ここで酸素というものを復習してみたいと思うのです。地球が45億年前にできたときには、地球上に酸素というものはなかったですね。やがて原始生命体ができてきて、植物の海草ができて、雲間から太陽の光が射し込んで、光合成ができますと酸素が発生してまいります。それが30億年前です。
酸素は大変な毒性があります。その当時には海が酸素化され、ほとんどの生命体が死滅しました。当時、酸素の発生は地球規模での大変な環境問題だったわけです。
ところがその生命体の中に巧妙な装置を持って、酸素の毒性をうまく抑え込んで、酸素の良い面だけを利用する生物が少しいました。それが後に地球上で進化しました。われわれの先祖はこれなんですね。その後、動物、原人ができたのは500万年前で、ホモサピエンスは20万年前になります。
すでに30億年前に酸素の毒性はカタがついてしまったはずです。ところが人類になってから、昔、克服したはずの酸素の問題はまた、今度はALSという病気としてわれわれが直面している。当時は環境問題だったわけですが、現在は自分の身体の中の内部の環境問題として、酸素の毒性に直面して、この病気になるということがわかってきたわけです。
酸素が発生したのは30億年前の地球ですが、長い間、酸素というものは存在がわかりませんで、1770年代に大気中には酸素というものがある、それが燃焼に必要であるということをフランスの研究者が発見しました。つい40年前には酸素に毒性があるということをアメリカの研究者が発見しました。
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