アキュトロン酸化銀電池対応改造(その1)

 以下の記事の内容について、すべてを保証するものではありません。 また、これらの内容により何らかの損害が生じても、責任は一切とれません。 すべて自己の責任において、行ってください。

[アキュトロン酸化銀電池対応改造について(その1)]

 Bulova製の時計、アキュトロンは、電源に水銀電池を使用することを前提に作られています。 ところがこの水銀電池は、廃棄されたときの環境への影響が大きいため、現在、製造は行われていません。
 現在手に入る時計用電池は、ほとんどが酸化銀電池です。 水銀電池と、酸化銀電池は、同じ形状のものが作られていますが、材料の違いから端子電圧は、
     水銀電池 :1.35V
     酸化銀電池:1.55V
と、酸化銀電池の方が0.2V高くなっています。
 アキュトロンは、音叉の振動を音叉についている爪を使って、歯車の歯を1段ずつ送ることにより、 動作しています(図1)。実際の音叉についたツメと、歯車の写真を隣に載せます。緑色の矢印の大きさは、 1.0mmになります。その微細な構造がわかると思います。歯車の歯は、ほとんど見えません。

214 オリジナル回路 Index Wheel

 前に述べたようにアキュトロンは、電源に水銀電池を使用することを前提に作られています。 よって、電源電圧が1.35Vの時に正常に動作するようになっています。 電源に水銀電池の代わりに酸化銀電池を使用すると、電源電圧が0.2Vだけ高くなるため、動作電流 (図1のI driving)が増え、音叉の振動振幅が大きくなってしまいます。
 この振動振幅が、歯車の歯と歯の間隔の2倍を越えてしまうと、一回の振動で送られる歯の数が 正規より多くなり、結果、時間が進んでしまうことになります。
 音叉の振動振幅に対する余裕が、この0.2Vの増加に対応できるほど大きければ、酸化銀電池を 使用しても正常に動作します。しかし、多くの場合、正常に動作しないようです。

 この現象を回避する方法は、2種類が考えられてます。
     1.歯車を送る爪と歯車の接触圧を大きくして、摩擦で音叉の振動振幅増加を抑える
     2.電源と直列に抵抗を入れ、抵抗により0.2Vの電圧降下を得る

 1.の方法は、摩擦が増えるため歯車の摩耗が早くなり、問題があります。また、摩擦の調整は 簡単ではありません。
 2.の方法は、動作電流のばらつきを考慮しなければいけませんし、また、音叉振動の起動時には 通常状態より数倍の電流が必要であり、0.2Vの電圧効果を得るほどの大きさの抵抗は、使用できない ようです(詳しくはここを参照)。

 ただし、抵抗の挿入位置を電源と直列ではなく、発振コイルと発振用トランジスタのコレクタとの 間にすることにより対応が可能です(詳細は次ページ)。  シミュレーションにより抵抗の値を求めると、おおよそ22kΩ程度になりました。

[2002. 8.22修正]
 実際に試してみたところ、22kΩでは少し大きすぎる様で、18kΩが適当のようです。 このあたりは微妙な部分のようなので、個体によって値を調整する必要があるかもしれません。
[修正終わり]

[2003. 5. 8修正]
 実際に試してみたところ、18kΩでもちょっと不安定だったので、最終的には15kΩにしました。
[修正終わり]

[2003. 8.28追加]
 現在、純正の水銀電池(品番:387)とサイズが同じなのは、「387S」と「394」、それに「SR936SW」の 3種類です。ただし「387S」以外は、アキュトロン214に入れるために必要なプラスティックスペーサが 付属していないので、スペーサは捨ててしまわないようにしましょう。
[追加終わり]

[2006. 4.14追加]
 アキュトロンは、インデックス車の逆回転を止める爪が付いています。この爪は、調整用のカムを 回転させることにより、インデックス車に押しつける圧力が調整できます。この圧力は、弱すぎると 音叉が振動しているにもかかわらず、インデックス車の逆回転を押さえきれず、インデックス車が 回転しません。また、圧力が強すぎると、爪とインデックス車の歯との摩擦が大きくなり過ぎ、やはり 回転が止まってしまいます。酸化銀電池対応に調整してあるというアキュトロンのなかには、この摩擦を 利用して、歯送りの行き過ぎを抑えている物があります。
 また、逆回転防止爪とインデックス車との間の圧力には、製造のばらつきや、メンテナンスの結果 生じたか、あるいは経時変化で生じたかはわかりませんが、個体差があります。
 本Siteで紹介している抵抗付加による改造は、水銀電池で正常に動作しているアキュトロンでは、 そのままで酸化銀にして正常に動くと思いますが、なかには、逆回転防止爪とインデックス車との間の 圧力が強い物があり、ぎくしゃく動いたり、全く動かない場合もあります。
 その場合、圧力調整のカムで圧力を弱めてやることで正常に動くようになりますが、時計用の工具を 使うなどしないと、大事なアキュトロンを破壊してしまうことになるので、注意しましょう。
 このSiteでサービスマニュアルを閲覧できます ので、一読することをおすすめします。
[追加終わり]

[Prev.]

[Next]

Written by Xeno