やまびこ

 やりきれない一年が明けた。だが私の詩人会議誌の一月号に書いたのは次の詩だった。 “がんばれ”でない一言を というタイトル。

死なないで ください

あなたのいのちは 一つしかないのだから

いじめられて つらいときは

だれかに つらい と話してください

 

でも いえなかったのよ ね だれにも

最後に書いた遺書さえも かくす学校

いじめの訴え 報告書も 出せない教師たち

件数ゼロと書かねば評価突き返す教育委員会

 

クラスをまとめられぬ 教師は 攻撃され

職員会議は命令伝達のみと 発言さえ封じられ

日の丸・君が代を強制し起立せねば罰せられる

憲法の人権も 教育基本法も 守らぬ通達

 

学校選択制などで ランクをつけて

国税による援助資金まで 格差をつけて

いじめや蔑視 ひがみや優越感の

温床を つくっているのは だれですか

 

いじめの根本は教育委員会や中教審で

そのもとじめは 政府の教育政策そのもので

その上 愛国心まで評価して内心の自由も認めず

大切な憲法や教育基本法まで改悪したがる政府

 

死なないで ください 子どもたち

残業で子どもと言葉かわす時間さえない親たちも

一言でいい 抱きしめて 言ってください

あなたは わたしの いのちだよ と 

 

この詩のかたわらのページには画家・甲斐清子さんのデッサンがのっている。ひざをかかえ、唇も結んでいる中学か高校の女の子の姿だ。彼女の視線が私の心をとらえてはなさない。

                            (香)
『子どもを守る』2007年1月号所収