◆判決のポイント
判決文はA4・29ページにも及ぶため、メモに基づくポイントを紹介します。
【1】事実関係認定
(1)テント村の組織/性格/活動内容
⇒ほぼ弁護側の主張を踏襲。検察が主張したいわゆる「公安情報」についても、「仮に事実であったとしても、本件判決とは関係ない」
(2)官舎ポスティングについて
⇒「1月17日に官舎住民からの個別の抗議はあったが、官舎管理者や自衛隊、警察からの直接の抗議はなかった。
(3)1月17日の官舎住民の抗議
⇒「(抗議した官舎住民は)強い口調で、『あなたたちの主張など聞きたくない』と言葉をさえぎり、『商業チラシはいいが、イラク派兵反対のビラはだめだ』などといった」
(4)官舎住民の抗議を受けてのテント村の対応
⇒「テント村は会議で、『ビラには連絡先も記してあるのだから、官舎管理者などからの公式な抗議がくるまではビラまきを続けよう』という結論に」
【2】弁護人のいう「公訴棄却」の主張について
(1)ビラの内容による選別的公訴提起
⇒「ビラまき自体は社会的によく行われていることであり、検察が“ビラの内容”で選別して公訴提起をしたことは否定できない」
(2)「公訴提起」は却下する
⇒「しかし、テント村のビラが官舎住民にとって商業チラシとは異なる不快感があったのは事実。被告人らは黙秘をしていたことからも検察の公訴提起自体が不当とはいえない」
【3】構成要件該当性
(1)「住居侵入」の構成要件には該当する
⇒「官舎の敷地は『住居』に該当する。ドアポスト前までの立ち入りが『侵入』に該当する」
【4】違法性
(1)ビラの内容
⇒「ビラの内容は、自衛官に“イラク派兵に反対しよう”などと呼びかけるものであり、自衛隊全体に対する批判はみられるが、個々の自衛官に対する脅迫性はない。またビラ論旨の展開自体はマスコミ等の社会的論調と比べてもさして過激ではない」
(2)本件ポスティング行為について
⇒「本件ポスティング行為は穏当な行為であり、毎月1回・3名程度・白昼・30分くらいの行為であったことからも、住人のプライバシー侵害は少ない」
(3)商業チラシとの関係
⇒「本件ビラ行為は配布方法の穏当さからも、社会一般で行われている商業的・宗教的勧誘行為より迷惑の程度は少ない。官舎は“ビラ配布禁止”のはり札を貼ったが、それでも商業ビラ
配布や宗教的勧誘は続いており、プライバシーの侵害は極めて少ない」
(4)「ビラ配布禁止」のはり札について
⇒「はり札はA4サイズで目に付きにくく、一部ははがれていたりもして、一般的に集合住宅などに張られているものと大差ないことからも、被告人らにビラまき行為の違法性を認識させる
影響を与えたとは思えない」
(5)官舎住民の注意について
⇒「1月17日ビラまき時の2被告に対する官舎住民の口頭注意はあくまで個人的なものであり、自衛隊員の中にもイラク派兵などに多様な意見が存在する可能性があることから、被告が2月22日にもビラまきを行ったことは間違った判断ではない」
【5】結論
(1)憲法第21条「表現の自由」について
⇒「憲法第21条で保障された表現の自由は、商業的主張より政治的主張の保護の優越性を認めており、商業チラシを黙認している状況で、政治的主張のビラを刑事罰の対象にはできない」
(2)官舎住民の感情について
⇒「そんなにテント村のビラが嫌なら、官舎住民全体で正式な抗議をすればよかった」...というわけで、被告人の行為は住居侵入罪の構成要件を満たすものの、罰するほどの違法性があるとは言えず無罪!!
◆マスコミの反応
「反戦ビラ弾圧救援会・福岡」のWEB