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+ たんの吸引行為について

++ たんの吸引の安全な実施

 (1) 専門的排たん法の普及
 # 専門的排たん法(体位排たん法、呼吸介助法(スクィージング)、軽打法、振動法など)が適切に実施されれば、たんの吸引の回数を減少させることができることから、たんの吸引に伴う患者及び家族の負担の軽減を図るためにも、専門的排たん法の普及促進に努める必要がある。

 (2) 日常的なたんの吸引に関する適切な対応
 # 日常的なたんの吸引については、行為の危険性に応じた適切な対応(プロトコル)を示すことが必要である。

++ 家族以外の者によるたんの吸引について

 # たんの吸引は、その危険性を考慮すれば、医師又は看護職員が行うことが原則であり、ALS患者に対する家族以外の者(医師及び看護職員を除く。以下「家族以外の者」という。)によるたんの吸引については、医師及び看護職員により十分にサービスが提供されるならば、実施する必要はないと考えられる。

 # しかしながら、たんの吸引は頻繁に行う必要があることから、大部分の在宅ALS患者において、医師や看護職員によるたんの吸引に加えて、家族が行っているのが現状であり、家族の負担軽減が求められている。このような在宅療養の現状にかんがみれば、家族以外の者によるたんの吸引の実施についても、一定の条件の下では、当面の措置として行うこともやむを得ないものと考えられる。この場合においても、医療サービスを受ける機会が閉ざされることのないよう、医師及び看護職員が積極的に関わっていくべきである。

 # なお、この取扱いについては、訪問看護サービスの更なる充実やたんの自動吸引装置の開発・普及の進展等、今後における在宅療養環境の変化に応じて、適宜・適切に見直すことが必要であり、まずは3年後に今回の措置の実施状況や在宅ALS患者を取り巻く療養環境の整備状況等について確認すべきである。

 # また、今回の措置は在宅ALS患者の療養環境の現状にかんがみ、当面やむを得ない措置として実施するものであって、ホームヘルパー業務として位置付けられるものではないが、医療と福祉の関係、それぞれの役割分担も含めて、在宅医療に携わる者の行う業務や在宅医療そのものの在り方についての議論が必要であるという意見もあり、これについては、今後検討すべき課題であると考える。

  以下は、家族以外の者が患者に対してたんの吸引を行う場合の条件を示したものである。

1)療養環境の管理
 # 入院先の医師は、患者の病状等を把握し、退院が可能かどうかについて総合的に判断を行う。

 # 入院先の医師及び看護職員は、患者が入院から在宅に移行する前に、当該患者について、家族や在宅のかかりつけ医、看護職員、保健所保健師、家族以外の者等患者の在宅療養に関わる者の役割や連携体制などの状況を把握・確認する。

 # 入院先の医師は、患者や家族に対して、在宅に移行することについて、事前に説明を適切に行い、患者の理解を得る。

 # 入院先の医師や在宅のかかりつけ医及び看護職員は、患者の在宅への移行に備え、医療機器・衛生材料等必要な準備を関係者の連携の下に行う。医療機器・衛生材料等については、患者の状態に合わせ、入院先の医師や在宅のかかりつけ医が必要かつ十分に患者に提供することが必要である。

 # 家族、入院先の医師、在宅のかかりつけ医、看護職員、保健所保健師、家族以外の者等患者の在宅療養に関わる者は、患者が在宅に移行した後も、相互に密接な連携を確保する。

2)在宅患者の適切な医学的管理
 # 入院先の医師や在宅のかかりつけ医及び看護職員は、当該患者について、定期的な診療や訪問看護を行い、適切な医学的管理を行う。

3)家族以外の者に対する教育
 # 入院先の医師や在宅のかかりつけ医及び看護職員は、家族以外の者に対して、ALSやたんの吸引に関する必要な知識を習得させるとともに、当該患者についてのたんの吸引方法についての指導を行う。

4)患者との関係
 # 患者は、必要な知識及びたんの吸引の方法を習得した家族以外の者に対してたんの吸引について依頼するとともに、当該家族以外の者が自己のたんの吸引を実施することについて、文書により同意する。

5)医師及び看護職員との連携による適正なたんの吸引の実施
(注:別紙参照)
 # 適切な医学的管理の下で、当該患者に対して適切な訪問看護体制がとられていることを原則とし、当該家族以外の者は、入院先の医師や在宅のかかりつけ医及び看護職員の指導の下で、家族、入院先の医師、在宅のかかりつけ医及び看護職員との連携を密にして、適正なたんの吸引を実施する。

 # この場合において、気管カニューレ下端より肺側の気管内吸引については、迷走神経そうを刺激することにより、呼吸停止や心停止を引き起こす可能性があるなど、危険性が高いことから、家族以外の者が行うたんの吸引の範囲は、口鼻腔内吸引及び気管カニューレ内部までの気管内吸引を限度とする。

 # 入院先の医師や在宅のかかりつけ医及び看護職員は、定期的に、当該家族以外の者がたんの吸引を適正に行うことができていることを確認する。

6)緊急時の連絡・支援体制の確保

 # 家族、入院先の医師、在宅のかかりつけ医、看護職員、保健所保健師及び家族以外の者等の間で、緊急時の連絡・支援体制を確保する。

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