ビジネスに役立つ本−ビジネス書評(自己啓発(リーダシップ)・投資・経済・政治等)


ここでは、私がここ数年で読んだビジネス書の紹介とその評価をしています。要するに、ビジネス書評です。ここの”おすすめ度”はビジネスマンにとって役立つかどうかという観点から評価しています。本自体がおもしろいかどうかという判断基準ではない点に留意して下さい。ビジネスマンだけではなく、就活中の学生にもぜひおすすめです。


◎自己啓発(考え方)・リーダーシップ・コミュニケーション

◎投資(インベストメント・ファイナンス)
◎経済学
◎交渉術
◎政治学
◎ロジカルシンキング
◎歴史・文明史
◎その他


◎自己啓発(考え方)・リーダーシップ・コミュニケーション

嫌われる勇気 岸見 一郎 (著), 古賀 史健 (著)  おすすめ度 ★★★★★

アドラーの心理学を、哲人と普通の青年との対話からわかりやすく読み解いていく本です。アドラーの心理学とは全く知らなかったのですが、幸せに生きる生き方を示してくれるすばらしい考え方で、心理学の本というよりも、幸福な生き方入門といった感じの本でした。人からの評価は自分ではどうしようもないので、あまり気にしないで生きてみたらどうですかと言われてるようで、すごく生きるのが楽になります。だからタイトルが嫌われる勇気となっています。また、これからの人生は自分の考え方・行動次第でいい意味で変えることができるということなので、何事も前向きにとらえることができるようになります。とにかくすばらしい本ですので、ビジネスマンだけでなく、あらゆる人におすすめします。

エッセンシャル思考 グレッグ・マキューン (著), 高橋 璃子 (翻訳)  おすすめ度 ★★★★★

マルチタスクの弊害を強調し、本当に重要なことに絞ってやることの重要性を唱えている本です。逆に言えば、無駄なものはどんどん捨てていくことをすすめています。シンプルに生きる禅的な考え方がビジネスマンにとっても有用であることを教えてくれます。内容もすごく充実していてとてもおすすめです。

人を動かす デール・カーネギー著 おすすめ度 ★★★★★

人を動かすにはどうしたらいいのかを、いろいろな事例でわかりやすく解説してくれる。表紙からすると難しそうな本であるが、内容はきわめて容易でわかりやすい。部下を1人でも持ったら、必ず読みたい。頭のいい人にありがちな、批判したり、独りよがりになったりすることの無意味さ(時にはマイナスになること)を訴えている。とにかく読むことをお勧めします。私も4度も読んでますが、毎回新しい発見があります。

ハーバード流ボス養成講座 リンダ・A・ヒル (著), ケント・ラインバック (著) おすすめ度 ★★★★★

自分・人脈・チームをマネージメントすることがリーダーの要件だということを訴えた本。当たり前のようななかなかできないことを物語風に読みやすく書いてあるので、部下をもつことになったビジネスマンにはおすすめです。権力をもった人が陥りがちな点についても書いてありますので、自分の行動と照らし合わせながら読むことができます。タイトルが良くないですが、多くの気づきを与えてくれる中身がある良書です。

人材論 樋口広太郎 著 おすすめ度 ★★★☆☆

人材・リーダシップについてアサヒビールを復活させた著者の見解をまとめた本。「人を動かす」に書いてあることと同じようなことがいろいろと紹介されている。

EQ こころの知能指数 ダニエル・ゴールマン著 おすすめ度 ★★★★★

リーダーシップに欠かせない能力としてEQ(こころの知能指数)を提唱した本。IQが高い人は頭はいいかもしれないが、必ずしも組織のリーダとしては十分ではないことを説明している。ビジネスEQの入門書。ロジカルシンキング関係だけではなく、こちらの本も読むとビジネスマンとしての幅が広がるのでは。。

EQ こころの鍛え方 行動を変え、成果を生み出す66の法則 高山直 著 おすすめ度 ★★★☆☆

EQ能力とは何かを4つの特性から説明してくれる。自分のEQ能力チェック、EQ能力の向上の方法も具体的に紹介していてわかりやすい。でもダニエル・ゴールマンの本ほどしっかりとした内容にはなっていない。

◎企業動向・投資(インベストメント・ファイナンス)

インターネットの次に来るもの ケヴィン・ケリー著  おすすめ度 ★★★★★
アマゾン、グーグル、フェイスブック、テスラなどアメリカで稼いでいる会社のビジネスから見えてくる未来の世界
について書かれた本です。IoT(モノのインターネット)、エアビーアンドビー(民泊)、ライドシェア(車の相乗り)
、キンドル(電子書籍)、バーチャルリアリティ、人工知能などが現在どこまでできていて、将来どのように進化して
いくのかという疑問に著者の独特の言い回しで書かれている。抽象的な記載も多いが、ボリュームある大作で、人工知
能・ロボットなどの先端技術が世の中をどのように変えていくのか、グーグル、フェイスブックは世界の覇権をどのよ
うに狙っているのかを体系的に知るための必読ビジネス書だと思う。一方で、なぜソニーなど日本のメーカーが苦戦し
ているのかも理解できます。読破にまるまる1週間かかりましたが、読後、大きな充実感がもてます。

シリコンバレーで起きている本当のこと 宮地ゆう著  おすすめ度 ★★★★★
シリコンバレーというとグーグルやフェイスブックなどの世界最先端企業の城下町というイメージであり、それは
一面では正しい。人工知能・ロボットに関しての最新動向や先端企業で働く人々の生活といった光の部分も紹介しつつ、
個人情報漏洩(監視社会)・貧困格差拡大・住宅問題などの影の部分もわかりやすく書かれている

バビロンの大富豪 ジョージ・S・クレイソン著 おすすめ度 ★★★★★

給与天引きによる貯蓄法などよく聞く蓄財方法の有用性が紹介されているが、これが昔から、しかも海外で言い伝えされているとは驚く。当たり前のような蓄財法だが、その有用性、投資での複利の大切さなど読めば気づきがたくさんある本。原理原則をあらためて学ぶのにとても良い本です。

外資ファンド20%のからくり 北村慶 著 おすすめ度 ★★★★★

金融のことを学ぶならこの本がおすすめ。アカデミックな視点よりも実務的な視点からいろいろと書かれています。世の中でハゲタカと言われている外資系ファンドのからくりをわかりやすく説明しています。よく読んでいくと、市場の歪み、レバレッジ、リスク分散といったファイナンスのごく当たり前のことを実践しているだけで、何もマネーゲームをやって高い利回りを獲得しているわけではないことがわかってきます。タイトルはあやしげな本ですが、中身はしっかりとした本です。

金融広告を読め 吉本佳生 著 おすすめ度 ★★★★★

金融のことを勉強したいというよりも、金融の基本的な知識をつけたい人におすすめの本。だれもが知っている金融商品を客観的に紹介することで、騙されやすいポイント、儲からない理屈をわかりやすく解説してくれている。また、解説の随所に、金融用語を大変わかりやすく説明してくれているので、金融入門の本としても優れている。

◎経済学

人工知能と経済の未来 井上智洋著  おすすめ度 ★★★★★
人工知能が雇用にどのような影響を与えて、社会(政府)としてどのような政策が必要になっていくのかをマクロ経済学者の視点から説いている。現在の人工知能がどこまでのことができていて、何ができていないのか、これからいつ頃どのようなことができるのかをわかりやすく書いてあるので、人工知能の知識を得るのにも良い本です。後半に出てくる、ベーシックインカム政策(生活保護制度を拡充した基本所得保障制度)についても平易な表現で書かれてあり、一読の価値がある。

新所得倍増論 デービッド・アトキンソン著  おすすめ度 ★★★★★
日本経済は潜在能力を発揮できていない。この問題は生産性が低いことにあり、女性の活用・ITのフル活用により生産性を高めることが重要で、そのためには、時価総額を高める市場のプレッシャーを通じての日本の経営者の意識改革が必要という主張がされます。先進国並みの生産性を達成すれば日本経済はまだまだ成長の余地があるということです。著者は現政権にも影響力のある有識者であるので、これからの日本の政策になりうる本として一読の価値があると思います。働き方改革などもその一環なのかもしれません。上念司著の「財務省と大新聞が隠す本当は世界一の日本経済」もあわせて読めば、これからの日本政府がとるべき経済政策が見えてきます。

入門ミクロ経済  石川秀樹 著 おすすめ度 ★★★★★

ミクロ経済学の基本となるコンセプトをしっかりと説明している。この手のタイトルの本はすごく薄っぺらい内容の本が多いが、この本は違った。実際の世の中の仕組みを経済学用語を使いながらひもといている。硬いミクロ経済の本を読む前に是非一読してほしい。

入門経済学 伊藤元重著 おすすめ度 ★★★★★

ミクロ・マクロ経済学の基本となる、需要と供給の関係などを数式を使わず、身近な話題を取り上げながら実践的に解説してくれている。いまもっとも注目を浴びているエコノミストが書いたものでもあり内容は間違いない。堅苦しいアカデミック系の本が苦手な人はこの本から入るのがよいでしょう。私も日本からこれを1冊買って持って行きました。

ミクロ経済学入門(日経文庫) 奥野正寛著 おすすめ度 ★★★☆☆

経済学を勉強したことがない人にはおすすめの本。数学をほとんど使わずにグラフによるわかりやすい解説がしてある。コンパクトな手のひらサイズなので通勤時にも読みやすい。ただし、数学をつかっていないので、どうしてそうなるのかがわからない箇所もあるので、読みやすいところから読み始めて、わからない箇所はキーワードを覚えて置き、別のミクロ経済学の教科書を当たるといい。

産業連関分析入門(日経文庫) 宮沢健一著 おすすめ度 ★★★☆☆ 

企業間の取引をあらわす産業連関表をどのように見て、それをどのように使うのかがわかりやすく解説してある。阪神が優勝したときの経済波及効果は××億円などとときどきニュースで聞くが、それがいかに計算されたのかもこの本を読めば大体理解できる。1〜3章まで読めば基本はマスターしたと言えるだろう。

資本主義のための革新 小室直樹著 おすすめ度 ★★★☆☆

資本主義というと自由と繁栄をもたらす経済システムをイメージしてしまう人には、そもそも資本主義とは何なのかを知るのに良い1冊。そうすることで、現在の日本の資本主義の問題点も見えてくる。著者である小室直樹が、シュンペーターが力強く訴えた企業家精神をとてもわかりやすく解説している。また、その企業家精神と日本のサムライスピリットとからめて面白い議論を展開している。シュンペーターを知らない人は一読の価値あり。小泉内閣が目指す経済改革も、このシュンペーターの創造的破壊とおそろしいほど似通っている。

シュンペーター(講談社) 根井雅弘著 おすすめ度 ★★☆☆☆

イノベーション、創造的破壊、新結合、企業家精神といった資本主義原論を展開したシュンペーターの一生と彼の考え方を描いた本。
シュンペーターは、ケインズと並んで20世紀を代表する経済学者であるにもかかわらず、経済学の教科書で1章をさいて彼の考え方を紹介しているものは見たことがない。そういった意味で、読む価値があった本。ただ、残念ながら、イノベーション、創造的破壊、新結合、企業家精神といったシュンペーター経済学が現代経済政策にどのようにあてはまるのかはわかりにくかった。

今こそマルクスを読み返す(講談社現代新書) 広松渉著 おすすめ度  

読書中。

自由と経済開発(日本経済新聞社) アマルティア・セン著 おすすめ度 ★★★☆☆ 

この本は、98年にアジア人としてはじめてノーベル経済学賞を受賞したアルマティア・センが書いた”Development as Freedom”という原書を日本語に訳したもので、センが紹介した主な概念はこの本に濃縮されている。

センは、人の豊かさ(幸せさ)は収入ではあらわさせず、自由度の大きさであらわされると主張する。センによる開発(経済開発を含む広い開発)とは、人々の自由を一つずつ獲得してゆくプロセスのことである。自由とは、例えば、政治家を選べる自由だとか、教育を受けることだとか、好きな食料を買える自由だとか、職業が選べる自由だとか、好きなところに行ける自由だとか、自然災害にあわない自由などいろいろ考えられる。経済的な自由もあるが、政治的なものや、人間の権利に関わるすごく基本的な自由もある。センによると、国が貧しければ、自由が制限され、人々は不自由な状態にある。だから、貧しい国の開発では、不自由を取り除く、つまり、人々の自由を1つづつ拡大して、自由を獲得してゆくことが大切になってくるという。本書ではわかりやすい表現でセンの言う自由の概念が理解できる。

現代の経済学の巨人たち(日本経済新聞社) おすすめ度 ★★★☆☆

現代経済学の発展に貢献した経済学者(ケインズ、シュンペーター、フリードマン、サムエルソン、レオンチェフ、ノイマンなど)を簡潔でわかりやすく解説した本。一般ビジネスマン向けに書いてあるので気軽に読める。もちろんこの本で体系的な入門経済学をマスターすることは不可能であるが、どの経済学者が現代経済学にどんな概念を紹介したのかが整理できる本。シュンペーターのパートは竹中平蔵氏が担当している。もしかしたら、彼はシュンペーターの創造的破壊を小泉政権で実践しようとしているのではないか。

制度・制度変化・経済成果 Douglass C. North著 おすすめ度 ★★★★☆

ノーベル賞を受賞したダグラスノースの制度派経済学がとてもわかりやすく理解できる良書。彼の言う制度(Institution)とは社会経済活動をゲームと見なしたときのルールである。この制度(Institution)の大きな役割は、取引を中心とする社会経済活動にともなう情報の不確実性を少しでも取り除くことにある。この不確実性は情報の不完全性から生まれてくる。この不確実性とは、取引費用(Transaction Costs)であらわされ、市場に取引費用が大きければ大きいほど非効率となり、市場取引の大きな阻害要因になる。

例えば、発展途上国の薬局で風邪薬が売られているとする。この国では、薬局に価格を表示するルールがないために、この風邪薬を買うためには店主と価格交渉をしないといけない。この風邪薬の本当の値段は、その薬の成分や効き目、安全基準など総合的に評価しないとわからないものだが、薬局の店主が提示してくる値段が正当なのかどうかは、買い手にはわからない。だから、多くの買い手は、その風邪薬を買うのをやめるか、一度その薬局を立ち去って知人の医者に尋ねたり、自宅のインターネットで適正価格を調べることになってしまう。こんなことを風邪薬1つ買うのにやっていたらその国の経済は発展しないことは容易に想像できるであろう。つまり、制度によって、薬の価格提示の義務だとか、薬の安全基準だとか、買い手に信頼できる情報を与えることが重要になってくるのである。この制度をうまくつくりだすことによって、買い手の風邪薬についての不確実性を取り除き、薬局を立ち去ってからいちいち調べる取引費用を低くすることが、経済発展には重要なのである。

これまでの経済学ではこの不確実性についてはほとんど考慮されていなかった。全ての人々は完全な情報(不確実性がゼロ)をもっており、その完全情報をもとに合理的な判断をするという仮定の上で議論が展開されてきた。しかし、上の例に見るように、現実の世界では完全情報の仮定が成り立っていないケースが多い(金融市場のように激しい競争環境があるときには、”完全情報”を仮定することはおかしくない)。つまり、常に人々は不確実性をもつ中で社会経済活動を営んでいる。社会経済が発展すればするほど、この不確実性が大きくなっていき、この不確実性を少しでも取り除くことが必要となってくる。

以上のように、途上国の経済発展を考えるときに、この不確実性(すなはち取引費用)を少しでも低くする制度(Institution)を導入することが重要であることは明らかになった。このような制度(Institution)をつくりだすことによって、その国の経済は取引費用が節約され、効率的な経済が形成され、取引の拡大をともなって発展することが可能となる。

このようなダグラス・ノース(Douglass C. North)に代表されるポスト・ワルラスの制度論に対しては「新制度主義」という呼称がしばしば用いられており、開発経済学の分野では大きな注目をあびるようになってきている。

The Good Society: The Humane Agenda(Houghton Mifflin) James K. Galbraith (著)

読書中。


◎交渉術

交渉のセオリー 高杉尚孝 著 おすすめ度 ★★★★☆

NHK講座の人が書いた交渉術の本なのであまり期待しないで読んだら、かなりおもしろく実践的でびっくりした。ハーバード流とは違った視点で交渉の13のセオリーをわかりやすく紹介している。実用書としては、ハーバード交渉術より優れているかも。内容もとてもシンプルに書いてあるので、ときどき読んで、リマインドすればかなり実践的につかえそうである。

負けない交渉術 大橋弘昌著 おすすめ度 ★★★★★

ハーバード流交渉術と同じような内容が書いてあるが、こちらの方が、わかりやすいと思う。アメリカで弁護士をつとめる日本人が書いてあり、具体的な訴訟事例などが盛り込まれており、楽しくいわゆるハーバード式のウィンウィン交渉術の基礎を学ぶことができる。また、ポイントを箇条書きでまとめてあるのもうれしい。

ハーバード流交渉術(Getting Yes)(Roger Fisher & William Ury 著) おすすめ度 ★★★★☆

ハーバード式交渉術の入門書。アメリカスタイルの交渉術というと、強引な取引や駆け引きをイメージするだろう。しかし、この本では交渉とは、「創造的な問題解決(creative problem solving)」をするためのものであると主張している。自分と相手との「共通の利害(mutual interests)」を見つけ、そこに突破口を見いだして交渉を進めて行くべきだと著者は力説している。人間関係の大切さなど日本の交渉ですでに強調されているポイントを再確認させてくれる。アメリカに出てきた新しい交渉スタイルを理解する上でもすばらしい本。私は原書を読んだが、日本語版も出版されているようである。

Bargaining for Advantage: Negotiation Strategies for Reasonable People(G. Richard Shell 著) おすすめ度 ★☆☆☆☆

ビジネススクールで教えられている交渉術を解説した本。information based bagaining modelといわれている交渉方法。ハーバード式交渉術が「共通利害(mutual interests)」を強調するのに対して、「影響力(leverage)」をいかにうまく使うかということがポイントである。ハーバード式交渉術についても一部記述してある。読後の感想だが、やや総花的な内容で、何が大切なポイントなのかがとてもわかりにくい。また、この方法が実践に使えるかどうかも疑わしい。あまりおすすめできない本。

Influence(影響力の武器) ロバート.B.チャルディーニ 著 おすすめ度 ★★★★★

この本はそのタイトルどおり、どうやって議論の相手に”影響(influence)”を与えるのかを心理学的な見地から考察した本で、いろんな相手に影響を与えるテクニックが紹介されている。本文中にはキーワードとして、”影響を与えるための武器(weapon of influence)”という表現が良く出てくる。これは、”武器”という表現から推測できるとおり、セールスマンが消費者を騙すテクニックとしてよく使われているようである。この本は、「人間は全ての事柄について熟考している時間はなく、自らの経験や植え付けられたイメージ(ステレオタイプ的なイメージ)をもとに、物事の判断をしている」ことを強調している。例えば、宝石店で指輪を買うときには、宝石の質よりも宝石の価格からその価値を推測し、それで自分に見合う宝石を選ぶといった具体的な事例も紹介されており、すごくわかりやすい内容となっている。ミシガン大学の講義でもこの本の一部が宿題になったのですが、その後で、興味が沸いて全部読みましたが、営業職でなくても、セールスマンから身を守る消費者の立場からもすごく実生活に役にたっています。最近は、実践編も出たようですので、より深く理解したい方は是非どうぞ。

◎政治学

恐怖の地政学 T・マーシャル著  おすすめ度 ★★★★★
地政学とは、世界のあらゆる国は、その国が置かれた土地の地理や地形で説明できるという考え方で、国際社会でおきているいろいろな紛争もわかりやすく解説してくれる。中国とインドはヒマラヤ山脈で挟まれており、大きな紛争がないとか、中国がチベットをどうしても抑えておきたいのは、対インド戦略であることなど、目から鱗であった。このように、新聞やニュースでは表層的な内容しか出てこないが、紛争の本質をずばりと解説してくれる。
国ごとに章立てされ書かれているので、自分の興味があるところから読み進むことができる。中国の海洋進出の理由、ロシアがクリミア半島に侵攻したことの本当のねらい、プーチン大統領の本当のねらいなどがタブー抜きにして赤裸々に書かれている。イギリス人著者から見た日本についても日本人から見ても納得できる内容になっている。イギリスでのベストセラー本みたいで、国際情勢に関心ある人だけでなく、エネルギー問題についても多く書かれており、ビジネスマン全般は必読の書ではないだろうか。

アメリカの保守とリベラル(講談社学術文庫) 佐々木毅著 おすすめ度 ★★★★☆

アメリカ政治に興味のある人には必読の政治学入門書。もっともシンプルにアメリカ政治を理解する方法は民主党と共和党のイデオロギーの違いを理解することであろう。著者は、アメリカ政治における保守(共和党)とリベラル(民主党)の対立の歴史を紐解きながら、その違いと共通点をわかりやすく解説してくれる。

第三の道 Anthony Giddens (原著), 佐和 隆光 (翻訳) おすすめ度 ★★☆☆☆

トニーブレア政権の目指す第三の道を解説した本。政府とはいかにあるべきか。小さな政府か大きな政府か、効率を目指す政府か公正を目指す政府か、などなどいろんな切り口がある。もっともシンプルな切り口は右派か左派かという分類だと思うが、トニーブレアの目指す第三の道は、右派左派の中間という位置づけであるらしい。ときに社会民主主義の新しい方向ともいわれるようである。アメリカの民主党やトニーブレア英国政権を理解するには必須の本かもしれないが、いかんせん和訳がわかりにくい。原書をあたったほうがいいかもしれない。

A Theory of Justice(Harvard Univ Pr) John Rawls著 おすすめ度 ★★★★★

政治哲学者ジョンロールズが社会正義について論じた本。政府が弱者を救済することに正義はあるのか?という根本的な問いに説得力のある思考実験を通じて答えを出してくれる良書である。人間が無知のベールにつつまれ、社会的なステータス、収入、資産、男女、健康状態などの自分に関するあらゆる状態を自分が分からない状態にいたら、人間は一体どんな決断をするだろうかという思考実験を通じて、真実の社会正義を探る。福祉国家の正当性によく持ち出される彼の議論は、国家政策の公平性を論じたい人には必須の書。

民主主義とは何なのか 長谷川三千子著 おすすめ度 ★★★★☆

「民主主義とは何なのか?」という根本的な疑問に、ギリシア哲学や民主主義と戦争の歴史を振り返りながら、答えていく。
民主主義というと、国に繁栄と平和をもたらす絶対善の政治システムをイメージしてしまうが、この本は民主主義の歴史を振り返り、民主主義とは恐ろしいものであることを論じている。民主主義とは理性を使わせない恐ろしいシステムであるという。相手の意見を謙虚に聞き、自分の理性に訴えた判断をしていくことが大切にもかかわらず、民主主義では相手の意見をいかにうち負かすのかというディベート的な議論に走りやすいそうである。(日本の国会での議論を考えてみても、そのディベート的な傾向が見られる。つまり、自分の党の立場が絶対的な立場で、相手側の良い意見・アイデアを謙虚に受け入れるという理性的な姿勢はほどんど全く見られない。)

確かによく考えてみると、国民主権を唱える民主主義においては、多数決の原理での意思決定が必要となる。多数決で決定してしまったものは、自分が好んでいない決定であっても、国民の意思として扱われてしまう恐ろしさがある。独裁者として知られるヒトラーの当時の支持率は98%であった。つまりナチズムは「民主主義の大洪水」であった。国民はヒトラーに熱狂し、ヒトラーのやることは国民の意思であると信じていたのであろう。こんなことを考えていくと、確かに民主主義と必ずしも絶対善ではなく、なんとなく危ない面も含まれているような気がする。いまのアメリカがアラブの国に民主的な国家を立てるなんてことを言っているのも疑わしくなってくる。

◎ロジカルシンキング

考える技術・書く技術(ダイヤモンド社) バーバラ・ミント 著  おすすめ度 ★★★★★

いかにわかりやすい文書を書くのかということを論理的に解説したビジネス書。この手の本はいろいろ出版されているが、この本がダントツにわかりやすく実践的な本である。特に読み手を意識した文書を書く大切さと、それをいかに書くこととして実践するのかが、とても論理的に解説してある。私はレポートや報告書を書く機会を利用して、数回実践したら自然に身についてしまった。ビジネスマン必読の書といえる。留学のエッセイを書くさいにも役立つし、大学でのレポート作成にもものすごく役に立った。

考える技術・書く技術 ワークブック(上) バーバラ・ミント 著 おすすめ度 ★★★★★

「考える技術・書く技術」の演習本です。コンセプトを理解したら、このワークブックでどんどん演習していきましょう。演習しているといろな疑問が浮かんでくるので、そこでまた、「考える技術・書く技術」を読めば、さらに理解が進みます。

ロジカルシンキング 照屋華子ら著  おすすめ度 ★★★★★

論理的思考の基本をマスターしたいなら、まずはこの一冊がおすすめ。バーバラミントの考える技術・書く技術と基本は同じことを教科書的に述べている。例題・演習的な本ではないために、やや読みづらいが、繰り返し読むことで薄っぺらい本よりは得るもは多かった。今でも、ときどきこの本を開いているが、いつも気づきがある。実践力を身につけるには、この本をあわせて論理トレーニング101題をやるといい。

新版論理トレーニング 野矢茂樹著  おすすめ度 ★★★★★  

留学で必須のスキルである論理的思考を鍛えるのにおすすめの書籍。この本にも書いてあるように、解説書を読むだけでは、論理的思考能力は鍛えられない。電車の中でも読んでいけるようになっている。留学のエッセイ作成やロースクールの適性試験にも役立つ。接続詞の使い方などは日本語だけではなく、英文作成にも通じる非常に役に立つ考え方が身に着くようになっている。

論理的に考える方法  小野田 博一 著 おすすめ度★★★☆☆

”論理的”というと何か難しそうなイメージをしてしましがちだが、そうではないことをこの本は教えてくれた。1通り読んでみてしっくりこなかたので3回読んでみると、なるほど著者の言いたいこともわかってきた。これを読みおわるととても頭の中がすっきりとする。同シリーズの「論理的に話す方法」もかなりおすすめ。

創造の方法学(講談社現代新書) 高根正昭 著 おすすめ度 ★★☆☆☆

スタンフォード大学とカリフォルニアバークレーに留学経験のある著者が、アメリカの大学院での研究活動をもとにいろいろな学問の方法学を紹介している。アメリカと日本の大学院で違いなど、とてもうなずける内容がたくさんあり、おもしろく読めた。例えば、「(アメリカの)大学の生活は短期集中決戦の積み重ね」だとか、「アメリカの大学教育においては、「3つのR」つまり「読み、書き、算数」の基本的訓練がしっかり行われている」などは本当に的を得ている。ただ方法論の解説部分は中身が古いので、実践的に役立つかどうかはわからない。

わかったつもり 読解力がつかない本当の原因 西林克彦 著 おすすめ度 ★★★★☆

読解力がつかない本当の原因は、人々が「わかったつもり」に陥って、理解を深めようとしない状態(=思考停止状態)になることにあると主張する本です。国語の教科書からいくつかの具体例(練習問題)が挙げられており、自らがわかったつもりに陥ることが体験できます。特に。文脈を入れ替えて何度か読めば(文脈力)いろいろな読み方ができる話は目から鱗だった。自分の読解力が客観的に見ることができるので、しっかりと読み、理解し、本書が言っていることを実践すれば、読解力向上につながります。また、最後にある現代文センター試験について解説もとっても納得できます。なぜ、消去法で肢を絞っていったのかも、うまく解説されてます。まだ読んでいない人には絶対にお勧め。さらに、理解を深めたい人には、同じ著者の「わかる」のしくみもお勧め。

「超」読解力 三上直之 著 おすすめ度 ★★★★★

現代文の読解力をつけるオーソドックスな方法がものすごくコンパクトにまとまっています。予備校の現代文などで教えられている方法が基本と成っていますが、ものすごくコンパクトにわかりやすくまとまっているところがこの本最大のセールスポイントなのでしょう。
国語力とは、語彙力+論理的思考力+背景知識だとし、中でも論理的思考力の重要性を説くと同時に、その解説を本書でしっかりとしてくれる。

◎歴史・文明史

日本の戦争 田原総一朗 著 おすすめ度 ★★★★☆

「なぜ日本は負ける戦争をしたのか?」という田原氏の疑問を解くために執筆された本。「富国強兵」、「帝国主義」、「昭和維新」などのキーワードごとに、日本が太平洋戦争へ至った過程を検証している。とても印象的なのは、あとがきで田原氏が戦争の原因は、軍部の暴走ではなく世論迎合であったことを指摘しているところ。日本の戦争は長谷川三千子さんが指摘する「人間に理性を使わせないシステム」である「民主主義」の一面が出てしまったものなのかも知れない。学校では一方的に日本の過ちとして教えられる日本の戦争を別の視点から論じているという意味で、とても興味深い本である。日本の伝統・文化をきれいごとでなく、本当に再思考するにはとても刺激になる本である。

日本人のための宗教原論 小室直樹 著 おすすめ度 ★★★★☆

仏教、キリスト教、イスラム教などについて初心者にもわかりやすく解説した宗教入門書。日本人にとって宗教とは危険なものであると感じるであろうが、世界の常識ではそれは全く異様な現象である。アメリカで宗教について議論できないと素養がない人に思われてしまう。そういう意味でも主な宗教の基本的な考え方を抑えておくことは必要である。本の中では、仏教の因果律や「空」の理論、キリスト教の予定説、イスラム教がいかに宗教として優れているかなどがとてもわかりやすく書いてある。キリスト教の予定説によると、救われるものと救われないものが既に決められており、本人の努力ではどうにもならないらしい。それならなぜキリスト教を信仰する必要があるのだろうか?などいろんな疑問もわいてくる。専門書にいく前に興味を沸き立たせるにももってこいの良書。

銃・病原菌・鉄―1万3000年にわたる人類史の謎(草思社) Jared Diamond (原著), 倉骨 彰 (翻訳) おすすめ度 ★★★☆☆

1万3000年前に生まれた人類が、どうして不均衡な人類発展の歴史を歩んだのか、壮大なスケールで描いていく歴史書。
1万3000年前には人類は同じスタート台に立っていた。しかし、いま世界中を見ると、発達した文明とそうでない文明が存在している。どうして同じスタート台に立った人間がこんなにも違ってしまったのか?この疑問にUCLAの医学部教授であるダイヤモンドは、「それは気候が違ったからだ」と主張する。つまり農耕ができる気候に住んでいた民族は発達したのである。農耕できる地域の人間は、農作物が貯蓄できるようになり、それが農作物の余剰を生んだ。また、移住を生活ベースとする狩猟スタイルと違って、農耕民族は定住が可能となり子供を複数もった。そして、多くの人口→多くの生産→多くの人口という良循環が生まれた。また、余剰が生まれた結果、農耕生活には余裕ができ、人々は専業家し、道具を開発し、技術発展も進んでいった。このような要因が1万3000年の人類の歴史を経て今日に至ったのだと著者は論じている。いままでこんな壮大なスケールで物事を考えたことがなかったこともあり、すごく新鮮であったボリュームがかなりある本だが、読みやすいのであっとゆうまに読めてしまう。

◎その他

小室直樹の中国原論 小室直樹 著 おすすめ度 ★★★☆☆

実際複数の中国人と接触したことがある人ならわかるだろうが、中国人は日本人にフレンドリーではない。これを大東亜戦争だけで説明するには無理があると私は感じていたのだが、この本は、私のこの疑問によく答えてくれた。著者は独自の研究から、独特な人的な繋がり(パンフェシステム)により中国人の行動様式を考察している。中国国内における儒教と韓非子の哲学の使い分け、二重規範の話などとても興味深い内容ばかりだった。

できることから始めよう 堀 紘一著 おすすめ度 ★★★☆☆

経営コンサルタント社長の著者が、「英語は勉強しておけ」「重要でない仕事を蹴飛ばす選択眼と勇気があるか」「欠点は直すな。しかし、苦手は作るな」「レスポンスの速さに一流と二流の差がでる」 など、勝ち組ビジネスマンとなるためのヒントを示す。自分の仕事のやり方を振り返るときにも使えるし、自分のキャリアを考えるときにもすごく参考になる本。また、仕事のやる気に刺激がほしいときにも良い本である。そう言えば、ビジネススクール私の友人もこんな内容のことをよく口にしている。モチベーションを高めるにも良い本である。

人と違うことをやれ 堀 紘一著 おすすめ度 ★★★★☆

”できることから始めよう!”と同じく堀紘一氏が書いたビジネス書。難しいことは何一つ書いておらず、誰でも実践できることが書いてある。しかしだからといって安っぽいビジネス書と違って確かに大切なポイントばかりをついている。職場の優れているといわれている上司を眺めていると、堀氏の指摘するポイントを実践しているように感じる。





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