撮影関連用語


(五十音順)

1.カメラワーク用語
◆回転TU・回転TB
カメラが回転しながらTU/TBすること。
◇2DアニメのTU/TBにはパース効果がない
実写の場合は実際にカメラを被写体に近づけたり遠ざけたりする際にパースの変化が生じる(カメラの近くのものほど大きく変化・変形する)が、アニメーションの場合は単に絵に近づいていく(絵を拡大していく)だけなのでパース変化はなく、実写でいうところのズームアップ/ズームバックと同じ表現となる。

◆カメラマップ
平面に描かれた背景やキャラクターを、その絵に合わせた立体(3Dモデル)に張り込み、なんらかのカメラワークをつけて3D的なパースの変化を生じさせる手法。
2D素材の持ち味を損なわずに3D的なカメラワークづけができるのがメリット。
ただしあまり大きなパース変化は出来ない。

◆画面動/画面ブレ
画面全体をぶらすこと。地震や、大きい衝撃を受けたことを表現する時などに使う。上下ブレ、左右ブレ、前後ブレ(TU/TBの繰り返し)、またはそれらを混合したものなどがある。

◆QTU(クイックTU)・QTB(クイックTB)
素早くTU、TBすること。
一般的には6コマから12コマ程度の尺でおこなわれるTU、TBを指す。

◆クレーンショット
実写では、カメラを撮影用クレーンに乗せて、その高さを徐々に変えていくことをいう。
アニメーションではそれと同様の効果を出す(=カメラが上下に移動したように見せる)ために、背景・Book・キャラクターなどを、それぞれの速度を変えて引くことによって表現する。

◆クレーンUP
クレーンショットでカメラが上昇していくものをいう。

◆クレーンDOWN
クレーンショットでカメラが下降していくものをいう。

◆ズームアップ(ズームIN)
カメラレンズの画角を狭めていき(=カメラレンズの焦点距離を長くしていき)、離れた被写体をより拡大して映すこと。

◆ズームバック(ズームOUT)
カメラレンズの画角を広げていき(=カメラレンズの焦点距離を短くしていき)、より広範囲の被写体を映すこと。

◆スライド
セルまたはBookを画面内で引くこと。
被写体が形を変えず単に画面上を上下や左右に移動する場合に用いられる。
(飛ぶ飛行機、航行する船、流れる雲など)
または同じ場所でリピート作画されたものを引くことによって移動を表現する。
(歩き、走り、羽ばたいて飛ぶ鳥など)

◆つけPAN
被写体の移動に合わせてカメラを振ること。FOLLOW PANともいう。
Followとの違いは、カメラ自体は移動しないこと。カメラは一定の場所に置いたままで、その向きを変えることによって被写体を追う。そのためカメラを動かしても近景と遠景の関係性は大きく変化しない。

◆つけPANめもり
つけPANする時の背景の引き目盛りのこと。
つけPANは、被写体が移動するにしたがってカメラの向きが変わっていくので、その途中途中の原画と、その時うしろに見える背景との位置関係が刻一刻変化する。各原画とその時の背景の位置を対応させるために、原画のタイミングに応じた目盛りをPANフレーム内に指示し、原画とカメラの移動が連動するように設計する。

◆トラックアップ(TU)
カメラが被写体に近づいていくこと。

◆トラックバック(TB)
カメラが被写体から遠ざかっていくこと。

◆FIX
カット内でカメラを動かさずに画面が固定されていること。

◆PAN
カット内でカメラを振る(位置は移動せずにカメラの向きを変える)こと。単に「PAN」という時は、カメラを横に(水平方向に)振る場合をさす。

◆PAN UP
カメラを下方から上方に振ること。

◆PAN DOWN
カメラを上方から下方に振ること。

◆フェアリング/クッション
PANやTU/TBなどのカメラワークの始まりと終わりにつける加速/減速のこと。これをつけないとカメラワークが機械的に感じられ現実間を損なう。

◆FOLLOW
移動する被写体に合わせてカメラも移動しながら撮影すること。アニメーションの場合、まわりの風景(背景やBook)を被写体の進行方向と反対に引くことによって、被写体が移動している感じを表現する。

◆回り込み
ある被写体をフレームの中にとらえながら、カメラがそのまわりを回りながら撮影すること。
回り込みの度合いが大きいと、画面のパースが大きく変化するので、背景まで全て作画するか、もしくは3DCGで作成する必要がある。
回り込みの度合いが小さい場合は、中心となる被写体の前後にあるもの(キャラ・背景・Bookなど)をそれぞれ所定の方向に引くことによって表現することが多い。

◆マルチTU(マルチTB)
単なるズームではなくパース変化をもたせるために、カメラとの距離に応じて素材ごとにTU(TB)ストロークに差をつけ擬似的にパース変化を表現する方法。

◆密着マルチ(マルチスライド)
Followや回り込みをする際に、空間の奥行を表現するために、背景・Book・キャラクターなどを、それぞれスピードを変えて引くこと。
もともとはマルチプレーン(立体多段式撮影)に対して、素材をひとつの段に密着させたままで撮影されることから発生した言葉なので、本来の意味合いはもはや失われている。が、デジタル化が進んだ現在では逆に「3D」のFollowや回り込みに対して使用されることが多くなると思われる。

◆流線PAN(流PAN)
カメラを上方から下方に振ること。高速で移動する被写体を望遠レンズでつけPAN撮影すると、背景が流れて映りスピード感が強調される。この効果をアニメーションで表現するために、流線で描かれた背景を速く引くことを流線PANという。
流線PAN用に描かれた背景を「流PANBG」あるいは「流背(りゅうはい)」という。
撮影上は、背景を引くだけなのでFollowと同じ扱いにする場合が多い。




2.露出関連用語
◆露出
フィルムまたは感光材・感光素子(CCDなど)に光を当てること。
ある情景(被写体)をフィルムに焼きつける時に、その情景を忠実に画像として再現させるのに最も敵した光の分量があり、それを適正露出という。
その適正露出を越えて光を多く当てると、画面全体が明るく(白っぽく)なり、これを露出オーバーという。 逆に光が適正露出よりも足りないと暗く(黒っぽく)なり、これを露出アンダーという。
※フィルムを使わなくても露出は露出
仕上げ・撮影がデジタル化された今日では、撮影過程でフィルムを使用しなくなったが、フィルムを使った場合に得られる効果を基準にして、現在でも同様の使われ方をしている。
また実写ではカメラがデジタル化しても露出の本質は変わらない。
被写体から得られる光をレンズで受光体(CCDなど)に受けて、その信号をモニターで再現できる最も明るい色(白)から最も暗い色(消えている状態の色)の間で表現するという原理は、スクリーン上や印画紙の上に絵を再現することと同じだからである。

・露出変化
◆フェードイン(FI)
真っ黒の画面から徐々に情景が見えてくること。作品の冒頭やシーンの始まりに用いられる。また画面内に特定の被写体が無の状態から徐々に濃くなって現れてくるような撮影効果もFIという。

◆フェードアウト(FO)
情景が徐々に暗くなっていき、最後に画面全体が真っ黒になること。
作品のラストやシーンの終わりに用いられる。
また、画面内の特定の被写体が徐々に薄くなって消えていくような撮影効果もFOという。

◆ホワイトIN
真っ白の画面から徐々に情景が見えてくること。

◆ホワイトOUT
情景が徐々に白くなっていき、最後に画面全体が真っ白になること。

◆マスク合成
オスマスクとメスマスクをセットで作り、2種類(またはそれ以上)の画像または素材を合成する方法。

・多重露出
◆オーバーラップ(OL)
ある画面に別の画面が重なって徐々に現れ、やがて元の画面が消えて後から出てきた画面と入れ替わってしまうこと。
撮影処理的には、フェードアウトとフェードインを重ねて使うと、この効果が得られる。
二つのカットをつなげる時に、前の画面の余韻を残したい場合や、次の画面へと柔らかくつなぎたい場合、前後の絵を構図的あるいは意味的に重ねたい場合に使用することが多い。
また、時間を大きく飛ばしたい場合にも使われる。

◆オプチカル合成(光学合成)
撮影済みの複数のフィルムを、光学的に(現像処理で)1本のネガに合成すること。かつては通常の撮影台で撮れない多重撮影の効果を実現するために使用されていたが、撮影のデジタル化が進んでしまい不要となった。現在では劇場作品のオープニング/エンディングのテロップを入れる時くらいにしか使われていない。

◆カット内OL(中OL)
カットの中でオーバーラップすること。
例えば、1カットの中で時間が経過して背景の色味が変化するとか、物体の色が変化していくとかいう場合に用いる。

◆画面外透過光
画面の外から光(フレア)が入る透過光。画面内には光の本体は見えない。
画面の近くや手前の方から強い光が射していることを表現する時に使う。
透過光マスクは不要。

◆画面分割
マスク合成によって、ひとつの画面を複数のエリアに分割し、同時に複数の場面を映す方法。(ロボットの外観とコクピット内、など)

◆スーパー
ある画面を撮影した上に、さらに別の絵を部分的に多重露出すること。
この場合、多重露出した部分だけが露出オーバーになる。(画像ソフトにおける「加算」と同じ)
重なった下の絵が透けて見えるので、透明感のあるもの、実体の不確かなもの、光の反射などを表現するのに適している。
ただし、露出オーバーを利用しているので、スーパーする素材の色が黒っぽかったり、背景の色より暗かったりすると、ほとんど見えない。

◆多重露出
一度撮影したフィルムの上に更に別の画像を重ねて撮影すること。
つまり、フィルムに2回以上光を当てること。

◆ダブラシ(Wラシ/WXP=ダブルエクスポージョン)
スーパーと同様、透けているものを表現する時に使用する方法。
ある画面上に、透けさせたい被写体を置いた状態と、置かない状態とを多重露出する。すると透けさせたい被写体の後ろの風景が透けて見える。
例えば背景の上に、煙のセルをのせた状態で30%の露出をおこない、のせない状態で70%の露出をおこなうと、出来上がった画面には30%の濃度で煙が映ることになる。(画像ソフトにおける「不透明度」を100%より下げるのと同じこと)

◆透過光(トーカ光/T光)
発光しているものを表現するために、光る部分を強くスーパーし周囲にフレアを出して光っているように見せる効果。
フィルム撮影の場合は実際に発光するものの上にマスクを乗せて撮影していたが、デジタル撮影では「それに近い効果に見えるように」工夫して撮影されている。

◆透過光スーパー
透過光はもともとスーパーなので同義であるが、一般的には単に「透過光」という場合は、光の向こう側が透けないもの、「透過光スーパー」は、光の向こう側が透けて見えるもの、という違いがある。

◆入射光
画面外透過光の一種。光の筋をはっきりと見せて、その筋をゆらめかしたりして強い光を表現する。

◆ピンホール透過光
面積を持たない点状の透過光。
夜空の星や、瞳の光、遠くで何かが光っている表現などの時に使う。
クロス状のフレアを出したりして光のキラめき感を強調する場合が多い。

◆フレア
透過光の輪郭部に発生する光のにじみのこと。
この光のにじみがないと透過光らしさが出ない。
本来は撮影レンズやフィルムの感光材の上で物理的に発生していた効果だが、デジタル撮影では意図的に同じように見える効果を作り出している。

◆ペイントスーパー
セル塗り分けの特定の部分(特定の色)を選択しスーパーさせる方法。透過光と似た効果が得られる。
透過光と違い、マスクを別に作成する必要がないので、手間と動画枚数の節約になる。

◆ワイプ(ワイプカット)
カットをつなぐ時、画面の一部から徐々に次のカットの画面が現れ、入れ替わっていく手法。画面の端からカーテンを引くように替わるものや、画面内の一点から円状に広がるものなど、いろいろある。

・フォーカス関連用語
◆フォーカスOUT
フォーカスINの逆。ピントが徐々にはずれ画面がボケていく効果。シーンの終わり、特に回想シーンの終わりや、意識が遠のいていく人物の主観描写などに使われる。

◆フォーカスIN
ピンぼけ状態から徐々にピントが合い、情景が見えてくる効果。シーンの頭、特に回想シーンの始まりや、意識をとりもどす人物の主観描写に用いられたりする。

◆ピント送り
ピントの焦点をある被写体に合わせておき、カット内でその焦点をそれより手前または奥の別のものへ移動させること。観客の注意をある対象から別の対象に(強制的に)移したい場合に使うことが多い。

・フィルター関連用語
◆クロスフィルター
光を十字方向に散らす効果があるフィルター。
夜景や車のヘッドライトなどの点光源に対して使うと、光の足がきれいに十字に伸びて効果がある。
光の足の数は十字(4本)に限らず、その場の要求に応じて調節できる。

◆ディフュージョンフィルター(DF)
光をにじませる効果があるフィルター。
特に明るい部分の輪郭がにじんで見えやすい。
雨の風景、湯気の立ちこめた風呂場、水中、夢の中、回想シーンなどで使用されることが多い。

◆波ガラス
陽炎(カゲロウ)がたったように画像がゆらゆらと揺れる効果。
もともとは波打ったガラスや表面にポマードなどを塗ったガラスをレンズの前で移動させながら撮影したことからこの名前がある。
火災、カゲロウ、回想シーンへの導入などで使用されることが多い。
水中シーンへの使用は表現が稀号的で古臭く見えるので避けた方が良い。

◆パラがけ
パラとは色パラフィン(セロファンみたいなもの)のことで、フイルム撮影の時代には、これをレンズ前に置いて画面に影をおとしたりグラデーションをつけた。(透過光の色もこれでつけた)
現在のデジタル撮影では、それと同様の効果のことをいう。

◆モーションブラー
被写体ブレの表現。被写体の動く方向に合わせてブレ効果のぼかしをつける。被写体が高速で移動している感じを表現する際などに使用する。
ブラ−はCG用語でピントをぼかす手法のひとつ。単にブラーというと「ピンぼけ」のことになる。



Copyright © 2004 ALL rights reserved.