24年4月以降の喀痰吸引等について
吸引できるヘルパーさんを探してます

「吸引できるヘルパーさんを探しています」と問い合わせの電話が複数ありました。ヘルパーさんが吸引や経管栄養などの医療的ケアを、研修を受けて登録をし認定証を交付されて、登録申請した特定の患者さんだけに吸引等ができる制度が244月以降スタートしました。

「吸引できるヘルパー」を探しても、「私は吸引できます」と言うヘルパーや介護事業所が名乗りを上げることはありません。特定の1人の患者さんのために登録して吸引などをしてもらう制度に変わったので、「探す」のではなく「育てる」に方向転換する必要があるのです。
コミュニケーションがケアの基本
吸引だけがALS患者のケアではありません。一番難しいのはコミュニケーションをとることと言われています。初期から言語障害で発症する患者さんも多く、コミュニケーションの手段もさまざまです。言語不明瞭な発語を聞き取る、書字(シーツに指で文字を書く等も含め)を読み取る、レッツチャットや意思伝達装置などの機器の使用を援助する(スイッチのセッティングも含め)、アイ・コンタクト、文字盤、あうんの呼吸、一人一人の患者さんによってコミュニケーション手段は異なり、簡単ではありません。すべてのケアは、患者さんとのコミュニケーションがはかれてからです。吸引すれば、体動するので体位を整える必要があります。患者さんに確認しながら、体位を整えます。人間関係の上に成り立つケアですから、促成栽培というわけにはいきません。
患者さんと家族が教える

そして、体位交換、口腔ケア、移乗・移動、排泄、食事(経管栄養)など、身体のケアは多数あります。吸引できなくても、上記の身体的なケアに慣れてもらいながら、コミュニケーションもとれるようにがんばってもらって、「患者と家族が責任を持って教えます」と介護事業所やヘルパーさんたちに依頼していくのが、これまでの方法でした。家族が教えられないのなら、先輩のヘルパーや看護師が教えて、ケアに定着していきました。

「喀痰吸引等の法制化」になっても、そのことは同じです。ケアに参加してもらい、時期が来たら、吸引や経管栄養などの練習を、患者さんと家族が中心になって教えていく。患者さんと家族、先輩のヘルパーから日々教えてもらい、患者さんから「大丈夫のOKが出たら、研修を受け、認定登録手続きまで進んでください。
受講料は有料です

受講料は有料です。ヘルパー個人が負担しなければいけないのなら、研修は受けてくれないでしょう。介護事業所は研修などの勤務調整を行い、研修費用も負担し、介護職員と事業所の登録手続きを行います。登録認定された後は、事業所は吸引加算(1日当たり千円)を介護費用と同時に請求できます。

制度の詳細や、手続きについては、所在地の府県のホームページから、「喀痰吸引」を検索して、調べてください。
研修機関については

各府県で登録している研修機関が異なります。登録済みの研修機関は府県のホームページに公表されています。不明な時は府県に問い合わせてください。受講料などは各研修機関に直接電話で確認して、受講を申し込んでください。同意書や指示書なども必要ですので、各研修機関に直接確認してください。

吸引の手技は在宅で学びます

研修の講義内容は1日目は「重度障害児・者の地域生活等に関する講義」「喀痰吸引等を必要とする重度障害児・者等の障害及び支援、緊急時の対応及び危険防止に関する講義」の二本柱の講義8時間。2日目は「喀痰吸引等に関する演習」1時間。そして修了テストを受けます。合計2日間で修了します。

特定の利用者のための吸引等は、在宅で利用者本人や家族やベテランの介護者から教えてもらって覚えます。研修機関の研修を受講しても、「特定の者」の吸引等ができるようにはなりません。

研修を受ける前には、利用者本人と代理人・代筆者(家族)と「研修実施同意書」を交わします。「私の吸引を研修してね、頼むよ」という意味を込めて、研修受講に同意するという書面(様式A)です。

訪問看護師等による在宅実地研修
 

研修機関の研修を受けたら、次は在宅で、指導看護の認定を受けた看護師等による「在宅実地研修」を受けます。訪問看護師さんに依頼します。(指導看護の認定を受けてない場合は、これから受けてもらうこともできますから、府県に問い合わせしてください。DVDで自己学習して指導看護を申請する方法もあります。)

実地研修を受ける前に「主治医指示書」を主治医に依頼して書いていただきます。(様式B)

指導看護師に対する主治医からの指示書ですが、指導看護師名と研修受講する受講生・事業所名を記入して、主治医にお渡しして依頼します。

 
 研修修了後の手続き
 研修の修了後、府県に認定登録の書類を作成し、提出します。

事業者の登録申請用と、従事者の認定証の交付申請用と2種類あります。2つの申請は、同時に郵送で申請します。

介護保険だけの利用者は介護保険の担当部署に送ります。利用者が介護保険と障害福祉と両方利用している時は、障害福祉に申請します。

→認定登録の申請書類の書き方がわからないときは、「この書類の書き方を教えて」と具体的に、事務局にFAXしていただいたら、アドバイスさせていただきます。
 
患者と家族の役割

こうやって24年4月以降の喀痰吸引の手続きをざっと書き上げただけでも、費用がかかるし、事務が複雑そうで、やりたくないと思われるかもしれません。しかし、ALS患者さんに長く関わっていただく覚悟なら、避けては通れない医療的ケアです。

そしてこれから手続きを必要とするのは、呼吸不全や、気管切開のために、吸引が必要になった患者さんたちですが、患者さんや家族がまだ不慣れな時から、ヘルパーさんも同じ苦労を共にして、患者さんや家族と一緒に熟練していただきたいのです。
チームケアで事故防止

先日は電話相談で「吸引できるヘルパーを紹介してください。吸引で事故があったら、責任とってもらえますか?」という質問がありました。

事業所は損害賠償保険への加入が義務づけられています。しかし、事故が起きないように、患者さんも家族もヘルパーを育てる努力が必要です。24時間ケアを家族だけが担うと、逆に家族が患者のそばを離れる時間が増えます。トイレ、風呂、キッチン、その間に事故が起きる危険が増えます。不慮の事故を防ぐためにはどうすればいいか、医療的ケアを在宅で行うための環境をチームで整えるための法制化なのです。

 

主治医に指示書を頼む際には、患者と家族から十分説明して依頼してください。ヘルパーと事業所任せにしていると、指示書1枚書いてもらうのにも混乱が起きます。患者と家族自身が強く希望しているということを、ご本人たちが主治医や看護職、介護職ら、周囲にはっきり伝えていく姿勢が大切だと思います。

 

☆ ちょっと早めですが ☆ 

来年・平成25年の総会・交流会は6月15日(土)です

大阪府立国際会議場において、13時から行います。

患者さん・ご家族のご参加を歓迎します。

ボランティア参加の皆さまもご参加をお願いいたします。
 
 本年も総会・交流会のご参加、ご協力ありがとうございました

多数の患者さんとご家族、専門職の皆さま、ボランティアさんのご協力をいただきまして、ありがとうございました。

平田先生の脳表電極によるコミュニケーション技術のご講演もあり、患者さんから8チャンネル・スイッチ入力のお話も出たり、活発な議論になりました。

二十数年前、近畿ブロックの発足後、間もなく病院の理学療法士さんの紹介で、奈良市の筋ジス患者さん(男子)のご両親から依頼があって、息子さんが両手の指でゲームソフトを操作できないかということでした。両手を置く装具(下の写真)を病院の理学療法士さんがつくって、反射型の光センサーを9個取り付け、両手の指でスイッチ入力をして、亡くなる前までの約1年間ゲームを楽しまれました。両手のうち9本の指を使いました。

 

ALSの患者さんはスイッチ入力で、トイレ、吸引などのケアを依頼するときの呼び出しや、パソコン操作に使いますが、体位を変えるたびにスイッチを外して、また付けて調整することに時間がかかるので、スイッチの調整は時間のかかるケアのメニューの一つになっています。

 また、手足の筋力でスイッチ操作を行う患者さんは、長期に同じ入力部位を使い続ける方が多いです。使わなければ、運動能力を維持できないことが多いので、疲れにくい手足の筋肉を探して、スイッチ操作などで動かすことも大切です。

ただ、視線入力などでは、凝視すると目が充血しやすい方、目が疲れやすい方は避けていただくほうが無難です。眼球が乾燥して充血しやすくなり、濡れコットンをまぶたに乗せている方も少なくありません。ご注意いただきたいと思います。

 
 
 
 
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