
今年は4月28日が春のサシバの終認日であった。本来なら5,6月、それに7月の中旬位までは、新緑のなかで、野鳥のシンフォニーを聴くことができるし、サンショウバラとか、トウゴクミツバツツジとか、ホウの花とか、さまざまな花が咲いていて、私にとって、もっとも楽しい季節である筈なのだが、今年は、箱根にも、富士山麓にも丹沢方面にも、友人に誘われて何度かは、出向いたものの、自発的に出かけようという気力がわかず、これという成果、感動もないままに漫然と時が過ぎていってしまったような気がする。
8月中旬になり、今年も、鎌倉でサシバが観察されたとの情報をいただいた。8月中旬から9月の早めにかけて、まだあまり皆が注目しない時期のタカの動きは、私が今もっとも関心をもっているテーマなのだが、猛暑に完敗して、体がまったく反応しないまま今日に至ってしまった。
私は一昨年、湘南平で8月中に合計28羽のサシバが渡りと思われる飛び方で西に向かうのを目撃した。昨年は合計5羽しか目撃できなかったが、サシバが8月にも移動していることは、数こそ少ないが、間違いがない事実である。今年は残念ながら8月に湘南平には、一度も行けなかったが、もし毎日通っていたら、確実に何羽かのサシバを目撃出来た筈だと確信している。
ただ8月時点でのサシバの移動は、本当に渡りなのか?それとも非渡りか?とすれば非渡りのサシバはどこから来たのか?渡りの予備的な移動なのか?それとも繁殖なのか?鎌倉においては繁殖は想定しにくいが、湘南平周辺では、十分考えられるのではないだろうか?私は今から30年程前、偶然足柄上郡大井町高尾というところで、サシバが繁殖しているのを見た記憶がある。今年の夏はまだこの周辺でサシバが繁殖している可能性があるかどうかを確かめるため、友人と2度程現地に行って見たが、結論的には今でも十分ありそうに思えた。繁殖中のサシバの行動範囲はどのぐらいなのだろうか?
今年は武山を初め、各観察ポイントで、秋のサシバの渡りの観察期間を繰り上げる動きがあるようで、非常に結構なことである。各地でのデータの集積が進めば、サシバのまた違った側面が見えてくる筈である。 Yahooで、サシバというキーワードで検索をしたら、118,000件の情報があった。 この膨大なデータをなんとか活用したいと思いながら、気力、体力がともなわず、残念ながら、今のところ手がつかない状態である。 9月7日
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9月9日(土) 曇後晴
7:00−8:15 今シーズン初めて笛田公園にて観察した。残念なことに、長いこと秋のサシバ観察ポイントの一つであった公園の東側斜面に建売住宅が4棟建設されてしまい、この場所からの観察が不能になってしまった。ここからは常盤山や住生住宅の背後に逗子の披露山公園等をかすかに望むことができ、またミズキの大木があって、コムクドリやヒタキ類がよく見られた場所であった。やむなくサッカー場のベンチで、観察した。初めのうちは、風も弱く、雲が多くてしのぎやすい天候であったが、徐々に青空が出てきて、暑くなってきた。上空ツバメやヒメアマツバメが多数舞っていた。一瞬ツツドリのような声がしたが、遠くてはっきり確認できなかった。かなり暑くなり、引き上げようと思った8:02、常盤山の上空にサシバ5羽がタカ柱を作って旋回しているのを発見した。サシバは一時かなり高空に舞い上がり、梶原方向にバラけていった。渡りなのか、非渡りなのかは、笛田公園の場合、判断が難しいところである。明らかに戻って行った、とか夕方に観察された場合は非渡りで間違いはないと思えるが、渡りのピーク時においても、梶原、深沢方面に消え去る場合が、結構あるので、とても紛らわしい。もうすこし、先まで、見通せたら、判断がしやすいのだろうが、他地点での情報を参考に判断するしかないのだろう。


9月11日(月) 晴
7:30−9:00 笛田公園にて観察。 初めは風も緩やかであったが、その後北東の風がかなり強くなってきた。前回と同じ場所で観察したが、モズの高鳴きや、ツズレサセコオロギの声が秋を感じさせるものの、まだかなり気温が高く、あまり期待もしていなかったが、8:00にサシバ2羽が低空を梶原方面に向かうのが、目撃された。さらに8:18にサシバ1羽がほぼ同じコースをたどっていった。この3羽については、渡りと断定する自信はなかったが8:55 上空かなり高い位置にハチクマ3羽とサシバ1羽が現れ、グラウンドを旋回したあと高度を下げずに西に向かって飛び去った。これは明らかに渡りだと思われる。北風が強い日、笛田公園ではサシバはあまり期待できないのだが、この日はまだまだ飛んできそうな期待感はあったが、体調が今一で、残念ながらここで切り上げた。
9月12日(火) 曇
7:45−9:15 笛田公園で観察した。北東の風がかなり強く、涼しかったが、上空はどんよりとした雲が覆っていて、条件は芳しくなかった。いつもの場所で、観察したが、めぼしい鳥の動きは殆ど見られず、エンマコオロギの声が寂しげであった。珍しく昔、逗子や茨城方面にご一緒に探鳥をさせてもらったことのある梅田さんに出合った。現在藤沢探鳥クラブの副会長をされている由で、近く白樺峠にサシバを見に行かれるとのことであった。さすがに今日は飛ばないだろうと思っていたところ、8:53僅かに雲が開けて、かすかに青空が見られる狭いスペースの超高空をサシバ1羽がまっしぐらに西に向かって飛行して行くのを発見した。すぐに雲に隠れてしまったが、こんな日にも笛田公園の上空をサシバが渡っているのには驚いた。
9月13日(水) 曇時々雨
空はどんよりとして、時折小雨が降っていた。おまけに北西の風が強く、サシバの渡りを観察するには、最悪の日であると思われた。10日に大楠山で、相当数のサシバが見られたという情報があったが、その後全部が渡った形跡もないので、もしかするとかなりの数のサシバが大楠山周辺にまだ滞留しているのではないだろうかという期待があって、湘南国際村に向かったが、適当な駐車場所がなく、海岸に下りて11:00−12:30立石の駐車場で、観察した。初めのうちはカモメやトビが時々現れる程度で、さっぱりであった。サシバは無理としてもなにかタカ類が見られないものかと思っていたところ、12:15秋谷方面にそびえるマンションの上空にサシバが2羽旋回しているのを目にした。行方を追っているとなんと上空に最低15羽のサシバがタカ柱を作っているのを発見した。こんな条件の日にこれだけの規模のタカ柱を見るのは初めてである。これらのサシバは渡っていく様子はなく、2,3分後に大楠山の方向に戻るような形でバラけて行った。その後サシバの後を追う形で、車で衣笠十字路から、池上十字路を経て阿部倉温泉の近くで、15分程サシバを探したが、発見することはできなかった。

9月14日(木) 雨後曇
12:00−13:30 江ノ島の防波堤前の駐車場に車をとめて、観察。午後からは天候が回復する筈なので、このところの悪天候で、足止めをくっている三浦半島滞在のサシバが一斉に飛び立つのではと、かすかに期待していたが、午後になっても天候の回復は思わしくなく、断続的に、雨まじりの北西風が強く吹き付けて、寒くて車外にでられず、満足に観察ができない状態であった。海鳥は結構活発に行き来をしていたが、この状態ではサシバの移動はないだろうと思われた。
9月15日(金) 晴
9:15−11:45、海抜770mの十国峠山頂で、観察した。十国峠には恒例で、ほぼ毎年出かけているが、恐らくこんな早い時期に行くのは初めてである。快晴で、眺望は素晴らしかったが、東北東のかなり強い風が、吹き付けていて、初めはとても寒かった。徐々に気温が上がってきて、しのぎやすくはなってきたが、鳥の動きはサッパリで、例年なら湯河原や熱海から必ずトビがやってくるのだが、トビを含めタカ類が1羽も観察できないという珍しい結果となった。 2時間半いて観察できたのは、ツバメ、アマツバメ、ハクセキレイ、ホオジロ、ウグイス、ガビチョウ位で、カラスも全く現れなかった。ここからは三浦半島のほぼ全域が見渡され、本日のようなフォローの風にのって、渡れば、ものすごく省エネが出来る筈であるが、やはりこれだけ風が強いと、鳥も飛ぶことをためらうのだろう。やむなく十国峠の草花展などを見て、帰宅した。

9月16日(土) 晴
昨日同様晴れてはいたが、北東の風が3,4m吹いており、あまり良い条件ではなかったが、笛田公園で、観察した。本日から毎週土曜日に日本野鳥の会の神奈川支部で、、サシバの渡りの一斉調査をおこなうことになっている。体調不安定で、正式に登録はしていないが、この期間は極力笛田公園を担当する予定にしている。笛田公園は自宅からバイクで5分とかからないのが、ありがたい。7:30−8:30 三浦半島発のサシバを想定して観察したが、残念ながら1羽も飛ばなかった。7:50オオタカが1羽、現れ夫婦池の方向に降下した。その後房総半島発のサシバを想定して、10:30−1200再度観察した。風はやや弱くなっており、気温もあがり、条件はかなり良くなったように思われたが、残念ながらサシバは全く発見できなかった。

9月18日(月) 雨後曇
台風の影響で、大雨強風注意報が出ていたが、9時過ぎに解除となった。南風が強く、渡りは期待薄と思われた。大楠山周辺に滞在するサシバのその後の状況が気になっていたので、9:30−11:00、再び立石海岸の駐車場で、観察した。初めはまた小雨が降っていたが、そのうち雨もあがり、空が明るくなってきて、トビやカラスや、ドバトなどが一斉に飛び立って、賑やかになった。この中にサシバが混じっていないか、随分探したが、残念ながら1羽も見つけることはできなかった。立石というと昔、釣りに通っているころは、随分と時間がかかり、とても遠いという印象があったが、大山林道を縦貫する道路が開通してからは、急に身近になった。散々建設反対の運動をしてきた、道路の恩恵をうけるのは複雑な気分がする。
9月19日(火) 晴
予報では午後からは南の風が強くなるとのことであったので、7:45−9:15笛田公園で観察した。秋晴れで、初めはそれ程風が強くはなく、富士山や矢倉岳などがかすかに遠望できて、実にさわやかな天候であった。しかしサシバは全く見られず、ツバメ、ヒメアマツバメがグラウンドを飛び回るだけで、トビすら殆ど現れなかった。9時を過ぎると南風が急につよくなり、暑くなってきたので、早めに切り上げた。例年は早々と実施される公園の草刈が今年は何故かまだ行われず、通称サシバが見える丘のあたりは、草がのびきり、アキアカネが乱舞していて、バッタ等も沢山見られる。餌が豊富にありそうだし、もしかしてサシバも早朝などに舞い降りているのかもしれない。また時おり、耳慣れない虫の声が聞こえていたが、夜なら素晴らしい虫の音のコンサートが聞かれるだろう。なお余談であるが、日本野鳥の会神奈川支部が平成14年11月現在、県内で、サシバが繁殖していると確認している場所は茅ヶ崎市のT箇所を含め3箇所しかないとのことである。確たる根拠はないが、私は実際はもっと多くのサシバが密かに繁殖しているのではないのかという気がするのだが。
9月20日(水) 晴
昨日は非常に有益な情報を二つ得ることができた。一つは二年程前の日本野鳥の会千葉支部の会報に房総半島富津でのサシバが渡る条件は、北東の風が吹く、晴天の日で、かつ気温が平均24度以下の場合であること、その他何点かの条件を満たしている場合に限られるということが掲載されていたとのこと。先の2つの条件は想定内であるが、気温が影響しているというのはまったく、念頭になかった。いずれにせよ鎌倉での観察にも非常に参考になることはまちがいがないと思われる。もう一つは「サシバの原初的な渡り」について、日本野鳥の会のSTRIXという研究論文集に、2004年夏に茨城県霞ヶ浦での観察にもとずく4人による研究結果が掲載されているという情報である。私は20年近くサシバの渡りを観察してきたが、初めて耳にするタイトルであった。内容は霞ヶ浦地区のサシバが8月の中旬から、渡りの予備的な行動として、一部のものが別の地域に移動を開始するという事実の確認である。こうした事実が存在していることについては、おぼろげには認識していたつもりであるが、論文として見るのは初めてのことである。ただ現時点で解明されているのは、そのような事実があるというだけで、なんの目的で、どのような規模でこの予備的な渡りが行われているかについては、はっきりしない点が多く、今後の研究課題である。
この日は北東の風で、快晴であったが、出発の時点ではやくも気温は25度を越えていた。過度の期待はせずに10:00−12:00湘南平で、観察した。珍しくコマタンのメンバーが、4,5名で、観察されていたので、一緒に観察させてただいた。この場所で、野鳥の会の人に会うのは、とても珍しいことである。既にサシバ6羽が観察されたとのことであった。その後も、オオタカやノスリ、ミサゴなどが頻繁に姿を見せ、退屈はしなかったが、サシバはなかなか現れず、やっと終了直前の11:58にワカドリが1羽、東から飛来し、近くの杉の木に一旦止まったあと、飛び去った。その他正体不明のタカが1羽現れたが、山陰に隠れてしまいその後発見できなかった。コマタンの皆さんから、色々と興味のある地元情報を伺うことができた。周辺の繁殖地についても、私が想定していた具体的な場所はすでに開発がすすんで、現在は使われていないとのことであった。可能性が皆無とはいえないにせよ、繁殖サシバの動きを渡りと混同する確率は非常に少ないようであった。
9月21日(木) 晴
9:50−11:30 観音崎灯台下の海岸で初めてサシバを観察した。北東の風がゆるやかで、上空は晴れていたが、海上はもやがかかっており、対岸に君津の製鉄所や富津の観音像などが、かすんで見えていた。気温はやや高めであった。灯台の上空にオオタカが一度現れたが、サシバの姿は全く見られなかった。この場所はサシバが通過する場所かどうか、良くわからないが、条件次第では通過してもおかしくはない場所だと思われた。海岸でアサリを採っている人がいたが、結構型の良いものが採れるそうだ。なお観音崎に向かう途中、9:05大山林道入口の川久保交差点付近でサシバ1羽が低空を逗子駅の方向に向かっていくのを発見した。このあたりで、サシバを観察するとかなりの数が見られそうだと思ったが、渡りかどうかの判定が難しく、同じサシバを2重、3重にカウントしそうな気もしたので、取りやめた。昨日の情報では、武山に8羽、稲村ガ崎に3羽、湘南平に7羽の非渡りのサシバが居るようだ。その他の場所を含めると、依然30羽近くが「湘南サシバライン」とその延長線上に滞留しているのではないだろうか?
9月23日(土) 晴
8:30−11:15 笛田公園で観察した。晴天であったが、北東の風が2〜5m吹いていた。経験上、北の風が5mを超えると、笛田公園では殆どサシバが飛ばないので、今日は許容限度一杯であまり期待が出来ないと思っていたが、予想外の成果があった。
8:57 サシバ 6 S
9:11 サシバ 2 S
9:18 サシバ 3 N
9:25 サシバ 4、ハチクマ 1 S
9:37 サシバ 1 S
9:37 オオタカ 1 夫婦池方向
9:50 サシバ 1 S
9:52 サシバ 1 S
10:07 サシバ 5、 ハチクマ 1 S
10:10 サシバ 4 S
10:15 サシバ 3 S
10:17 サシバ 1、 S
10:43 サシバ 1、 S
11:03 サシバ 2、 N
結局サシバ34羽、ハチクマを2羽観察することができた。私は整理上笛田公園を3つに区分して、サッカー場の中心部より南を飛ぶものをS、野球場の北を飛ぶものをN,中央をストレートに飛ぶものをCとしているが、この日は大半がサッカー場の南側の上空をかなり高く飛んで行った。グラウンドの上空を低空で、ゆったりと飛ぶものは一羽もなく、写真は全くとれなかった。なおNに区分したものはたまたま見つけたもので、深沢方面に向かって行ったが、この方面は原則カバーできなかったので、見落としが相当あるかもしれない。ペースは鈍ってきたものの、まだ飛びそうな雰囲気もあったが、久しぶりに集中してカウントしたので、疲労困憊し、引き上げた。笛田公園でこれだけ飛ぶのはまれであるが、こんな日には観察者が2,3名いないと全域はカバーできないだろう。
なお鎌倉ではそろそろ本格的な渡りが初まりそうだという時期であるが、信州の白樺峠では、既に昨日の時点で昨年の実績8,886羽を上回る9,394羽のサシバが観察されている。9月21日などは一日で4,651羽も飛んでいるのは驚異的である。最近伊良湖岬はあまり話題にならないが、白樺峠を訪れる人が増えているようだ。
9月24日(日) 晴
概ね昨日と同じような条件に思われたので、多少期待して9:00−10:30 笛田公園にて観察した。しかし9:03 サシバ1, N,9:27、サシバ1 S,10:15サシバ4 Sとサシバは僅かに6羽しか観察できなかった。他には9:50 ミサゴが1羽、何か獲物を抱えて西に向かったのと、10:25ハイタカ?1羽現れたのみであった。この他トケン類が2羽ほど通過した。昨日の夕方、、ツツドリのような声を耳にしたので、もしかしたらと思ったがこの時期ツツドリが鳴くことはあるのだろうか。この日鎌倉山の稜線に沿って時々サシバらしい鳥の動きが遠望できた。遠すぎて確認は出来ないが、なんとなく海側ではサシバが大飛びしているような予感がしたので、バイクでその群れを追いかけるように稲村ガ崎に行き、12時まで観察したが、、30数羽のタカ柱を含め50羽を上回るサシバを短時間の間に見ることができたのはとてもラッキーであった。この日稲村ガ崎では合計で110羽を超えるサシバが見られたようだ。休日でもあり、6,7名のメンバーが集まっていた。昨日は稲村ガ崎では26羽のサシバしか観察できなかったそうだが、やはりこのような条件の日は稲村ガ崎の方が笛田公園より、はるかに条件が良い筈で、昨日は例外であったと考えるべきであろう。
9月25日(月) 晴
昨日は武山で92羽、富津で50羽、稲村ケ崎で136羽、矢倉岳で200羽が渡っており、いよいよ本格的な渡りが始まったようだ。今日も同じような天候に思われたので、相当数が飛ぶことが想定されたが、箱根越えをするサシバがどの程度あるのかが気になっていたので、10:50−13:00箱根大観山のドライブインの近くの草原で観察した。この場所には野花の小径という散策コースがあり、野草が多く、ヒタキなどの野鳥も多いところである。雲が多かったが、青空も見られ観察に支障はなかったが、北東の風がかなり強く、寒いぐらいであった。この時期はあまり鳥の囀りは聞こえないが、ここでもガビチョウが盛んに囀っていた。また時おりキジのけたたましい鳴き声がひびいてきた。シーズンの初期には箱根越えするサシバの比率が矢倉岳越えに対して相対的に高いのではと以前から考えていたので、この日はかなり期待していたのだが、結局12:15にサシバ3羽が通過した以外、ノスリが一度現れたのみであった。大観山は海抜1011mあり、これまでにも何度かサシバの渡りを観察しているが、いずれも稜線に沿って低空を飛行していった。しかしこの日のサシバは、超高空を飛んでおり、このような飛び方は初めて目にするものであった。数的にはかなり期待はずれであったが、素晴らしい景観の中でサシバ観察ができたこと、そしてこの時期に確実に箱根を越えていくサシバがいることが、確認できたのは収穫であった。
9月28日(木) 晴
二日間雨の後の快晴、弱い北風で絶好のコンディションだと思われたがやや気温が高いのが気になった。10:00−12:30江ノ島の防波堤側の駐車場に車をとめて観察した。この場所でこの条件なら、笛田公園を通過するサシバと稲村ケ崎を通過するサシバが江ノ島辺りで合流する筈なので、相当数のサシバが間違いなく観察できる筈だと期待したが、予想に反して、サシバは1羽も発見できなかった。トビは盛んに活動していたが、そのほかのタカ類も全く姿を見せなかった。駐車場は有料で、平日は閑散としているが、この日は気候がよいためか、かなりの部分が車で埋まっていた。ざっと数えて50名ほどの釣り人が竿をだしていた。灯台の真下で、サザエを砕きながら、石鯛釣りをしている人がいたので、話を伺うと、釣れないことで有名な江ノ島でもごく限られたポイントで、石鯛や黒鯛が結構上がっているとのこと。幻の魚といわれる石鯛のことなので、結構あがるといっても、3年にT枚といった話かもしれないが。


9月29日(金) 曇
9:30−12:00逗子の披露山公園にて観察した。昨日は富津がゼロ、武山で4羽と房総半島からの渡りが殆ど見られなかったようだ。この日は北風で、空は曇ってはいたが、一部に青空も見られ、観察に支障のない天候であった。かなり期待をしていたが、結局10:03にサシバ1羽、10:39にサシバ2羽、ハチクマ1羽が中空を通過しただけであった。縄張り争いをしているのか、モズが盛んに飛び回っていたが、他には目立った動きはなかった。ところで、披露山は逗子八景の一つだそうで、披露山の暮雪が有名だそうだ。逗子八景の一つに沼間の落雁というのがあるが、いつ頃まで沼間にガンが居たのだろうか?
9月30日(土) 曇
9:45−11:45 笛田公園にて観察した。北北東の風がかすかに吹いていた。雲は多かったが観察には問題はないように思われた。過去2日、期待外れの日が続いたので、そろそろ大群がやってきそうな気もしていたが、結局サシバは1羽もやってこなかった。まさかサシバはもう渡り終わってしまった訳ではないとは思うのだが。他地域での動向が気になるところである。カケスが4羽、夫婦池の方向に飛んでいった。サクラの木にヒタキが2羽やってきたが、すぐに飛び去ってしまった。高くて種類は良くわからなかった。色々な鳥が、西に東に渡っているようだったが、週末の笛田公園は人出が多く、鳥も殆ど降りてこない。野球場では少年野球教室が開催されており、歓声が絶えなかった。帰りに見てみると、横浜ベイスターズの遠藤一彦とか、往年の名選手が指導にあたっていた。
10月1日(日) 曇後雨
天候が芳しくなく、大きな期待はできなかったが、このような日でも思わぬハプニングが起こることもありうるので、笛田公園で10:00−11:15観察した。雨が時々、降っていたが、さほど強くはなく、野球場もサッカー場も競技が行われていた。北風がかすかに吹いており、晴なら悪くない条件であったが、残念ながら梶原上空のごく一部を除いて、雲が低く立ち込めており、収穫はなにもなかった。もしグラウンドが無人であったら、アマツバメの大乱舞が見られそうな感しのする日であった。

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10月2日(月) 雨後曇
朝方から降っていた雨が上がったので、11:00−12:30笛田公園に行って見た。北風がかなり強く、初めのうちは、雲が多く、寒いぐらいであったが、徐々に空が明るくなり、12時を過ぎると晴れ間もでてきて、サシバが現れても、おかしくない雰囲気であった。しかしサシバの姿は発見できなかった。12:20オオタカ1羽が野球場の上空でホバリングしたあと、急降下したが、獲物は捕獲できなかった。グランドにはハクセキレイ、ムクドリなどがいたが、成功率はあまり高くないようだ。昨日は稲村ケ崎で、サシバが34羽見られたとのことであった。なお最近ハチクマの渡りについて、東京大学の樋口先生,信州大学、中村先生達のグループが調査した結果、皆がアット驚く全く想定外の結果が判明したとのことであるが(サシバ論第4章ご参照)、サシバについてもまだまだサプライズがありそうだ。
10月3日(火) 曇後晴
9:15−12:00 笛田公園にて観察。今日は公園の草刈日であった。例年より遅いが、今ぐらいの方が虫の音などが楽しめて私には好都合である。初めは雲が多かったが、だんだんと晴れ間が多くなり、北東の弱い風が吹いていて、条件的には悪くはなかった。
10:08 サシバ 8 N 深沢中学のあたり?の高空でタカ柱。
10:38 サシバ 1 N 上記と同じコースを西へ
10:52 ミサゴ 1 N
11:13 サシバ 2 S
11:32 サシバ 1 C
11:32 ノスリ 1 C
この日は、サシバが12羽観察できたが、いずれも高空で、しかも色々なコースを飛んだので、他にも見落としている可能性がありうる。なお梶原方面の上空でタカ柱が見られるのは非常に珍しいことである。
10月4日(水) 曇
午後秦野の病院に行く予定があったので、10:00−12:00平塚のそばの 馬入ふれあい公園で観察した。この場所で観察するのは初めてだが、相模川河口を1キロ位遡った、国道一号線沿いの河原にある、東海道53次の「馬入の渡し」の跡地に設置された公園で、かねてから一度観察してみたいと思っていた場所である。鎌倉を出るときは雨であったが、辻堂から先は雨は降っておらず、北東の風がやや強かったが、サシバを観察する条件としては悪くはないように思われた。背後は平塚の街が広がり、その向こうに湘南平がはっきりと見えていた。しかしサシバは見られず、確認できたのは10:48ミサゴが2羽海に向かって横切っていっただけであった。アマツバメ、ヒメアマツバメ、ツバメ、コシアカツバメが多数舞っていた。なお11:13灰色が目に付くチュウヒ???らしいタカが正面を川上に向かって飛んでいったが、識別ができなかった。


10月5日(木) 曇時々雨
9:00−10:00 雨が止んでいたので、笛田公園に行って見た。北の風が強く寒かったが、意外と視界は悪くなかった。このところ天気が芳しくない日が続いており、天気図を見ても、まだしばらく好天は望めそうにはないようだ。サシバは渡りの初期に原初的な渡りをすることは、学習したが、渡りの最終段階においても、悪天候が続くなどして本格的な渡りが難しい場合、僅かな晴れ間を縫いながらの、段階的な渡りが、ありうるのではないだろうか?そろそろ雪の情報がきかれる繁殖地もあるだろう。そんなことを考えながら観察していたら、はるか遠方の中空を北から南にまっすぐに3,4羽の群れで流れていく、サシバらしい?鳥を発見した。場所的には天園あたりから、若宮大路に沿ってまっすぐに南下しているよう思われた。笛田公園上空はさっぱりであったので、バイクでこの鳥影を追って、長谷から海岸線まで行って見たが、発見はできなかった。稲村ケ崎を通過しているかもしれないと思って、確認のため、現地に行って見たが、その時点までにはサシバは見られなかったとのことであった。恐らくトビと見誤ったものであろうが、矢倉岳での観察結果がすこし気になる。(結局矢倉岳は雨で、観察不能だったそうだ。)なお北鎌倉周辺にはまだ居ついているサシバがいるそうだ。これらのサシバは恐らく8月から滞在している個体ではなく、新しくやって来たサシバに違いないと私は思うが、真実はどうなのだろうか。この時期のサシバは先を急いであせっているのか?想定外の飛び方をすることが、結構多いように思わおり、れる。
10月7日(土) 晴
久しぶりの晴天であったので、かなり期待して笛田公園で9:30−12:00観察した。初めは北東の風が強かったが、徐々におさまってきて11時頃には絶好の条件になった。しかし残念ながらサシバの姿は1羽も発見できなかった。この条件で、ゼロということは、もうサシバは総て渡り切ってしまったのだろうか?(帰宅して武山の情報を見ると速報値で190羽も飛んだとのこと。どうも笛田は蚊帳の外だったようだ。)10:22ハチクマ?が1羽長谷の方角から低空で現れた。ハチクマと思いこんでいたので、あまり気にもとめなかったが、そのタカはなんとサーカー・グラウンドを旋回したあと、進路を真北に変えて、大船方面にまっしぐらに飛んでいってしまった。驚いて再度確認すると、ハチクマではないようだ。一瞬チュウヒ?ではないかなと思ったが、帰宅後動画で確認したところ、どうもノスリのようだ。識別能力のレベルを露呈しているようだが、やはりサプライズはそんなに続けて起きるものではないようだ。むしろ笛田公園ゼロの方がサプライズかもしれない。他には11:03オオタカが1羽、上空を旋回した以外、見るべきものはなかった。
10月8日(日) 晴
昨日は富津を除き、各観察ポイントとも、かなりのサシバが飛んでいる。稲村ケ崎で130羽、台峰でも40羽が観察されているのに、笛田公園がゼロというのは、見落としがあったと考えざるを得ない。昨日サシバは高く、早く飛んでいたそうだ。この日はほぼ無風で、真っ青な空が広がり、富士山がはっきりと見えていて、絶好なコンデイションであった。9:45−11:00笛田公園で観察したが、昨日とは全く反対側(飛行区分S)に焦点を絞ってみた。結果的にはこれが大当たりで、1時間程の観察にもかかわらず、42羽のサシバを観察することができた。
09:58 サシバ 5
10:03 サシバ 3
10:08 サシバ 2
10:09 サシバ 1
10;14 サシバ 18
これらのサシバは、いずれも超高空を全く同じコースで、西に向かって行った。なんどかタカ柱が見られたが、ものすごく高い位置で、写真にとることができなかった。このコースをマークできなければ、今日もまたゼロという結果に終わっていたのだろう。一時間ちょっとしか観察しなかったのに、集中していたためか、ものすごく疲れて11:00で観察を切り上げたが、引き続き観察をしていたら、まだかなり飛んだかもしれない。その後KJGの例会で源氏山公園に向かったが、なんと定例コースを歩いていて、30羽弱のサシバが見られ、タカ柱も何度か見られたとのことで、皆さん大満足の様子であった。
10月9日(月) 晴
今日も晴天で、北東の風がそれほど強くなく、条件的にはかなり良いように思われた。もうすこし早くから観察しようと思ったが、体調が芳しくなく、笛田公園で10:30−11:45の間しか観察できなかった。富士山の山頂付近に冠雪がみられたが、気温はかなり高く、暑いぐらいであった。サシバは10:48、10:54、11:17に昨日と同じコースで合計3羽見られたのみであったが、著しく集中力を欠いていたので、見落としがあったかもしれない。体調が悪いと、ただサシバを見るだけのことがとても重労働であり、双眼鏡がとても重たく感じられた。
10月10日(火) 晴
今日もまた快晴で、北東の風が2メートル程度、気温22度前後と条件的には、かなり良い部類であった。朝から体がとてもだるかったが、昨日も矢倉岳では500羽以上のサシバが飛んでおり、この調子ではまだ飛ぶことが、予測されたので、かなり無理をして10:00−11:45笛田公園で観察した。10:22にサシバ3羽が超高空を西に向かっていった。この様子では、まだまだやってくるだろうと期待したが、その後サシバの姿は全く捉えることができなかった。富士山がぼんやりと見えていたが、矢倉岳付近は雲に覆われており、観察が難しそうに、ここからは見えた。10:47ハチクマが1羽通過した。また11:27ノスリが1羽、11:43アオバトが2羽西に向かっていった。笛田公園でアオバトを見るのはとても珍しいことである。
10月11日(水) 晴
今日も引き続き快晴で、南西の風がゆるく吹いており、気温も25度近くあったようだ。箱根仙石原のススキの茂る草原の近くにある町営駐車場に車をとめて、11:00−12:45観察した。仙石原では春にサシバを観察したことはあるが、秋は初めてである。平日なのにススキを見物する人で、駐車場はほぼ満杯であった。ススキが茂る大草原の中も、色々な鳥がいて結構楽しめるが、傾斜がきつく、私には登るのがきつすぎる。駐車場の近くに適当な観察場所を見つけて、金時山、明神岳、明星岳をむすぶ箱根の外輪山を越えてくるサシバを探したが、結局1羽も見つけることができなかった。トビも飛ばず、カラスとカケス、ヒヨドリなどが行き来しているだけで、珍しい鳥には出会えなかった。時々キジや、ガビチョウ、モズの声が聞こえてきた。またイカルの声もしたが、もしかするとモズの仕業かもしれない。イワツバメが数羽舞っていた。
今何故仙石原なのか?箱根越えのサシバについて、私はこれまで、入生田あたりから、主に箱根ターンパイクに沿って飛ぶコースしか想定していなかった。このサシバは、三島、沼津方面に向かっていることは、間違いがないと思われる。(その後のルートは不明であるが、富士宮には恐らく行っていない?)しかし今年の10月8日のように矢倉岳で283羽しか、観察されなかったのに、富士宮の明星山では785羽が観察されたというような、現象が起こることがあり、その原因は風なのか、霧なのか、上昇気流の関係なのかはっきりしないが、いずれにせよ、矢倉岳から見て、明神岳の稜線を箱根側に越えていくサシバが存在していることが、推測されている。こうしたサシバは当然仙石原から観察ができる筈であって、これも箱根越えのサシバにカウントされるべきなのだろう。とはいえ、これらのサシバは本来矢倉岳を通過したかったのが、なんらかの原因により、箱根側に流されただけであり、どこかの時点で本来のコースに戻って、富士宮に向かっていると考えるのが自然なのかなと思うようになった。そのあたりの地理的な感覚を確認したいというのが、一つの目的であった。実際そのような状況にであって、これらのサシバがどの方向に向かうのかを追跡調査しないと、正確な判断は出来ないが、一口に箱根越えのサシバといっても少なくとも二つの異なる形態があることは間違いないように思われる。(以下の写真は左が金時山、右が明神岳。いずれも昔何度か登ったことがある懐かしい山である。)


10月12日(木) 晴
今日も晴天で、弱い北風が吹いていた。10:30−11:30 立石海岸で観察した。既にサシバは大半が渡り終わったようで、主要な観察ポイントでも1羽とか2羽しか飛んでいないようだ。そんな状況ではサシバは常識的には期待できないが、こんな時期にも思いがけないサプライズが起こる可能性がある。でもこの日はなにも変わったことは起こらなかったので、観察を切り上げて武山に行ってみた。武山には昔何度か行ったことはあるが、車で行くのは初めてであった。車で行くことは可能だとは聞いていたが、想像以上に道が狭く、とても緊張したが、なんとか山頂のアゼリアハウスに到達することができた。すでに12時を回っていて、サシバを観察している人は誰もいなかったが、ハイカーでにぎわっていた。この日は武山から見る房総半島の状況を把握するのが主目的であったが、残念ながら、もやがでており、千葉県側は全く見ることができなかった。


10月13日(金) 晴
大詰めに来て、好天が続くと、なかなか終結宣言が出しにくい。10:30−12:00今シーズン初めて茅ヶ崎里山公園にて観察した。ここに来るのは大体が南風が強く、笛田公園では絶対に飛ばないという日であるが、今シーズンはそのような日がとても少なかったような気がする。この日はオオタカが何度か出現したが、サシバは全く見られなかった。この公園には毎年何度か足を運んできたが、サシバは少数ではあるが、確認している。したがってこれまではサシバの渡りのコースだと考えていたのだが、最近一つの疑問が出てきた。ことしもこの公園の近辺で、サシバが繁殖に成功したそうであるが、そうであれば、幼鳥を含め最大5羽程度のサシバがこの周辺に存在していることになる。今年は笛田公園で、居付き(非渡り)のサシバの行動に悩まされてきたが、里山公園においても、一時に6羽以上のサシバを確認しないかぎり、繁殖サシバの動きと混同している可能性が排除できず、渡りであるとは断定できないという理屈になるのではないだろうか?過去には2,3羽の群れは見たことがあり、明らかに渡りと思われる飛び方はしていたのだが?残念ながら6羽以上の群れを見たことは一度もない。


10月14日(土) 曇時々晴
雲が多く、北風がかなり強く吹いていた。9:30−11:00 笛田公園にて観察した。9:58飛行区分の超高空を飛行するサシバ?らしきタカを発見したが、遠すぎて、はっきりとは確認できなかった。10:05ハチクマ1羽がグラウンドの真ん中(C)をゆっくりと飛行していった。
10月15日(日) 曇時々晴
体調が悪く、気がのらなかったが、天気は悪くなさそうで、殆ど条件反射的に笛田公園に向かった。公園では野球とソフトボールの大会が行われており、ものすごい人出と歓声につつまれていたので、場所を換えて、夫婦池で9:00−10:30観察した。ここだと視界は笛田公園の3分の一程度しか開けていないが、静かにタカやその他の鳥を観察するには絶好の場所であると思われる。9:17のノスリが1羽、9:58チョウゲンボウが1羽やって来ただけで、サシバは見られなかった。ハクセキレイの囀りや、カケスの声などが聞かれ、アマツバメが5,6羽上空を舞っていた。
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まだ一週間位は晴天が続きそうで、サシバも数羽は飛ぶかもしれない。サシバは見られなくても、他のタカ類や多くの渡り鳥、漂鳥が移動する時期であり、フィールドに出れば、それなりに楽しみがあるのだが、体力的にもう限界だと思われるので、昨日をもってサシバ観察を打ち切ることにした。今年は笛田公園で99羽のサシバを観察することが出来たが、これは恐らく過去を通じ、2番目に多い記録である。一番多い年はいまから12,3年前の、120羽位であったと思う。この年は一日で80羽以上を観察した日があったと記憶している。観察時間に差異があるし、数にはあまりこだわってはいないが、今年の笛田公園はかなり順調な年であったことは間違いがないだろう。
サシバに関連して今年も色々なことを学ぶことができた。特に「サシバの原初的な渡り」や「ハチクマの意外な渡り行動」などは印象的であった。身近なところでは、かねてから興味をもっていた箱根越えサシバについて関心を持つ人が増え、徐々にその実態が解明される方向にあることはとても嬉しいことである。
湘南平で観察していると条件に差異がないようでも、真直ぐ箱根に向かうサシバとぐっと右手にカーブして矢倉岳方面に向かうサシバがあるように見える。箱根越えのサシバと矢倉岳に向かうサシバを分ける要因はどこにあるのだろうか?単に風向きだけなのだろうか?それとも個々のサシバの頭の中には別個な飛行プログラムが組み込まれているのだろうか?私は以前は前者だと考えていたが、現時点では後者のような気がしている。具体的に言えば、左手に海岸線を見て飛べと指令を受けたサシバが、箱根に向かい、右手に富士山、左手に金時山を見て飛べとプログラミングされているサシバが矢倉岳に向かっているのではないだろうか。もっと範囲を拡大して同じことを論議すると、東北地方のサシバは気象条件の差異により、ある時点までは日本の中央部(白樺峠など)に向かい、風向きがかわった時点からは北風にのって三浦半島にやってくるという説がある。確かに三浦半島におけるサシバの渡りのピーク時点は、白樺峠などよりかなり遅くなっているのは事実で、それなりに説得力はあるが、とすれば、異常気象等により、三浦半島には1羽もサシバがやってこない場合とその逆で異常に多くのサシバがやってくることがありうる筈であるが、そのような事実は認識されていないのではないだろうか?
ところでサシバの寿命はいったいどのくらいなのだろうか?平均15年という説や最大30年という話も聞いたことがあるが、実態はまだよくわかっていないようだ。そして渡りをするサシバは繁殖適齢期のサシバだけなのだろうか?適齢期とは何歳から何歳までなのか?私はサシバの成長と幼鳥を正確に見分けられるだけの識別能力はないが、色々な観察例などから見ても、三浦半島を通過するサシバは幼鳥の比率がかなり高いように思う。サシバが渡る目的は繁殖という要素が高いのだろうか?老鳥は越冬地に留まっているのだろうか?
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今シーズンも多くの方から貴重な情報を多数いただき深謝いたします。また遠出に際しては、運転手もかねて同行いただいた友人諸兄に感謝いたします。体調が優れず、また来年観察できるかどうかとても不安ですが、運がよければまたフィールドでお会いしましょう。
たかがサシバ、されどサシバで20年
10月16日