荒っぽい話ですが、ネズミの運動神経をピンセットでつまみまして、引っこ抜きますと、引き抜いた運動神経はその後、消失するのですが、ここにポンプで神経栄養因子をやりますと、ここの消失がかなり改善しているのがわかります。
こんなふうに神経栄養因子というものは、運動神経の障害を軽くすることがここ七、八年わかってきています。これを使おうじゃないかということになってきているわけです。
神経栄養因子(NTF)の作用は、生存シグナルと死のシグナルの中の、生存シグナルを非常に活性化することもわかっています。ALSの場合には死のシグナルがあまり活性化されずに、むしろ生存シグナルが早期から落ちますので、これを活性化させることができれば、死に打ち勝って神経細胞は生き残れるのではないかということで、神経栄養因子を治療に用いようと考えているわけです。
投与の仕方はいろいろありまして、皮下注射、静脈注射、筋肉注射、脳の中へ直接、脊髄と、それぞれ良い面と悪い面がありまして、皮下注射や静脈注射、筋肉注射は簡単にできるのですが、脳にはこういう蛋白がうまく入ってくれないのですね。だから入れようと思うと大量に注射しなければいけません。そうしますといろんな副作用が出てきます。そういう問題をクリアしたいということで、脊髄から直接針を刺して、脊髄に直接薬液を投与することができる。そうすると使う量が少なくて済みますので、全身的な副作用を減らすことができるだろうと推定されます。
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