ルーマニア・ジョーク

はじめに

 ルーマニア人の生活に欠かせないのがバンク(ジョーク)です。
 共産時代、この国のテレビは大変つまらないものでした。「人民の父」であるニコラエ・チャウシェスクの1日の足跡、共産党のプロパガンダとしてのニュース、さらに映画のラブシーンや政治的に問題があると判断されたシーンは容赦なくカットされました。放送は白黒で1日に2時間だけ。1980年代後半、ヨーロッパでアルバニアと共に唯一、カラー放送がないのがルーマニアでした。
 人々は食後の時間、テレビではなくバンクを楽しみました。自分で考えたもの、友人から仕入れたもの、様々なバンクが各家庭で飛び交いました。時にはかつて父親から聞いたものが、世代を超えて子供へと伝わっていきました。
 また、ある時は、配給物資を受け取るための大行列に並びながら、バンクの交換をし、笑い合いました。後に流血革命を誘発する、厳しい生活状況の中でも、バンクは生き続け、それどころかより一層、国民の大きな楽しみとして成熟、成長することになったのです。
 ただし、政府を批判するような内容のバンクは厳しく取り締まりを受けました。特に独裁をふるっていたチャウシェスク大統領を笑うような内容のものは、当時は御法度でした。町のあちこちに秘密警察がいた時代、一般市民の部屋の中にまで盗聴器が仕掛けられた時代の話です。
 それでもルーマニア人はバンクを忘れることはありませんでした。
 革命後、自由を手に入れた国民は、さらに多くのバンクを作り、その質と量に磨きをかけました。現在、街にはバンクの本が溢れ、テレビでは「バンクショー」なる番組が大変な人気を集めているほどです。
 東欧と聞くと、なんとなく冷たいイメージが日本人にはあるかもしれません。無表情? 不愛想? なんとなく怖い?
 いやいや。元々ラテン系の血を引く民族であるルーマニア人は、陽気でユーモアに富んだ楽しい民族。主人公「ブラ」を中心に繰り広げられる馬鹿らしいバンクをこれからたっぷりとお楽しみください。(2004年より月1回配信に変更)

2003年分

11&12月配信分(男と女編)

9&10月配信分(金髪女性編)

7&8月配信分(世界の国々編)

6月配信分(警察編)

5月配信分(ブラ編)

2004年分

NEW!!! 1月12日配信分

男と女のバンク

 町のバール(酒場)で労働帰りの男たちが一杯やりながら、バンクを楽しむ。外はしんしんと雪の降る寒い冬でも、バールの中は熱気で溢れている。そんな時に欠かせないのが、男女関係をネタにしたバンク。強い酒の一番いい肴がこれです。ルーマニア人男性がこれを話し始めたら、もう止まりません。

 ある男が市役所へと行った。
「すいませんが私、改名をしたいのです」
 窓口の係員が聞いた。
「あら、どうしてですか?」
「ちょっと自分の名前はどうにもよくないのです」
「なんという名前なんですか?」
「私、イオン・セックスという名前なんです」
「なるほど。わかりました。それで改名も仕方ないかもしれませんね。それでは、何という名前に変えましょうか?」
「はい。ニコラエ・セックスにしてください」

 大酒飲みとヘビースモーカーとホモセクシャルの男があるクリニックへ行った。まずは大酒飲みが診療所に呼ばれ、数分後、青い顔をして出てきた。
「もしあと一杯でも酒を飲んだら俺は死んじまうってさ」
 続いてヘビースモーカーが診療所へ入り、数分後、青い顔をして出てきた。
「もしあと一本でも煙草を吸ったら俺は死んじまうってさ」
 最後にホモセクシャルの男が診療所へ入り、数分後、やはり同じように青い顔をして出てきた。
「もしあと一回でも男と寝たら俺は死んじまうってさ」
 数日後、三人は路上で顔を合わせた。三人並んで歩いているうちに、酒場の前を通った。大酒飲みが髪の毛を掻きむしりながら叫んだ。
「俺はもう我慢ができない! もうなるようになれ!」
 彼はそう言って酒場に入り、一気に水割りを喉に流した。彼はその直後、卒倒し、そのまま命を失った。残された二人は呆然と彼の亡骸を眺めた。すると死体の胸ポケットに煙草が一箱入っているのを、ヘビースモーカーが見つけた。ヘビースモーカーは髪の毛を掻きむしり始めた。
「ああ! 俺ももう我慢ができない! もうなるようになれ!」
 彼はそう叫んで屈んで大酒飲みの胸ポケットから煙草を取ろうとした。するとホモセクシャルの男が叫んだ。
「ちょっと待ってくれ!」
「なんだ?」
「今、俺の前で屈まないでくれ。でないとみんな死んじまう」

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