サシバ観察記録(平成16年春)

 

 今年の冬も体調が優れず、殆ど外出もせずにまさに冬眠状態であったが、3月に入り気温も徐々に上がってくるにつれ、サシバの動静が気になりだした。今年から逗子のメンバーが冬場のタカの動きを二子山で定点観察を始めた。オオタカ、ノスリ、ハイタカ、ミサゴなどがかなり観察されたようである。非常に興味深い試みで、是非参加したかったのだが、残念であった。

今年は随分寒いと感じるが、3月初めの天気予報によれば、今年も暖冬で桜の開花予測が昨年同様3月20日過ぎになりそうだとのことであった。昨年の記録によると鎌倉山の桜がちらほら咲き始めたのは3月28日であり、サシバ初認も3月28日であった。別にサシバは花見に合わせて飛んでくる訳でもないだろうが、なんとなく、春のサシバシーズンが早まりそうな予感がしてくる。

鳥インフルエンザのウィルスが野鳥によって運ばれた疑いが強いことから、このところ渡り鳥の生態調査が俄かに注目されている。サシバもそうだが、その他の野鳥の渡りや移動の実態については、まだまだ判明していない部分が非常に多い。鳥インフルエンザのウィルスは、韓国から、渡り鳥によって、山口県や大分県、兵庫県などにもたらされた公算が濃厚であるといわれているが、果たしてどの鳥がとういったルートで伝染させたのか、についはまったくわかっていないのが実態であろう。カラスの移動範囲は20KM以内と言われているが、果たしてこれが事実なのだろうか?一定の条件下での実験でこうしたデータが出たとしても、このデータを日本全国のカラスにあてはめるのには無理があるのではないだろうか?野鳥の生態についての研究テーマは無限にあるように思われて、楽しくなるが、バードウォッチャー一人の力など本当に微力なものだ。

(3月5日) 

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3月21日(日)   晴

10:20−11:10  笛田公園にて今シーズン初めて観察した。笛田バス停付近の桜は数輪花を開いていたが、西の風が冷たく全く集中できなかった。10:30 ツミが一羽上空を旋回した。イワツバメやカワラヒワが目についたが、サシバの姿は見られなかった。

3月28日(日)  晴

9:40−11:10 笛田公園は南西の微風が吹き、肌寒い日であったが、昨年も28日にサシバを初認しているし期待して、観察をした。鎌倉山の桜も平均すると3分咲き程度で、桜見物にはまだ早かった。トビとカラスが盛んに上空を旋回していたが、その他のタカ類は見られなかった。シロハラやツグミの声がよく聞こえた。

3月29日(月)  晴

10:30−11:20 笛田公園で観察。 11:10公園西側の斜面をツミが低空を飛行した。鬱蒼とした雰囲気のあった斜面は宅地開発が進みすっかりと明るくなってしまった。北西の風が強く、サシバの姿は見られなかった。グランドには珍しく、カワラヒワが約30羽の群れを作って、採餌していた。

3月30日(火)  曇

10:10−10:40  笛田公園。 笛田バス停付近の桜が満開であったが、天気は今にも雨が降り出しそうで、南西の風が強く、かなり寒かった。野球場にはツグミとカワラヒワ、ムクドリがそれぞれ約20羽、餌をついばんでいた。トビもカラスもあまり上空は飛ばず、サシバの姿も見られなかった。

3月31日(水) 曇

弱い東風が吹いていた。天気は良くなかったが、それほど寒くもなく、春のサシバがパラパラと渡る条件としては、悪くはないように思えた。10:30−11:20 笛田公園で観察したが、サシバは発見できなかった。28日の午後に中央公園でサシバが観察されたとの情報をいただいたので、午後も期待できそうであったが、気力が続かず、午後の観察は断念した。

4月1日(木)  晴

11:00−12:00 笛田公園。  南西の微風で、サシバが飛ぶには絶好のコンデションであった。相当集中して観察をしたが、残念ながら上空にサシバは発見できなかった。まだサシバの渡りには早いのだろうか?それとも笛田公園は渡りのルートから外れてしまったのだろうか?鎌倉山でも梶原でも桜が満開で、桜見物を兼ねたハイカーの姿が多かった。

4月2日(金)  雨後晴

午前中は雨が降っていたが、午後からは晴れたので、13:30−14:15笛田公園で観察した。南西の風が強く、富士山が真冬のように真っ白に雪化粧していた。時間も遅いし、風が強いので、笛田公園のグランドの上空をサシバが飛ぶことはないだろうと思われたので、観察場所を常盤山を正面に見る位置に変更して観察した。この場所は秋にサシバを観察する場所で、あまり期待もしていなかったが、13:55梶原方面から低空でサシバ1羽が現れ、常盤山から源氏山の方向へ飛び去った。今シーズンのサシバ初認は意外な場所と時間であった。

4月3日(土)  晴

喧騒の鎌倉?を避け、茅ヶ崎里山公園で10:45−11:45  観察した。南西の風が強く、ベンチにおいたコーヒーの缶が倒れる程であった。この公園には桜はそれほど多くはないが、人出はものすごく、いつもの静寂なイメージはなかった。予想外に寒く、一箇所でじっと観察はできなかったが、サシバが飛ぶ条件としては、悪くないと思われた。しかしながら、サシバの姿は全く、見られず、完全な空振りに終わってしまった。笛田公園なら往復10分だが、本日は観察に1時間、往復に3時間でかなり疲れた。この日ツバメを今シーズン初めて目撃した。

4月5日(月) 晴

10:15−11:15 笛田公園で観察した。北西の風が、寒く一箇所にじっとしていられなかった。笛田公園には北風を避ける適当な場所がないことに気がつく。 富士山はもとより、丹沢の山々にも冠雪が見られ、さながら真冬のような光景であった。 まったく集中できない一時間であったが、見落としは多分ないものと思う。サシバは今日も飛ばなかった。笛田公園ではもはやサシバは幻の鳥になってしまったのだろうか?寒いせいか、桜の花がまだ満開状態の木も多かった。秋にヒタキが良くやってくる、通称ヒタキザクラの木で、やや大柄の鳥がチラチラしていた。レンジャクでもいないかと期待したが、殆どはツグミのようであった。

4月6日(火)  晴

鎌倉でもそろそろサシバが飛び始めたとの情報があり、10時過ぎに、期待して笛田公園に行ってみたが、南風が強く、上空をサシバが通過する可能性は、皆無に近いと予測され、ガックリ。強いて言えば、深沢―梶原―常盤山を低空で飛行して、源氏山方面に向かう、サシバが見られるかもしれないが、それなら一層のこと源氏山で待ち構えていたほうが、効率が良いだろうとの判断で場所を移動し、11:15−12:15 頼朝像前で観察した。源氏山は色々な種類の桜がまだ咲いており、平日なのにハイカーでごったがえしていた。11:52 サシバが1羽、常盤山方向から低空で現れ、頭上を越えて、一直線に東に飛行していった。たったの1羽とはいえ、読み通りに飛んでくれるサシバがいるのは嬉しいことである。この日、笛田公園でも源氏山でもツバメを見かけた。

4月7日(水)  晴

今日も南東の風が強く、笛田公園はあまりよいコンディションではなかったが、体調が今一つで、遠出はシンドかったので、11:00−12:00の間公園の芝生に横になりながら観察した。サシバは全く見られなかったが、シジュウガラやウグイスの囀りが見事であった。風に乗って桜の花が、かなり上空まで舞い上がっていたが、一瞬シジミチョウでも飛んでいるのかと錯覚した。鎌倉山の桜は数年前までは見事であったが、年々数が減って、最近ではかなりマバラになってしまった。逗子鎌倉ハイランドや梶原などの桜は年々見事になっているそうであるが、折角来たのに鎌倉山には失望したという花見客の声を何度か耳にした。桜に限らず鎌倉山の緑は失われる一方で、植樹等増やす試みが全く見られないのは寂しい限りである。緑の減少と関係があるのか、最近サシバ以外のタカ類の出現回数がめっきり減ったように思われる。夫婦池が来年あたりから、公園として整備されるようだが、あまり手を加えないで、自然のままの状態を維持してほしいものだ。

横になって観察:サシバの見える丘

4月8日(金)  晴

南西、または西の風が吹いていたが、それ程強くはなかった。10時半頃笛田公園に行ってみたが、上空はトビもカラスも全く飛んでいないのに鎌倉山の稜線沿いをトビが盛んに移動しており、サシバも混じっているような予感がしたので、トビの群れをバイクで追いかけているうちに、なんとはなしに稲村が崎まで来てしまった。そんな訳で11:00−12:00、全く久しぶりに稲村ガ崎で観察することになった。この間風は殆ど無風に変わったが、上空をトビの群れが絶えず旋回していた。オオバンが3羽、東に向かって飛んでいった。断崖の松ノ木にカラスが盛んに巣材を運んでいた。断崖の中ほどには、ドバトが盛んに巣材を持ち込んでいた。いかにもサシバが飛びそうな雰囲気ではあったが、結局サシバは飛ばず、サシバに飛ばされた一日であった。

4月9日(土)  晴

北西の風が、かなり強く吹いていたので、サシバは海よりに流されて、笛田公園は飛ばないだろうと思われたので、逗子の披露山公園に行き、10:55−12:25観察した。公園は人出が多く、子供連れでごったがえしていたが、風もそれほど強くはなく、眺望絶佳で、絶好のコンディションであった。

素晴らしい景観の中にサシバを探す

11:18  サシバ1羽が大崎公園のかなりの高空をまっしぐらに東に向かっていった。トビやカラス、カモメが盛んに上空を旋回していたが、サシバはこれらには、全く目もくれずに、一直線に飛んでいった。 
11:42  サシバ1羽
11:48  サシバ1羽
11:50  サシバ1羽
12:14  サシバ1羽  がいずれも上記と同じコースを高空で東に飛んでいった。 この他11:08 にハチクマ1羽が、低空で、東に飛行して行った。羽の一部が白化しているのか、縦に白い線が入った非常に特徴のある個体であった。

春のサシバはあまり高空は飛ばないだろうという先入観で見ていたので、相当見落としがあったかもしれない。また本日観察したサシバがどの方向から来たものかは、全く把握できなかった。 それにしても、久しぶりに満足感のある日ではあった。

4月11日(日) 晴

KJGの例会の日であったので、早めに源氏山に行って、サシバを観察するつもりであったが、体調が優れず、現地に着いたのは11:30になっていた。この日見られたサシバは3羽のみとのことであった。コンディションは悪いとは思われないが、これだけのベテランが多数目を光らせていて、この数字なのだからやはり今年は空前絶後の不振なのだろうか?この日、源氏山公園では約40羽のマヒワの群れがみられた。

4月13日(火) 曇

昨日は体調不良で観察できなかった。10:45に笛田公園に行ってみたが、北西の風が冷たく、とても観察していられなかった。それでも鳥の移動は激しく、サシバも飛びそうな予感がしたので、30分程粘ったが、発見できたかった。頭上を大型カモメが2羽、通過したが、種類は識別できず。写真判定でも特定できなかった。  

4月15日(木) 晴

 

朝から北西の風が吹いていたので、海上ルートに期待して、9:50−11:20 稲村ガ崎で観察した。着いた頃は多少寒かったが、その後気温が上昇し風もゆるやかになって、条件的には、絶好であった。海は波がかなり高くサーファーでにぎわっていた。飛行機雲が西から東に幾重か重なっており上空を飛行するサシバをとらえるには、非常に良いコントラストになっていた。相当気合を入れて観察した積もりであるが、サシバは一羽も発見できなかった。

 

4月16日(金)  晴

 

南東の風が時としてかなり強く吹いていた。条件的にはあまり期待は出来ないと思われたが、9:50−11:20 笛田公園で観察した。休日は野球やサッカーで賑わう笛田公園も、平日は犬の運動公園と化し、さまざまな種類の愛犬とその飼い主の散歩コースになっている。まれにハイキングのグループが公園を通過して、夫婦池方面に抜けていくぐらいで、野鳥を観察している人などまず見かけたことがない。最近夕方になるとコウモリが良く見られる。塒はどこにあるのだろうか?などと考えていたら、10:50 サシバ1羽が低空で現れ、野球場の上空を一回りして、常盤山方面に飛び去って行った。その後11:02にも同じくサシバ1羽が低空で現れたが、トビに迎撃され、高度を上げて長谷方面に飛び去った。久しぶりに笛田公園の上空を通過するサシバに出会うことができた。この時間帯だけ、こころなしか風が弱まっていたように思われた。

 

4月17日(土)  晴

 

南西の風がやや強く、じっとしていると暑いぐらいの天候であった。メジロとシジュウガラの囀りを聞きながら10:40−11:40笛田公園で、観察したが成果はゼロであった。サシバはまだまだパラパラと渡っているようだが、余程条件が合わないと笛田公園は通過してくれないようである。もう少し長時間観察できれば良いのだが、今の体調ではこれで限度一杯のようだ。

 

4月18日(日)  晴

 

人出の多い鎌倉を避けて逗子の南郷公園で10:30−11:45 観察した。 南郷公園は二子山のすぐ麓に位置する運動公園で、野球場やサッカー場などがあるのは笛田公園と一緒であるが、三方が山に囲まれていて、緑が多く、スケールも大きいので、あまり騒音を感じることもなく、新緑が美しい、素晴らしい公園である。メジロ、ホオジロ、アオゲラの声が絶えずしており、ときおりオオルリの囀りが遠くから聞こえてきた。

昔はこのあたりは、随分歩き回ったことがあり、秋にサシバを観察した記録はあるが、春観察するのは初めてであった。二子山山頂付近を飛んでいくサシバがいないか、注視したが、残念ながらサシバの姿は発見できなかった。

4月19日(月)  曇

今にも降り出しそうな天気で、南西の風がかなり強かった。さして期待はせず、9:40−10:40 笛田公園で観察した。思いがけず9:55 サシバ一羽が低空で現れ野球場を一直線に横切り、常盤山方面に消え去った。この日はイワツバメが4,5羽盛んに飛び交っていた。晴れた日には見かけなかったのに意外であった。ほかにも色々な小鳥たちが、渡っていったが、日頃見慣れていない小鳥が飛んで行くのを見て、種類を特定するのは、非常に難しいことだ。この日もどうしても種類のわからない小鳥が2種類ほど東に飛んでいった。

4月20日(火)  晴

9:40−10:10 稲村が崎で観察した。南の風がかすかに吹いて視界もあまり良くなかったが、条件は悪くないように思われた。9:47 サシバ1羽が低空で内陸側を通過した。アオサギやコサギ、ウミウ?が上空を東に飛んでいった。トビの羽が抜け変わる時期のようで、羽の抜け落ちた固体が目に付いた。もっと観察を続けたかったが、気温が上昇して暑くなってきたので、笛田公園に移動し、10:30−11:00観察した。こちらは風がさわやかであったが、あまり鳥の動きがなく、サシバも見られなかった。

 4月21日(水)  晴

10:00−10:45 披露山公園にて観察。空は良く晴れて、稲村が崎の上空を舞うトビの姿も良く見渡せたが、南東の風が段々と強くなり、鎌倉方面から飛来する鳥は期待できそうになかったので、鎌倉霊園に移動して、11:00−11:40観察した。鎌倉霊園で観察するのは初めてのことであるが、まだ霊園が出来る前に、このあたりを何度か歩いた記憶がある。当時は道路も舗装されていなかったが、金沢八景や太刀洗行のバスは運行されていた。当時は高校生で、野鳥の知識も乏しかったが。マヒワの群れに出会ったのが今でも印象に残っている。天園方面からやってくるサシバに期待したが、姿を見ることはできなかった。

4月22日(木)  晴

9:30−10:30 笛田公園で観察した。南東の風がかすかに吹いていたが、笛田公園としては、かなり条件が良い日に思われた。トビやカラスが盛んに上空を飛び交っていた。暑くもなく、寒くもなくさわやかな日で、いつのまにかフジの花が満開になっていた。しかしサシバは全く見られなかった。もう総て、渡り切ってしまったのだろうか?昨年はサシバの終認は4月22日であった。

4月25日(日)  晴

北西の風がやや強く冷たかった。10:00−11:00 笛田公園に行ってみた。満開のフジの花の向こうに、まだ雪を残した富士山が見えていた。シーズンが完全に終わったようで、サシバの姿は見当たらなかった。

 

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今年の春のサシバの渡りについては、体調が悪く思うように動けなかったこともあるが、わずかに11羽しか、観察ができず、またサシバ以外のタカ類についても、満足の行く観察結果は得られなかった。昨年でも25羽は観察しているのに、観察記録などというのも恥ずかしい結果であった。反面サシバの渡りについての謎は深まる一方であり、観察すればするほど、わからないことが増えるという状況であった。秋に較べて、まだまだ解明すべき問題点が多い、春のサシバ観察は非常に興味深いものであると私は思うのだが、観察者の数が少ないのは、残念なことである。

私にとって、この春最大の収穫は、従来春のサシバは低空をパタパタと羽ばたきながら渡って行くもので、まれに上昇気流をとらえて上空を旋回することはあっても、それは一時的な現象にすぎないと思っていたところ、肉眼ではとても見ることのできない超高空を一直線に渡っていくサシバを数羽ではあるが目撃できたことである。

春はなぜ秋に較べて、サシバがあまり見られないのだろうか?この根本的な疑問を解明するカギはここにあるのではないか?なんとなくそんな感じがしているが、勿論これだけの観察データでは、断定的なことが言える状況ではないし、今後のテーマとして残されることになるだろう。

若くて馬力のある人がもっともっと春のサシバに興味を持ってくれることを期待しているのだが、春のサシバはどこに行けば見られるのですか?数はかなり見られますかなどと質問されると、返答に窮してしまう。

鎌倉で春に観察する場合、実のところどこに行けば数が見られるのかは、風向き次第、運次第、私にも良くわかりません。だから空振りばかりしているのです。そして数はほとんど見られません。一日に10羽も見られれば上出来ではないでしょうか。まったく説得力はありませんが、にもかかわらず春のサシバは面白いものです。

 

 

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