掃除機に吸いこまれている春休み
卒業の窓から右手出している
恋猫とちくわ分けあう夜のすみ
ドアがまた閉まる音して朧月
人形のまがった指に花を差す
液体が濃くなっていく春の闇
目を閉じて乗るブランコの宇宙船
羊刈るモンゴルは蒼い空のした
真夜中もひらく金魚の目を恐れ
ポケットに種ひとつ入れ夏点前
夏の雨ヒトに翼のあった頃
草いきれ今日から恋人同士です
口紅を落とすスコール立ち尽くし
空を飛ぶ夢あきらめて扇風機
細胞が革命起こす海開き
嘘ばかりついて日陰の下の顔
本能が壊れてそして青嵐
触れられて近づいてくる木下闇
停止線越えて十九歳の夏
突き破るものを探して炎天下
作り雨すべてを捨てて立ち尽くし
まだ傷がうずく夏野で手をつなぐ
金魚玉秘密がすこしほしくなる
夜鷹飛ぶけんじはしんでしまったよ
くちびるの感触思い出すダリア
夏木立ここが地球の中心地
思い出の代償として夏の風邪
蜜豆の蜜を忘れるほどに恋