トップ目次次のページへトピックス>吸引問題>近畿ブロック緊急調査報告
++ 要介護5/限度額まで利用 なおサービスが足りない
 今回の調査では、「要介護5」で介護保険を限度額まで利用、かつ訪問看護も利用し、なおサービスが不足しているとした患者さんが19人(I群)と、「要介護5」でサービスをほとんど利用せず、家族介護を行っている患者さんが11人 (U群)おられました。
 対象的なT・U群を比較検討し、療養の特性や現行制度の問題点及び課題について考えてみましょう。

2-1 もっとサービスを必要とする19人(T群)
1)身体状況
 介助で経口摂取している人は7人、介助で座位をとる人は4人。
人工呼吸器装着者は13人で、吸引回数は1日平均35回、夜間に起こす回数は平均3回でした。人工呼吸器装着時から2年以内の患者が4人いました。

介護者に睡眠不足、精神的疲労/昼間ひとりの患者も

2)介護者の特性
 主介護者が65歳以上の配偶者であるのは7人(男4、女3)。主介護者が配偶者以外、娘(4人)息子(1人)妹(1人)の6例は介護疲れを訴え、睡眠不足や精神面の疲労などを強く感じています。
4人の患者(女3、男1)の主介護者は会社員・自営業で働いているため、患者は昼間ひとりです。園児・学童を育てる介護者も2人います。

3)サービスの利用状況
 訪問看護が週平均4.5回(1回?10回)、夜間の訪問介護を希望していた1人以外は、全員が日数・時間を増やしてほしいと希望しています。
2か所の訪問看護ステーションを利用しているのは5人で、訪問回数は週5回から7回。
介護保険は、訪問介護と入浴サービスでほぼ限度額全部を利用。さらに4例は全身性介護人、4例は家政婦のサービスを利用しています。
   不足分を補うために家政婦を週5回利用

4)事例-A
 患者さんは50代の女性。夫婦2人暮らし。呼吸器はつけていません。夫は会社員として働き、妻は昼間ひとりです。

+ 訪問看護10回/週(各1時間)
  「介護保険が足りない。本人の介護以外やってもらえない」
+ 訪問介護28回/週
  「回数、時間を増やせないと言われているが、増やさないと看護、介護ができなくなる」
+ 不足分を補うために家政婦(5回/週)を利用

 夫は、在宅を希望しながらも、「入院先を探したいが、短期も長期も入院先のメドはない」と書いています。

事例-B
 夫婦と子ども3人の5人家族。40代の夫が呼吸器をつけて2年目。

+ 訪問看護7回/週(各1.5時間)
  「限度内では制限があり、時間数を  増やしてほしい」
+ 訪問介護7回/週(週17時間)
  「看護師さん自身、吸引について技術の向上、呼吸器について
  勉強、理解を深めてほしい」
+ 全身性障害者介護人派遣制度153時間は主に夜間に使用

 不足分を役所に働きかけて障害福祉ヘルパーを月72時間利用できるようになりましたが、それでもサービスが足りない。

   訪問介護は制約が多い/同じ人がきてくれるなら

2-2 家族介護を行う11人(U群)

1)全員が人工呼吸器を装着しており、装着後5年以上は8人で、10人は寝たきり。また10人は経管栄養です。闘病年数の平均は10年8か月と長期化しています。

2)主介護者は全員が配偶者であり平均59・7歳であった。10例に副介護者の娘か息子が同居しています。吸引回数は平均25回で、夜間に起こす回数は平均2回。

3)サービス利用

+ 訪問看護を利用   9人 
週1回から6回と利用回数にバラツキがあり、週平均は3.6回。
 利用していない   2人
+ 介護保険の訪問介護は6人が利用していません。
  理由「訪問介護は吸引できないので外出できない」
   「介護内容の制約が多い」
   「同じ人に来てもらえるなら検討したい」
 利用しているのは5人 週1-2回と少ない。

   ヘルパーに吸引してもらって助かる

2-3 訪問介護員による吸引
 T群の人工呼吸器装着者14人のうち、8例は訪問介護員(3例は看護師)が吸引をしていました。
 8例は主介護者が働いており、患者は昼間ひとりであったり、子供が幼い、介護者が高齢、副介護者がいなかったりする理由から、家族がケアマネジャーなどに働きかけて吸引を依頼したようです。
「ヘルパーに吸引してもらって助かる。吸引は必要」と昼間ひとりの患者さんは書いています。

2-4 訪問看護サービス
 T群には『在宅人工呼吸器使用特定疾患患者訪問看護治療研究事業』を利用している1例があり、週5日/1日4時間の訪問を受けて、持病のある介護者(配偶者)の体調は「普通」と記されていました。
 時間・日数を増やしてほしいと希望する17人の現状の利用回数は、週5回以上が7人でしたが、週1-2回は4人、週3?4回は6人。
 時間・日数を増やしてほしいと患者が希望しても、看護師の人手不足のためか、地域により重症者の毎日訪問の希望も満たされていない状況があります。

目次へ