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私の歩んできた道(2)  大川 達さん
口腔ケア(会報32号 1999年10月21日発行)

 私が呼吸器装着をして在宅療養を始めたのは6年前でした。当時の和歌山市では現在のように訪問看護が確立されていなかったため、何ごとも主治医や保健師さんに相談していましたが、そのころから今後の訪問看護の必要性を考えている看護師さんがいました。

 その看護師さんが私の載った新聞記事を見て、お世話したいと近づいてくださり、2年近くにもおよぶ長い期間を無償で訪問され、マッサージや入浴などの面倒をみていただきました。また、その間に往診をしてくださる歯科医と眼科医も紹介してくださいました。

 ただ、いまだに耳鼻科医だけが見つかりません。そのときに紹介していただいた歯科医には2年余りお世話になり、また私生活でも、よく遊びにきてくれるなど、良き指導者として頼りにし、大変喜んでいました。

 ところがある日、その歯科医が35歳の若さで急にお亡くなりになったため、大きなショックを受け、と同時に困ってしまいました。そんなとき、私はどこまで人さまに恵まれているのか、私のように困っている患者が多いことを知っBたある歯科医が、1か月もしないうちに、後を引き受けてくれました。その方がいまの開業医・藤原先生で、早くも1年5か月お世話になり、大変助けられております。

*朝・昼・夕食後の口腔ケア 

 ところで私の口腔ケアは、2週間ごとに定期往診を受けている藤原先生のご指導のもと、そこに勤務する歯科衛生士が毎週1回訪問し、虫歯や歯茎の状態を確認して、歯石を取ったり、30分余りかけて妻に毎日行うていねいな歯磨きや歯間ブラシの使用法、洗浄・吸引・消毒などのご指導があったりします。

妻はそのご指導に従って
(1) 朝食後、歯磨きをした後、吸引をし、さらに歯ブラシが届かない部分を歯間ブラシで掃除してから、うがい薬(エマーゲンG)を浸した綿花でていねいにふき取り、お茶を飲んで終わりですが、歯茎が悪いときは、朝・昼・夕食後のたびに、歯と歯茎の間へ歯間ブラシを入れて掃除(不純物や 動かなくなった血液の排除)をすれば、歯茎も引き締まって、色艶もよくなります。  悪いといわれた歯茎に歯間ブラシを入れても、たいした痛みはありませんが、治った後に、歯間ブラシを入れると、その痛みは少し強くなるため、痛みの程度で治り具合がわかるようになりました。
(2) 昼食後は、歯ブラシや歯間ブラシは使わずに、ただ、うがい薬を浸した綿花でふき取った後、お茶を飲んで終わります。
(3) 夕食後は、朝食後と同じ口腔ケアを終えてから、最後にファンギゾンシロップ(舌カンジダ菌殺菌用)という薬を、それに付属のスポイトで一滴、舌の上に垂らし、さらにそれを歯ブラシで歯全体と舌に塗り、殺菌効果を高めてから、洗浄・吸引して終わります(特にALSの場合は、舌も萎縮して、シワだらけですから、殺菌効果が高くなるそうです)。
(4) 食間のおやつの後は、昼食後と同じ口腔ケアを行いますが、血糖値が高いため、おやつはなるべく控えています。私はいまでも口から食べていますが、食べていなくても、常に口の中は雑菌が多いと聞いています。
 食後に妻が行う口腔ケアは10分程度で終わりますが、この口腔ケアによって嫌な口臭がなくなり、食後がスッキリとします。それだけでなく、微熱が続かなくなり、風邪に対しても強くなり、肝心の肺炎予防対策になっていることは間違いないため、欠かすことはできません。
*虫歯や炎症が起きたとき 

 ここまでしても、虫歯ができたり、歯茎に炎症が起きたりすることがあります。そのときは、歯科衛生士を通じて藤原先生に伝え、先生の定期検診時に治療が必要とあらば、1週間に1度の治療が始まります。

 治療時だけは開口器を使い、1回の治療に費やす時間は30分くらいですが、先生は常に気遣って様子を聞いてくれたり、途中で開口器を外してくれたりするため、疲れは感じません。虫歯の治療は2回程度で終わりますが、健康であったころに治療をした歯の内部が化膿したときは、5回程度の治療が必要になります。

 この治療中は枕を首根っこに当てて、頭を後ろにそらせるため、口が十分に開けられる体勢になりますが、それでも気管に刺激を受けると、急に口が閉じてしまうため、どうしても開口器は欠かすことができません。

 明るく優しい先生・歯科技工士・歯科衛生士の皆さんが楽しい話題を運んでくれるため、来訪日を待ち焦がれています。

 私に対して診療報酬で認められている回数と、その他の参考事項は下記の通りです。

* 藤原先生の在宅往診回数に制限はありません。
* 歯科衛生士の在宅口腔ケア回数は月に4回です。
* 1週間に1度の治療時や2週間ごとの定期検診は、歯科医・歯科技工士・歯科衛生士の3人と、毎週1回の口腔ケアを受ける歯科衛生士の計4人が、同じ開業医院から来てくれます(このメンバーで施設と病院で約50人、在宅患者で約15人の治療をしているそうです)
* 私の負担額は身障者認定で1円もありません。毎日、妻が使う歯間ブラシ代だけで月に600円程度です(歯間ブラシはLから3Sまで、5種類ありますが、私が使うのはM・2S・3Sの3種類です)。

 なお、ここ記載事項につきましては、歯科医の藤原先生・主治医の畑先生のご指導をいただきました。

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