第63号
2010年2月13日収録

 
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英夫とジャーナリスト仲間の懇談を
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◎ 小沢氏、検察と取引か
低次元の「政治とカネ」論議


 国会で「政治とカネ」をめぐる集中審議が行われた。鳩山首相の虚偽献金疑惑と小沢民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の収支報告書虚偽記入事件で、野党側が首相らを追及したが、うんざりする。自民党は攻撃するばかりで、自らの反省は全くない。鳩山首相が母親に資金提供を要請したという与謝野元財務相の質問は特にひどかった。低次元で論外だ。「おっかさん」が登場する総理大臣なんて、世界のどこにもいない。
 しかし、カネの問題で民主党のトップとナンバー2に疑惑があるのは事実。小沢幹事長については、秘書3人が政治資金規正法違反で逮捕、起訴された。これは異常だ。
 マスコミは何が何でも政治とカネの問題をただすという立場だ。小沢氏に国民が納得するまで説明責任を果たせと要求している。突然、潔癖性になった。道徳家になった。
 有権者も感情的、情緒的になっている。マスコミの論調と、小沢氏は説明責任を果たしていないとする世論調査の結果は、情緒的ということでは表裏一体だ。
 陸山会の土地購入資金の4億円は原資に問題があるにせよ、金額的にはたかが4億円だ。誤解がないように言わせていただければ、政治の世界では4億円や、鳩山首相が疑惑をもたれている12億円も「たかが」の話だ。今まで権力を握ってきた自民党の面々がどれだけの巨額のカネを動かしてきたか。
 小沢氏には旧自由党解党に伴い20数億円を手にしたとのうわさがある。原資は政党助成金で、藤井前財務相辞任の理由の一つとされるものだ。政治とカネの問題が起きるのは、政治資金規正法で企業・団体献金を規制するために政党助成金制度をつくりながら、献金を禁止していないためだ。共産党を除いて各政党とも政党助成金と企業・団体献金の両方を受け取っている。
 社民党は献金禁止を主張しており、去年の総選挙マニフェストで禁止を掲げた民主党内にも禁止の動きがでている。マスコミも小沢問題の皮相だけを取り上げるのではなく、政治資金の企業・団体献金禁止にメスを入れる視点が欲しい。

▼国策捜査に走る「正義の味方」

 西松建設違法献金事件で逮捕された小沢氏の大久保隆規秘書の場合も同じだが、石川知裕衆院議員の逮捕、起訴についても、世論操作を狙った検察の情報リークが目立った。国策捜査と批判されても仕方ないだろう。戦後の昭和電工事件以降、検察は正義の味方のイメージをつくり上げてきた。
 検察は小沢氏を起訴できず、完敗した。検察の捜査能力が落ちているのではないか。元東京地検特捜部検事の宗像紀夫氏は「マスコミを利用して世論を見方につけるやり方は納得ができない。自分たちはひそかに捜査をした」との趣旨のことを言っていた。
 被疑者の供述調書のプロットを立てるのは検察だ。リクルート事件で起訴された江副浩正氏が著書「リクルート事件・江副浩正の真実」(中央公論新社刊)で、検察が仕立てた調書への署名が保釈条件だったと書いている。検察官は被告に裁判になったら思うことを言えというが、結局、裁判官は調書を信用する。被告が法廷で訴えても調書中心主義で、政治裁判がまかり通る。
 小沢氏は、政治資金収支報告書の虚偽記入は「嫌疑不十分」で不起訴になったが、検察はあきらめたのだろうか。
 あきらめてないという人もいる。今後、脱税での立件という見方もあるが、政治資金規正法と比べて脱税は立件が難しいといわれる。
D 弁護士などの市民グループが、東京地検の不起訴処分を不当として検察審査会に審査を申し立てた。審査会が「起訴相当」を2回議決すると、小沢氏は自動的に起訴される。議決の行方は注目してよいだろう。
 小沢氏が不起訴になったのは、検察との取引があったからではないか。確かに検察にとって、小沢氏は田中金脈問題以来の宿敵だが、政治資金規正法違反なんて小さな話だ。民主党内には検事総長の民間起用など、検察にとっては天地をひっくり返すような話がある。検察は不起訴処分によって、小沢氏に恩を売ったのではないか。両者に政治的取引があったと見るのは、考えすぎか。

▼重大な小沢・キャンベル会談

 興味があるのは2月2日に行われた小沢氏とキャンベル米国務次官補との会談だ。不起訴になったのはその2日後だ。会談の内容は、小沢氏の意向で発表されなかった。その後、国務次官補が米国で、民主党議員団の訪米を要請したことを明らかにしたが、小沢氏はこれを受けて訪米の条件にオバマ大統領との会談を持ちだした。与党とはいえ、政党の幹事長クラスが米大統領と会談するのは、外交上あり得ない。小沢・キャンベル会談は不起訴と無縁ではない。米側は不起訴を読んでいたと思う。何か取引があったとみてよい。
 米軍普天間飛行場の移設問題が話し合われたといわれる。米国は、民主党政権が鳩山首相と小沢幹事長の事実上の二重権力構造とみている。普天間も実力者小沢氏が決定できると踏んでいる。
 普天間はその一つだろう。しかし、もっと大きな問題、つまり日米関係の根幹にかかわる問題が話し合われたと思う。米国の世界戦略に日米同盟をどう位置付けるかという点だ。ルース米大使もインタビューで、普天間移設問題は必ずしも日米関係の最重要課題ではないと言っていた。
 政府は、ハイチ大地震で国連平和維持活動(PKO)の一環として、陸上自衛隊の部隊を派遣した。先遣隊になったのは宇都宮の陸自中央即応連隊で、海外派遣とテロ対策を目的に編成された戦闘部隊だ。
 ハイチが事実上、米国の軍政下に置かれていることを考慮すると、自衛隊のPKO派遣は米国への供物ではないか。ハイチという遠隔地に派遣すれば、アジアなど近隣へは派遣しやすくなる。なし崩しの海外派兵といえる。
 政府はPKO五原則との関係で、ハイチでは武力紛争が生じていないから五原則には抵触しないとしているが、あたふたと派遣を決定、五原則をなし崩しにしている。

▼くすぶる幹事長辞任説

 世論調査では小沢氏の幹事長辞任を求める声が多数だが、内閣支持率はそれほど下降せず、民主党の支持率も自民党の支持率を上回っている。
 自民党がだらしないからだ。国民には民主党政権を取り替える選択肢がないからだ。それと有権者には、自分たちが期待して誕生させた民主党政権をもう少し見守ってやろうという意識がある。ただ参院選挙については不透明な部分もある。要は小沢氏が幹事長を続投して勝てるかどうかの一点。内閣、党の支持率がさらに下がるようなら、小沢氏は選挙態勢を整えてから辞めるかもしれない。
 混戦模様の長崎県知事選挙(2月21日投票)は注目してよい。民主党推薦候補が負ければ、党内外から小沢辞任をも求める声が強まるだろう。

▼自民、政権復帰は絶望的

 それにしても自民党の現状はひどい。政治とカネの問題を取り上げても、自分たちがさんざん甘い汁を吸ってきたから、追及に迫力がない。再生は不能で政権復帰は絶望的。参院選挙もじり貧だろう。
 自民党の悲劇は政権を失った要因が分かっていないことにある。総括ができていないから、民主党への対抗軸も戦略も打ち出せない。参院選でも失った票は戻らない。参院選が終われば、自民党という政党が55年の幕を降ろす。
 注目してよいのは舛添要一氏の新党結成の動きと、それに連動した「みんなの党」の存在だ。みんなの党はこのところ支持率を上げている。これらの政治勢力が合同、野合して民主、自民に対抗する第三極を結成すれば、参院選では台風の目になるかもしれない。
 民主党も普天間移設をめぐるもたつき、労働、福祉政策の後退など公約違反がある。
 民主党がこれからどういう路線を取るのかいまひとつ不透明だ。大きな政府なのか、小さな政府を目指すのか。構造改革路線に近いのか、旧来の自民党のような包括政党なのか、情緒的なスローガンが先走ってよく分からないところがある。
 戦後日本は一貫して天皇制官僚国家とも呼べる体制下にあった。公務員制度改革などで官僚をのさばらせない手法は新味がある。民主党政権の閣僚、副大臣、政務官は結構、優秀だと思う。
 官僚たちから見ると、うまく取り込んだ閣僚もいるが、戦々恐々、疑心暗鬼というのが実態だ。閣僚が記者会見で間違えたコメントをした際に、役人が助け舟を出さなかったケースがあった。官僚の現状は「モラル低下、模様眺め、閣僚のお手並み拝見」といったところか。

(2010年2月13日採録)

  



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