平成22年春サシバ観察記録



ここ数年暖冬が続き、鎌倉からは冬が無くなってしまったのではという感じすらしていたが、今年は、久しぶりに冬を実感する寒い日が戻ってきたようだ。寒い 日がベースで、まれに初夏を思わせるような暖か過ぎる日があるという、このところ、あまり例のないような天候であった。こうした天候は持病持ちの老体に は、かな り応える。それでもこの冬は、7年ぶりに赤い鳥を訪ねて、丹沢湖、宮ヶ瀬湖、芦ノ湖などに何度か足を運んでみた。何故急に赤い鳥に会いたくなったのかは、 良く分か らない。結局宮ヶ瀬湖で、3回ベニマシコに出会うことができたが、いずれもチラット姿を確認した程度 で、写真は写すことができなかった。過去9年間サシバ が総てという生活を送ってきたが、まだ他にこれだけ熱中できるものがあるということは驚きであった。
3月も中旬になり、西日本では春の渡りの観察を初めてところもでてきた。まだサシバ通過の報告はないが、そんな状況でもヒョッコリと鎌倉に姿を現すのが、 春のサシバである。
このところ体調がすぐれず、まだ本格的な観察はスタートできていないが、今年もサシバを通して、日本の美しい春の移り変わりを、是非ワイドに実感してみた いものだ。昨年は湘南平の春をたっぷりと味わうことが出来た。今年はこれといったテーマは今のところ、念頭にないが、まずフィールドに出て、体力と相談の 上、方針を決めて行きたいと考えている。
                                                                平成22年 3月17日

3月19日(金)   曇後晴

10:00−11:30  今シーズン初めて湘南平展望台で観察した。桜のつぼみがかすかに膨らみつつあったが、その他の木々は、まだ芽をだしておらず、 荒涼としたイメージであった。風は東の微風で、条件的には悪くはなかった。しかし気温が低く、じっとしていると寒かった。サシバは既に大分で観察されてお り、そろそろ先発隊がやってきそうな雰囲気であった。ただこの日はオオタカが一羽現れただけで、そのほかの動きは見られなかった。


3月23日(火)  曇後晴

10:00−11:45  長者ヶ崎海岸にて観察。   既に大分、広島、徳島等ではサシバが通過しており、鎌倉に姿を現すのは時間の問題と思われるが、 体調が芳しくなく、久しぶりの観察となった。この日は、北の風がゆるやかに吹いており、やや雲が多かったが、条件的には悪くなかった。ここは、鎌倉近辺 で、車を西向きに止めて、車中から観察できる唯一の場所である。残念ながらサシバは一羽も見られなかったが、行き交う海鳥も多く、退屈はしなかった。



3月26日(金) 曇後晴

しばらく天候の悪い日が続き、サシバ観察が出来なかったが、この日は11時過ぎから空が明るくなってきた。しかし風向きが北東から南西に変わってきたの で、南風の日の観察場所の候補地としてリストアップしておいた、境川遊水地で11:30−13:30観察した。この場所で観察するのは初めてであるが、遊 水地にはカイツブリ、コサギ、カワウなどが群れており、どこかから、キジの声が聞こえてきた。タヒバリやコチドリなども目に付いた。13:09かなりの高 空をサシバが一羽通過した。高すぎて写真は良く撮れなかったが、飛び方から見てサシバに間違いないと思う。



3月27日(土)  曇後晴

10:30−12:30  常盤山野村総研跡地で観察した。はじめは北の風であったが、南南西の風に変わってきた。風はそれほど強く感じなかったが、気温 が6度程度しかなく、ものすごく寒かった。鎌倉山の桜は二分咲き程度であった。笛田公園も夫婦池も駐車場が満杯で、やむなくこの場所で観察したが、サシバ がやってきそうな雰囲気はあった。しかし、11:58オオタカが一羽現れた以外、目ぼしい動きはなかった。

3月29日(月)   曇時々晴

10:00−11:30  長者ヶ崎駐車場で観察。鎌倉でもサシバがそろそろ飛びはじめているが、とにかくこの寒さどうなっているのだろうか?昨日は笛田 公園に行ったものの、気温6度、北風が冷たく観察不能、この日も、朝方は気温4度、北東の風が4,5m吹いていた。車の中からCDを聞きながら、サシバ観 察と言えば優雅に聞こえるが、現実にはサシバはそれほど甘くはない。やはり車外に出て、視界を広げ、集中して観察しなければ、まず発見できない。この日は オオタカが何回か出現したが、サシバは全く見られなかった。 




3月30日(火)   晴

10:00−12:00   笛田公園にて観察。 昨日は長谷配水地で10羽が観察されたとのこと。3月で1日10羽以上観察されるのはめったにないこと である。北北西の風が2m程度、快晴で条件は悪くなかったが、早朝はなんと気温2度であった。その後徐々に気温は上がってきたが、それでも7,8度と寒く て、なかなか集中できなかった。サシバは10:08、10:12、10:14、10:23、10:42と合計5羽いずれも定番コースをかなり高空で通過し ていった。このコースは長谷配水地から、観察できるのかどうかかなり微妙なところだと思われる。
その後も条件的には悪くなかったので、連日の10羽を期待したが、11時台は、全く飛ばなかった。なお11:16オオタカが同時に2羽低空を西から東へ横 切っていっ た。

3月31日(水)  曇

10:00−12:00   境川遊水地にて観察。

既に高知では1000羽近くのサシバが通過している。
この日の鎌倉地方の天気予報では9時で、南南西の風5m、12時で7mと、強い南風が予測された。朝の気温は3度、こう寒い日が続いたのでは、鎌倉山の桜 も、なかなか満開にならない。こんな日、過去の実績からみて、笛田公園では、ノーチャンスである。しかしサシバの謎に迫るには絶好のチャンスでもあり、迷 わず境川遊水地に向かった。空はどんよりとしており、青空は皆無であった。11:08サシバ1羽が北側の上空かなり高くに現れ、一度旋回して、東へ向かっ ていった。こんな条件であっても、サシバは間違いなく移動をしているようだ。その後オオタカが11:49に現れたが、サシバは発見できなかった。

4月3日(土)  曇後晴

9:45−11:30    境川遊水地で観察。  悪天候で二日間、観察ができなかった。この日は午前中に北風から南に変わるという予報であった。風の 変わり目に期待して笛田公園に向かったが、満開の桜を見る人が多く、駐車場が満杯であった。境川遊水地はヒバリが囀り、キジが姿をみせるなどのどかな雰囲 気であったが、期待したサシバは1羽も見られず、ミサゴが1羽姿を現しただけであった。



4月4日(日)   曇

10:00−11:45   長者ヶ崎海岸駐車場で観察。 北の風が3m程度で、かなり寒かった。ただ上空の雲は、南から北に流れるものもあり、風向きが とても複雑であった。
鎌倉市内には、無料で駐車が出来る場所がなく、やむなく長者ヶ崎まで行ったが、ここも来月から週末は有料駐車場になるとのこと。バイクが使えれば駐車場探 しに苦慮することはないのだが、辛いところである。  
この日はどんよりとしていたが、サシバが渡るには、まあまあの条件だと思われた。10:45、11:07,11:33サシバ各1羽が、内陸側をかなりの高 空で峰山方向に通過していった。春のサシバといえば、低空をゆったりと飛ぶものだというイメージがあったが、最近、高空を飛ぶ比率がものすごく高くなって いるように思える。現実に今シーズン、サシバの写真の、シャッターチャンスがまだ一度もない。他に11:17オオタカが1羽、観察された。今年は例年より オオタカが多く見られるようだ。このほかにも紛らわしいものが何羽か飛んだが、遠すぎて断定できなかった。

4月6日(火)  晴

9:00−11:30   笛田公園。 桜もまだ殆ど散っておらず、まさに春爛漫といった感じであった。アオゲラやコジュケイ、ウグイスなどの声が時折聞 こえていた。午後には7mの南風に変わるとの予報であったが、公園に着いた時点では、ほぼ無風で、寒さも感じず、絶好の条件であった。今シーズンまだ、豆 粒やシルエットだけで、サシバ色のサシバを見ていないので、期待して観察したが、残念ながらサシバは1羽も発見できず、10:56オオタカが1羽現れただ けであった。高知では既に4200羽が通過している。昨秋は鎌倉全体で1500羽超のサシバを見送った。これは過去最高ではないにせよ、かなりの記録であ ることは間違いがない。今年の春もなにかサプライズが起こることを期待したい。

4月7日(水)  曇

9:00−10:45   笛田公園にて観察。 地上は北東の風が3m程度吹いていたが、上空の雲は南西から北東に流れていた。曇っていて、視界も悪く、 あまり期待はできそうになかったが、サシバは9:49、9:51、9:53、10:00と合計4羽が、いずれも定番コースよりやや北側を通過していった。 10時台になっても気象条件は、それほど変化がなかったので、まだやってくるかと期待して待ったが、その後はまったく動きがなかった。

4月9日(金)  薄曇

9:00−11:45  湘南平展望台にて観察。
昨日は多少は飛びそうな天候であったが、体調不良で観察ができなかった。この日は空は曇っていたが、富士山も丹沢も箱根も江ノ島も、見渡せたし、北の風 2,3m、絶好とはいえないにせよ、この時期、この程度の天候で湘南平であれば最低でも10羽はやって来るはずだと、かなり集中して、観察した。ソメイヨ シノもまだ殆ど散っておらず、その他にも7,8種の別の種類のサクラが咲き誇っていた。ウグイス、メジロ、ヤマガラ、シジュウガラ、ガビチョウの囀りが聞 こえていた。期待に反し、サシバは10:01上空を1羽が西から東に真っ直ぐ通過した以外、まったく見ることができなかった。他にはハヤブサが一度出現し ただけであった。

4月10日(土)  晴

9:45−11:30   笛田公園で観察。  上空の雲は南から北にゆっくりと流れていたが、地上は殆ど無風で、条件は悪くないように思われた。サシバ は10:251羽が野球場の上空を通過して、常盤山の北側に消えていった。青空で、サシバは金色に輝いていたが、やや高度が高く、満足な写真は撮れなかっ た。今シーズンこれで16羽目だと思うが、初めてサシバらしいサシバに出会えて、ハッピーであった。とはいえ、秋との決定的な数のバランスが何故生じ るのか?その解明につながるような材料は何一つ掴めていないのが残念である。それにしてもサシバは不思議な鳥だなと、つくずく思う。私は200種強の鳥を 見聞きしているが、定年後にはこれを300種に増やしたいと考えていた。しかし実際に増えた鳥は数種にすぎない。そして現在、私が出会いたい鳥はサシバだ けである。それは何故なのだろうか?(冬に会いたいのは赤い鳥だけで、夏は 特にない)

4月11日(日)  晴

10:00−11:30   境川遊水地で観察。南の風4m、このような条件で、今の所、適当な観察場所として思い当たるのはここしかない。この日も 11:22北側の上空をサシバが1羽東に向かっていった。ここで見る限り、港南台に向かうようには見えないが、真っ直ぐ東京に向かうとも考えられない。非 常に興味のある場所ではあるが、なんとなくしっくりしない気分がする。
私は今まで、秋も春も、サシバは基本的には同じルートを辿るものだという前提で観察をしてきた。しかしこの前提が本当に正しいのだろうか?各論で見る限 り、1羽のサシバは極めて重要である。しかし総論的に見れば、今年の春は、昨秋の少なくとも三分の二、即ち1000羽のサシバを論じるべきであり、たった 1羽の動静はとるに足らないものではないかとフト考えてしまう。しかしとるに足ろうが、足るまいが、まだ当分の間は1羽のサシバを追いかけている自分がい るということになりそうである。

4月13日(火)  晴

9:00−10:30   湘南平展望台にて観察。4日前に来たときは満開に近かった桜の花は殆ど散っていた。前回は、人手で賑わっていたが、なんと今回 9時前に現場に着いたときは、殆ど人がいなかった。ソメイヨシノこそ見られないが、湘南平は、新緑がきれいで、名前のわからない花があちこちにひっそりと 咲いており、実に美しく輝いていた。ヤマガラ、メジロ、ガビチョウの声が、聞こえてきたが、オオルリはまだ来ていないようだ。この日は南の風が4m程度と 強く、サシバはあまり期待できなかったが、オオタカとハイタカと思われるタカが何度か出現した。海岸沿いにはアオバトが、飛び交っていた。サシバを見てい なかったら、こんな美しい春の情景を見過ごしていたのだろう。サシバは1羽も見られなかったが、結構満足度の高い1日であった。

4月14日(水) 曇時々晴

9:30−11:30  逗子披露山公園にて観察。 初めはやや強い北風であったが、その後風は徐々に南に変わってきた。 雲がたれこめていたが、ところ どころ青空が見られ、観察には支障がなかった。サシバは10:08に1羽が中空を大楠山方向に飛び去ったきりであった。他にはミサゴが出現した程度であっ たが、格段に美声のメジロが1羽囀っていて、素晴らしいコーラスを楽しむことができた。


午後自宅から、常盤山方面を眺めていたら、どうもサシバらしい影が東に移動していった。まさかとは思ったが、念のためと思って14:00−15:00笛田 公園に行ってみた。ところが14:09と14:23サシバが中空を源氏山方向に向かっていった。駐車場からグラウンドに上る階段の途中で観察したので、現 れたのは頭上で、後ろ向きに遠ざかる姿はなんとか写真に撮れたが、来た方向は全くわからなかった。それにしても条件が悪いのに、こんな時間帯に飛んでいる とは驚きであった。地上は南風がかなり強く感じられたが、中空の雲は北から南に流れているものもあり、風の流れは複雑であった。

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東京を通過するサシバについて
10年前までの15年間、私は東京の浜松町にある会社に勤務していたので、勤務の合間にではあるが、春も秋もサシバの渡りをチェックしてきた。しかしオオ タ カやハヤブサ、チョウゲンボウは何度か見かけたが、サシバを見かけたことはゼロであった。ただ最近の鎌倉近辺での観察結果からみて、その後、サシバの飛行 ルートに何らかの変化があったのではないかと思うようになったので、4月15日、大井にある都立東京港野鳥公園のレインジャー掛下さんに電話で最近の状況 を聴取してみた。その結果今年の春は3月30日にサシバが2羽通過したとのことで、そのうち1羽はかなり高度が高かったとのことであった。また秋には、公 園内に飛来して餌を取るサシバが時々見られるとのことであった。ただし東京港野鳥公園のサシバがどこから来て、どこへ向かうのかは全く不明であるとのこ と。秋は房総だけではなく、埼玉方面から来る可能性もありうるとのことであった。結論から言えば、東京の湾岸部を通過するサシバはゼロではないが、その数 は現状に於いてもnegligible smallであると考えるべきであろう。
話は別であるが、何かに行き詰まった時には原点に戻れというのが鉄則だと言われている。私も春のサシバについては全くの混乱状態がこのところ続いている。 そんな時、フト思い出すのが、25年前サシバ観察を始めた頃に読んだ、二つの観察記録である。当時はまだパソコン通信の時代であり、Nifty serveとかPC-vanなどの野鳥フォーラムが賑わっていた。そのなかで
南箱根ダイアランドと河口湖で観察されていた人の観察記録がとても印象に残っている。特に南箱根ダイアランドの春の観察記録は、鎌倉で観察する者にとって も密接な関連があるように思われる。意外なヒントが含まれているかもしれない当時の記録をなんとか復元できないものだろうか?
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4月17日(土) 雨後晴

午前中雨が降っていたが、だんだんと空が明るくなってきたので、11:30−12:45 笛田公園に行ってみた。初めのうちは、まだ雲が多かったが、その うち快晴になった。北風がやや強く、とても寒かった。12:25サシバ1羽が上空に現れ、まっしぐらに長谷の方向に去っていった。高度はやや高かったが、 それでも今春では一番ましな写真が撮れた。まだ来そうな雰囲気であったが、体調が優れず、残念ながらリタイアせざるをえなかった。


4月18日(日)  晴

快晴で風も午前中は北で、この条件であれば、笛田公園を必ず飛ぶ筈だと期待して出かけたが、残念ながら駐車場が満杯で、入れず、境川遊水地で10:00− 11:00観察した。午後からは南風に変わるとの予報であり、こちらにも粘ればやってきそうな感じがしていたが、体調がどうも芳しくなく、やむなく早めに 切り上げた。そろそろ繁殖に参加する成鳥の渡りは大詰めだと思われる。遊水地ではヒバリやセッカなどが、囀っていて、のどかな雰囲気であったが、サシバも その他の期待されるタカ類も全く姿が見られなかった。

4月19日(月)  晴

所用で平塚に行ったので、10:00−12:00 湘南平展望台で観察した。晴れてはいたが、春霞が一面に立ち込めており、絶好の条件とは言いがたかっ た。風は初めは無風であったが、10:30頃より、徐々に南風が強くなってきた。サシバは10:13,10:14、10:19、10:20、10:23、 10:26と、これが湘南平のサシバだとばかりに、立て続けに6羽やってきた。しかしその後はさっぱりで、ツミとオオタカが各1羽現れただけであった。風 向きが変わったからコースが変わったのか、それともサシバ自体が飛ばなくなったのか?
この日のサシバはいずれも比較的低く飛んだので、総て写真を撮ることができたが、満足な出来ではなかった。例年だとアオバトの往来が見られるのだが、今年 は殆ど見ていない。タカを警戒してコースを変えたのだろうか?
                            


4月21日(水)  晴

予想外の好天気であった。北の風が弱く、条件は絶好と思われたので、懸案であった十国峠に行ってみた。現地には9時過ぎに着いたが、メマイがして、しばら く休憩、10:00−11:30標高770mの展望台で観察した。海上はもやっていたが、大島や利島がはっきりと見渡せ、絶好の観察日和であった。時期的 にサシバはあまり期待できないとしても、最近サッパリ姿を見せないハチクマがここでなら見られる筈だと期待して観察したが、残念ながら1羽も現れなかっ た。十国峠といえばハチクマというイメージが残っているが、ハチクマは最近どこへ行ってしまったのだろうか?この日はノスリが1羽観察されただけであっ た。


4月24日(土)  晴

9:45−11:15  笛田公園で観察した。久しぶりの観察日和であったが、北風がやや強く、初めのうちはとても寒かった。4月も下旬だというのにこの 寒さはどうしたことだろうか?
空は晴れており、条件的にはそれほど悪くはなかったが、サシバは1羽も発見できず、ミサゴが1羽現れただけであった。


4月25日(日)  晴

9:00−11:00  笛田公園にて観察。この日は初めは北の風が昼前には南に変わるという春にはよくある予報であった。予報通り当初は北風が3m程度 吹いていたが、徐々に南風に変わってきた。気温も割合高めで、寒さを感じずに観察できたが、サシバは1羽もやってこなかった。南風に変わった瞬間、海の方 からカモメが何羽か流されてきた。笛田公園の上空を乱舞するカモメもなかなかきれいなものだ。

4月26日(月)   晴

10:00−12:00  この日は久しぶりに笛田公園が輝いた日であった。2年前の4月27日と28日の両日で合計14羽のサシバが観察されているが、 こんな時期にこれだけ飛ぶのは偶然だったのだろうか?  早朝の時点で、天候条件は当時ととても似ているように思えた。既に高知では5398羽が通過し、 20日で観察を中止したようだが、徳島やその他の地点では小規模ではあるが、まだ継続的に渡っているようで、この日は絶対にサシバがやってきそうな予感が していた。過去の傾向をみると9時台、10時台、11時台とほぼ同数飛ぶ傾向が見られるが、3時間はきついので、10時から観察をすることに決定、相当集 中して東の空を見上げていたが、さっぱりやってこない。今日は駄目かと、あきらめかけていた11:42、11:44、11:47、11:52と立て続けに サシバが4羽現れた。初めの2羽は比較的低く写真がとれた。その後の2羽はものすごく高く飛んでおり、豆粒程度の写真しか撮れなかった。
写真が撮れた2羽のうち、1羽は成鳥、1羽は幼鳥だと思われる。ほんの10分間に4羽も飛ぶとは驚きであった。コースはほぼ定番であったが、とぶ高さがま ちまちで、おそらく見落としがあったものと思う。

なお笛田公園の定番コースとは、殆どが夫婦池と深沢の中間を通ってグラウンドの上空に現れ、住生住宅と源氏山との間を抜けて行くものを指している。しかし これはかなりいい加減なものかもしれない。何故ならば、サシバが通過すると、心はもう次のサシバを追っており、通過したサシバが最終的にどこへ向かったの かまでトレースはしていないのが実情である。仮に定番コースを飛ぶサシバがフックもスライスもせず、ストレートに飛んで行くとすれば、披露山公園の側を通 過して、湘南国際村、大楠山の方向に向かうことになるのだろうが、果たして実際はそうなのだろうか?


                                                                         成鳥                                  幼鳥
4月27日(火)   曇後雨

10:45−11:45   笛田公園にて観察。  曇りで視界が悪く、やや寒かったが南東の風は弱く、昨日のようにサシバがひょっこり現れそうな雰囲気 はしていた。上空をウやヒメアマツバメが飛び交っていた。しかしサシバは1羽もやってこなかった。

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春のサシバは高知や徳島などでは、秋とそれほど違いが見られないとの話をきいたことがあるが、神奈川県においては、特定のコースをたどらず、広範囲に分散 し、群れも作らずに移動している可能性が高いように思われる。したがって一箇所で 50羽も観察されたら上出来といった状況のようだ。秋の稲村ガ崎のように一箇所で1200羽などは到底望めないから、観察する人も少なく、その実態解明が 遅々として進まないのが、実情だといえるのだろう。
いわばお手上げ状態であり、何とかして打開策を見つけなければと思うが、現実的にはなかなか難しい。とはいえ手をこまねいているのは悔しすぎるので、無駄 な抵抗にすぎないとしても、なんらかのアクションをとることが重要だと思われる。ひょっとしたら、何らかの手がかりが得られるかもしれない。
そんな思いもあって、今年の春は、サシバを追うことよりも、県内でひそかにハルサシ(春のサシバ)を追いかけている、知られざる観察者を見つけ出して、情 報交換をしてみたいと、とっかかりになりそうな丹沢湖ビジターセンター、秦野ビジターセンター、宮ヶ瀬ビジターセンター、横浜自然観察の森などを訪問して みた。また小田原にある県立生命の星、地球博物館や東京港野鳥公園などとは電話で色々と意見交換をさせていただくことができた。各所とも突然の訪問、電話 であったのにも関わらず、懇切丁寧に対応していただき、非常に参考になる情報を入手することができた。

また既に舶用レーダーを野鳥追跡用に活用する試みが一部で実用化しているという話を耳にするが、現実的にどのような可能性があるのか?昔勤務していた海運 会社と取引があった古野電気のことを思い出して、電話してみた。退職後20年も経っていて、すでに名前をしっている人はだれもいなかったが、テクニカルセ ンターの担当者が親切に対応してくれた。
基本的にFURUNOのレーダーは漁業用に設計されているので、高空を探査するのには適していないとのことであった。予算、免許の関係で出力5キロワット 以下のものが、私でも手がとどきうる範囲だろうとのことであったが、それだと高度100m、周囲20km以内であれば、サシバ程度の大きさのものでも、慣 れれば把握できるのではないだろうか?とのことであった。
これで新品だと50万円強だが、中古なら意外と安く手にいれられるかもしれないとのこと。高度1000mならとても魅力的であるが、100mがひっかかる ところである。一度実際に操作してみないとなんともいえないが、カラスとサシバを本当に区別できるのだろうか。こうした機器は日進月歩であり、そのうちよ り、高性能なものが、より安価で入手できるようになるだろう。
サシバは時間と体力があれば、限りなくあちこちに展開していくから楽しいのだろう。

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4月30日(金)   晴

9:00−10:30  笛田公園。  午後にかけ南風が強まることが予測されたが、9時現在ではほぼ無風、快晴で絶好の条件と思われた。風向きが変わら ない一時間が勝負だと思って集中して観察していたところ9:50かなり高空を1羽が通過していった。紺碧の空の中、光り輝くサシバの姿はいつ見ても美しい ものだ。ただ高すぎて成鳥か幼鳥かはわからず、写真判定でもはっきりとしなかった。公園のイチョウの木で、メジロが1羽囀っていた。しかし披露山公園で、 美声のメジロを堪能したあとだったので、素人のど自慢のような歌い方にしか聞こえなかった。



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サシバはまだ6月初旬まで小規模ながら延々として渡り続けるのだろう。体力が続けばまだ観察を続けてみたい気がするが、残念ながら完全にスタミナ切れを起 こしており、本日をもって、一応観察を終了することにします。
今シーズンにさきがけて従来アメリカ大陸にしか生息しないと信じられていたキズタアメリカムシクイという小型の鳥が稲村ガ崎で発見されるという、エキサイ ティングな出来事があった。この件について触れだすとエンドレスになるので、ここでは省略。
今シーズン私が観察したサシバは31羽であった。昨年は30羽で、体調が悪い日が多かった割には、まあまあの数字ではあった。しかし特別に新しい発見もな かった。毎回同じ話になるが、秋とのバランスからいって、春は最低でも100羽は見られる筈だと思えるのに、現実には五分の一程度しか、観察ができていな い。何故そうなるのか?この極めて単純は 疑問が何年観察してもさっぱり解けないのはとても悔しい思いがする。しかし春のサシバの面白さは、まさにここにあるのだともいえそうだ。春のサシバは数が 見られないからつまらないと感じる人、いや見られないからこそ面白いのだと感じる人、その違いはどこにあるのだろうか?  突き詰めると人生観の違いなの かもしれない。
今シーズンも本当に多くの方から貴重なアドバイスをいただき深謝いたします。  秋にまたお会いできれれば幸いです。


                                                                         平成22年4月30日

5月9日、KJGの例会で源氏山に行ったが、11:59 上空をサシバ1羽がかなり高く通過していった。快晴で、弱い南風が吹いていた。昨年は円海山(港 南台)で、5月中に15羽程度のサシバが観察されている。春のサシバは神奈川県ではかなり、分散して飛んでいると思われるが、港南台を飛ぶのであれば当然 5月の鎌倉も飛んでいる筈である。とはいえ現実にその姿を捉えるのは、簡単ではない。しかしこの日は間違いなく飛んでいるという事実を多くの人とともに実 感することができた。















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