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液状化が心配

液状化による被害

2011年3月11日、東日本大震災が発生しました。 震源地に近い東北から関東にかけては地震と津波による甚大な被害が発生し、巨大津波による原子力発電所のトラブルも重なり、 1000年に一度ともいわれるほど大きな被害をもたらしました。

その一方、都心に近い沿岸部でも大きな被害が発生しました。 液状化現象です。 ニュースでも大きく取り上げられましたから、ほとんどの方はご存知と思いますが、もう一度ここでおさらいしておきます。

液状化現象とは、地震の際に地下水位の高い砂地盤が、振動により液体状になる現象。 これにより比重の大きい構造物が埋もれ、倒れたり、地中の比重の軽い構造物(下水管等)が浮き上がったりする。 単に液状化(えきじょうか、英語:liquefaction)ともいう。 (Wikipediaより引用)

以下に3月15日のJCASTニュースから引用してみます。

大震災では、巨大な津波や原発の爆発事故が大きくクローズアップされているが、被害はそれだけではないのだ。 埋め立て地が全体の3分の2も占める千葉県浦安市では、全世帯の半分に当たる約3万7000戸で断水が続いている。 地下の配水管が破裂するなどして、上下水道施設の半分に被害が出ているためだ。

森田健作千葉県知事の要請で、災害史上初めて海上自衛隊が13日に給水専用艦を派遣した。 その水を運ぶ県の給水車の前には、市民らの長い列ができている。 市内のスーパーなどは、ペットボトルの水などを買い求める客が殺到し、品薄状態になっている。

道路に至っては、埋め立て地の全地域に被害が及ぶ。 液状化で、あちこちで路面の隆起や陥没が起こり、下水道のマンホールがところどころで路面から浮き上がっている。 高さ1メートルに達するものもあるほどだ。

地下からは砂や泥土が吹き出し、それが風で舞っている。 マスクをしたり、ハンカチで口を押さえたりしないといけないほどの砂ぼこりだ。

浦安鉄鋼団地内の企業で働く市内在住の女性(61)は、液状化で日に日に被害が酷くなっているとため息をつく。 「水が出ないので、トイレも使えないんですよ。 今日やっと簡易トイレが配られましたが、ガスも止まってしまったんです。 88歳の母と2人で暮らしており、道もどんどん歪んで、通るのも難儀しています。 25年間も浦安に住んでいますが、こんなにつらい体験は初めてですよ」

浦安市の災害対策本部によると、小学校やマンションなどに市などが仮設トイレを次々に設置している。 しかし、その数は、断水世帯の1%にも満たない320個ほどだ。 ガスが止まっている地域もあり、5000戸近くが供給停止になっている。 (引用終わり)

まとめると、液状化により、配水管の破裂、断水、道路の隆起、陥没、下水道マンホールの浮き上がり、砂、泥土の吹き出し、ガスの停止… ライフラインが断たれることが最も大きな被害だと考えられますが、それ以外にも戸建住宅の被害もあります。

NHKのクローズアップ日本からご紹介しましょう。

クローズアップ日本 住宅は大丈夫か 見落とされた液状化対策

建物が3度傾いてしまった家、床が傾き、水平を保つように家具の足がかさ上げされています。 キッチンの上の食材は転がり、お風呂の水は排水しきれず、隅にたまってしまう… 復旧工事として傾きを直すだけで500万円、再発防止の工事に1000万円。 新築の家のローンを抱えながら、新たな工事の負担は困難です。 大変不便、危険な状態でありながら、費用面の問題で復旧工事を進められない難しさがあります。

内陸部では、埼玉県の久喜市の住宅に住む方は1.9度の傾きが発生し、30分家に居るだけで気分が悪くなる、頭痛薬が手放せないなどの症状が出てきている… 結局、このご夫婦は症状が改善しないため、引っ越しをされることになったそうです。 被害を受けた家のローンを払いながら、これから住むアパートの家賃も負担しなければいけない… この方もまた大きな負担を強いられてしまっています。 (以上クローズアップ日本2011年5月9日放送から引用)

このような被害が実際に発生しているのです。 これから新築される方は、大変心配なことと思います。 あこがれの新築一戸建てを手に入れたにも関わらず、地震という一瞬の出来事でこのような地獄に突き落とされてしまう… ここでは、こんなことが繰り返されないように、どうしたら液状化の被害から逃れられるか、を考えてみたいと思います。

液状化現象による被害

上記のニュース記事からもわかる通り、被害としては2種類があります。

@給排水管、ガス管の破断
A建物の不同沈下による傾き

これらは同時に発生しますが、影響は異なります。 @では、水が出ない、トイレ、風呂が使えない、ガスが出ないので料理ができない、お風呂が沸かせない、などです。 これについては、被災直後にかなり不便な思いはしますが、比較的復旧も早く(と言っても数か月かかる可能性もありますが)、 費用負担もさほど重くないと思われます。

Aでは、傾きにより最悪倒壊や半壊、そこまでいかなくても家の傾きにより居るだけで気分が悪い、頭痛がする、などの健康被害が現れます。 この対応では、復旧にかかる費用が多額であり、負担の重さによっては対応できないこともあります。

今回の地震でも、液状化の被害について各自治体にて補助がなされていますが、100万円から150万円程度が上限のようです。 それに対して復旧にかかる費用は最低でも500万円、再発防止策まで入れると1000万円ともいわれていますから、補助があっても大半は自分で補わなくてはいけません。

これらを考えると、これから家を建てる方が考えておかなくてはいけないのは、Aの被害を受けないためにどうするか?または実際に受けてしまったらどうするかという点です。 被害を受けないためには、液状化の可能性がある土地を買わないためにどうするか?という観点と、液状化の可能性があるが、どのように対策すれば良いか?という観点があります。 それぞれについて、考えていきましょう。

液状化する土地を買わないために

まず、液状化する可能性のある土地を買わないためにどうすればよいか考えます。 方法は何通りかあります。

@地盤調査を行う

一つ目は地盤調査を行うことです。 地盤調査なんて、今やどこでも当たり前にやっているじゃないか?と思われるかもしれません。 その通りです。 しかし、その主流はスウェーデンサウンディング方式と言われる方式です。 これは、鉄のロッドの先にスクリューを取り付け、これに重りを載せていき、どれだけロッドが沈むかで地盤強度を推測する方式です。

この説明からもわかる通り、この方式では地盤の中身がどうなっているか、まではわかりません。 液状化が発生する地下水位の高い砂地盤であったとしても、固く締まっていれば固い地盤として推測されてしまいます。

もうひとつの方法として、ボーリング調査があります。 これは、ボーリング(くりぬくこと)によって掘削した穴を利用して、1mごとに地盤の固さを測定する標準貫入試験を行う調査です。 この調査によって得られる数値がN値と呼ばれ、地盤の安定性を推定する目安としてよく用いられます。

また、ボーリングの際、土のサンプリングも行われます。 これが大変重要で、スウェーデンサウンディング方式では全くわからなかった土質を知ることができるのです。 液状化を起こす可能性がある砂質か、それともそうではない粘土質かが推定でなく、明らかにわかります。

ただし、一般的にボーリング調査のほうが費用はかかります。 地盤調査で有名なジオテック株式会社では、液状化調査としてボーリング調査を行っており、 スウェーデンサウンディング方式と資料調査による判定に追加して20万円でボーリング調査を行いますとあります。

これを安いとみるか高いとみるか…ですが、もし、液状化の可能性が少しでもある土地であれば調査しておいて損は無いと思います。 一旦地震が起こり、液状化が発生すれば、不同沈下による建物の傾きを修正する工事には多大な費用がかかってしまうからです。 それに比べれば、ボーリング調査費は1/20〜1/50程度の出費です。

A過去の地盤情報の調査

これも地盤の安定性を見極めるためによく言われる話です。 既に住宅地になっているような場所では、過去の地盤がどうなっていたかは周囲の環境からは知ることは難しいですが、 万が一、その土地が、過去に池や沼、田んぼなどであった場合、明らかに地盤の安定性が劣る傾向にあります。

これも、2011年7月30日の朝日新聞増刊beから引用してみましょう。

東日本大震災では、震源地から遠い関東でも液状化が多発した。 被害が集中した場所は、埋め立て地だったり、もと川が流れていた場所だったりと、土地の生い立ちが関わっていた。 特に、蛇行していた河川が改修され、田になった後に、宅地開発がなされた場所で、旧河道沿いの被害が目立った。 古地図などを利用すれば、あらかじめ危険性を予測することもできる。

千葉県で液状化というと浦安が有名だが、他にも東京湾岸の埋立地や九十九里浜、そして利根川下流地域に被害が集中した。 いずれもやわらかい砂の層があり、地下水位が浅く、強い揺れに襲われたという三つの条件がそろった場所だった。

ただし、一見同じ条件のように見える隣り合った場所でも、被害状況が大きく異なることがあった。 事前の対策があったかどうかだけでなく、土地の「生い立ち」が明暗を分けた場所もあったようだ。

「今回、液状化が起こった場所に想定外はありませんでした」と関東学院大の若松加寿江教授は話す。 液状化する場所は、被害を繰り返しており、地形や地質の特長はわかっている。 危険が高い場所の一つは、昔の川筋である「旧河道」の周辺だ。

千葉県栄町、香取市、茨城県稲敷市、河内町などでは、旧河道、旧河道が取り残されて池や沼になった「三日月湖」のあった場所に被害が集中していた。 河川改修によって、本流から分離された後、埋め立てられて田や宅地になった場所がよくわかった。 (引用終わり)

このように過去の土地の生い立ちが液状化に大きく影響することが証明されつつあります。 では、生い立ちを知るためにはどうすればよいでしょうか?

一部の地域では、ネット上に公表されており、自宅に居ながらにして生い立ちを知ることもできます。 この朝日新聞の記事においてもその情報源が紹介されています。

それは、農業環境技術研究所サイトで閲覧できる「迅速測図源図」です。 これは明治13〜19年にかけて政府が作製した関東地方の地図です。 その上に現在の川や道路が重ね書きされているため、どこが旧河道か三日月湖や沼だったかがわかるようになっています。

しかし、このような情報が公開されているのはほんのごく一部に限られます。 地震はどこで起こるかわかりませんし、液状化が発生する場所も限定できません。 だからこそ全国的にこのような土地の成り立ちがいつでも誰でも知ることができるようなシステムが早期に確立されることが望まれます。

液状化の可能性があったら

次に、購入したい土地が万が一液状化の発生する可能性があった場合の対策手法を考えてみます。 主に地盤改良技術として以下のような方法があるそうです。

@サンドコンサンプション工法

バイブロハンマーを振動させ、ケーシングを貫入させる工法で、引き抜き時にパイル材(砕石)を排出して打戻しを行い、改良杭を土中に造成する。 どんな土質にも摘要できるため、実績が多く、代表的な締め固工法。 土中に出来た砕石の柱が、軟弱な地盤を強固にし、砕石による土中の排水を促進させて、さらに強固な地盤を造る。

Aバイブロ・フローテーション工法

ゆるいきれいな砂層を水ジェットと振動の併用でかなりの深さまで締固める地盤改良工法の一種。 砂地盤に加振した棒状の工具を押込み周囲の間隙に砂、砕石、スラグ等を充てんし砂地盤を締固める。

Bウェルポイント工法

軟弱地盤において地下水位を低下をさせることによって地盤の安定を図ることができる工法。 この工法には、強制的にポンプを利用して地下水を排水しようとするものと排水路(暗きょ、開きょ等)により自然含水比を下げるものと2つの方法があるが、 前者をウェルポイント工法という。

いずれも大規模な工事であり、小規模な住宅地で採用するにはコストがかかりすぎることが難点です。 今回の東日本大震災の液状化の被害についても、住宅地では大きな被害が出たのに対して、ディズニーランドや工業地域に大きな被害はありませんでした。 その違いは、予めこのようなおおがかりな液状化対策工事がなされていたことが原因と考えられています。

しかし、住宅地に関して同じような対策工事が可能かというと、やはりコストの観点でかなり難しいものがあります。 この点に関しても、戸建住宅のためのローコストな液状化対策工法の検討が望まれます。

液状化の被害にあってしまったら

最後に万が一、地震で液状化が発生し、建物が傾いてしまった場合の対応を考えてみましょう。 ここも2011年8月17日の朝日新部の記事から引用してみます。

@ジャッキアップ

家の下にジャッキを据えて持ち上げる。 再液状化に耐えるよう床下に鋼管の杭やコンクリートの柱を造り、基礎を支える工法もある。

A薬液注入

セメントと水ガラスなどを混ぜた薬液を建物の地下に注入、家を持ち上げる。薬液は地盤の隙間で固まる。

Bコンパクション・グラウチング

モルタルを地下に注入し球状に重ね、周辺地盤を押し固めながら家を持ち上げる。注入量を増やせば、液状化対策になる。

方法は色々ありますが、かかる費用はいずれも数百万円というレベルになります。 一般的なのは@のジャッキアップですが、30坪の住宅で300万〜350万円程度の費用がかかるそうです。 さらに柔らかい地盤が地下に3m以上あるとこの方法は使えず、鋼管の杭打ちが必要になります。 これを加えると、費用も一気に倍の700万円〜1000万円近くに跳ね上がるそうです。

傾きを修正する方法はあるものの、いずれも費用は多額になってしまいます。 これを考えると、やはり液状化の可能性が無い土地を選択するのがベストということになるでしょう。 しかし、そのためには以下の2点の改善が必要です。

・土地の成り立ちを知るシステムの構築
・液状化の可能性を判定する手法の確立

液状化の戸建対策

2011年8月17日の朝日新聞1面に次のような記事が出ていました。 引用してみます。

東日本大震災で大規模な被害があった戸建て住宅の地盤の液状化について、地盤工学会は、対策の工法の開発、危険な宅地の判定と情報公開が急務とする提言をまとめた。 液状化は、将来の地震でも都市部を中心に被害が予測される宅地が多く、技術や費用、制度の問題の解決が必要とされている。

液状化対策の工法は、マンションやビルなどが中心で、2階建てまでの木造戸建て住宅では設計や建築で規制が無かった。 復旧工事には数百万円以上の費用がかかる。

提言は、

@低価格の液状化対策の開発
A液状化の恐れの判定法の普及
B自治体が作る液状化予測地図(ハザードマップ)の精度向上

などを掲げた。

買い手が土地を選び、対策を選択する判断材料を提供できるようにするのが目的だ。 提言作りにかかわった東京電機大の安田進教授は「200万円程度の対策工法や安価な地盤調査法の開発を目標にしたい」と話している。(引用終わり)

このような記事が出るということは、残念ながら地盤の専門家である地盤工学会でさえも戸建の液状化対策については遅れがあると認識しているということなのです。

それでも、A液状化の判定法については、ボーリング調査と過去の地形調査によって、現実的な費用負担で判定することが可能です。 心配な方は、まずはこの方法で判定するしかありません。 そして、現段階では@低価格な液状化対策が存在しない以上、液状化する可能性がある土地の購入は控えるのが最善の策だと思います。

ここでまとめた対策の遅れ3項目に関しては、2011年現在では明確な対策が打ち出されていませんが、新しい情報が入り次第、ご紹介していきたいと思います。

液状化被害の基礎知識

2011年8月22日の朝日新聞にタイムリーな記事が載りました。

日本建築学会が市民向けの情報を集めたサイト「液状化被害の基礎知識」を作った。 家を建てる前の心構えや、液状化前の対策と事後の修復方法、被災後の復旧に向けた融資制度、法規制の現状や課題などを盛り込んだ。 (引用終わり)

日本建築学会がまとめた戸建向けの液状化対策情報が「液状化被害の基礎知識」です。 説明されている項目を挙げてみましょう。

液状化被害の事例
液状化危険度の調べ方
戸建住宅の地盤調査法
新築住宅の液状化対策とその費用
液状化被害を受けた場合の修復方法・費用
建物の傾きによる健康被害
復旧のための融資制度
法制度等からみた液状化
相談窓口リンク集

このサイトでご紹介した情報を含め、融資制度や法制度、相談窓口まで網羅されています。 日本建築学会お墨付きの情報ですから、その信頼性も高いと思われます。 これから新築される方はこちらの情報を十分活用されたほうが良いでしょう。

ただ、それでもまだ上で書いた3項目については現状では不十分です。 新しい情報が入り次第、ご紹介していきたいと思います。

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