第4回 エッセイ:実践!交渉術

このコーナーでは、これまで学校で習った事の中から、ビジネスで役立ちそうな内容を現実問題と結びつけて紹介していきたいと思います。第4回目は交渉術についてです。このテーマは、フォードスクールのForeign Policyの授業ので習っ議論した内容を自分なりに整理したものです。

私の習った交渉術といっても大したことはありません。詳しく知りたい方はこの本を読んでみて下さい。大切なポイントは、レバレッジと共通の利害(mutual interests)の2つです。コンセプトを教科書的に紹介してもおもしろくないので、私が最近実践した体験をもとにハーバード式交渉術の有効性について検討してみたいと思います。

つい先日、こんなことを思いつきました。”なんとか約30ドル/月の電話料金を15ドル/月以下にできないか”。アナーバーの電話会社は、S●Cという地域電話事業をほぼ独占している会社で、その競争相手の少なさから、かなり強気の営業活動をしています。いつも難癖をつけて30ドルのローカルパッケージを押しつけてきます。(もちろん私の英語の問題もありますが。)

そこで私は考えました。なんとか、私のレバレッジを見つけ、交渉を有利に進め、私とS●Cとの間に共通の利害を見い出せないのか。そこで思いついたのが、ライバル会社を勝手に造ってしまうことです。運良くケーブルテレビのCO●CASTが電話事業もやっているということを友人から聞いたので、CO●CASTが14ドルのオファーをしてきたことをでっちあげることにしました。これで見かけ上のレバレッジをもったことになります。

そして、次に必要なものは、共通の利害です。つまり、私の利益にもなり、S●Cの利益にもなる、そのような交渉の落としどころを見つけなければなりません。私が考えたのは、「S●Cが14ドル/月をオファーしてくれたら、信頼のおけるS●Cさんのサービスを受けますよ」なんていう殺し文句を言ってやろうということでした。

しかし、これではまだ十分ではないかもしれないので、こんな条件をつけました。「最近、ケーブルテレビ会社のCO●CASTのセールスマンが毎夕電話してきて、今日決めたら1ヶ月ただにするなんて言うんですよ。電話を長年扱っているS●Cさんの方が信頼おけるので、断り続けているんですが、いかんせん昨日14ドルという破格の値段をオファーされたので、今日の夕方セールスマンから電話があったらそちらに切り替えようと思っています。ちなみにS●Cはいくらならオファーできますか?」

以上ことを実践して見ました。すると、S●Cの担当者が上司と数分間相談した後で、S●Cは14ドル最安値のプログラムをオファーしてきました。このプログラムはS●CのHPにも掲載されてませんし、なかなか担当者がすすめてこないプログラムのようです。

とても面白かったのが、他会社の具体名と具体的なオファー額についてふれたとたんに担当者の声のトーンが明らかに変わり、私を引き留めようと必死になりはじめたことです。このとき私は”レバレッジ”をもったことを確信しました。これでこの交渉を有利に進めることができると思いました。あとはトントンと私のゴールである”電話料金を15ドル/月以下”は達成できました。市内電話はかけ放題だし、日本からも問題なく電話はかかってくるので、サービス内容も以前とほとんどかわりませんでした。

あと、交渉中に感じたことは、大きな声でやや威圧的に話をはじめると、交渉には非常に有利な感じがしました。おそらくこちらに自信や確信があるように聞こえたのでしょう。私の英語は明らかにネイティブでなく流暢でないのにもかかわらず、担当者は圧倒された様子で、すぐに上司と相談するといって、電話から離れていきました。(最近はセールスからの電話があると、わざと大きく威圧的な声で、自分の電話番号をすぐにセールスリストから外すよう要求するようにしています。)

ハーバード式交渉術に紹介されている、レバレッジや共通利害といったコンセプトは、交渉を有利に進めるための考え方の整理にとても役に立つことが、この経験からわかりました。日頃からなんとなく「実践できないかな?」と考えていたのですが、ふと思いついたアイデアも頭の中で自然にこのコンセプトを利用していたようです。おもしろいので残された時間でいろいろと交渉術をためしてみたいと思います。

日本でも帰国後に引越がありますので、引越し業者との代金交渉でも実践してみたいと思います。つまりは、レバレッジ創造した上で、共通の利害のある落とし所を見つけるという2段階で、交渉を有利に進めてみたいと思います。交渉社会のアメリカで通用したやり方が日本でどこまで通用するのか、とても楽しみです。

それではこの辺りで。

mike, April 30, 2004





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