トップ目次トピックス>ALSと人工呼吸器 ――その誤解と伝説>20年以上も前の伝説が残っている
*20年以上も前の伝説が残っている

 ALSの病態は確立されているようでいて未知の部分も多い。特に呼吸器装着後の情報は乏しい。例えば,「ALS患者には褥瘡ができない」と教科書には書かれている。それは呼吸器装着までの患者についてはほぼ正しいが、呼吸器を装着し、長期療養を行なっている患者では褥瘡に悩まされることが少なくない。またその他にも、滲出性中耳炎や腸管麻痺が、ALS患者の合併症として多いことも知られていなかった。

 最も重要な選択である呼吸器装着については,
(1)気管切開をすると声を失う
(2)呼吸器を装着すると何も飲み込めない
(3)呼吸器を装着すると寝たきりになる
(4)呼吸器を装着すると一生入院生活となる
(5)呼吸器を装着した生活ではQOLが保てない

 「そんなことなら生きていてもしかたがない」とか「かわいそう」と本人や家族が考え、“自らの選択”として呼吸器を拒否している現実が少なからずみられる。そして、その傾向は専門医の多い大病院でむしろ目立つ。そこには「呼吸器をつけると本人はつらい思いをするし家族には負担がかかる」といった20年以上前からの“伝説”が強く残っているように思われる。

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