非常に数は少ないのですが、家族性=遺伝性の方がおられます。
これは日本のある地方の患者さんの家系図であります。先祖代々この病気でありまして、おじいちゃんから子どもが4人生まれて、3人がこの病気でありまして、この病気の方からまた半分ぐらいのお子さんに病気の方が生まれるということです。
この方たちは大変悩まれておりまして、私は医者としてこの患者さんのお1人と出会うことがありました。10年ぐらい前でしょうか。「先生、何とか治してください」ということだったのですが、当時何も打つ手がなくて、われわれもお手上げだったわけです。
原因がわからないので治せない。ぜひ原因を検討させてほしいとお願いしました。親戚の方にもお集まりいただいて、皆さんに血液検査をさせていただいたのです。病気というものは医者だけでは治せません。特にこういう難病の場合は、皆さんのご協力がないと絶対治せませんので、私としてはこのとき、ご協力いただいた患者さんにいまでも感謝しております。
遺伝性ですので、遺伝子のどこかに必ず原因があるわけですから、この方たちの血液の中から遺伝子を調べさせていただきました。その結果、SODという蛋白の遺伝子の変異があることがわかりました。
(スライド) これはSODという蛋白ですが、こちら向きと向こう側、背中合わせの二つの蛋白がつながっている、そういう構造をしています。
(スライド) いまの家系の方ではございませんが、これは遺伝子配列の例です。正常の方は赤い山が三つあるのがおわかりでしょうか。これはアデニンという山=ピークですが、これがこの患者さんでは、アデニンが四つになっています。ですから本来、ここはグリーンのグリシンがなければいけないところがアデニンになっています。
遺伝子というのは遺伝暗号のものすごい鎖のつながりなわけですが、長い鎖のたった1か所の変異があるだけで、この家族の方は先祖代代この病気ということなんです。そういうことがわかったのが8年前、1993年ですね。
私が日本で初めてそれを見つけて報告してから、その後もいろんな家族の方たちとお会いしまして、私は日本中を駈け回りまして、患者さんたちとおB話しして、いろいろご協力いただいて、遺伝的なALSの原因を追求してまいりました。私が発表した93年は、世界でもその年に初めて発表され、ほぼ同時に原因が遺伝子レベルで解明された年であります。ちょうど8年前ですね。
大阪の方からも当時ずいぶんご相談がございました。そのころ、私は仙台におったわけですが、何度もお電話いただいたりして、そういうご協力のおかげでこういう原因が解明されてきたわけです。
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