機器に関する知識を持たないヘルパーは安心してケアに当たることはできないでしょうし、それを受ける患者さんや家族も不安です。お互いの身を守るためにもしっかりとした研修の場が必要だと考えます。 いずれにせよ、時間と根気が必要です。それは患者さんとのかかわりにおいてだけではなく、基礎的な医療行為についての知識を持たないヘルパーさんに吸引指導等を行ううえでも言えることです。それを行うためには量と質において人材をそろえることと、報酬を確保することが必要ですがこれがなかなか難しいところです。倍に薄めて支援費を使っているようではスタッフへの支払いもままならなくなってしまいます。 この4月の診療報酬改定によって訪問看護の複数回訪問ができるようになりました。一件に2ヶ所のステーションが入ることもできます。これらを活用して週に1回ずつでもまとめて入るようにできれば、訪問看護でできることが増えるのではないかと思います。1.5時間を2回、間に30分見守りボランティアのようにしてつなげば3時間余り滞在することができます。そうすればコミュニケーションをとる時間ができ、短時間ではできないケアや観察も可能になります。家族も休息や外出が可能になるでしょう。(診療報酬の考え方では“1時間30分を超えるサービスについては、訪問看護ステーションが定めたその他利用料による自己負担のサービスとして対応する”となっているため、厳密にはこの方法をとってはいけないのかもしれません。ただ、このようにつなげて入ることが患者さんや家族のニーズであることをアピールして、認めてもらえるような方向もっていければ…と考えています。)2ヶ所のステーションがそれぞれ一回ずつ、週に2日そういう機会が作れれば状況は違ってくるのではないでしょうか。私は3回まで報酬が出るのなら、3回分と間30分ずつのボランティアで合計5.5時間入れるのではないか…と考えたのですが、ステーションの経営を考えると2回、それも2回目は1時間くらいに減らさないとやっていけないのではないだろうか…?と上司は言います。また、一人の患者さんが亡くなられると相当なダメージを受けるので、看護も介護も連携をとって複数の事業所で関わってリスクを減らすようにしなければならない、とも言われました。Sさんの予定表(スライド25)を見てもらうと分かるように、ひとつの事業所ですべてを請け負っていると、その方が亡くなった時、事業所報酬は激減します。 また、複数の事業所が関わることで競争原理が働き、ケアの向上が望めるというメリットもあります。多少の無理でも「他の事業所ががんばっているなら…」と受け入れてもらえる場合もあり、一ヶ所が質の高いケアを提供すればそれが他の事業所にも波及するという効果が期待できます。カンファレンス(ケア会議)を行うことで、これらの実現可能性は高くなり、それぞれに力量がつけば、その地域でまた別の難病患者さんのケアに生かす、そのことが地域ケアの充実につながるのではないかと考えます。今、私たちが検討していることは、支援費での短期入所サービス(支援費時間数の枠外で使用可能)の導入と訪問看護ステーションの立ち上げです。介護保険と支援費の組み合わせだけでは時間数の限界もあり、十分な支援には至りません。また、新たな研究事業に申請するにしても人材確保の面でも、独自のステーションが必要だろうということになりました。開設するにあたって、先ほどの「採算ラインがどの辺りにあるのか」などの診療報酬や事務手続きなどの具体的なところを、まだまだ勉強していかなければならないと思っています。 最後に、Nさんの予定表でも少し触れましたが、時間数にあわせてプランニングするのではなく、まず必要なケアをすべて入れてみて、どれだけ不足しているのか声を上げることが重要ではないかと思います。「クレームをつけて初めて問題として成立するのだ」、この言葉は社会学の講義で聞いて今だに覚えているのですが、問題があるからクレームをつけるのではなく、クレームをつけるから問題になるのだ、という逆転の発想で、私にとっては衝撃的な言葉でした。これに習って、現状の問題点をどんどんと発言して社会全体の問題と認識していただければ、他の分野の力を借りることもできるのではないかと思います。 このような、難病看護をともに考える集会の場をお持ちの皆さんであれば、横の連携を密にして患者さんを大きく支える体制作りも可能だと考えます。この会のご発展をお祈りして、私のつたない話を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。 (ホームページ掲載に当たり、発表した内容を一部加筆・修正させていただきました。ご協力いただきました患者さん・ご家族の方々に改めて感謝いたします。 小林智子) |
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