平成21年春サシバ観察記録

                                              

                              笛田公園からサシバの飛来方向を望む。

昨年は高校卒業50周年、いつのまにか信じられないような年月が過ぎてしまっ た。クラスメートの多くはそれぞれの分野で、立派な業績を上げているのに、私は50年の半分、25年という歳月をサシバを追いかけて過ごしてきたことにな る。

普通、25年間も同じことに集中 していれば、相当なレベルに達していても不思議ではない筈なのだが、私は未だに素人に毛がはえた程度で、免許皆伝には程遠く、全く情けな くなる。とはいえ25年間、絶えず新たな 感動を与え続けてくれたサシバ、そして今なお尽きることのない興味を与えてくれるサシバという名の鳥に出会えたことに、心から感謝したい。

なお蛇足であるが、私が初めてサ シバに出会ったのは、25年よりもはるかに前のことである。今から33年程前、千葉県の金谷にある鋸山に登ったとき、山頂に50 羽程度のタカ柱が出来ていたのをはっきり記憶している。ただ当時サシバはあくまでも日本に生息する580種の鳥の中の一つに過ぎなかった。

[世の中に絶えて桜がなかりせ ば、春の心はのどけからまし」と在原業平は新古今和歌集で読んでいるが、「世の中に絶えてサシバがなかりせば」私は長い冬のトンネルがら、永久に抜け出せ ないような気がする。今年もサシバの春がやってきた。サシバにはまだ一羽も出会っていないが、大自然の光と影のバランスのなかに、サシバの存在を意識でき るような状況、それがサシバの春なのかもしれない。

つまらない前置きが長くなった が、今年はこれというテーマは設定せ ずに、決して無理はしないで、気の向くままに、春のサシバに迫って見たいと思っている。

昨年は春に25羽、秋に146羽 のサシバを観察している。数多く見るのが、目的ではないが、例年のことながら、このバランスには全く納得がいかない。無から有が生じない限り、春も秋の三 分の二程度の数のサシバは必ず通過している筈である。見落としているのは,高空か、ルートか時期なのか? これだけ解明の糸口が見当たらな いと、夜中に上空を飛んでいる可能性だってありえない話ではないように思えてくる

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3月16日(月) 晴

10:15−11:15 笛田公 園に、今シーズン初めて行ってみた。3月16日と言えば、私の記録で過去にもっとも早くサシバを観察した日である。この日現在、春のサシバを観察している のは、今年 は徳島 と岐阜の二ヶ所しかないようだが、いずれもサシバはまだ確認されていないようである。もっとも過去においても、西日本のどの観察ポイントでも確認されてい ないのに、サシバは鎌倉に現れるというケースは多い。この日は気温も15度程度で、ほぼ無風であってサシバが突然表れても不思議ではない条件を満たしてい たが、結局一羽も確認することは出来なかった。公園にはカワラヒワとツグミが多く見られたが、トビ以外のタカ類は見られなかった。
久しぶりの観察で、目が疲れ、双眼鏡がやたら重たく感じられたが、とにかく今年もフィールドに立つことができたことは、嬉しいことである。

3月18日(水) 晴

この時期は南風が強い日が多く、 長期的な天気予報を眺めても、サシバ観察に適した、日はあまりないようだ。ただ南風が強くなるのは、昼頃からという日が多く、午前中にチャンスがありそう だ。この日は8:45−10:15笛田公園で観察したが、弱い北西の風が吹いていて、寒くもなく、絶好の条件と思われた。結局サシバは見られなかったが、 ノスリが1羽、上空を旋回するのが見られた。徳島あたりでは、この時期渡りの主役はノスリで、一日に200羽以上の渡りが見られることがあるようだが、鎌 倉のノスリからは渡りという実感はなにも得られず、ただ悠然と旋回していた。アオゲラのけたたましい声を聞くのも、随分ひさしぶりのように感じられた。
ネットを眺めていたら、確か10年以上前の文献であるが、小笠原、伊豆七島の殆どの島で、サシバの存在が確認されており、かなりの数の島で繁殖も確認され ているとのことであった。今の時期にやってくるサシバは、どこに向かうサシバなのであろうか?

3月19日(木) 晴

この日も南風で、期待薄の天候で あったので、場所の下見もかね、辻堂海浜公園で9:45−10:45観察した。この場所で観察するのは初めてであるが、湘南平を通過したサシバが鎌倉に向 かう途中、当然ここの上空を辿ることが予測される場所である。駐車場が混んでいるうえ、高いのでこれまで敬遠してきたが、広い芝生の広場があって、ベンチ なども完備しており、春のサシバの観察場としては絶好な場所だと思われる。 芝生には、ツグミやムクドリが群れていたが、この日は他に収穫はなかった。

3月21日(土) 晴

気温が低くやや寒かったが、無 風、快晴、絶好の条件だと思われた。9:00−10:30逗子の披露山公園で観察。昨日は高知で25羽のサシバが通過している。
桜の花はまだ開花まで少し間がありそうだが、ヤブ椿の花が満開で、メジロやウグイスのさえずりが聞こえていた。いかにもサシバが現れそうな雰囲気であった が、残念ながら、一羽も発見できなかった。披露山公園は逗子八景の一つで、風光明媚、何時来ても素晴らしい公園である。ただ最近、湘南平と同様、サシバに 出会える確率が、かなり低下しているように感じる。近隣の開発が進み、マンション建設の大きなクレーンが、眼前に見られるが、そんなことが影響しているの だろうか?


3月24日(火) 曇

8:30−9:30 笛田公園に て観察。 既に高知、徳島、奈良で春のサシバが観察されており、鎌倉も時間の問題という感じはするが、このところどうも天候が芳しくない。この日も午後か らは南風が予想されたので、早い時間帯での観察となった。笛田公園は北西の風がゆるやかに吹いていて、とても寒かったが、人出もなく、ひょっこりとサシバ が現れそうな予感があった。しかし、この日もサシバの姿をとらえることはできなかった。 鎌倉山の桜はまだ1分咲きといったところだろうか?。この日はモ ズの姿が目に付いた。

3月25日(水)  曇

9:00−10:00 湘南平展 望台で、今シーズン初めて観察した。風は殆ど無風であったが、止まって観察していると震え上がるような寒さであった。遠くは春霞?が立ちこめていて、箱根 も丹沢も江ノ島も見えなかったが、低空でふわったやって来る、春のサシバを観察するには、決して悪い条件ではないように思われた。9:38海側の中空をサ シバが1羽通過した。シーズン6度目の観察でやっと目にするサシバはシルエットで今一つ、印象が鮮明ではなかったが、海岸沿いに、まっすぐ鎌倉方面に向 かったようであった。湘南平の過去の実績からみて、9時台と11時台が好調だと思われたので、1時間休憩して11時から観察を再開しようかと思っていたと こ ろ、雨が降り出して断念せざるをえなかった。
他に9:30頃正体不明のタカが上空を旋回したのでデジカメを取り出し写真判定に持ち込もうとしたが、残念ながら上手く撮れていなかった。



な お丹沢湖ビジターセンターに確認したところ3月20日の午前中、丹沢湖上空をサシバが1羽通過した他、すこしはなれた道の駅付近の木に止まっているサシバ が目撃されているとのこと。丹沢湖をサシバが通過するのは、秋は稀だが春は時々あるとのこと。当日は東南東の風がかなり強かった筈だが、このような日、サ シバは 丹沢湖などの内陸側を飛んでいるのだろうか?

3月26日(木) 晴

9:30−11:00 長者ヶ崎 駐車場にて観察した。北の風が緩かに吹いており、快晴で気温が低いことを除き、春のサシバを観察するにはこれ以上ないという程の条件だと思われた。上空を 移動する鳥影も多く、緊張感を持続しながら観察したが、ノスリとミサゴが現れただけで、サシバは1羽も発見できなかった。かなり根をつめて観察し疲れたの で、湘南国際村で、休憩して帰宅途上の12:10、自宅に程近い八雲神社の裏手から超低空でサシバが1羽現れ、住生住宅の方向に飛び去るのを目撃した。 肉眼で運転中であったが、距離も近くサシバに間違いはないと思われる。その後笛田公園で、30分程観察したが、南風が強くなり、二匹目のドジョウは現れな かった。当然来ると思うところには現れず、まさかというところに出現するのが春のサシバの不可解なところである。

3月27日 (金) 晴

8:45−11:15 江ノ島駐 車場にて観察。北風が3m程度吹いており、とても寒かった。9:05サシバ1羽が防波堤の海側上空を通過した。一昨日はシルエット、昨日は肉眼での観察で あったが、この日は双眼鏡ではっきりとサシバ の輪郭をとらえることが出来た。3月に3日連続でサシバに出会えたのは、とてもラッキーなことである。上空に上昇気流が出ているのか、トビ柱やカモメ柱が 絶えず見られた。まだまだやってきそうであったので、11時過ぎまで粘ってみたが、その後はミサゴがやってきただけで、サシバの姿をとらえることはできな かった。



3 月28日 (土)   曇

9:00−10:45  笛田公園で観察した。 鎌倉山の桜は、まだ3分咲き程度で、見頃は来週末になりそうだ。この日も気温は7度程度でとても寒かっ た。 上空の雲は南から北に流れているのに、地上では北東の風がかなり強く吹いていた。常識的には厳しい条件だが、このところのツキに期待して、相当集中 して観察した。しかし見事なほど、なにも飛ばなかった。せめて今年は鎌倉でも良く見られるといわれるヒレンジャクでもやってこないかと探してみた が、成果はなかった。

3月29日 (日)  晴

天気は快晴であったが、相変わらず気温が低く、4度程度であった。その上北東の風が5m程度吹いており、サシバは期待できそうになかったが、8:00− 9:15大山林道の入口付近にある黄金橋で、観察。この場所を選んだのは、昔の逗子の仲間に会って情報交換をするのが、主たる目的であったが、ここは思い もかけないタカが出現する場所であるというイメージが残っていたからでもある。この日は残念ながら、タカの成果はなかったが、懐かしい顔に久しぶりに出会 えて、それなりに満足感のあるひと時をすごすことができた。

3月30日 (月)  晴

昨日は長谷配水池でもサシバが初認されたほか、港南台や城ヶ島でもサシバが観察されたとのこと。この時期城ヶ島でサシバが観察されたことはとても興味深い ことである。
この日は、新たに購入した一眼レフのテストをかね、10:10−12:00 笛田公園で観察した。初めは北風が強く、とても寒かったが、徐々に風もおさま り、気温も上がってきて、かなり良い条件になってきた。トビで練習をしながら、サシバがやってくるのをカメラを構えてまったが、結局1羽も現れなかった。

3月31日 (火)  曇後晴

8:45−11:15  湘南平展望台にて観察。桜まだ7分咲き程度であったが、、人出が多く露店などが出ていた。 北の風が弱く吹いていて、初めは寒く て、一箇所でじっとして観察ができなかったが、徐々に気温が上昇し、晴れてきてとても良い条件になってきた。初めのうちはさっぱり鳥の動きがなく、トビす ら殆ど見かけなかったが、10:38にサシバが8羽ほぼ一列に海岸線に沿って東に向かっていった。さらに10:52に2羽、11:08に1羽、同じコース を辿っていった。この他オオタカが1羽出現した。まだまだ飛んできそうな予感がしていたが、疲労困憊して、11:15で切り上げた。このところ湘南平は不 振が続いていたが、久しぶりにこれが湘南平だという飛び方であった。ただ残念ながら、この日は頭上を通るサシバがなく、やや距離のあるところを通過して いったので、満足の行く写真は撮れなかった。

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私が過去7年間、3月に見たサシ バの数は、2,0,0、11,7,3、14であり、今年の14羽が一番多い。だから今年が一番ハッピーか?仮にこれが3月に釣れたクロダイの数だとすれ ば、明らかに今年が一番ハッピーであり、祝杯をあげたい気分になるであろう。でもサシバについては、勿論数が多いに越したことはないが、それほど重要な要 素ではないような気がする。サシバがやって来るかもしれない、いや必ずやってくるという期待感、それが、とても重要なことのように思えるのだ。サシバを見 るということ、それは必ずしもサシバ自体を見るということが総てではないように思える。私は傷ついて保護されているサシバがどこかの鳥獣リハビリセンター にいるとしても、それを見に行きたいという気には到底なれない。私が求めているものはサシバを通じて、見る大自然の中での春という断面なのかもしれない。 だからそれは美しく、詩情にあふれたものでなければならない。仮に渋滞の名所といわれる原宿交差点の上をサシバが乱舞しているとしても、私は絶対見には行 かないだろう。

それにしても3月にやって来るサ シバは灼熱の東南アジアから過酷な旅を終えて、やっと目的地に到達寸前だというのに、気温が4度などという状態の日が続くと、果たして餌を十分見つけるこ とができるのか、よそごとながら心配になる。しかし最近野生化を目指して佐渡で放鳥されたトキの採餌能力は想像したよりはるかに高いそうだし、サシバも想 像以上にたくましいのだろう。
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4月1日(水)  曇

朝方降っていた雨があがったの で、10:45−12:00 笛田公園で観察した。北東の風が3m程度、まだかなり寒かった。昨日目を酷使し体調も今一だったので、この日は写真撮影を主 体に殆ど肉眼で観察した。11:11中空を鎌倉山方面から源氏山方向に向かって一直線に飛ぶ鳥が、サシバのように見えたが、肉眼では断定できなかった。源 氏山付近で一度旋廻し、北東に消え去ったが、長谷での観察結果が気になるところである。(当日該当時間に長谷配水池では観察者なしとのこと故、タカSPと する。)グラウンドにはカワラヒワやツグミが群れており、ハクセキレイが2 羽盛んに飛び回っていた。


4月2日(木) 晴

北の風が8m程度吹いており、サ シバは期待薄であった。11:00−12:00藤沢の新林公園で観察した。桜がほぼ満開で、人手がかな り多かった。この公園の裏手の丘はそれ程広くはない が、人が立ち入れない森林になっており、 渡りの途中のサシバが休息するには、絶好な場所だと思われる。強風を避けて、止まっているサシバがいないか注視して見たが、それらしい影は見当たらなかっ た。サシバ以外のタカの出現に期待したが、全く動きはなかった。日溜りで、のんびりと写真の練習、成果はなにもなかったが、こんな日も悪くはない。

4月3日(金) 晴

昨日は笛田公園にも行ってみた が、北風が強く、サシバは飛ば ないだろうと思っていたところ、長谷配水池で1羽観察されたとのこと。条件が悪くても、サシバは着実にどこかを渡っているようだ。鎌倉の天気予報では北風 8mとなっ ていたが、実績は3,4mであった。
この日は出来れば眼下を飛んで行くサシバの写真を撮ろうと思って、湘南平展望台で9:30−12:00観察した。サシバを上から撮影できる場所、秋なら峯 山も考えられるが、春は湘南平しか思い浮かばない。サシバの写真撮影はあきらめていたのだが、一眼レフを購入したことで、サシバの見方が少し変わってきた ような気がする。
展望台は南西の風が緩やかに吹いていたが、初めはかなり寒かった。桜はほぼ満開で、ものすごい人出、駐車待ちの車が行列していた。やむなく、すこし下の駐 車場に止 めて歩いたので、かなり疲れて、しばらくは集中して観察ができなかった。富士山は3合目あたりまで雪をかぶっていたので、富士山麓泊のサシバはいないだろ うと思われた。サシバは10:47.11:04.11,42に、ほぼ頭上を各1羽通過していった。他にはチョウゲンボウが一羽出現した。サシバは予想外に 高く飛んでいったが、なんとか1羽の写真をとることが出来た。サシバのつもりで撮影したのだが、写真でみるとどこか違うような気がして、とまどってい る。(結論として、11:42に通過したのは、サシバではなくハヤブサであった。)

4月4日 (土) 晴

既に高知では昨年春の実績のほぼ 9割に当たる3451羽が通過している。高知と鎌倉の関連は、残念ながら良くわからない。とはいえ無関係ではない筈だし、鎌倉にもそろそろ群れがやって来 ても良い頃だと思うのだが、どうも天候条件がいまひとつパッとしない。
この日の天気予報では9時の時点で南風、3,4mという予報であった。こんな風が終日続くなら、笛田公園は、ノーチャンスである。ただ6時時点の実績は北 の風が2mとなっていたので、風の変わり目のワンチャンスにかけ、8:45−9:45観察してみた。桜が満開で、寒くもなく、風向きを除けば、絶好の条件 に思われた。しかしハプニングは起きなかった。野球やサッカーで賑わう、週末の笛田公園は他の鳥は全く期待できないのが残念だが、目的が運動公園なのだか ら仕方がないのだろう。

4月5日 (日) 曇

9:45−11:30 笛田公園 で観察した。東北東の風が4m程度吹いていたが、それほど寒くはなかった。こんな日、サシバは鎌倉山の稜線にそって飛んで行くので、遠くて観察がしにく い。南側を飛ぶことはないだろうと思っていたが、10:05なんと野球場の北側を超低空でサシバが1羽通過した。梶原方面からやってきたようだ。その後 10:45鎌倉山の上空を飛んだ1羽がサシバのように思われたが、遠くてはっきり確認できなかった。このタカspは最終的には源氏山方向に向かっていっ た。
北風はだんだんと弱まり、条件的には良くなってきたので、期待したが、その後サシバは1羽も現れなかった。

4月6日 (月) 晴

9:00−11:00 笛田公園 で観察。北風が緩やかに吹いていて、寒さを感じることもなく絶好の条件だと思われた。鎌倉山の桜は満開の状態を保っていたが、まだ散る気配もなく、桜を見 るのにも絶好だと思われた。相当集中して観察したが、サシバは1羽も現れなかった。unbelievable!

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サシバは夜も飛んでいるのでは?  皆さんは、そんな疑問を持たれた事がありますか。Noというのが常識的な理解だろうと思われますが、秋と春に見られるサシバのバランスから見て、春のサ シ バが夜飛んでいる可能性も排除できないように私には思われるのです。それではサシバは夜飛ぶ能力があるのか?これはYesだと思われます。サシバは小鳥の ように他の鳥から襲われる危険はありませんので、敢えて夜飛ぶ必然性はないように思われますが、沖縄本島から300km陸地のない渡りの中継基地である伊 良部島辺りでは風などの影響で、夜間に到着するサシバもしばしば見られるようです。風向きなどの飛行条件が良い場合、夜飛ぶサシバがいてもおかしくはない のではと思う のですが。それでは、夜飛ぶ鳥を観察する方法はないのでしょうか? ゴイサギやホトトギスのように鳴きながら飛ぶ鳥であれば、比較的容易にキャッチできる のでしょうが、一般にはかなり難かしそうですね。
4月9日は春のサシバシーズンで唯一の満月で、今夜(6日)も 月がきれいに出ていましたの で、半分は洒落、半分は真面目に月を眺ながら、月面を横切って行く鳥影がないかどうかを探してみました。残念ながらこの日はそれらしきものは発見できませ んでしたが、夕闇の中、月に向かってサシバを探してみるのもおつなものだと思いますが。



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4月7日(火)   晴時々曇

昨日で高知を通過したサシバは5335羽となっている。またネットを見ていたらサシバは時速40kmで飛び、一日の活動時間は12時間、渡り時の移動距離 は一日400km〜500kmであるとの研究結果が出ていた。もしこれが正しいとすれば、高知を早朝通過したサシバは早ければ翌日中に鎌倉にやってくるこ とになるし、遅くとも2日後にはやってくるはずだ。また高知では、18時まで観察が行なわれており、明るいうちは終日サシバが飛んでいるようだ。
この日は、視界こそあまりよくなかったが、弱い北風で条件的には悪くはないように思われた。9:30−11:00箱根大観山で、観察したが、オオタカが2 度、ハイタカが一度出現しただけで、サシバは1羽も観察できなかった。箱根を通過するサシバの実態を探るために、これまでなんどとなく大観山に通って来た が、成果は今一つである。春のサシバには標高1011mという場所は高すぎるのではと、標高700m位で適当な観察場所を探しているが、どうも決定的な場 所が見当たらない。それ以前に春は矢倉岳をサシバが飛ばないようだから、箱根を飛んでいるに違いないという発想自体に誤りがあるのかもしれない。ターンパ イクの桜は実に見事で昨年は大いに感動したが、今日は原点に戻るようなことばかり、あれこれ考えながら通過したので、印象に残らなかった。キジの鳴き声を 久しぶりに聞いたのが収穫であった。

4月8日(水)  晴

朝自宅でアオジの囀りを聞いた。
9:00−10:30笛田公園にて観察。  予報では9:00北東2m、12:00では南の風4mとなっていた。初めのうちはほぼ無風で絶好のコンディ ションであった。9:32サシバが1羽夫婦池方面から低空で現れ、サッカー場をネットすれすれの高さで横切り、一直線に常盤山の方向に消えていった。今 シーズンこんなにサシバが近くを飛んだのは初めてであったが、サッカー場のネットが邪魔で、切れ目を探しているうちに、シャッターチャンスを失してしまっ た。またくるだろうと場所をかえ待ち構えていたが、徐々に南風が強くなり、その後サシバは現れなかった。

4月9日(木) 晴

予報では、南風に変わる時間が15:00となっていた。風が発生するメカニズムは結構難しく、なんどか本を読んで見たが、わかったような、わからないよう なで、要するに良く理解できていない。気象予報士なら、きっともうすこし多くのサシバを見つけられるのだろう。この日は晴れていて、絶好の条件であったの で、かなり期待して9:45−10:45笛田公園で観察した。上空に5羽のトビ柱が出来ていたが、10:06そのはるか上をサシバが1羽東に向かって行っ た。さらに10:14同じコースをもう1羽が通過した。その後も上空を主体に観察したが、後続はやって来なかった。10時半を過ぎると予定より早く南風が 吹いてきて、上空桜の花びらが、ヒラヒラと輝いて、とても綺麗であった。ひさしぶりに高空を観察していたら、ものすごく疲れて、一時間で切り上げざるをえ なかった。

4月10日  (金)  晴

8;45−11:00 湘南平展望台にて観察。昼からは南風が7mになるとのことで、なるべく早く着きたかったが、道路が予想外に渋滞していた。現地に着 くと3m程度の南風であったが、眺望も良く、寒くもなく、観察には支障がないように思われた。結果として9:48オオタカ1羽、9:55サシバ1羽、 10:12サシバ1羽、10;15ハイタカ1羽、10:15サシバ1羽を観察することができた。最後に見たサシバはかなり強い南風の中を中空で、鎌倉方面 に向かっていった。その他のタカは、識別に苦慮するものが多かったので、、川上さんにご協力いただき写真判定した結果である。25年も観察しているのに、 識別能力の未熟さを痛感するとともに、最近の一眼レフの素晴らしさを再認識した日であった。湘南平の桜は風に吹かれて、粉雪のように舞い上がり、道路も雪 が降ったように真っ白で、とても綺麗であった。

4月11日 (土) 晴

9:00−11:00笛田公園で観察。北の風が2m程度、気温も高く、今シーズン初めて暑さを感じる日であった。条件的にはかなり良好と思われたので、期 待して観察したが、10:18梶原上空にノスリが現れただけで、サシバは1羽も現れなかった。今年は台峰が4月3日に4羽飛んだだけで、全く不振のようで ある。笛田公園は今のところ芳しくないが、昨年は27.28日で合計14羽も飛んでいるので、今後なにが起こるかわからないという期待感はある。恐らく全 体としては今年も平年並みにはサシバが飛びそうな気がする。それはサシバが減少していないという意味では、嬉しいことではあるのだが。  積年の疑問点に対する回答につながる何かをなんとかして掴みたいものだ。

4月12日(日) 晴

10:30−11:30 笛田公園で観察。朝は北風が強かったが、徐々に収まってきたので、笛田公園に行って見たが、条件的にはいつサシバがやってきても おかしくはないように思われた。
上昇気流がでているようで、トビがかなり高空を飛び回っていた。しかしサシバは1羽もやってこなかった。すでに各地とも渡りのピークは過ぎているようで、 先週一杯で観察を終了する人もいて、寂しくなるが、まだまだドラマが待っているものと期待したい。この日はKJGの例会であったので、観察終了後源氏山に 行く予定にしていたが、すこしメマイがしたので、取りやめた。


4月13日(月)  晴

この日も昼頃から南風が強くなる予報であった。このような日に一度大船のフラワーセンターで観察してみようかと思ったが、生憎月曜日は休園日であった。結 局9:00−12:00湘南平の展望台で今シーズン5回目の観察となった。視界はそれほど良くはなかったが、新緑や山に咲く名前も知らない花々がとても美 しく、素晴らしい環境であった。サシバは10:37に内陸側上空を1羽、11:24に海側を2羽、合計3羽しか観察できなかった。目が疲れて休み休み観察 したので、見落とした可能性もある。他にハヤブサが1羽出現した。サシバの写真を撮るのが主目的で、写真撮影を再開したのに、なかなかシャッターチャンス がなく、結局まともなものは一枚も撮れていない。この日内陸を飛んだサシバは遠すぎて、海側を飛んだサシバは近すぎて、速すぎて結局ダメであった。


4月14日(火) 曇後雨

9:30−10:30 大船フラワーセンターにて観察。南風3m程度であったが、上空は一部に青空が見られ、ウやアオサギなどの飛翔が見られた。港南台で 一昨日6羽、南風の昨日にも2羽のサシバが見られたとのこと。この場所で観察するのは初めてであるが、港南台へ通じるルートである可能性が想定されるの で、 興味をもって観察したが、結局サシバは1羽も現れなかった。そのうち小雨が降り出したので、観察を中止したが、可能性を感じさせる場所ではある。今後も機 会があれば、トライして見たい。
園内は、 シャクナゲやヤエザクラ、チューリップなど多くの花が、満開で、花を見るだけでも満足であった。

4月15日(水) 晴

9:00−10:00 長者ヶ崎駐車場で観察した。今日は北の風3mという予報であった。この程度なら笛田公園でもチャンスがないわけではないが、鎌倉山 の稜線に沿って飛ぶケースが多く、目が疲れるし、写真も撮れない。北風なら海側という単純思考は最近あまり通用しないようだが、色々考えて末、この場所に した。条件的には、悪くないように思えたが、サシバは1羽も見られなかった。それでもその他のタカがやって来る可能性があったので、もうすこし観察した かったが、カメラのトラブルで、早めに切り上げた。


4月16日(木)  晴

9:00−12:30  湘南平展望台にて観察した。湘南平は過去に長い間、観察に行き詰まった時の駆け込み寺としての役割を果たしてくれた場所であっ た。今シーズン6回目の観察、ハルサシに翻弄されて相当行き詰まっているのだろうか?とにかく今日の条件ならここしかない、かならず出る筈だと確信して出 かけたが、結局9:20にタカSPが上空を飛んだだけで、サシバの姿は1羽も発見できなかった。あれほど人出で賑わっていた湘南平も桜が散ってしまうと、 すっかり静かになり、これまで駐車場所を探すのに苦慮していたのに、この日の朝はなんと広い駐車場に3台の車しかなかった。初めはゆるい北風であったが、 11時過ぎからは予報通り南風に変わってきた。しかし終日かなり良い条件だと思われた。湘南平(高麗山)の一帯には杉やヒノキは殆ど見られず、さまざまな 木々の新緑が実に美しかった。そして、アオゲラ、シメ、シジュウガラ、ヤマガラ、メジロ、ウグイスなどが、盛んに囀っていた。キジのような鳥の姿がチラッ と見えたが、なんと綺麗な色をしたニワトリのオスであった。コマドリの声が一声聞こえたが空耳だったのかもしれない。

4月17日(金)  曇

10:30−11:00  葉山長者ヶ崎海岸駐車場で観察。 北風が強く、肌寒い天候で、視界も悪く、今にも雨が降りそうであった。サシバは全く期待せ ず、ミサゴの写真でも撮ろうかと思ってふと見上げると、長者ヶ崎の先端の上空にサシバが1羽旋回していた。かなり高くて、雲に隠れ、写真は撮れなかった が、サシバに間違いはないと思われる。長者ヶ崎は、以前海岸の先端まで降りられたが、今は通行止めになっている。海上を通過するサシバは見にくいので、車 で5分程離れた立石海岸に移動して12:00まで観察したが、その後は何も飛ばなかった。

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サシバの謎はどどまるところなく、深まっていくようだ。5月の下旬にも鎌倉からそれほど離れていない横浜市をサシバが一定数渡っているという観察データが あるそうである。(詳細は不明である が、とても貴重なものだと思われる)
昨年私は4月の27,28日の両日で、合計14羽のサシバを観察している。通常の渡りのシーズンから、少し遅れて渡っ て行く群れがあるだろうとの予測はしていたが、5月下旬にもこのような群れが存在しているということは驚きであった。
このようなサシバは繁殖活動に参加しない若ドリか、老齢のサシバなのか?常識的にはそう考えられそうだが、そもそもサシバは何故渡るのか?繁殖に適した場 所への移動が渡りなのではないのか?繁殖に参加しないグループは東南アジアに留まっている方が安全だと思われるが、現実にサシバの越冬地といわれるフィ リッピンやマレーシアには、渡りをしないサシバは存在しないのだろうか?渡りはサシバの習性で あっ て、繁殖だけが目的ではないという論議もあるだろう。しかしもしそうであるならば、沖縄のサシバは何故渡らないで留鳥といわれるのだろうか?
古来日本の里山といわれるような環境、そこでは自然と人間との調和、共生が見ら れる環境がサシバの繁殖地であった筈である。しかしそのような環境が減少し、サシバの生活パターンにもすくなからず、混乱が生じているのかもしれない。 ダーウィンは進化論において、最早過去の人だといわれているそうだが、もっともup dateな進化論では、サシバはどのように進化していくのであろうか?

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4月18日(土)   曇

9:30−11:00 笛田公園で観察。 北風が初め3m程度吹いていたが、徐々に弱まってきて、条件的には悪くは無いように見えた。しかしサシバは1羽 も現れなかった。この公園は自宅から車で5分、駐車場完備というのが魅力ではあるが、最近見られる野鳥の数が著しく減少しており、サシバの飛ばない日は全 く無味乾燥である。

4月19日(日)  晴

予報では9:00現在で北北東の風4m、12:00には南東の風3mとなっていた。わずか3時間の間に風向きが180度変わるということも信じられない が、春にはよくあるパターンであり、最近では天気予報もかなり良く当たるようになっている。当然風向きが全く逆になるのだから、ある時点で、凪のような状 況が生じる筈である。サシバはきっとそんな時間に通過していくのだろう。このような想定で9:30−11:00笛田公園で観察した。10:30頃に一瞬風 が収まったような気がしたが、サシバは1羽も現れなかった。公園の第二駐車場の脇には、ちょっとした竹林があり、この日はタケノコの収穫作業をやってい た。

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”渡るということ”

夏鳥の中にサシバという中型のタカがいる。秋田県以南で繁殖し、冬は沖縄や台湾、さらには遠く東南アジアに渡って越冬する。
このサシバは、毎年十月の初め、申し合わせたように、愛知県は渥美半島の先端、伊良湖岬に終結する。まるで日本中のサシバが全国大会でも開催したかの ようなにぎわいである。
十月の五日から十日前後、晴天の午前、これらのサシバは折からわき起こった上昇気流に乗って、ぐるぐると旋回飛翔しながら、しだいに空高くまいあがってい く。
十分あがりきったとみるや、今度は西の方、伊勢湾の湾口をへだてて志摩半島の方へ向かい、高空からすべりおりるように滑空を始める。
これは、はばたかなくても前進できるのだから、きわめてエネルギーのロスが少ない、上手な飛び方である。高度が下がってくると、そこには、好都合にも神島 や答志島が海上に横たわっていて、その上に強力な上昇気流が発生している。これをとらえたサシバはまたもやぐるぐる回りをしながら、中天高くまい上がって いく。紀伊半島に至れば、陸地続きであるから、晴天であればいたるところで上昇気流が利用できる。
こうして紀の国を渡りきる時、紀淡海峡に面した加太湾に到達する。ここから海上を渡る時は、地ノ島や沖ノ島がある。やがて淡路島を越えて、鳴門海峡を渡 り、四国を横断し、西端の長い長い佐田岬半島を西へたどると、豊予海峡である。ここもぐあいよく高島と牛島がある。
九州を南下して大隅半島の先端佐多岬からは、大変である。薩南諸島から琉球諸島へと点々と島々が連なるが、その島と島との間の距離は、本州の小さな海峡の 比ではない。なにしろ薩南諸島と琉球諸島を合わせた南西諸島全体では、本州の端から端までの距離に匹敵する長さなのである。
今までのように上昇気流にばかりたよるわけにはいかない。いささか無精を決めこんできたサシバも、ここでは懸命にはばたいて、大海原をひたすら飛び続けな ければならない。だから沖縄本島にも、宮古島にも。石垣島にも、へとへとに疲れてたどり着くのである。精根つきて大海原に果てたサシバも、数多いであろ う。

                                          教育出版「中学国語」より

サシバ観察に限らないが行き詰まったときは原点に戻るというのが、定石の一つであろう。ただ原点に戻ると言っても、難しいなと思いながら、ネット情報を眺 めていたら、上記が目に付いた。これは現在は採用されていないが、ある時期実際に使われていた、中学校の国語の教科書に記載された文章である。皆さんのな かにも、もしかしたらこの教科書をきっかけ(原点)にサシバに興味をもった人がいるかもしれない。私はこの教科書は習わなかったが、読んで見ると、意外に 多くのことを教えられる。まず伊良湖岬から南西諸島という範囲であるが、秋の渡りの時期にサシバが辿るルートが極めて具体的にイメージされている。理科で はなく国語であるとはいえ、教科書である以上文部科学省の厳しい検定を受けているので、事実関係に大きな誤りはないのだろう。このイメージを伊良湖から、 青森まで是非延長してみたいものだと思って、ふと気いついたのが、サシバは秋田県以南で繁殖しという文言である。
津軽海峡にはブランキストン線という生態系の臨界線が引かれており、たとえばカマキリなども津軽海峡を渡れないという話は聞いたことがある。そんな先入観 があってサシバは青森県では繁殖していないとは、これまで考えたこともなかった。しかしネットで調べた限りでは、どうもこれは事実のようである。私は秋田 にも青森(八戸)にも昔仕事の関係で何度も行っているが、
それほど環境面での違いがあるようには思えない。サシバは何故秋田では繁殖するけれど、青森ではしないのか?サシバの謎がまた一つ増えたような気がする。
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4月20日(月)  曇

所用で平塚に行った帰りに湘南平に行って見たが、視界が悪く、寒かったので、11:00−13:00大磯漁港に移動して観察した。ここで観察するのは初め てであ るが、照ヶ崎海岸に隣接しており、湘南平の海側を通過するサシバを観察するには絶好だろうとかねてから考えていた場所である。地元の人の話ではアオバトが こ こにやってくるのは5月20日頃からだとのことで姿は見られなかった。北東のゆるい風が吹いていて、サシバが今にも現れそうな雰囲気がしていたが、結 局なにも成果はなかった。

4月21日(火) 曇

10:00−11:00 大船フラワーセンターにて観察。前に来てから一週間しか経っていないのに、花は随分と様相が変わっているのに驚かされる。この日 は藤の花が満開で、写真を撮る人、スケッチをする人、本格的な油絵に取り組んでいる人が目に付いた。石楠花だけはあまり変わらず、まだ満開のようであっ た。昨日は予想に反し?港南台ではサシバが観察されたとのこと。この日は南風が4m、サシバに出会える確率は低いとは思われるが、なにが起こるかわからな いという期待感があった。上空、アオサギやウが行き来しており、笛田公園では見かけなくなったツグミがまだ、何羽か見られた。しかしサシバはやってこな かった。ツグミはシベリヤ方面に渡って行く筈だが、出発時期には相当のずれがあるように思われる。早く出発するツグミと、遅く出発するツグミとはどこが違 うのだろうか?
「ツグミにもセッカチなツグミとおっとりしたツグミがあるのさ」それも一因かもしれないが、もっと論理的で明白な理由がある筈である。サシバにも同じこと が言えそうなのだが。

4月22日(水)  晴

8:00−10:00 笛田公園にて観察。午後から南風が強くなることが予測されたが、この時間帯は風もなく、空も澄んでいて、絶好の条件であった。野球 場で餌をとっているムクドリやカワラヒワが突然何かにおびえたように飛び上がるので、タカが現れたのかと注意して見てみたが姿は見えなかった。以前はこう したことが良くあったが、最近では珍しいことだ。結局サシバ は現れず、その他のタカも姿を見せなかった。10時を過ぎると急に風が強くなってきたので、観察を切り上げた。このところ毎年感じることであるが、サシバ はともかく、その他のタカ類の出現が 笛田公園では著しく減少しているのが気にかかる。

4月23日(木)  晴

9:00−11:15 長者ヶ崎駐車場で観察した。晴れた日のここからの眺望はまさに絶佳であり、深田久弥氏が選定した日本百名山のうち、湘南地方からみ ることが出来る3つの山(丹沢山、富士山、天城山)を一覧することができる。そんな場所は特別珍しくはないが、有料駐車場を使わずに、車の中なら、見られ る場所は、ここしかないのではと思う。湘南平もそうした場所であるが、車の中からという訳にはいかない。
ここからは正面に江ノ島、そのやや左手に湘南平のテレビ塔がはっきりと見えている。鎌倉や逗子は右手の方に位置している。即ち湘南平の海側を通過したサシ バが もし海上を一直線に飛んでくるとすれば、この辺りに上陸するのが最短距離だと思われる。(そう思われる場所は荒崎など他にも色々あるのが苦慮するところで ある)サシバには二通りの飛び方があるようだ。一つは上昇気流を利用した 省エネ飛行であり、もう一つは風を味方に自力で一直線に飛ぶ飛び方である。秋のサシバは上昇気流を利用して飛んでいるので、上昇気流が発生しやすい陸地に こだわるが、春は自力飛 行が主体だとすれば、風向きにもよるだろうが、必ずしも鎌倉を通過する必然性はないように思える。
実績からみても、湘南平を通過したサシバが鎌倉の旧市街地を通過することはあまりないように思われるし、関連があるかどうかは定かではないが、時間的には 整合する時間帯に港南台で見られたなどという意外なデータもある が、殆どは海上ルートを飛んでいると考えると、鎌倉で見られるサシバの数の春と秋とのアンバランスの一端が解明できる筈だ。ただそう考えるだけでは単なる 憶測にすぎない(状況証拠すらないので、極めて説得力に欠けている)ので、確たる証拠として、実際にこの場所で湘南平の方向から海上を飛んでくるサシバを 見つけることが先決である。そんな思いから、この日は海上のサシバにポイ ントを絞って観察したが、アオサギやウなどがこのコースを飛んでくるだけで、サシバの姿を確認することはできなかっ た。ところが10:24、10:34、10:48葉山御用邸の上空から峯山方向に向かってサシバが各1羽、かなりの高空で通過していった。内陸からきたの か?それとも海上をやってきて、もうすこし手前のどこかで上陸したのか?とにかく、サシバはまだどこかを飛んでいることは間違いはないのだが。 
なお余談であるが、大磯照ヶ崎海岸のアオバトを襲いに現れるハヤブサは明らかに江ノ島方面からやって来るのが見えると地元の人が話していたが、ハヤブサが 江ノ島に住み着くのは冬場だけの筈である。ということはもっと遠い距離を移動しているのだろうか?(その後、最近数年間、江ノ島でハヤブサが繁殖している 事実があるとのご指摘をいただいた。アオバトを襲っていたのは、間違いなく江ノ島のハヤブサのようだ。)


4月24日(金)  曇

10:30−11:30 笛田公園にて観察。どんよりとした空、3m程度の北風、とても寒い日であった。結局サシバはとばず、シャッターチャンスはゼロで あった。やむおえず、サシバと風の関係をいろいろ考えてみたが、結構複雑なのに驚く。風速3mというのは、地上10mで測定した秒速である。この日は上空 の雲を見ると、南東から北西に流れるもの、南から北に流れるものなど、高度によって様々であった。サシバが飛ぶ高度をもっとも高くて1500mという説が あるが、500mを超えると超高空だといわれるようだ。ただし山間部と平野部では当然高度が違ってくる筈だ。秋には超高空を飛ぶサシバが数多く見られる が、春のサシバは一般的に は50mから300mの中間位を飛んでいるような感じがする。でも実際のところはどうなのだろうか?サシバは当然飛行にプラスになるような風が吹いている 高さを飛ぶ ように調整しているのだろう。結論的にいえば、天気予報の風向きは、サシバを観察する際の重要なバックデータにはなりうるが、過度に依存するのはミスリー ドにつながることになりかねない。雲が出ていない場合は、困ってしまうが、高度別の風速予報などはないので、上空の雲の動きを絶えず把握しておくべきであ ろう。ところでサシバは時速40kmで飛ぶといわれる。これは秒速でいえば、11m強になる筈である。風速11m以上の東風が吹いていたら、春のサシバは 先に進めないということになる。逆に風速11mの西風が吹いていたら、サシバは時速80kmで飛行する計算になるのだろう。

4月27日(月)  晴

9:00−11:15笛田公園で観察した。昨年のこの日は6羽、28日には8羽のサシバを観察している。この日も北の弱い風が吹いており、快晴で、初めの うちはまたとない条件だと思われた。9:35にサシバ1羽が、サッカー場の上空を通過、常盤山方面に消えた。9:47サシバ1羽が野球場の北側を台峰方面 に飛んでいった。いずれも遠くて、豆粒ぐらいの写真しかとれなかった。この調子なら昨年並みにやってくるだろうと期待したが、10時を過ぎると南風にか わったためか、その後サシバは1羽も見られなかった。

4月28日(火) 晴

天気予報を見ると、午前中は北の風2m程度であったので、期待して9時前に笛田公園に行って見たが、予想以上に風が強く3,4m程度に感じられ、おまけに 寒くて、観察どころではなかった。やむなく予定を変更して、10:00−12:00長者ヶ崎の駐車場で観察した。初めは北風、11時過ぎから南西の風に変 わってすこし暖かくなったが、サシバを期待できる状況ではなかった。この場所は車の中からも観察できるので、笛田公園で観察するよりは、楽だし、サプライ ズに出会う確率は高いだろうという程度の期待感しかなかった。結局サシバはゼロで、それらしい影すら見られなかった。こんな状況でも、内陸のどこかをサシ バは飛んでいるのだろうか? 
なおサシバ繁殖では日本の北限といわれる岩手大学の調査報告では、この地域では5月上旬から7月中旬が繁殖期であるとのことである。4月末に鎌倉を通過す るサシバは非繁殖のサシバだろうと考えていたが、もしかすると桜前線が遅い、秋田や岩手辺りで繁殖するサシバである可能性も否定できないような気がする。 青森では過去に繁殖記録が一例だけ確認されているそうだ。5月末に渡るサシバは明らかに繁殖サシバではないといえるが、4月末に鎌倉を通過するサシバは成 長なのか幼鳥なのか?どこに向かうのか?興味のあるところである。

4月29日(水) 晴

8:30−11:00 笛田公園。初めのうちは、ほぼ無風でかなり良い条件だと思われた。8:52 梶原の上空をサシバ1羽が高空を台峰方面に向かった。 後続を期待したが、10時過ぎには風が南に変わり、その後は全く動きがなかった。今の時期でも、広島の佐伯運動公園では、数は少ないが、ほぼ毎日サシバが 渡っている。広島と鎌倉の関係となると全く不明であるが、他の地域は渡っていないのではなく、誰も見ていないだけなのかもしれない。

4月30日(木) 晴

昨日も徳島で合計40羽、広島で10羽程度のサシバが観察されている。まだまだやってきても不思議ではない。8:30−10:30笛田公園で観察した。こ の日も10時頃まではかなり良い条件だと思われた。しかし残念ながらサシバの姿を発見することはできなかった。

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すっかり新緑の季節になった。サ シバはまだ日本のどこかを渡っているようだし、5月末まで断続的に渡っているという可能性がある。とても興味深いが、残念ながらそれまで観察を続ける気 力、体力はない。区切りの良いところで、本日をもって、今シーズンの観察を一応終了することにしたい。

今年の春は合計30羽のサシバを 観察することができた。これはまあまあのレベルではあるが、到底満足できる数字ではない。

私の体力でも秋には150羽程度 は観察できるのだから、最低でも100羽は観察できて、然るべきなのに、現実は秋の5分の1程度しか見られないのが、春のサシバの不可解なところで ある。実際に観察は出来ないとしてもその原因が解明できればそれなりに納得できるのだが、今年も原因解明のヒント的なものが若干得られたとはいえ、決定的 なものは何一つ掴むことは出来なかった。

それでもサシバを探しながら、日 本の春の美しさに触れることができた。たまたま7回も通うことになった湘南平の自然、それは春という季節の中で7段階のそれぞれ趣きをことにする今まで全 く気がつかなかった自然の美しさであった。

今シーズンも多くの方から色々と ご指導をいただき、深謝いたします。サシバだけでなく、カメラの技術的なことについても懇切丁寧なアドバイスをいただき、ありがとうございました。
5月、6月は鳥の声の収録と10年ぶりに写真にもチャレンジして見ようと思っております。アンニョン、サシバ。また逢う日まで。

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