No.6
4月30日登録

 このページは、
 田 英夫とジャーナリスト仲間の懇談を
 月一度をめどにお届けします。


国会に復帰した田議員



▽永田町の丘の上は別世界
     
 
A : 田さんが繰り上げ当選し国会に1年8ヶ月ぶりに復帰しました。そこで今回は田さんが現在どんなことを実感されているか、感想も含めて話を伺うことにします。

田 :環境委員会に所属することになり今日は早速「遺伝子組み換え」に関する法案について審議があり、共産党が提出した修正案の採決がありました。採決ですから一応事前に社民党としての方針があるかどうか聞いたところ、私に任せるというので私は修正案に賛成してきました。しかし結局修正案は否決された。
 その委員会である女性議員が質問に立って「この法律もそうだが、法律というのはどうしてこんなに難しい言葉を使うのですか。なぜですか、答えなさい」って言うんだ。国会ではあまり見かけない場面で役人も苦笑していたが、しかし考えてみるとその議員の質問は一般の人が当然言いそうなことなんだな。いままでの国会の常識ではそういう質問をしたら、まともな感覚の持ち主ではないと思われる。しかしよく考えてみると国会の方も一般からみたら普通じゃない。つまり「どうしてこんなに難しい言葉で書くんですか」っていう質問が出るような世界が永田町という丘の上 に出来ちゃっている。立法の府なんだから当然国民生活に密着した法律が多いのは当たり前なんだが、一般の人に解らせるという努力を全くしていない。たったいま国会で経験したことだが、いままでには感じられなかったことが国会議員をお休みしたことでいくらか国民のというか一般の人に戻れたような気がする。

C :以前の議員時代の反省点があるとすれば具体的にはどんなことがありますか。

田 :永田町の中にいれば一般の人より情報を多く持っているんだと思っていた。だが実はその情報は偏った情報であってそれに気が付かなかった。特にここのところアフガニスタン、イラク問題が続いて起きてアメリカの攻防が際だっていたが、1年8ヶ月の休みの間、時間もあるからテレビや新聞を良く見たり読んだりした。あわせて皆さんとじっくり話をするからさまざまな情報が整理された。永田町では情報が入っているようで、それは勢い外務省などからのものが多い。その情報が権威のあるような感じにこちらがなっちゃって、実は外から見ているとジャーナリズムなどすべてを通して知っている情報と外務省の一方的な情報とではかなりの違いがある。永田町の丘の上というのは別世界になってしまっている。

田 :政党というのは初めから既成の観念に駆られている。その意味ですぐに頭に浮かぶ典型の人は山崎拓さんですよ。彼の言っていることは全く世間では通用しないっていうか、世間の感覚なしで永田町の中でしゃべっているとように思う。

B :あれで国民を理解した政治家であると平気でいられるというのも困ったものですね。

田 :だからどうやって政党・政治家を国民の中に引き戻すかが課題だ。保守新党の松浪健四郎さんなんていうのはチョンマゲ切ったことが懺悔の印だと言って、それで国会議員の命が助かっていると思っている。そんなことを許してはいけない。現在の統一地方選の無党派現象、つまり政党を守ったってダメだという考え、これは政党政治が落ちるところへ落ちた証拠だと思う。
 先日楢崎弥之助さん達が私の復帰のお祝いをやってくれた。そのとき楢崎さんが「菅君に直接言いたいがいないから伝えて欲しいが、このごろの若い現役の諸君は昔のことを勉強していない。有事法制のことが始まっているようだが、だいたい日米同盟という言葉を平気で使っている。川口外務大臣も日米同盟とよく言っているが、本当に日米同盟で良いのですか、とどうして質問をせんのかと伝えておいてくれ」と言っていた。

A :あれは鈴木善幸さんが81年に訪米して首脳会談で共同声明を作っていく中で日米の同盟関係という言葉を使った。あのときに軍事的性格を匂わせる同盟という表現をレーガンから呑まされた。

田 :その軍事的性格をめぐって当時外相だった伊東正義さんと善幸さんが衝突、伊東さんが外相をやめた。同盟関係という表現にはそんな背景がある。そんなことも勉強していないと楢崎さんは指摘するわけだ。もう一つは小泉首相が菅さんとの党首討論で菅さんが「あなたは公約をした通りやっていないではないか」と質したのに対し、首相が「公約はしたがそんなことは小さな事だ」と反論した。あれは首相の発言としては大変な発言だ。菅さんはあそこで厳しく追及すべきなのに次に話を進めてしまった。あれは内閣不信任案につなげるくらい大変なことだ。これまで内閣総理大臣が言ってきたことは大したことではないということではいっさい国会の議論など出来ない、って楢崎さんは怒っていた。 

A :しかし、これまでの予算委員会では同盟関係の問題にしろ、空中給輸機 、FMファントム、クラスター爆弾等々それらの問題は委員会で細かい論議の対象になっていた。それがいつの頃からかそういう論議をしなくなって、イージス艦のインド洋派遣までだらだらと行っちゃうことになっちゃったんだが、これは楢崎さんの言われるとおりですよ。言葉の使い方なんか実に安易だ。

 
▽自己中で生き残る

C:
田さん国会に戻ってみて国会の中はどんな感じですか。

田  :まだ正確にはわかんないけれどね、みんな自分のことで精一杯じゃないかと思うね。要するに自己中(自己中心主義)なんだねー。若い議員ていうか新しい政治家の人たちは・・・。党のためにていう意識もない、まあ松浪健四郎さんなんていうのはもっとも典型的でわかりやすいけれど。みんな自分が次の選挙で生き残っていく、生きていくというそのことが大事であって党のことはおろか日本のことなんか二の次と考えている。一応は考えているっていう顔をしているかもしれないけれど、本音は一番大事なのは自分だと思っている。だからこういう事態になっても野党間で昔だったら、イラクの戦争に引っかけて、あるいは占領政策に反対する議員の会なんていうのを昨って、緊急集会を開いたりしていた。
今は何の反応もない。

C :しかし、イラク問題だけでなくクラスター爆弾、松浪問題、住基問題、国民のために国会で審議をとめるくらいの問題が次々に提起されているのにどうなっているんだろう。

田 :この前、党のしかるべき立場の人にクラスター爆弾、イラクの占領政策に日本人を出す問題など抗議をしたり、少なくとも記者会見してこれはけしからんという意思表示をしなければダメだよ、と言ったんだけどなにもしない。それに米国のイラク復興人道支援室(ORHA)に日本人の要員を派遣するなんておかしいですよ。

田 :このままでは平和も守れないし、国民生活も守れない。もう政界を整理しなければダメだと思う。

B :田さんは参議院ですから、衆議院と違う特色を出して欲しいですね。例えばアメリカの下院は選挙の期間も短いからどんどん変わるんですよ。自分の選挙区のことばかり考えているんですけど。アメリカの上院は百人しかいないし、任期も安定しているから大所高所からものを言う。下院議員から比べると尊敬されている。日本の参議院はいつの間にか田中角栄さんの数の中に入れられちゃって、衆議院も参議院も同じになっちゃっているからその辺をなんとか変えないといけない。
 
田 :選挙制度を変えなくちゃダメなんですよ。つまり政党の二軍みたいになっている。政党の名前に投票する。だから緑風会みたいな状態にすれば二院としてのチェック機能が出てくる。緑風会なんかは世論をリードしたもんね。戦後の混乱期の中でね。人数もアメリカみたいに百人ぐらいで良いんですよ。その代わりレベルの高い、落ち着いて6年の任期を生かせる人が出てこないきゃいけない。

                                    

つづく
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第一号 2002年11月
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第四号 2003年 3月

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