分かりやすい図解・脳神経外科領域の各種疾患
主な症状と治療、また予防について

ご覧になりたい項目をクリックしてください                    最終更新日:平成30年1月19日

A-com手術記載

  1. 脳腫瘍
  2. 脳出血
  3. くも膜下出血:『遺伝』すること知ってますか?
  4. 脳梗塞
  5. (特発性)正常圧水頭症
  6. 脊椎症(脊柱管狭窄症)
  7. 三叉神経痛、顔面痙攣
  8. 頭部外傷
  9. 慢性硬膜下血腫
  10. 頭痛について
  11. 眩暈(めまい)について
  12. 脳の働きと分布について(CT図との対応)
  13. 脳疾患の経過について
  14. 高血圧について(JSH 2009)
  15. <番外編>知らないと世にも恐ろしい怪奇現象???とは
  16. 脳ドックについて
  17. メディカル・スタッフ参考メニュー

.


★「頭痛がするのでCTを撮ってもらいたいのですが・・・」
脳外科の外来をやっていると、よくこういった患者さんに出くわします。

そうかと思えば、朝方、意識障害、片麻痺で救急搬送されてきた患者さんの家族から
★「半年くらい前から、夜になると時々『呂律が回らない』って言ってました。でも、一杯引っかけて寝てしまうと、次の日には治ってたから病院に行かなかったんです。」
なんて、ずさんな話も聞きます。

★「昨日、頭をぶつけたので、心配なので来ました。CT撮ってください。」
と、少々的外れな来院者もいます。

 脳の疾患は外傷を含め致命的なものも少なくなく、風邪や胃腸炎などに比べると、やはり、一般の方へのなじみは薄いようです。年配者の独居世帯が増えてきたことも一因となり、不明なことが多い分だけ『頭』というだけで心配してしまうのでしょう。
「職場の同僚が脳溢血で倒れたので、自分も心配になりました。」...まわりの話を聞きつけ、なんとなく不安に陥る方もいます。
確かに、頭痛がするので風邪だと思い、内科外来を受診した患者様が、CTを撮ってみたら『くも膜下出血』や『脳腫瘍』だったということは、我々医師の立場からもしばしば経験されることです。
 しかし、特に三大疾病にも入る『脳血管障害(脳溢血)』は血圧管理を中心に日頃の心がけである程度の予防が可能です。

 今から10年ほど前、私は、ある総合病院で、脳神経外科の新規開設に携わりました。常勤医師が30名程の、中規模病院で新たに脳外科を標榜することを条件に、単独で赴任して来ました。病棟管理、手術室の準備など、暗中模索のなか、体制は徐々に進められましたが、それまで、脳外科が無かっただけに、スタッフの苦労は、私以上のものだったことでしょう。幸い、スタッフの志気は高く、協力的であったため、一丸となって効率よく作業が進みました。地域密着型の医療圏ゆえ、救急搬送に、待ったはかけられません。悪性腫瘍であれば、放射線療法、化学療法などの後療法の必要性から、関連機関である、大学病院での治療を薦めることもありました。しかし、介護者自身も高齢である家族背景から、遠方への通院には難色を示すことも少なくありませんでした。逆に、急を要するごく一般的な疾患でありながらも、『いわゆる名医』に診てもらうことが最優先と勘違いしている御家族もおられました。1人勤務での手術や外来診療に限界があったことも確かです。

そこで、当時、脳の病気とはいかなるものか、そして、その施設でどのような治療ができるのか、また、どのような治療の限界があるのかを、説明すべく、このHPに辿り着いた訳です。同院で自身が行った手術症例の記録をもとに、日常よく出くわす疾患を、素人の方にも不快の無いよう、図やレントゲンを中心に、分かりやすいよう構成したものでした。

 現在はその勤めも終え、脳外科医の数人常駐する公立病院で、安心して診療に取り組める体制に居ります。時の流れは、新たな技術の導入により、医療にも進化が見られ、ここに掲載されているものが、全てではありません。HP継続の意義を検討しましたが、救急医療の現場では治療の流れに大きな隔たりも無いこと、近隣地域を中心とした予防医療に、多少なりとも力になれることを願い、このまま掲載することにしました。

 最後に私が個人的に興味を持っている、脳の機能分布について、超常現象と対比させた記事を、『番外編』として載せておりますが、思いの外、好評のようで、ありがたく思います。疾患や医療に興味を持っていただく礎になれば幸いです。

平成25年8月吉日
                                     脳神経外科         村山 浩通 拝



脳ドックについて

脳神経外科疾患情報ページ  「40歳を過ぎたら、何も症状がなくてもせめて、5年に一度はMRIとMRAを受けてください。」
外来でしばしば力説していることですが、なかなか御縁のない方々までは浸透しません。脳の検査は胃の内視鏡、大腸ファイバーなどと比べれば低侵襲というより無侵襲(痛くも痒くも無い)と言っても良いくらい簡単な検査です。脳血管障害、特にくも膜下出血は本来予防できるものなのですが、単純CTを撮っても分かりません。ただし、造影剤(注射)を使って行うCTA(CTを使った血管撮影)というものは血管が鮮明に分かります。脳の血管に動脈瘤という瘤があればくも膜下出血の前兆ですし、血管に細いところがあったり、既に小さな梗塞像があちこちに出ている場合、また、心房細動という不整脈があれば今後起こりうる脳梗塞に用心しなければなりません。高血圧、脂質代謝異常(低コレステロール)などは脳出血の危険因子であるため、このようなものが見つかれば、広い意味で脳血管障害は予防できると言えるでしょう。
 理想的には30歳くらいで一度、40歳を過ぎたら5年に一回、50歳を過ぎたら2〜3年に一回、60歳を過ぎたら1〜2年に一回くらいはMRIとMRAを撮るべきであると考えます。統計の裏付けはありませんので、あくまで臨床家としての印象ですが当たらずとも遠からず。加えて50歳を過ぎたあたりで頸動脈エコーまたは頸動脈MRAも加えれば申し分ありません。動脈硬化は総頸動脈分岐部近傍で顕著に現れることが多いのです。このメニューをこなせば脳ドックを受けたのと同じです。

 脳ドックを受診された方に、申し込み理由を聞くと、職場からの奨励などが多いようです。しかし、もともと頭痛持ちの方が、「一度検査をしてみたかった」という声も聞かれます。CTやMRIなどの希望検査を症状なしにはできないと思っておられたようです。
 脳ドックは、動脈瘤、動脈硬化を含めた脳血管障害、脳腫瘍、などをスクリーニングするために、低侵襲で充分な情報の得られる、MRI(脳の断層)、MRA(脳の立体的血管像)、施設によってはCTA(CTで行う同様の検査)や頸部エコーを施行します。
保険請求でないため実費プラス自由診療費として、3〜8万円に設定しているところが多いようですが、これらの検査は普通に外来受診してもできるものなのです(数千円:3割負担として8000円前後)。
 脳ドックは診療に比べるとやはり説明にはそれなりの時間が割かれることでしょう。また、外来診療では、緊急時以外は検査が予約制であることと、現在の保険制度上、同じ日に検査をいくつもできないようになっています。ゆえに、半日で全てが済む脳ドックを選ぶか、2〜3週間のうちに、数回外来受診する時間を取れるか、どちらかの選択ということになります。時間に余裕のある方は、脳ドックに限らず、通常の外来でもご相談いただくことは可能です。問診票の「今日はどうして病院に来ましたか?」の問いによく「頭が痛い」などと書かれていると、我々はまずCTを撮ってしまいます。くも膜下出血、脳腫瘍、慢性硬膜下血腫、解離性動脈瘤などの急を要する疾患を見逃してはならないからです。「頭がもやもやする」、「ふらふらする」、「記憶が悪くなった」などと書いてあると該当科が異なるとして『神経内科』や『総合診療科』などへ回されることもあります。特に症状がなく検査希望ということならはっきりと「脳のMRIとMRAを撮ってもらいたい」と記載した方が良いでしょう。

メール ご意見などございましたら、こちらからメールにてお願いいたします。尚、業務の関係上、返信が滞ることがあるますが、ご容赦願います。

千葉県内リハビリテーション病院    脳神経外科部長      平成6年 山梨医科大学卒
日本脳神経外科学会専門医、リハビリテーション医学会認定臨床医、脳卒中学会、脳ドック学会