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* 遺伝子、蛋白治療で運動神経は生きのびる

 アデノウィルスは風邪のウィルスでありまして、小さいころ、どなたもかかっているのではないかと思います。あまり恐い点はないのです。アデノウィルスが増殖するところを人工的に壊しまして、そこに治療遺伝子を組み込みます。そうしますと、アデノウィルスに感染しまして、細胞の中に入って、自分は増殖しないのですが、入れた蛋白質をいっぱいつくってくれます。

 (スライド) これは遺伝子治療の結果ですが、ラットの右の足の筋肉に注射しました。生理食塩水をやりますと、左右ほとんど変わりなくて、いずれも運動神経が落ちています。大腸菌の遺伝子を入れても、治療効果がないので、落ちています。

 神経栄養因子をアデノウィルスに組み込んで遺伝子治療をした群は、注射した筋肉の側で運動神経が残っております。注射しなかった左側では運動神経が落ちております。ですから少なくともネズミにおいては、遺伝子治療で脊髄の運動神経を生き延ばすことができることがわかってまいりました。

 (スライド) 黄色が正常の運動神経の数で、これよりはみんな落ちているわけですが、遺伝子治療をした群では、落ちが少し軽いということです。発病する直前から始めたものですので、おそらく発病するずっと前から始めれば、もうちょっと落ちも軽かったのではないかと思います。まだ予備的な段階ですが、動物実験上はこんなふうに遺伝子治療が有効であるということが少しずつデータとして出てきております。

 (スライド) もう一つは蛋白治療でありまして、GDNFという神経栄養因子を蛋白のままで筋肉に注射します。そうしますと、臨床症状も少しいいようですし、先ほどと同じように、注射をした群のほうで運動神経の落ちが少しいいということがわかりました。ですから遺伝子治療をしてもいいですし、蛋白そのものでも少し良いような感じがします。

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