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治療の基本は、食事療法である。脱水を怖れるあまり、水分補給を急ぐと、嘔気・嘔吐は治まらない。流行性冬期嘔吐下痢症の嘔気・嘔吐は、通常は半日続き、自然と治まる。下痢の最悪期は、病初期1日間であり、その後3〜5日で治まる。
治療に用いる経口補液は、水、塩、糖含有液であり、野菜スープ(食塩加)がもっとも適切で乳幼児用イオン飲料(商品名:アクアライト)がこれに次ぐ。
まず、最初は、数時間絶飲食。その後野菜スープ(野菜は取り除き、食塩で味付け)を作成し、それを20〜30mlのませる。30分後に同量または倍量の野菜スープを飲ませる。以後30分から60分毎に上記の同量又は倍量を飲ませる。
1ないし2食(朝食、昼食)を摂らず、上記の野菜スープ療法を続け、その後お粥の食事とする。
20〜30mlの野菜スープを嘔吐する時は、5〜10ml(スープ1杯)の野菜スープを10〜30分毎に与える。少量のため胃にたまらず、吐き気があっても吐かずに小腸より吸収される
下痢に嘔吐を伴う時は、嘔吐の治療に順ずる。下痢が頻回の時は、やはり嘔吐の治療に順ずる。乳児で母乳を与えられているものは、そのまま母乳を与える。人工乳で育てているものは、半日野菜スープ療法をとり、その後ミルクを10%前後薄くして与える。下痢が3日以上続く時や、下痢の程度が強い場合は、乳糖除去ミルクに変える。
@五苓散(エキス剤)を基本とする。
五苓散は、水毒の治療剤であり、沢瀉、蒼朮、猪苓、茯苓、桂皮の5つの薬剤からなる。嘔吐・下痢を主訴とする疾患の治療に使用される。多くはそれらの症状の初期治療として用いられる。体力の虚実はあまり関係なく使える。発熱を伴う場合にも用いる。
A嘔吐・下痢症で腹部膨満、腹痛を伴う時には、平胃散との合方の胃苓湯を用い る。
B発熱が強く、腸炎症状が強い場合は、小柴胡湯との合方の柴苓湯を用いる。
C太陽病期の初期の発熱を伴う嘔吐・下痢には、時には葛根湯がよい場合もある。葛根湯証では、下痢・嘔吐の回数が少ない。発熱を伴い回数の多い嘔吐・下痢は、五苓散または五苓散との合方を考えたほうがよい。
D長引く下痢には、小建中湯、啓脾湯、人参湯、真武湯を使用する。
| 含まれる生薬 | 啓脾湯 | 人参湯 | 真武湯 |
| 人参 | ○ | ○ | |
| 朮(白朮・蒼朮) | ○ | ○ | ○ |
| 茯苓 | ○ | ○ | |
| 甘草 | ○ | ○ | |
| 乾生姜 | ○ | ○ | ○ |
| 山査 | ○ | ||
| 陳皮 | ○ | ||
| 蓮肉 | ○ | ||
| 沢瀉 | ○ | ||
| 芍薬 | |||
| 修冶附子 | ○ |
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漢方薬 |
症状 |
所見 |
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啓脾湯
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病態:大陰病期・心下痞硬型、虚証。 体力の比較的低下している人の慢性の下痢に用いる。1)
裏急後重を伴わない。 水様あるいは泥状の下痢便。 |
脈:弱い
腹部:軟弱無力で腹壁の緊張は弱い |
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人参湯
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病態:大陰病期・心下痞硬型、虚証。 比較的体力の低下した冷え性の人で、食欲不振、胃部停滞感、下痢などの胃腸機能の低下している場合に用いる。1)
体力の低下、疲れやすく冷え性 みぞおちに痞え感 下痢したあとにがっくりする 口内に薄い唾液がたまる。
尿量が多く、薄い色の尿がでる。 |
脈:軟弱で遅く沈む
腹部:心下痞硬 |
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真武湯
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病態:少陰病期・裏寒型、虚証。 新陳代謝が低下して体力虚弱な人で、全身倦怠感や四肢の冷感、下痢、腹痛などを訴える場合に用いる。1) 全体に生気が乏しい
尿量減少、尿は透明で薄い。浮腫 |
脈:微弱で触れにくい脈 沈んで遅い
腹部:心下痞硬はない |
1)寺澤 捷年:症例から学ぶ 和漢診療学、医学書院、東京、1990.