| 「ほっとけない世界のまずしさ」というプロジェクトをなくすな |
今、日本および世界で、「世界の貧困をなくそう」といった、ホワイトバンドプロジェクト(世界の貧困の状況を知ってもらう啓蒙活動や世界の貧困撲滅の政策提言をしていこうといった壮大なプロジェクトが始まった)が「直接、貧困地域に食料などが届く募金活動ではない」などといった一部マスコミの批判を浴びているが「今まで、だれかが、どこの団体が、どこの国が、世界の貧困をどれだけ変えてきたのか」をぜひ考えてもらいたいと思う。 僕は、縁あって、1989年1月よりフィリピンに住み、ドキュメンタリー映画「忘れられた子供たちスカベジャー」(マニラ首都圏に40年以上にあったスモーキーマウンテンと呼ばれたゴミ捨て場の子供たちの生活を追った作品、1995年5月公開)と「神の子たち」(フィリピン、ケソン市のパヤタスゴミ捨て場が舞台の作品 2001年11月公開)を製作監督し、日本およびヨーロッパでも見られ、映画の影響も少しはあり、多くの心ある世界中のNGOの方々やボランティアの方々が、この2つのごみ捨て場などで懸命に医療、食糧支援、職業訓練もされたことも目にしたが、なにせ2カ所のスカベジャーと呼ばれる4万人以上のゴミ捨て場の住民たちの生活を根こそぎ変えることは到底無理な話で、今この瞬間も、ゴミ捨て場近くに住み(、スモーキーマウンテンは世界中のマスコミからフィリピンの貧困の象徴とされたため、1995年11月フィリピン政府によりすべての住民の強制立ち退きが行われ、ごみは近くのマニラ湾沿いに今でも極秘に捨てられ続けている)捨てられた再生可能なごみ(ビン、缶、鉄、真鍮、スクラップ、紙など)を拾い集め、その日のうちに売ってお金にし、その日の食べ物を買うだけのぎりぎりの生活を営む住民の貧困の現実は何も変わっていない。また、不衛生なこの地域の5歳以下の子供の死亡率は30%にのぼり毎日毎日、子供が死んでいく現実も何も変わっていないし、むしろフィリピン全体の貧困状況(マニラ首都圏の青年男女の失業率が50%でゴミ捨て場などの政府の土地などに勝手に住むスクワッターと呼ばれる不法占拠者は30%)は悪化したとさえ言われる今のフィリピンの貧困の現実を知っている。 いつしか、僕の心の中は、正直「世界の貧困はぜったいに変わらないんだ」と諦めかけるようになり、時たま、テレビから流れる「アフリカで起きた戦争や内戦などによる飢餓の子供たち」などのニュース番組を見てさえ、自分の心からその映像を追い出してしまっていた。 そして、2001年の9,11のニューヨークでの同時多発テロ事件のあと、アフガニスタンでの報復攻撃と続き、僕の頭の思考停止状態は6ヶ月続いたが、2002年3月末に「グランドゼロ」を訪れ、「世界が平和になるために僕たちはなにをしなければならないのか」との思いが急に湧き、いつしか「今の世界の中心はアメリカであり、アメリカ政府が世界を変えようとしなければ何も変わらない」との思いに至り、僕の映画をアメリカ人に見てもらうための活動もしたが、その当時のメディアは外の国の貧困問題などに思いを寄せる余裕などまるでなかった。(唯一ニューヨークタイムスが映画のレビューを記事にして載せてくれた) それから、世界は、アメリカは、世界中のメディアは、2003年3月20日のイラク攻撃から今まで世界の貧困問題などほとんど目もくれずに、置き去りにされ続けた。 僕はようやくこの数年でいろいろなことがわかってきたように思う。世界各国が国益で政策を作っていく現実において、世界の中心だったアメリカが、利益をまるで生み出さないアフリカの飢餓やアジアの貧困問題などはもうどうでもいいことなのである。 また、僕も「世界が平和になるためにもアメリカ人に見てもらえる映画、あわよくばアメリカ人の心を変えるための映画をつくりたい」との想いから、アフガニスタン空爆後の戦争被害やイラク戦争の状況を取材していたが、「世界は、イラク戦争阻止の世界中の反戦1000万人の行動や声でも変わらなかった」ことを思えば、アメリカという国は石油や軍需産業の国益などでイラク戦争に突入したのかともかんぐりたくなる。 いったい世界はどんな構造になっていて、誰が世界の政策を決定するというのか。 3秒に一人死んでいる世界の現実がこの地球上にはある。 僕は今、その現実に目をそらさせないで、「世界は変えられるんだ」ということをぜひ生きている間に実感したい。そのためには日本中で1000万人の賛同があれば、日本政府に国益を超えた世界の国益になる政策を提言できる資格をもてると思う。そして、いつか、このプロジェクトをきっかけに「世界はみんなで変えていけるんだ」という思いをすこしでも持てることが、これからの未来を背負う中高生にとってもとても大切な気がする。 僕は誰もやったことのない「世界の貧困をなくそう」というプロジェクトができたことをとてもうれしく思う。 2005年10月24日 ドキュメンタリー映画「(仮)戦争と平和-世界中の貧困と飢餓と戦争と日本人の生き方について-」監督 四ノ宮 浩 info@office4-pro.com PS いろいろとご意見ありましたらメールでお願いします。
マニラでは今も多くの子どもたちが街中でも再生可能な |
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