| 厚生労働省医薬局安全対策課 御中
「生命維持装置である人工呼吸器に関する事故防止対策(案)」に対する意見
最初に、人工呼吸器の事故を防止するための検討が行われていること、また、そのことに意見を述べる機会が与えられたことに感謝いたします。
1) さらに広く意見を収集する
今回の意見収集も大きな前進ですが、インターネット等での収集には参加者に限度があります。最近、人工呼吸器装着者が急速に増えてきていると聞いています。人工呼吸器装着の患者を比較的多く抱える病気の患者会や団体を通じての実態調査やアンケートなどで、実際に人工呼吸器を使用している患者・家族から広く意見を聞いていただきたい。
2) 呼吸器の安全は患者の目を見て
患者が着けている人工呼吸器に目を奪われていませんか。呼吸器を着けている患者本人に注意を払ってください。人工呼吸器を装着している多くの患者はコミュニケーションに不自由があります、ケアする人の多くはついつい患者自身よりも人工呼吸器の方に注意を向けるようですが、患者の目を見てください、患者は目で何かを伝えようとしています。
3) アラーム音は患者自身が確認できること
気道ケアなどで回路を外したとき、アラーム音がうるさいとのことで、特に病院の相部屋では、同室の他の患者に対する配慮から、アラーム音を出さない(消音する)ことが検討されていると聞きますが、これは危険です。アラーム音に患者の命がかかっています。看護師さんは夜間や休日など、人手が少ないとき、忙しいときには注意力が散漫になるかもしれません。介護する家族も疲れはて、睡眠不足で注意力が弱くなることもあります。患者自身は必死です。
4) 禁止事項・最重要注意事項の明記
安全上、絶対してはいけないことをリストアップし、明記する。例えば、気道ケアのとき、アラームの音がうるさいと回路にテスト肺をつなぎ、気道ケアを終えたあと、回路とカニューレの接続を忘れて事故になる。外出時、自動車のシガレットアダプターから電源を取る場合、大半の車はDC24Vであるが、大型車にDC48Vの車もあり、知らずに接続し呼吸器が故障する。海外など電圧の異なる地域で使用するときの電圧切り替えの確認など。
5) 接続部の確認
接続部を外すことは結構ひんぱんにあることです。吸引など気道内ケアのとき、加湿器に給水のとき、消毒のため回路取り替えのときなど。そのたびに、接続部を確実に接続するように、注意を喚起する何らかの方法が必要です。また、自然に緩みが出てくる場所もあります。緩みの起きやすい個所を明確に表示して、確認させるようにする必要もあります。
6) 外部バッテリー、内部バッテリーの使用可能時間の表示
人工呼吸器装着患者はQOLを高めるためなどに外出することが多くなると思います。外出の際にはバッテリー(特に外部バッテリー)は必需品になります。その使用頻度は増えます。使用者にとって、バッテリーの使用可能時間(残量時間)が表示され、残り時間がわかることが安全上も必要です。
7) アンビューバックは携帯必需品
人工呼吸器の運転停止時の必需品としてアンビューバックの携帯を義務づける。
2台目の呼吸器が用意されない日本の現状において、居宅時、外出時において呼吸器や回路の突然の故障時、また、2台目の予備呼吸器があったとしても、予備発電機が普及していない日本の現状において、突然の停電時などには、アンビューバックが絶対に必要となる。神戸地震の時、36時間の停電の間、母娘がアンビューバックを押し続けて命を救った例がある。
8) 推奨外出携帯必需品
人工呼吸器は、以前には病院で入院中の重症患者の生命維持装置のイメージが強かったようですが、最近は、人工呼吸器を着けて自宅で生活し、買い物に行き、旅行する人が増えています。このような人工呼吸器の使われ方の変化に対応した情報提供も必要です。人工呼吸器を着けて外出する患者が、突然、トラブルに遭遇したとき、適切な対応を可能にするためにも、推奨される外出携帯品のリストが必要です。
9) 回路及びその部品に寿命はある
人工呼吸器を年単位の長期に使用する患者が急増している現状において、回路及びその部品の寿命に関する明記がなされていない。例えば、ゴム製フレックスチューブ(蛇腹)は徐々に弾力がなくなり、回路から外れやすくなる、しかも、ガス滅菌を定期的に行った場合には、数か月で劣化する。カニューレに接続する回転コネクターも、年月と共に接続は甘くなる。呼気弁のマッシュルームバルブも、疲労破壊で破れることがあると聞いている、など。医師も、家族も、そのことに気がつかず、10年以上もそれら部品を取り替えることなく使い続けている患者がいるのではないかと心配です。
10) 人工呼吸器数値の記入用紙設定項目
現在の設定項目・数値を記入し、呼吸器のそばに必ず置いておく。何らかの事情で設定値が変わったとき、そこに記録があれば、誰でも人工呼吸器の設定を元の状況に復元できる。定期点検で人工呼吸器を変えたとき、設定内容確認のときにも、記録があると便利です。
11) トラブルシューティング
長期間人工呼吸器を使用していると、さまざまなことが起きる。突然、アラームが鳴り出し、換気が正常に行われない。患者は苦しそうにしている。幸いにやっと原因がわかり一安心。人工呼吸器に起きる異常は、呼吸器メーカーにも、医療機関にも、予測できなかったことはたくさんあるはず。それがわかるのは、24時間365日人工呼吸器呼吸器を使用している患者・家族でしょう。呼吸器メーカー、医療機関、呼吸器利用者から異常発生の情報を集め、トラブルシューティングとしてまとめて下さい。
以上、ご検討を宜しくお願い致します。
(会報38号 2001年11月8日発行)
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