平成20年春サシバ観察記録


待ちに待った、サシバの季節がやってきた。昨年の10月17日箱根の大観 山で最後のサシバを見送って以来、「サシバと人生」という観点から、これまでのサシバ観察を見直して見よ うかと思っていたが、結局何も手つかずのままであった 例 年観察のテーマを決めてシーズンに臨んできたが、今年はこれといったテーマもない。春のサシバは 気まぐれなので、こちらも気まぐれに観察してみたいが、裏目裏目に出ると最悪である。今年の冬はかなり寒い日が多かったように思われるが、サシバの初認日 は何日になるのだろうか?何年観察しても春のサシバは不可解だ。群れをつくらず、まるで忍者のように、ふわっと現れるので、その行動パターンがなかなか掴 めない。 また春のサシバは観察する人が少なく、定点観察を実施しているのは鎌倉の他では四国の、高知、徳島ぐらいしかない。一時各地で春も観察しようと の動きがあるとの情報もあったが、やはり定着しないようだ。どうしても各地からの情報がなけ れば、サシバの動きを正確に把握することは困難である。 情報がないから、サシバが見られないー>つまらないから観察者が減る、したがって一向に情報が蓄 積しないといった悪循環を解消するにはどうすれば良いのだろうか? そろそろ何らかの手がかりを掴みたいものだ。  
                                                              
                                                                                  
                                       
3月13日(木)    晴

湘南平展望台にて、12:00−13:00 観察。
今シーズン初めての観察は湘南平となった。気温は12度程度で、それほど高くはなかったが、南西の風がゆるやかに吹いており、春爛漫という感じで、絶好の 観察日和であった。こんな天気であれば、本来であれば今年もフィールドに立てた喜びをたっぷりと噛締められたはずなのだが、この日受けた病院での検査結果 がまだ判明せず、結果次第では即入院ということもありうるので、とても複雑な心境であった。湘南平の展望台付近には、60から70羽のシメが群がってい た。こんな数のシメの群れを見るのは多分初めてのことだろう。サシバの観察を再開してから春のサシバを見るのは今年が6年目の筈であるが、これまでで一番 早い サシバの初認日は3月16日である。残念ながら時期が早すぎるのか、サシバは1羽も現れなかったが、今にもふわっと現れそうな雰 囲気があって、退屈はしなかった。他にはカワラヒワが目に付く程度で、タカの動きは見られなかった。
昨年は湘南平には徹底的に嫌われたようだが、これは昨年だけの現象なのか、それとも、なんらかの変化が起こっているのか、それを是非とも見届けたいもので ある。

                                                                                     

3月15日(土)   晴

10:00−11:45  笛田公園で観察した。気温13度、北北東の風3m、富士山はぼんやりとかすんでいたが、条件的にはかなり良い日であった。時期 的には少し早いが、今にもサシバがふわっと現れそうな気がしていた。10:58 夫婦池の方角から、タカが低空て飛来したので、一瞬サシバかと思ったが、 ハイタカであった。コジュケイがけたたましい声で鳴いていた。
結局サシバは見られなかったが、それなりに満足感のある日であった。
秋であれば、一部の例外はあっても、その日に見られるサシバは、房総半島から、東京湾を渡ってやってくるものが大半であるという、前提が出来上がってい る。即ち当日の出発地点は千葉県だと考えられるし、これは長年の観察データによっても裏付けがなされている。ところが春のサシバは、最初の出発地点こそ、 越冬地である、マレーシアやフィリッピンであることは、想定できるが、当日の出発地点がどこなのか、それを特定できるようなデータが全くといってよい程、 整備されていないのが実情である。常識的には秋のルートの逆を辿っているのだろうとは、思われるのだが、それを立証するだけのデータは残念ながら得られて いない。だから春のサシバの出現はとてもミステリアスに感じるのかもしれない。

3月16日(日)   晴

9:30−10:45  笛田公園にて観察。 気温14度、北東の風1mと絶好の条件であった。若干の期待感をもって観察したが、サシバは見られなかっ た。野球グラウンドにはかなりの数のツグミとムクドリが群れていた。春のサシバを本格的に観察している徳島では、昨日になってやっと4羽のサシバが観察さ れ ている。仮にこのサシバが鎌倉にやってくるとしても、すくなくとも3,4日はあとになるだろう。鎌倉のサシバは100%徳島を経由してくるということが立 証されているのであれば、流石にサシバを観察しようなどという気はおこらないだろう。 徳島と鎌倉、春も秋も確かに、いくつかの関連性はうかがわれるが、それは絶対的なものではない。
たとえば、平成18年の3月16日に、笛田公園で2羽のサシバが観察されているが、この時点でも徳島を通過したサシバは記録されていない。ところで、こん な早いタイミングで渡ってきても、サシバが繫殖の準備ができるだけの餌は十分に確保できるのだろうか?サシバは津軽海峡は越えていかないといわれているの で、東北6県が北限になるが、この地方の里山はまだ雪に覆われているところが多い筈だ。それでは、この時点で渡ってくるサシバは鎌倉を通過したあとどこに いくのだろうか?机上の空論にすぎないが、私は南房総とか伊豆七島、場合によっては小笠原諸島(北硫黄島で観察例があるが、他は定かではない)などではな いかと考えている。でもこうした地域の capacityはとてもすくないので、渡ってくるサシバの数もとても少数なのだろう。運がよければサシバに出会えるかも知れない。この時期は、そんな気 持ちで、サシバを見る時期なのだろう。今年も本格的な春の渡りの始まりは、桜が咲いて、ツバメが帰ってくる頃になるだろう。
                                                                                  

3月17日(月)   曇

10:00−11:30  笛田公園。 気温13度、北東の風が初め強かったが、だんだんと弱まってきて、条件的には悪くなったったが、この日もサシバは 飛ばなかった。カワラヒワが20羽ほどグラウンドに群れていた。一時鎌倉山のカワラヒワが減少した時期があったが、すこし回復してきたようだ。ただサシバ 以外のタカは明らかに減少しているように思われる。そして野鳥の数も全体的に減少傾向にあるようだ。常連であったツミは公園隣接地の森林伐採により、完全 に姿を消してしまったし、ノスリ、チョウゲンボウ、オオタカなどの出現回数もめっきり減ってしまった。十二所果樹園で定点観察している人が今年はオオタカ の姿を例年より良く見かけるといっていたそうだが、それはなにを意味するのだろうか。
鎌倉市は今世界文化遺産への登録申請にやっきになっているようだが、、法すれすれのミニ開発等により、現在の街並みや自然環境がどんどんと破壊されていく のを野放しにしたままで、市民ですらあまり、聞きなれないような特定な、いくつかの文化遺産を登録することにどのような意義があるのだろうか?  古都で ある京都や奈良がやっているというだけの理由にしか受け取れない、文化遺産登録、それは全く無意味だとは思わないが、一刻を争う問題とは到底思われない。  鎌倉の自然環境や、古き良き街並みは一度失われたら、もう二度と戻ってこないのだから。


3月19日(水)   曇

10:30−11:30   葉山の長者ヶ崎海岸で、観察。

検査結果が出て、即入院ではないことが判明、これからはほっとした気分で、観察ができる筈なのだが、どうも風邪気味で、いまひとつ気分がすっきりしなかっ た。これまでに徳島で4羽、広島で2羽のサシバしか確認がされて いないので、まだ本格的なシーズン到来には相当間がありそうだ。
この日は北東の風がやや強く、笛田公園は先ず飛ばないと思われたので、立石海岸の駐車場で、車の中から観察するつもりであったが、なんと駐車場が満杯で あった。逗子の鳥仲間から、長者ヶ崎に海鳥を観察するには絶好な駐車場完備の場所があると聞いていたので、そこに行って見たら、人が少なく予想外に素晴ら しい場所であった。
駐車場から望む風景は、富士山こそ見えなかったが、晴れ間がでると、安藤広重の版画のようでもあり、曇ってくると水墨画を見ているような感じであった。こ のような風景を独り占めにして、車の中から、CDを聞きながらサシバを探す、これでもしサシバが飛んでくれば完璧であったが、そのような贅沢は許されない のであろう。

                                                                                    

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 謎多きタカ、ノスリの生態

 ノスリが渡っている、鎌倉で20 年以上タカを見てきたが、そのような実感は一度ももてなかった。確かにノスリは、冬場になるとどこからともなく三浦半島にやってくる。昔丹沢に登っていた ころ、ノスリ を良く見かけた。むしろノスリに出会わなかった方が珍しいくだらいだといった印象がある。夏でも冬でも、ノスリは確実に丹沢に生息していた。だから冬場に 三浦半島で見かける ノスリは丹沢から、下りて来たのだろうという程度の感覚しかもっていなかった。ノスリは留鳥、ないしは漂鳥であって渡り鳥では無いと思い込んでいたのだ。

ところが春のサシバを観察するよ うになり、徳島や広島の情報を注視するようになって、春に思いがけない数のノスリが渡っていることを知ることになった。
例えば、平成20年3月21日の 段階で、徳島と広島を通過したサシバの数は、僅かに7羽であるのに対し、ノスリは合計 2、137羽も渡っているのである。
徳島や広島を通過したノスリがど こへいくのか?それははっきりしていないようだ。

一方で本州最北端に近い竜飛岬を 3月から5月にかけ、10,000羽に近い数のノスリが北に渡っていくそうである。行き先は、北海道なのか、さらにその先なのか、詳しい情報はないが、こ れは驚くべきことだと思われる。一体ノスリは何処から来て、何処へ渡っていくのか?鎌倉で見られるノスリも渡り鳥なのか?その辺がさっぱりわかっていない のが実情なようだ。ただノスリはサシバとは異なり、南西諸島や、沖縄方面には渡っていかないようなので、朝鮮半島から、やってくるのではないかと想定され ているようだが、確かなことはわかっていないようだ。

                                                  

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 3月25日(火)  晴

10:00−11:30  笛田公園にて観察。

思いがけず、カゼですっかりダウンしてしまい、ほぼ一週間 ぶりの観察であった。少し見ぬ間に、鎌倉山の桜は2分から3分咲きになっていたのには驚かされた。
この日は、気温13度、北東の微風で、春のサシバを観察するには、絶好のコンディションであった。今にもサシバが現れそうな雰囲気があったが、残念ながら サシバも、その他のタカ類もまったく姿を見せなかった。

3月26日(水)   晴

9:30−10:30   笛田公園

気温16度、晴れで眺望もよく、初心者なら絶好の観察日和だと思う筈だ。でもこの日は2,3mの南の風が吹いていた。サシバと南風の関 係ーー長いことサシバを見ているのに、未だ解明できない、テーマの一つである。ただはっきりしていることは、このような日、笛田公園では99%サシバが飛 ばないということである。たった一日で、3分咲きの桜が5部咲きになっていて、今週末は花見客で賑わうことだろう。公園で見かけたモズは、トカゲのような かなり大きな獲物を食わえていた。ツバメも既に帰ってきているそうだ。他の観察者からも、サシバ初認の連絡はまだない。今年は出足が遅いのか、それとも 渡ってくるサシバになにかの異変があるのだろうか?

3月27日(木)  晴

9:45−11:45 逗子披露 山公園にて観察した。

公園の桜は8分咲き程度で、結構 の人で賑わっていた。北北東の 風が3m前後吹いており、気温も12度程度で少し肌寒かったが、サシバ観察には絶好の日だと思われた。既に四国では200羽以上のサシバが通過している し、今日こそはという期待感があった。10:15大崎公園の沖をサシバらしきタカが通過したが、遠くてはっきりと確認ができなかったので、プロミナーを持 ち出して、このコースに絞って観察をした。ミサゴが1羽通過したが、サシバは現れず、あきらめようとしていた時、かなりの高空をサシバ2羽が通過していっ た。8度目の観察で今シーズン初めて目にするサシバは、陽光を浴びて金色に輝いていた。この場所では、過去にも春に高空を飛ぶサシバを何度か目撃している が、決まって大崎公園の上空のやや海上に出た位のところを飛んで行くようだ。それにしてもこのコースに絞っていなければ完全に見落とすところであった。


                                                   

3月28日(金)    晴

10:00−12:00 湘南国 際村にて観察。

昨日は、台峰で3羽のサシバが観 察されたとのことだが、鎌倉の中心部ではサシバが見られなかったとのこと。昨日のような風向きで、海側と北鎌倉寄りに両極分解するというパターンはとても 珍しいことのように思われるが、固定概念では推し量れないのが、春のサシバの魅力なのかもしれない。ハルサシ通信を初め様々な情報ありがとうございまし た。今日は晴れてはいたが、朝方南西の風がかなり強かった。風は徐々に収まってきたが、笛田公園はノーチャンスと思われたので、湘南国際村の葉山町が管理 する公園で、観察した。湘南国際村では、これまで何度となく観察しているが、この場所で観察するのは初めてである。この冬友人と付近を散策した時に、教 わった場所であるが、右手に二子山の山頂、左手に峯山を望む、眺望絶佳の場所であり、春のサシバの観察場所としても、最高の場所のように思われた。実績は ゼロであるが、鎌倉を通過したサシバは海上に出るか、余程北側にスライスしないかぎり、全部捕捉できるだろうと確信できる場所であった。
この日は残念ながら11:25ノスリが1羽西から東に通過していっただけで、サシバの姿は見られなかった。このノスリは渡りだと解釈すべきなのだろうか?

                           
3月29日(土) 晴

9:00−10:30  笛田公 園にて観察。

鎌倉山の桜は、満開で、道路が早 くも渋滞気味であった。北北東の風がゆるやかに吹いていて、初めは少し寒かったが、サシバを見るにはまずまずのコンディションであった。昨日降ったのだろ うか、富士山は3合目位まで真っ白な雪に覆われていた。9:15 サシバが1羽、中空をゆっくりと通過していった。この調子ならかなりの数が見られるかと 期待したが、その後はサッパリであった。

3月30日(日)  曇

10:00−11:30   藤 沢引地川親水公園にて観察。

3月28日、高知県の白髭山では680羽のサシバが一日で、通過したそうだ。これらの地方では、サシバは春も秋もそれほど変わらない飛び方をしているよう に思われる。鎌倉の主要観察ポイントでも、そろそろ、サシバが飛び始めたようだが、その数はまだ2羽とか3羽といったレベルにすぎない。
この日は、曇で今にも雨が降り出しそうな天気であったが、桜が満開で、どの公園の駐車場も超満員で入ることが出来ず、やっと駐車スペースを見つけたのが、 引地川親水公園だったという のが、この場所を選定した理由であった。この公園は春の実績は皆無であるが、結構面白そうな場所である。この日は何の収穫もなかったが、もしかしたら、台 峰とか今泉方面に渡って行くサシバはこの辺りを通過しているのではないだろうか?と思わせる場所であった。

                           

4月1日(火)   晴

10:00−11:15  笛田 公園。

このところ気温が低い日が続いた せいか、鎌倉山の桜は依然満開の状態を保っており、路上には、花びら一つ落ちていなかった。気温も16度に上昇し、絶好の行楽日和であった。笛田公園から は、雪を被った富士山が目の前に見渡せた。素晴らしい条件のようだが、この日も南西風が3m前後吹いており、笛田公園でサシバを見られるチャンスは限りなくゼロであった。絶対にやってこないとわかっているサシバを何時までもまっている、当然サ シバはやってこない、でもなぜか立ち去りがたい思いがある、それは一体何なのだろうか。

                                                   

4月2日(水)   晴

10:00−11:30  湘南 国際村にて観察。

春霞がたなびいているという感じ で、前回〔3月28日)ほどは眺望が良くはなかったが、それでも富士山をはっきりと見渡す ことができた。初めは風もなく、寒くもなく、その上上昇気流がでているのか、トビ柱やこの場所では珍しく、10羽ほどのカモメ柱が上空に見られるという、 絶好の条件であった。10:32、11:02、11:22にサシバが各1羽、通過していった。これらのサシバはいずれも二子山の山頂付近から現れて、肉眼 でかろうじて、みることができる高さを飛行して、一直線に大楠山の方向に消えていった。上空にはツバメ、ヒメアマツバメが乱舞していた。まだまだ、サシバ がやってきそうな雰囲気があったが、体調がおかしくなり、残念ながら観察を取りやめざるを得なかった。

4月3日(木)  晴

9:00−11:00  江ノ島 防波堤にて観察。

この日は晴で、9時には北東の風 3m、12時には南風が4mという予報であった。どちらにせよ笛田公園は期待薄と思われたので、ワンチャンスにかけて江ノ島の有料駐車場に車を止め、外防 波堤で観察した。9時に到着した時は、弱い北東の風であったが、10時半頃に急に南風が強くなった。このような日に、海上を飛行しているサシバがもしある とすれば、南風に変わった時点で、一斉に内陸に向かって方向転換をしてくる筈である。昨日は12時過ぎに台峰倉久保の上空を南南西から北東に飛ぶサシバが 観察されたそうだが、もしかするとこのサシバもこうしたパターンを辿ってきたのではないだろうか?10:35頃それまで海上に出ていたトビが一斉に江ノ島 上空に戻ってきた。もしその中に、一羽でもサシバが混ざっていたら、感激なのだが、残念ながらサシバは1羽も見られなかった。南風の時に、南に向かってサ シバを探す、それはかなりクレージーなことかもしれない。でももし、読み通りに、そうしたサシバに出会えたら、その感動はたとえ1羽であっても、白樺峠で 300羽のサシバに出会うより、大きいのではないだろうか?
 
                                                  

4月4日(金)  晴

9:30−11:30 湘南国際 村。

このところ同じような天候が続い ている。9:30に現地に着いた時点では、北東の風が、3m程度吹いており、とても寒かった。9:57サシバ1羽が峯山の上空に現れ、子安の里方面の谷間 に消えていった。典型的な春のサシバの飛び方だと思われた。その後気温もあがり、11時ごろから、風向きも南に変わっていた。しかしそれ程強い風ではな く、今にもサシバがやってきそうであったが、その後は1羽も発見することはできなかった。上空イワツバメが、数羽飛んでいるのが目に付いた。

4月5日(土)  晴

9:30−11:00   笛田 公園。

昨日までに高知では2400羽弱 のサシバが通過している。これは過去3年間の平均実績でみて、56%、昨年の実績から見ると37%が既に通過していることになる。高知と鎌倉とどのような 相関関係があるのかは、全く不明であるが、秋のバランスから見ても、私は少なくとも10%程度は鎌倉にやってきてもおかしくはないだろうと思っている。で も現実はどうなのだろうか?恐らく1%程度しか観察されていないのではないだろうか?
この日も晴天で、まだ桜の花は、十分楽しめる状態であったが、相変わらず9時には北風、12時には南風という予報であった。このような日にもし笛田公園を サシバが飛ぶと すれば、風向きが変わるほんのわずかな瞬間のみが、チャンスである。10:20サシバが1羽、低空でやってきて、野球場の上を旋回し、常盤山方 向に飛び去った。 今シーズン笛田公園に8回通って、やっと至近距離にやってきたサシバであったが、残念ながら写真は撮れなかった。

4月6日(日)  晴

9:30−10:30   湘南 国際村

鎌倉を通過するサシバは、今まで のところ各地とも全く不振とのこと。この日も強い北東風が吹いていて、 期待薄であった。場所の選定に苦慮し、結局、湘南国際村で観察したが、この日はトビすら飛んでおらず、サシバがやってきそうな予感は全くしなかったので、 道路が混まないうちに、早めに退散することにした。予報では来週もあまり好天は期待できないようだが、一体サシバはどこを飛んでいるのだろうか?

4月11日〔金)  晴     湘南国際村

通院、雨、強風などのため、ピー ク時なのに4日間も観察を中断せざるを得なかった。この間、高知でが累計で3000羽のサシバが通過している。鎌倉でも4月10日には、強い北北東の風が 吹いていたにも拘わらず、長谷配水池では6羽のサシバが通過している。長いことサシバを観察してきたが、こうした例はかなり珍しいように思う。サシバも先 を急いでいるのか、多少の悪条件でも飛んでいるようだ。まだ4月5日には、三浦半島のかなり先端に近い、三戸海岸を夕方サシバが飛ぶのが観察されている。 この辺りは、海上ルートを飛ぶサシバの上陸地点として、注目してきた場所であるが、春に実際サシバが観察されたという情報を入手できたのは初めてのことで あった。固定概念を打ち破るような出来事、そして、あたらしい発見、春のサシバは、絶えず新たなサプライズを提供してくれる。
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この日は、9:30−11:15  湘南国際村で観察。北北東の風が5m前後吹いており、とても寒かった。10:05、サシバ1羽が、二子山の南側から低空で現れ、国際村の北側を建物すれ すれに東に飛び去った。その後も期待できたが、寒いので駐車場に戻って観察した。駐車場からは、二子山方面は死角になるので、見落としがあったかもしれな い。


4月12日(土) 曇時々晴

10:00−11:30  逗子 披露山公園にて観察。

雲の流れを見ると、上空は南西の 風が緩やかに吹いているようだったが、地上は殆ど無風で、暑も なく、寒くもなく、メジロの囀りがとてもさわやかであった。こ の時期、こんな条件であれば、最低でも10羽は飛ぶ筈だと、記録用紙を取り出して、まっていたが、なんと渡りのサシバは1羽も現れなかった。 更に驚くべきことに10:20東南東から、サシバの成鳥が1羽、頭上すれすれにやってきて、北北西の方向に飛び去った。20年間この場所(大崎公園も含 め)で観察して来たが、春にこのような方向に飛ぶサシバに出会ったのは、空前絶後のことである。飛び去った方向を辿っていくと、台峰の方向にも思えるが、 一体どういうことなのだろうか?繁殖の可能性は? 本日の成果はアンビリーバブルなマイナス1羽であった。

4月14日(月) 曇後晴

12:00−14:00     湘南国際村。

昨日はKJGの例会で、源氏山で 2羽のサシバが見られたとのことであった。それにしても、今年は全般的に不振なようだ。天候のせいもあるが、それだけではないのかもしれない。この日は午 前中は雨であったが、 昼前にあがったので、湘南国際村で観察した。風は殆ど無風、はじめのうちは霧が濃かったが、徐々に晴れてきて、とても良い条件になってきた。サシバが飛ぶ のは午前中が主だとなんとなく、思い込んでいるが、これも固定概念かもしれない。秋は確かに、矢倉岳でも14時頃までに殆どのサシバが通過しているし、逆 算して鎌倉は午前中に飛ぶというのは理解できる。しかし春は、どうなのだろうか?15時過ぎにも、最近かなりの数のサシバが、三浦半島各地で観察されてい るようだ。もしかしたらと期待したが、この日はサシバは1羽も発見できなかった。ツバメ、アマツバメ、ヒメアマツバメが飛び交っており、アカハラが直ぐ近 くまで、やってきたりして、結構楽しめたが、それで満足している訳には到底いかないのだろう。

4月15日(火)  晴

9:00−10:30 十国峠に て観察。
11:00−12:00  箱根大観山にて観察。

十国峠の展望台は標高766mで あるが、2,3m程度の北風がまともに吹きつけて、とても寒かった。あまり集中して観察できなかったがサシバが飛ぶには絶好の条件と思われた。 このような風向きであれば、サシバは十国峠から真鶴半島辺りを経由、海上に出て、三浦半島の先端、三戸海岸辺りに上陸するのが、もっとも省エネ飛行のよう に思われるので、期待したが、残念ながら1羽も発見することはできなかった。この場所での観察歴も結構長いが、昔はもっとサシバが見られたような気がす る。春のサシバのタカ柱を見たのもこの場所であった。格別状態が悪くなったとは思えないが、この日は近くをハングライダーが飛んでいた。サシバはこれを嫌 うのであろうか?その後寒いので場所を移動して、大観山で観察したが、こちらは標高1011mもある のに、風がさえぎられるのか、寒さはあまり感じなかった。11:37駒ケ岳の手前上空を東に飛行するサシバを1羽発見したが、その後は1羽もやってこな かった。ノスリが1羽、絶えず上空を舞っていた。

                           
4月16日 (水)   晴

7:30−9:00   笛田公 園。

笛田公園で、このような早い時間 から観察をすることは、とても珍しいが、この日は、9時には南風が2m、その後さらに強くなることが予測されたので、この時間帯となった。7:55にサシ バが1 羽、ヒタキ桜の前を低空で通過し、長谷の方向に向かったが、それ以外に目ぼしい動きはなかった
広町の周辺で夜を過ごしたサシバがあるとしても、恐らく笛田公園にはやってこないだろう。そもそもサシバは夜が明けるとともに、活動を開始するものなのだ ろうか?活動はするとしても、いきなり渡り行動に入るものなのだろうか?breakfastをとってからのスタートになるのだろうか?こんな基本的なこと も良く分かっていないことに気がつく。なんとなく、笛田公園に7時台に飛んでくるサシバは、多くのサシバが夜をすごすであろうと推定される富士山麓をス タートしたものではなく、恐らく湘南平あたりから来たものではないかと私は思っているのだが、果たしてどうなのだろうか?

4月17日(木)   曇

9:00−10:00  笛田公 園。

この日は初め東風であったが、徐 々に南風が強くなってきた。常識的にはサシバが期待できない日であった。ガビチョウが盛んに騒いでいたが、格別の出来事もなく、何の成果もなく、時間だけ が経過していった。それにしてもサシバ以外のタカ類もさっぱり姿を見せなくなってしまったようだ。これまでに高知を通過したサシバ3,500羽、鎌倉で観 察されたサシバ30羽前後、どうも釈然としない。

4月21日(月)    晴

9:00−10:30   湘南 国際村。

予報では北風は2m程度となって いたが、実際には5mを越えていたのだろう。眺望は絶佳であったが、とても寒く集中して観察は出来なかった。ツバメが飛び交っていたが、サシバは全く見ら れなかった。これまでに観察したサシバは、明らかに渡りではないものも含め12羽に過ぎない。これは過去20年で最低の記録である。他の観察者も同じよう な状況のようで、かなりの人が先週で観察を打ち切ったようだ。今年はなぜこのように不振なのだろうか?例年に比べ風の方向がとても不安定なように感じる が、 それだけが要因なのだろうか?強い北風とサシバの関係、それも未だに解明できない、テーマである。このところ、強い北風に翻弄されて、渡るに渡れず、鎌倉 周辺に滞留しているサシバが、見られるようだ。秋に天候調整で滞留するサシバは特別珍しいことではないが、春はとても珍しい現象のように思われる。

4月22日(火)  晴

10:00−11:15  高尾 の森わくわくビレッジで観察した。

この日は南風が予測されたので、 南風の日にサシバが流れているのではないかと推測される八王子ルートの探索にトライしてみた。秋の観察場所である遠矢堀公園の近くまで行ったが、駐車場が ないとのことで、地元の人に教わった、わくわくビレッジというところで、観察した。ここはYMCAグループが経営しているとのことで、キャンプ施設なども あり、自然環境に恵まれた場所であった。南の風、2m程度、気温も上昇して、絶好の観察日和であった。クロツグミが、至近距離で鳴いており、姿も見ること ができたのが、残念ながらサシバは見つけることができなかった。このあたりの地形を見て、何故秋に南風でも、サシバが飛ぶのかについての、明確な回答をだ すことはできなかったが、雰囲気的には春も相当数のサシバが通過しているような気のする場所であった。交通渋滞のため、片道3時間もかかり、疲労困憊、こ れという収穫もなかったが、それなりに満足感のある一日であった。
                                     

4月23日(水)  晴

9:00−10:30   湘南 国際村

昨日は鎌倉で6羽のサシバが見ら れたとのこと。まだ渡りは続いているようだ。この日は初め南南東の風が2m程度と緩やかであったので、かなり期待して観察したが、サシバの姿は全く見られ なかった。そのうち風が強くなってきたので、南郷公園でしばらく休んでから帰宅したが、ここでもサシバは見られなかった。

4月24日(木)  曇

10:00−11:00  笛田 公園

強い南風。この風でサシバは飛ぶ 筈はないと思ったが、今年は信じられない動きをするサシバが多数確認されているので、念のため観察した。
春のサシバ、それは西から東に真っ直ぐ真剣に、ひたすら先を急いで飛んで行くというイメージが定着していたが、今年はどうも様子が違うようだ。私はそのよ うなサシバは12羽中1羽しか見ていないが、それは驚きであった。繁殖に適した場所を探しているのか、単なる風のいたずらなのだろうか?

4月25日(金)   晴

10:00−11:00   逗 子披露山公園

強い北風。本当に今年は条件の良 い日が少なかったようだ。 この日も全く、サシバの動きが見られなかった。それに最近ハチクマの姿をサッパリ見かけなくなったようだ。ハチクマはサシバよ り大型のタカなので、多少は風につよいのだろう。昔はこのような日にも、ひょっこりと現れたような気がするが、ノスタルジアにすぎないのだろうか。台風で 損傷を受け、復旧に手間取っていた、西湘南バイパスの工事がやっと完了し、この日から全面通行が可能となった。最近の湘南平の不振は、この工事が関係して いるのではないかと、思うことがあったが、果たしてどうなのだろうか? もしこの工事のために湘南平が不振だったとすれば、今後は回復する筈なのだが。

4月26日(土)   曇

10:00−11:30   笛 田公園

北東の風がゆるやかに吹いてお り、眺望も芳しくなく、少し寒かったがサシバを観察するにはまあまあの条件であった。
しかしサシバの姿を見つけることはできなかった。ときおりアオサギがゆったりと西から東に移動していった。

4月27日(日)  曇時々晴

9:30−11:30   笛田 公園

北北東の風が2m程度、視界は悪 かったが、この日もまあまあの条件であった。とはいえ特別良い条件でもないし、時期も時期なので、殆ど期待はしていなかったが、思わぬ収穫があった。
9:48、10.23、10:52、11:07、11:10、11:28、合計6羽のサシバが中空を西から東に真っ直ぐ通過していった。まるで渡りの最盛 期のような飛び方であり、まだまだ来そうであったが、かなり疲れたので切り上げた。それにしても今年のサシバは不可解だ。これまで1ヶ月以上苦労して12 羽、この日はあっという間に6羽、これは一体どういうことなのだろうか。
この日は、笛田公園で、オオルリが囀っていた。この場所でオオルリの囀りをきくのは、とても珍しいことだと思われる。

4月28日(月)  薄曇

9:00−11:30  笛田公 園

この日も北東の風が2m程度で、まずまずの条件であったが、前日よりは寒く、座って観察はできなかった。
9:18  サシバ2羽    サッカー場の上空をかなり高いところを真っ直ぐ西から東へ
9:22  サシバ2     同 上
9:47  サシバ1     野球場上空を同じく
10:10 ミサゴ1     北から南へ
10:18 サシバ1     サッカー場の上空を中空で真っ直ぐ西から東へ
10:21 サシバ1     同 上
11:15 サシバ1     同 上
結局この日もサシバ8羽を観察することが出来た。本来なら観察を終了しているような時期に、二日続けてこのようなドラマがあるとは、全く信じ難いことであ る。前日は11時台にもかなり飛んだので、もう少し粘りたかったが、疲労困憊して、集中力を維持できなかった。

4月29日(火) 晴

9:30−11:00  笛田公園

この日も北東の風が緩やかに吹いており、過去二日とほぼ同じ条件であった。むしろ上空は青空が広がっており、条件的には、この三日間で一番良いようにも思 われた。「二度あることは三度ある?」と、かなり期待して観察したが、9:45にノスリが1羽現れただけで、サシバはサッパリやってこなかった。流石に大 半のサシバはもう渡り切ったのであろうか?それともどこかのルートをまだ飛んでいるのだろうか?   

4月30日(水) 晴

9:30−11:15  湘南国際村

昨日も長谷でサシバが見られたとのこと。今シーズン最後の観察日は、9回目の観察となる湘南国際村と決めた。ここは、今シーズンから初めて観察する場所で あるが、これまでこれといった実績はない。ただこの日のように午前中弱い北風から、南風に変わるような日であれば、鎌倉を通過したサシバは大半がここに やってくる筈だと私は予測している。これまで、実績がないのは、たまたまそのような条件の日に出会わなかったのか、条件は満たしていても、鎌倉をサシバが 飛ばなかったからではないだろうか。そんな訳で常識的にはシーズンオフであるにもかかわるず、かなりの期待感を持って観察したが、残念ながら1羽のサシバ にも出会うことはできなかった。

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今年の春はとてもエキサイティン グなシーズンであった。3月13日に観察を初めてから、4月26日までの1ヵ月半で確認したサシバの数は、11羽にすぎなかった。他の観察 者も総じて不振であったようだ。その他には、とても珍しいことであるが、渡りのコースを逆走するサシバを1羽確認しただけであった。以前は良く見かけたハ チクマには1羽も出会わなかった。ここまでは過去20年間で最低レベルの実績であった。ところが最後の2日間で思わぬドラマが待っていた。例年なら観察を 終了している筈の4月27,28日、なんと合計14羽のサシバを確認することができた。これらのサシバは明らかに渡 りだと思われる飛び方をしていた。1ヵ月半で11羽、それなのに最後の2日の僅か5時間弱で14羽、これは一体どういうことなのだろうか?とはいえたった の25羽、これは秋とのバランスからみても、到底納得のできる数字ではない。

今年もサシバは多くの課題を残し たまま、駆け抜けていってしまった。なぜ今年は、通常期間にこのような少ない数しか鎌倉周辺を飛ばなかったのか、シーズンオフなのに何故このように飛んで いるのだろうか?今後数少ないデータを分析することで、ある程度、疑問点が解消できるかもしれない。しかしまた新たな謎も増えてくるであろう。

ところで、皆さんはどのような思 い入れがあってサシバを観察されているのでしょうか?  私は7年前に病気で倒れて以来、サシバが総てというような生活を送っています。でも何故今サシバ な のか、実のところ、自分でも良く分からないのです。サシバは日 本の野鳥580種(昔はそう言われていましたが、今は違う?)の中で、一番魅力的な鳥なのでしょうか?まあそんなことはどうでも良いことですね。でも強いて文学的に表現するならば、サシバは 若山牧水の歌にある「寂しさの果てなん国」からの使者だと思えるからなのかもしれません。

今シーズンも多くの方々から、色 々な情報やアドバイスを頂き、深謝いたします。サシバ観察、それは個人プレーでは絶対不可能で、常にネットワークベースで、情報交換をしながら進めていか ないと成果が上がらないものだと痛感しています。来シーズンもまたフィールドでお会いできれば幸いです。

                                               平成20年4月30日


























































































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