Bachリュート曲の変調弦ギターへの編曲

Bach with guitar decafish signature

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BWV996 BWV998 BWV999 BWV1006a

ヨハン・セバスチャン・バッハによるリュート曲をギター用に編曲しています。ただし、すべての曲で非標準的な調弦を使用しています。この変調弦によって音色の面白さと、技術的な問題の回避を狙っています。楽譜はすべてLilypondを使って書いています。
ぜひ、試してみて下さい。


サイトの目的と概要

バッハのリュート曲のギターによる演奏

バッハはバロックリュートのための曲をいくつか残しました。
いずれもバッハらしい名曲で、現在はギターによってもよく演奏されています。しかし、

  1. バロックリュートの調弦法がギターと異なる
  2. バッハ自身があまり演奏技術上の問題を重要視しなかった
  3. リュートを前提としていない曲も含まれる

ということもあって、そもそもギターでは物理的に不可能な音も含まれていて、我々素人には技術的に近寄りがたい曲が多いのも事実です。

そこで、物理的、技術的な困難を調整する編曲がいろいろ存在しています。それは

  1. 演奏不能な音はオクターブを変更、あるいは省略する
  2. 装飾音符を省略する
  3. 構成音を減らす。とくに中声部を省略する
  4. 低音部を簡略化する
  5. さらに、高声部も簡略化する
  6. それでも困難な曲は、組曲から外す

という手段を使って、いろいろなレベルのものが供給されています。

目的と編曲の特徴

バッハを聴くだけでなく自分で演奏することで、さらにバッハを深く知ることができるので、素人にも近づきやすくするということは非常に重要です。

しかし、本来のバッハの書いた音符を知らずに過ごすのももったいない話です。そこで私は

ということを考えました。最初の2点はこの編曲の特徴です。

変調弦というのはギターの、低音から
E-A-D-G-B-E
という調律ではない、曲の調性にとって自然な調弦を選ぶ、ということです。

具体的に言えば、例えばBWV1006aはホ長調で3弦の解放弦であるG音の出現頻度はかなり低くなっています。これを半音低いFisにすると解放弦の出現頻度が上がり、左手の負担を減らすことができます。フレージングにも有利になります。このメリットを最大限利用するために、非標準的な運指も使っています。

逆に変調弦を採用したための問題も発生します。そのメリットデメリットの詳細は後ほど議論します。


編曲楽譜のダウンロード

まだ全部揃っていませんが、できしだいアップします。
また、参考までにIMSLPのページへのリンクを同時に示します。

BWV996

3弦を半音下げたFisにして演奏できるように編曲しました。調性はオリジナルと同じホ短調です。

IMSLPのページ
  1. プレリュード
  2. アルマンド
  3. クーラント
  4. サラバンド
  5. ブーレ
  6. ジーグ

BWV998

調弦は3弦を半音下げたFis、6弦を全音下げたD、で編曲しました。調性はオリジナルより半音低いニ長調です。

IMSLPのページ
  1. プレリュード
  2. フーガ
  3. アレグロ

BWV999

これは変調弦を使っていませんが、運指の思想は同じです。調性はオリジナルより全音高い二短調です。

IMSLPのページ
  1. プレリュード

BWV1006a

3弦を半音下げたFisにして演奏できるように編曲しました。調性はオリジナルと同じホ長調です。

IMSLPのページ
  1. プレリュード
  2. ルール
  3. ロンド風ガヴォット
  4. メヌエットI、II
  5. ブーレ
  6. ジーグ

その他の覚え書き

楽譜化について

オリジナルの音符はIMSLPバッハ全集、あるいはBach Gesellschaftダウンロードページにある旧バッハ全集を参照しました。新バッハ全集は確認していません。これは新全集を無視したというわけではなく、単に経済的な理由からです。

オリジナルの音符を改めてLilypondで入力し直して、ギター用楽譜に書き直しました。Lilypondには運指など、楽器固有の記号を楽譜に書き込む機能がありますが、運指は楽器を手にして楽譜を見ながらする必要があり、LilypondはWYSIWYGではないため私には使いこなすことができませんでした。そのため運指などの記号は後から書き加えてpdfを作り直しています。

楽譜にはバッハの書いた音符とその他の発想記号などを可能な限りすべて残すことにしました。逆にそれ以外のオリジナルにない書き込みはしていません。従ってバッハがトリビアルであるとして省略した発想記号やフレージングの指定などは音符から読み取る必要があり、その点では不親切になっています。

技術的な難易度について

以上のような特徴を持たせることにしたので、残念ながら編曲としては必ずしも初心者向けにはなっていません。どちらかと言えば中-上級者向けですが、初心者向けの楽譜はこれまでいろいろ出版されています。逆にバッハはもともとどういう音符を書いたのか、それをギターで再現するにはどうすればいいのか、という疑問に答えようとしている楽譜は僕の知る限り、バッハ編曲の古典であるブルーガー博士のものしかありません。

初心者の方には、それぞれの技量にあった編曲版を利用されることをお勧めします。そういった初心者向けの編曲には飽き足らない方、これまでの編曲とは違った解釈や音色を求める方、あるいはバッハのオリジナルの音符に興味のある方にこの編曲を提供します。

編曲可能な曲と不能な曲について

当然ではありますが、バッハのすべてのリュート曲が変調弦ギターで演奏可能というわけではありません。BWV997はあまりに音域が広く、変調弦などと言った小細工は通用しません。また、BWV995やBWV999、BWV1000は本来の標準調弦がもっともメリットがあると思われます。ということで可能なもののみ行いました。組曲は構成する曲すべてを同一調弦で演奏できるようにしました。

著作権について

オリジナルのバッハの音符はオープンソースです。私の編曲は提供した楽譜(pdfフォーマット)の状態でのいかなる形の利用についてフリーです。ただし、変調弦を利用してバッハのリュート曲を編曲するアイデアのオリジナリティは私にあると考え、楽譜の改変に関してのみ私が制御権を保持します。

その制限は、先例が見つからない限りにおいて、でありもし先例が見つかればその制御権も放棄するつもりです。

その他

問題点の指摘、バグレポート、ご意見、ご感想など
decafish@gmai.com
までおねがいします。
ブログは
http://decafish.blog.so-net.ne.jp/
ギターに関する記事があります。



編曲の目標とその詳細

これまでのブログの記事へのリンク

  1. その1
  2. その2
  3. その3
  4. その4
  5. その5
  6. その6