小森香子・小森陽一
『青い空は青いままで子どもらに伝えたい』 五月書房・2000円+税
 案内・松井和夫

  
  小森陽一さんの講演を初めて聴いたとき、ぺットボトルをわきに置き、片手をポケットに入れて「専門は近代文学、夏目漱石のことが話せればご機嫌なのですが…」と話し始められました。原稿もなしに戦後の日本の憲法を無視した歴史をよどみなく、陽一さん自身の思いをたっぷり入れて長い講演を終えられました。
 まさに「やんちゃ坊主」の雰囲気に溢れていて子気味よい思いをしました。お母さんの香子さんに尋ねますと「あの子はやんちゃでした」とのこと。
 
  さて本書のまえがきに、陽一さんは対談の3つの理由を挙げています。
◇私はきちんと親を知っているだろうか。家族という小集団は一つの運動体、憲法12,13条も挙げながら20世紀の家族の「来し方」を「総括」しておくのも大事。
◇戦後・被爆60周年の今年、焼土と化した日本を知らない世代が多数派になり、「戦争をする国」を担わされるのは私たちの子や孫たちで戦争体験をリレーしたい。
◇3つめは家族という最小運動体の「来し方」を検証することで日本国憲法が改悪されようとする危機の中の私たちの「行く末」を見定めていけるのではないか。
 
 この「まえがき」は私自身の家族にあわせて深く考えさせられるものでした。  
 本書は5章300ページをこえるすべてが見事なおふたりの対談。良夫・香子ご両親はまさに活動家、国際的な活動をプラハでされもしました。ひき続く大変な苦労にめげないたくましさは見事です。そして困難だった反核兵器の運動の歴史なども学習できました。
 
 竹早高校、北海道大学で学んだ陽一さんは歴史学志望だったのですね。造形大学に進んだまどかさんは、ギターを弾き、きり絵作家。山好きで山で亡くなったことはなんとも痛ましい。
 
 高校3年生への進路指導の陽一さんの講演で「皆さんはお父さんやお母さんが作った今の生活よりも、自分の力でより豊かで快適な生活を作れると思いますか?」の質問に対して「イエス」の答えはゼロでした。
 大変な社会状況です。そんな状況が本書のおしまいでは理論的な分析が語られ、どう生きていったらよいかふんだんに示されていました。素敵な親子であり、なかみの濃い対談と思いつつもこんな対談を私自身が我が子や若者としなければと強く思ったものです。
 
 対談の提案者は新婦人の高田公子会長というのもヒット