おわりに            
  この本の最初で、『でっかい水の輪』とは、静かな池に投じた一石が波紋して、まわりに影響を与えていきながら、段々と大きくなっていくという意味合いを持っており、私がこれまでの社会人生活や仕事を通じて経験したこと、感じたこと、考えたこと、感激したことなどを、他の人びとに伝えて何らかの一石を投じられればいいなあと書きました。

 書いているうちに、『水の輪』とは、実は『人びとのつながり、人びとのネットワーク』のことで、水の輪がつながりながら段々と大きくなるように、社会人として人のネットワークもつながりながら段々と大きくなっていくこと、それはその時やその場の一時的なつながりだけではなく、時間軸を将来に向かって広がっていくことだということに気付き始めました。

 そして原稿を書き終えた時に、またひとつ、ある人との感激の出会いがありました。『三十三年ぶりの初めての再会』という表現がぴったりする出会いでした。詩人でありエッセイストである『八坂裕子さんとの初めての再会』です。『初めての再会』と表現したのは、実はお会いしてお話をするのは初めてなのですが、八坂裕子さんと接点があったのは三十三年前であり、その間今日まで全く接点がなかったからです。そのことを、八坂裕子さんも覚えて下さいました。

 実は三十三年前、FM東京の『ミュージック・イン・ジェントル』という音楽番組があり、レーモンルフェーブルやポールモーリアの曲に合わせて、八坂裕子さんの詩を声優矢島正明さんが朗読していました。大好きなレーモン・ルフェーブルのレコードに八坂裕子さんの詩が載っていたことを知っていた私は、この音楽番組を毎日聴き続け、カセットに録音し続けていました。

 ある時、番組に自分勝手なリクエストを出した私に、八坂裕子さんは直ぐに返事を下さいました。そして、八坂裕子さんが当時自費出版でだしていた詩集『ポケットに雨』を購入すると共に、素敵な詩を贈ってもらいました。その出会い、詩集、当時録音して今でも聴いているその番組は、私の大切にしているものなのです。

 そんなエピソードを、次の出版企画に載せたいなあと思っていたところ、偶然にも八坂裕子さんのホームページを見つけました。早速メールを出したところ、名前を覚えていて下さって、今回も直ぐに返事を戴き、初めてお会いしてお話する機会を得たのです。私が『でっかい水の輪』という題名で本を出版すること、その目的をお話すると、八坂裕子さんから素敵なアドバイスを戴きました。『千人に一人でも、共感を得てくれればいいのよ。』と。三十三年前の対応と変わらない素敵なアドバイスでした。私のペンネームが『名誇゚礼恩』なら、八坂裕子さんがこの世に出たきっかけが『ナポレオンと苺』という詩であることも、偶然過ぎる一致でした。

 ですから、私の表現したものが社会人である貴方に何か一つでも共感を得てくれれば大変嬉しく思いますし、貴方が人びとのネットワークを広げられることを目的として、それが将来に向かって広がっていくことを期待して、その為に一石を投じることができたのなら、私は幸せに思います。

八坂裕子さんのホームページは、下記です。
   
http://www.geocities.co.jp/PowderRoom-Lavender/8570/YukoYasaka_index.htm

八坂裕子さん:詩人、エッセイスト
1967年資生堂『花椿』誌の第一回詩の公募で『ナポレオンと苺』で最優秀賞を受賞。『愛と呼ぶにははやすぎるけど』(サンリオ出版)、『私って会話下手?』『あなたに。』(集英社)、『恋愛リハーサル』(フォー・ユー)、『ハートを伝える聞き方、話し方』『私がなりたい「いい女」』(PHP文庫)、『"本当の自分が伝わる"「聞き方」「言い方」33のレッスン』(大和出版)。現在、東武カルチャースクールで会話クラスの講師を担当し、好評を博している。

目次に 戻る