トップ目次次のページへ久保フヂノ(くぼ・ふじの)さん
  お母さんが満足すれば、疲れは吹き飛ぶ
*お母さんが満足すれば、疲れは吹き飛ぶ  (会報31号 1999年7月10日発行)

息子がいろいろなところに連れていってくれる

 私も、西淀病院を退院して在宅に入り、今月の14日で丸7か月になりますが、親子のあたたかい看護により、病院と変わらぬ日々を送っています。

 退院して自由に動くことができるために、息子が休みを利用して、7ヶ月の間に、病人とは思えないほど、いろいろな所に連れて行ってくれました。呼吸器をつけた私を、息子は恥ずかしがることもなく、大勢の皆さまがいる中に連れて行ってくれます。私は病名を告知されて19年目になり、家族に苦労をかけ続けてきましたが、親子は私を、「いろんな所に連れて行きたいから、体には気をつけてがんばって」と言ってくれます。

京都・金閣寺、嵐山へ

 先月も2週にかけて、京都に連れて行ってくれました。京都は有名な所だけに車も多くて、高速を降りると同時に車が前に進まずに、金閣寺まで3時間かかりました。その日は金閣寺を1時間かけて見て回りましたが、人が多くて思うように動きがとれませんでした。

駐車場に帰ってきたときは4時を過ぎていて、嵐山に行くつもりでしたが時間がかかり過ぎたために諦めました。帰りも渋滞に巻き込まれて、家に着いたのは夜の9時でした。

 翌週の29日の日曜日に、嵐山に行きました。10時半に自宅を出発し、その日は車も普通に進んだために、1時間半で嵐山の駐車場に着きました。お昼の食事を注入してもらい、親子もご飯を食べて一休みしてから、塀を見て、橋を渡って、塀の周辺の凹凸道を思い切り揺れながら、息子も重たい車椅子を押して「えらい(きつい)」と言いながら、塀や紅葉を1時間かけて見て終点まで行き、終点の手前から坂道を上に押し上げて嵯峨野を回って野宮神社に着いたときは、親子3人とも疲れ果てていました。

 主人も最近は腰が曲がったうえに、足が悪くて、歩くのが辛そうです。息子は両親を気遣いながら、重たい車椅子を押して、息子自身も疲れると思い、「えらいでしょう?」と聞くと、「お母さんが満足すれば、僕は疲れなんか吹き飛んでしまうから心配してほしくない」と言ってくれます。

 駐車場に着いたときは5時過ぎだったので、私の夕食を入れてから、親子も夕ご飯を食べて、帰りは6時過ぎに嵐山を後にして、私が家に入ったときはちょうど8時になっていました。

 優しい親子に見守られて、何不自由のない看護を続けられる私は、親子の行為に応えることができるように、命を大切にいつまでもがんばりたいと思います。親子の温かい愛情のお陰で、ALS協会近畿ブロックの総会・交流会にも連続6回も出席できることを誇りに思います。
(1998年12月12日記)