ですから、通常、生と死というものをシーソーで例えますと、生存状態では生存シグナルのほうが重くて、死のシグナルは軽いものですから、シーソーとしては左側に傾いて、細胞としては生存を続けることができる。
ところがALSという病気の場合には、あまり死のシグナルは活性化されないですが、生存シグナルは非常に小さくなりまして、相対的にシーソーが右下がりになりまして、だんだん運動神経が弱っていくということがわかってまいりました。
最後の最後になりますと、死のシグナルも少し活性化されますが、いずれますます右下がりの方向に行くわけです。
おそらくこの病気の治療としては、小さくなってしまった生存シグナルをもっと大きくしてやれば、シーソーを逆に戻すことができるのではないか。あるいは死のシグナルをもうちょっと小さくすれば、バランスの問題ですから、細胞は死ななくて、シーソーは左向きに傾くのではないかということが想定されるわけです。
こういうこともつい一、二年わかってきたことですので、治療の戦略というのは生存シグナルをいかに増やしてあげるか、そういう方向での治療がいま考えられてきております。
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